スペインの俳優ダビ・ルケがスペイン人として初めてロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)に入団しました。マドリード生まれの47歳。経歴は異色で、マドリード・コンプルテンセ大学で英語学を学びドイツ語も習得。EUの大学間で単位互換を促進するエラスムス計画の留学生としてドイツで勉強中に演劇に目覚め、マドリードに戻って英語劇専門の劇団に入団しました。昨年ドイツで公演した際にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの誰かが舞台を観てくれて、ロンドンでオーディションを受けてみないかと誘われ、受けてみたら合格したのだそうです。RSCは「舞台俳優にとって頂点。サッカーのチャンピオン・リーグでプレーするようなもの。NBAのパウ・ガソルやNASAのペドロ・ドゥケみたいな気分だよ」。
3作品に出演する予定で、いずれも外国出身の劇作家や演出家、俳優が参加する「ヨーロッパ計画」というプログラムの一環。まず4月9日に初演させるチェコの作家パトリク・オウジェドニークの小説が原作の『ヨーロピアナ』(Europeana)でデビューします。20世紀のヨーロッパ大陸の歴史を総括する作品で演出はスウェーデンのマリア・アベルグ。2作目は5月1日に初演されるイプセンの『ペールギュント』で、演出はスイスのバルバラ・フライ。3作目はジョゼ・サラマーゴの小説『白い闇』を戯曲化した『盲目についてのエッセー』(Blindness and seeing)。演出はポルトガルのチアゴ・ロドリゲスで8月1日に初日を迎えます。
アナ・トレントの短いインタビューです。目下イザベル・クシェットの新作映画『ベニドルムの雪』(Nieve en Benidorm)を撮影中で、同時にマドリードのベリャス・アルテス劇場でアルベルト・コネヘロ作、ルイス・ルケ演出による『ある日のすべての夜』(Todas las noches de un día)を再演中。
アルモドバルの次回作は短篇と長篇。ひとつはジャン・コクトーの一人芝居『人間の声』に基づく15分くらいの短篇映画。『神経衰弱ぎりぎりの女たち』のモチーフになった作品です。主演はティルダ・スウィントンで、4月にマドリードで撮影予定。台詞は英語です。
もうひとつはルシア・ベルリンの作品集『掃除婦のための手引き書』に収められた43の物語の中から5つを長篇映画化します。舞台はテキサスとオークランド、メキシコで、台詞は英語とスペイン語。アルモドバルにとって英語の長篇映画デビュー作になります。
〈モビーダ〉と呼ばれるマドリードのサブカルチャー運動が始まったきっかけは専門家のアナ・アパリシオ・シリャンによると1980年2月9日にカミノス専門学校で開かれたロックバンド、トス(Tos)のドラム奏者カニート追悼コンサートでした。本日はちょうど40周年。アパリシオ・シリャンは新著『マドリードのモビーダ』(La movida madrileña、Editorial Tébar Flores)で29のグループを紹介、うち18組とのインタビューを行いました。
カルロタ・フェレルとダリオ・ファカルがロルカの『五年経ったら』に手を加えて、ロルカが副題として残した『時の伝説』(La leyenda del tiempo)を公演タイトルに選び、マドリードのエル・パボン・カミカゼ劇場で上演します。ダリオ・ファカルによると原作のシーンの順番をいくつか変更し、原作の第一幕半ばのテクストからスタートさせ、『観客』のテクストも組みこんだそうです。原作のほぼ八割は元通りとのこと。
映画監督で脚本家、製作者のホセ・ルイス・クエルダが昨日マドリードの病院で死去しました。享年72。監督としての代表作はゴヤ賞最優秀作品賞を受賞した『にぎやかな森』(1987年)、『アマネセ、ケ・ノ・エス・ポコ』(Amanece, que no es poco、1989年)。脚本家ととしては『蝶の舌』(1999年)と『盲目のひまわり(原題)』(Los girasoles ciegos、2008年)で脚色賞を受賞。製作者としてはアレハンドロ・アメナーバルの『テシス』、『オープン・ユア・アイズ』、『アザーズ』をプロデュースしました。
昨日開催された第73回英国アカデミー賞(BAFTA)でスペイン人監督セルヒオ・パブロスのNetflix配信作品『クラウス』(Klaus)が最優秀アニメーション賞を受賞しました。『アナと雪の女王2』『トイ・ストーリー4』『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』などの世界的ヒット作を抑えての受賞。
1月26日の記事ですが、ゴヤ賞授賞式に出席したペドロ・アルモドバルが、2月9日にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催されるアカデミー賞の国際映画賞のプレゼンターがペネロペ・クルスであることを明かしました。2000年の同式典でクルスが最優秀外国映画賞のプレゼンターをつとめたときの受賞作がアルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』だったことを思えば今回の受賞作は『ペイン・アンド・グローリー』なのでしょう。
1月30日にマドリードのラ・アバディーア劇場で劇場設立25周年記念集会が催されました。スピーチをした出席者の口から一番よく発せられたのは創設者で去年まで芸術監督を務めたホセ・ルイス・ゴメスへの「ありがとう」の一言でした。観客席には俳優のゴンサロ・デ・カストロ、アナ・ベレン、カルロス・イポリト、ホセ・ルイス・アルコベンダス、エミリオ・グティエレス・カバ、ベアトリス・アルグエリョ、演出家のアルフレド・サンソル、エレナ・ピメンタ、リュイス・パスクアル、舞台美術家のクルト・アレン・ウィルマー(記事の Willmer は誤りで正しい綴りは Wilmer)、リカルド・サンチェス・クエルダ、照明デザイナーのフアン・ゴメス・コルネホ、作曲家のアマンシオ・プラダなど演劇人がずらりと顔を揃えました。最後にヌリア・エスペルがこの日の主役であるホセ・ルイス・ゴメスを紹介してステージへ上がらせ、自分は目立たぬように背後に退いた様子は写真の通りです。