国際交流基金の「美術館への誘い」シリーズ2が公開されました。ラインナップは次のとおりです。
2022年8月9日
本日から四週間にわたって、国際交流基金が日本各地の美術館を世界に紹介する「美術館への誘い」というビデオをYouTubeチャンネルで配信します。六つの言語(アラビア語、スペイン語、ポルトガル語、英語、中国語、日本語)で字幕を選べるのですが、ネイティブが作成したスペイン語の字幕をなんと僭越ながらわたくしが監修いたしました。NHKが制作したビデオですので映像もナレーションもすばらしい。心がゆったりと落ちつきます。配信スケジュールは次のとおりです。
本日公開されたシリーズ1のラインナップは札幌のモエレ沼公園、札幌芸術の森、清春芸術村、島根県立美術館、足立美術館、霧島アートの森。ぜひお楽しみください。
2022年8月2日
ATMでお金をおろしました。ディスプレイの「お引き出し」というボタンを押しながら、なぜ「おろす」と言うのか、不思議に思ったよ。預金を引き出すのが「おろす」なら、預け入れるのは「お金をあげる」でよさそうなのに、言わないね。「雨があがる」とは言うけれど、「雨がおりる」とか「雨かさがる」とは言わない。「風呂からあがる」の反対は「風呂へおりる」だよ――と、日本語を学ぶ異国の人に嘘をついてだましてみたい。
2022年7月25日
五つの母音(a, i, u, e, o)をひとつずつ、ぜんぶ含む単語をポリバケツ語と呼ぶのだそうです。ポリバケツをローマ字で書くと poribaketsu。なるほど、そろっているなあ。ポリバケツ語を集めているサンカクさんというかたのツイートによりますと、「隠れ蓑」「アメジスト」「なめこ汁」「人助け」「丙午」「砂時計」「ゆりかもめ」「恵方巻き」「ご明察」「お手伝い」などがあるが、意外なところでは「海苔茶漬け」が一頭地を抜いているという。たしかに。おもしろいので、さっそく考えてみたよ。
いまのところ「すけこまし」がお気に入りです。
2022年6月20日
What's Going On / Marvin Gaye
2022年4月15日
1961年11月13日にホワイトハウスに招かれたパウ・カザルスがケネディ大統領夫妻の前で演奏した「鳥の歌」を、このところ毎日聴いております。ロシアよ、戦闘をやめてくれ。
鳥の歌/パウ・カザルス
2022年3月13日
当サイトの配色をウクライナの国旗色にして連帯を表明します。Я з тобою, де б ти не був.(あなたがどこにいようと、わたしはあなたと一緒にいるよ)
2022年3月8日
先月27日、ウクライナでの戦争の即時終結請願書に署名しました。現在世界各地から209万8325人分の署名が集まり、さらに増え続けています。戦争はいやだ。胸が苦しいよ。
2022年3月1日
今野真二さんの『振仮名の歴史』(岩波現代文庫)を読んでいるのですが、次の段落で「おや?」と首を傾げました。ちょっと読んでみてちょうだいな。首を傾げたところは赤い文字にしておきました。
ところで「辞書」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。『広辞苑』でしょうか。『新明解国語辞典』でしょうか。今わたしたちが使っていることばを調べるのに、今つくられている辞書を調べてみるのはごく自然です。では過去の日本語のことを調べるのにもかつてつくられた辞書、これを古辞書とよびますが、その古辞書を使うことも自然です。ここではそうした古辞書の一つとしてよく知られているものを繙いてみましょう。
今野真二『振仮名の歴史』岩波現代文庫、2020年、p. 62
さあ、この「では」がわからない。「では」は「それでは」の略ですね。「では」のまえとうしろの文がどうつながるのか。つながらないなあ。「では」をとってしまえば意味は通じます。おそらく推敲する際に見落としたのでありましょう。
2022年2月19日
