日刊スポーツの芸能欄を読んでいたらタレントのカルーセル麻紀の記事があった。
9月に大麻所持、コカイン使用の容疑で逮捕され、処分保留のまま釈放された。記事は今月20日に東京の目黒雅叙園で記者会見会見した時の様子を伝えている。大麻所持については認めたものの、コカイン使用については「歯の鎮痛剤として友人から譲り受けたもの」と述べて否定している。そして記事にはカルーセル麻紀のこんな言葉が引用されている。
「生まれて初めて地獄を見た」
人生において人は一度くらいはこんな目に遭うことがあるだろう。私も数年前、「生まれて初めて地獄を見た」としか言いようのない経験をした。そのため病を患い、現在は療養中なのだが、私の話はどうでもよろしい。カルーセル麻紀である。なぜ地獄を見たのか。
「留置所で男性として扱われたから」
ご存知の通り、カルーセル麻紀は性転換して女性になった。もとは男性である。本名は平原徹男。北海道は釧路市の生まれで、女性への変身願望が強く、15歳のとき家出して札幌ススキノのゲイバーで働き、1965年に東京・日劇ミュージックホールに出演。22歳で豊胸手術、30歳で性器整形手術を受けて女性になった。ところが、投獄される時、係官にこう言われたという。
「戸籍上男性なので男性として扱います」
性転換したが戸籍上は男だった。知らなかったよ。
記事によると、カルーセル麻紀はそれまで一度も男性の下着を身に着けたことがなかったらしい。記事にはこうある。
「Tバックやシルクのレースなど5枚ほどの下着などを持参したが認められず、『ヤダー』と泣きわめいた」
「ヤダー」と泣きわめく。さすがはカルーセル麻紀だ。男は決して「ヤダー」と泣きわめいたりしない。
「『ヤダー』と泣きわめく鈴木課長45歳」
こんな課長はいやである。
カルーセル麻紀は幸い男性の独居房に決まったらしい。初日は他の拘置者が見ている中、素っ裸で身長と体重を測った。風呂は5日に1回で、ドアは開けっ放しだったという。カルーセル麻紀は告白する。
「湯船には入らず、しゃがんでシャワーだけ浴びました」
「しゃがんで」というところがなんとも女らしいではないか。
「しゃがんでシャワーだけ浴びる鈴木課長45歳」
これはどう考えても男っぽくない。湯船に入ったらどうなんだ。
カルーセル麻紀に話を戻そう。
41日間の拘置で熟睡できたのはわずか2日間だという。まさに地獄の日々だったのだろう。釈放が決まった瞬間の気持ちをこう語っている。
「おしっこ漏れそうなくらいうれしかった」
どんな嬉しさだ。おしっこが漏れそうなくらい嬉しい。さぞかし嬉しかったのだろう。
「おしっこ漏れそうなくらい嬉しい鈴木課長45歳」
いったいこの鈴木課長は何者なんだ。なにかというとしゃしゃり出てくる。
ところで記者会見の記事の見出しはこうだ。
「カルーセル麻紀、釈放会見で男泣き」
男泣きしてしまった。いいのか。それでいいのか。
男と女。人生いろいろである。
(2001.11.21)