本年10月10日にスタートするマドリードのサルスエラ劇場新シーズンのプログラムが発表されました。全十八作品のうち、記事の見出しで取り上げられたのは作曲家パブロ・ソロサバルの遺作『フアン・ホセ』ですが、注目すべきは続くリードで触れられる新作オペレッタ『マリア・モリネール』です。『スペイン語用法辞典』の編著者であるマリア・モリネールの生涯を描くサルスエラで、台本はルシア・ビラノバ、音楽はアントニ・パレラ・フォンスが担当。舞台化の発案者であるパコ・アソリンが演出を手がけ、指揮はビクトル・パブロ・ペレス。主役のマリア・モリネールを演じるのはマリア・ホセ・モンティエル。2016年4月世界初演。
昨年マドリードの国立図書館で発見されたたロペ・デ・ベガの戯曲『女たちと召使いたち』が今週29日から5月24日までマドリードのエスパニョール劇場で上演されます。ルシアーナとビオランテの姉妹がそれぞれの婚約者をふりきって本当に愛する恋人と一緒になる波瀾万丈のコメディア。
残された記録によると、この作品が最後に上演されたのは1631年の末もしくは1632年の初めで、その数年前に初演を手がけたペドロ・デ・バルデスの劇団が上演。バルデスが1631年に手書きで写した写本を昨年アメリカのシラキュース大学のアレハンドロ・ガルシーア=ライディ教授がマドリードの国立図書館で発見。写本はバルセロナ自治大学のロペ・デ・ベガ研究グループ〈プロロペ〉を通じて黄金世紀財団のロドリーゴ・アリーバス理事長の手に渡り、英訳されて元ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの演出家ローレンス・ボスウェルに届けられました。マドリードのエスパニョール劇場の芸術監督に就任したばかりだったフアン・カルロス・ペレス・デ・ラ・フエンテが上演を決定。ボスウェルは演出を受諾したものの、稽古の最後の数日間は事情があって立ち会えず、ロドリーゴ・アリーバスがバトンタッチ。
5月13日から24日まで開催されるカンヌ国際映画祭の審査員が発表されました。スペイン語圏からはスペインの女優ロッシ・デ・パルマとメキシコのギジェルモ・デル・トロ監督がつとめます。そのほかの委員はグザヴィエ・ドラン(俳優/カナダ)、シエナ・ミラー(女優/アメリカ=イギリス)、ソフィー・マルソー(女優/フランス)、ジェイク・ジレンホール(俳優/アメリカ)、ロキア・トラオレ(シンガーソングライター/マリ)。審査委員長はコーエン兄弟。
マドリードのラ・アバディーア劇場を拠点に演出家のミゲル・デル・アルコとアンドレス・リマ、アルフレード・サンソールの三人が構想した〈街の劇場〉がいよいよ始動します。オープニングを飾るのはデル・アルコ演出による『アンティゴネ』。さらにリマ演出『メデイア』、サンソール演出『オイディプス王』が続きます。
デル・アルコは『アンティゴネ』を男女の対立としてとらえず、クレオンを女にして、権力の対立の劇とみなすそうです。出演者はカルメン・マチ、マヌエラ・パソ、アンヘラ・クレモンテ、クリストバル・スアレス、ラウル・プリエト、ホセ・ルイス・マルティネス、シルビア・アルバレス、サンティ・マリン。
ユニバーサル・ピクチャーズの発表によると、アメナーバルの新作、イーサン・ホークとエマ・ワトソン主演のスリラー『リグレッション』はアメリカ公開が8月28日、スペインは10月2日に決定。おそくらカンヌ国際映画祭でお披露目され、アメリカで公開されたのちにサン・セバスティアン国際映画祭に参加してからスペインで公開されるようです。作品の内容はアメナーバルによれば「『テシス』と『オープン・ユア・アイズ』と『アザーズ』のよいところを集めた」というから、期待に胸が高まります。