おとといから頭の中でこの曲がノンストップで流れており、気が狂いそうです。どうすればいいのでしょう。
社長さんはいい気持/鈴木やすし
2022年2月18日
毎度おなじみ白水社の『スペイン語大辞典』で azófar を引いてびっくりしたよ。
azófar
[aθófar] 男 《文語》真鍮(ちゆうしん)〖=latón〗
シンチュウですよ、と真顔で訂正するのもはばかられるミスでございます。誤字や脱字ではない、珍しいまちがいだ。項目執筆者も編集者もお疲れのご様子とお見受けしました。
2022年2月5日
去年から読みたい読みたいと思っていた竹倉史人さんの『土偶を読む』(晶文社)がようやく正月に地元の図書館に収蔵されたので、さっそく借りて読みました。目から鱗が落ちるとはこのことです。土偶のデザインの謎がぜんぶ解けちゃいました。縄文人も現代人も心のありようはほとんど変わらないのだなあ。これほどシンプルな謎解きが、なぜいままで誰も思いつかなかったのかしら。これはこれであらたな謎であります。
2022年2月1日
達人になりたいと思わない人がこの世にいるだろうか。いや、いない。わたくしも一度でいいから達人と呼ばれたい。どうすれば達人になれるだろう。
武道の達人は戦わないそうだ。やれ百戦百勝だ、やれ千人斬りだと武勇伝を自慢しているうちはダメなのだろう。そもそも武道の達人は敵をつくらない。
「戦わない」
これこそ達人の真骨頂だ。では料理の達人はどんな人か。
「調理しない」
食材がどうの、調理器具がどうのと、つべこべ言っているうちは青二才だ。真の料理の達人は調理しないに決まっている。話芸の達人はどうか。
「しゃべらない」
調子に乗ってぺらぺらとしゃべっているうちは半人前である。語学の達人はもっとすごい。
「読まず、書かず、話さず、聞かない」
四拍子そろってはじめて達人だ。人生の達人はどうか。
「この世に生まれない」
凡人はひとりの例外もなく勝手にこの世に生まれてきては、人生の荒波にのたうちまわって大騒ぎする。人生の達人は出発点が違う。そもそもこの世に生まれてこないのだ。達人への道は遠い。
2022年1月27日
大相撲を実況中継するNHKのアナウンサーのなかでわたくしがもっとも尊敬するのは藤井康生さんでした。「でした」と過去形で言わねばならないのが残念です。きのう最後のテレビ実況を終えられました。
六十年近く相撲を見続けて養われた眼力。豊富な知識。巧まざるユーモア。解説者の北の富士勝昭さんとのコンビは抜群でありました。とりわけわたくしが共感したのは制限時間いっぱいになるまでダラダラと仕切りを続ける昨今の風潮への批判です。「時間前に立つ」立合いが見られないのが残念だと、実況のたびごとに嘆息なさっていました。相撲中継アナウンサーに番付があるとすれば藤井さんは横綱であります。わたくしが勝手に推挙するよ。
(1月22日追記。本日午後4時5分からNHKラジオ第一で藤井さんが実況中継します)
2022年1月21日
黒澤明の生年を調べたくて辞書をいくつか引いてみたところ、氏名の漢字表記が気になったのでした。『日本大百科全書』は「黒澤明」、ところが『改訂新版 世界大百科事典』をはじめ『日本国語大辞典 第二版』『広辞苑 第七版』『大辞林 第四版』『デジタル大辞泉』『日本人名大辞典』はどれも「澤」の字を用いず「沢」で代用している。
「黒沢明」
なんだか別人のような気がするよ。さらに気になる人物はハスミシゲヒコさんだ。
「蓮実重彦」
ぜんぜんしまりがない、キリッとしない表記で、ひとごとながらお気の毒に思います。どの本にも著者名は「蓮實重彥」と書いてある。ついでに申せばシブサワタツヒコも澁澤龍彥と書かないと本人である感じがしないよ。上にあげた辞書の大半は「渋沢竜彦」。どちらさまですかと聞き返したくなります。
2022年1月13日
あけましておめでとうございます。おかげさまで当サイトは二十二回目の正月を迎えました。今年もはりきってうっかりする所存です。
2022年1月1日