舞台通信

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2006年6月30日(金)

ハビエル・マリーアス、王立アカデミー会員に  El escritor Javier Marías fue elegido nuevo miembro de la Real Academia Española

小説家ハビエル・マリーアスがスペイン王立言語アカデミーの会員に選出されました。2004年3月に亡くなった文献学者―――記事には「哲学者」 filósofo とありますが言語学者もしくは文献学者と呼ぶべきでしょう―――フェルナンド・ラサロ・カレテールの空席を埋めるものです。父親は哲学者のフリアン・マリーアス。昨年12月に亡くなりました。親子二代にわたってアカデミー会員です。

日本で翻訳されているのは『白い心臓』 Corazón tan blanco 。2001年出版です。

2006年6月24日(土)

第29回アルマグロ古典演劇祭開幕  El 29º Festival de Teatro de Almagro levanta el telón

6月23日から7月23日まで。今回から旧ルネサンス大学が新たな会場として加わりました。今年の主なプログラムは次の通り。

2006年6月22日(木)

劇場は増収、CDは減収  Más gasto en teatros, menos en discos

スペインでは8年前から毎年スペイン作家協会(SGAE)が文化と余暇に関する報告書をまとめており、2005年のデータが発表されました。音楽や映画の売上げは違法コピーの影響で軒並みダウン、逆に芝居やコンサートなどライブの舞台芸術は売上げアップ。

具体的にみると、舞台芸術の観客動員数は3.4%アップ、売上げは14.9%アップ。2005年の一年間で行われた演劇や舞踊、オペラ、サルスエラなどの舞台作品は64,100。観客数は千六百万人(1,610,150人)。もっとも人気が高かったのはミュージカルで売上げは16.8%アップ。クラシックも演奏会が2.5%増え観客も5.8%アップの五百四十万人(5,461,942人)。ロックやポップス系も10.5%増で観客は二千四百三十万人。

ちなみにスペインの人口は2005年1月1日現在で約四千四百万人(44,108,530人)。

大きく落ち込んだのがCDやDVDなどの録音・録画媒体。音楽CDは5.8%減収。それでも世界市場で9位。映画も観客は11.6%減で売上げも9%減。VHSビデオが落ち目になり、DVDの価格が下がり海賊版が流通するようになったのが原因。販売額は28%減、レンタルも11%減。

テレビ視聴は一人一日平均217分で前年とほぼ同じ。ラジオは110分。ビデオゲームの売上げは16%増でCD・DVDなどの録音録画媒体市場の90%を占めています。

2006年6月16日(金)

『コレラの時代の愛』キャスト追加  Adaptación al cine de "El amor en los tiempos del cólera" suma nueva figura

映画化されるガルシア=マルケスの小説『コレラの時代の愛』のキャストにコロンビアの女優カタリーナ・サンディーノが加わりました。主人公の従妹イルデブランダ役。2005年に『そして、ひと粒のひかり』 María eres llena de graciaでアカデミー賞最優秀女優賞にノミネートされた経歴の持ち主。

主演はスペインのハビエル・バルデム。主人公の老人フロレンティーノ・アリーサを演じます五十年間彼が思いを寄せ続ける女性フェルミナ・ダサ役はイタリア人女優ジョヴァンナ・メッツォジョルノ。ペルー出身のアメリカ人ベンジャミン・ぶらっとも共演。

監督は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のマイク・ニューウェル。9月にコロンビア北部カルタヘーナの温泉地で撮影開始。

2006年6月9日(金)

アルベニス劇場存続へ  El Albéniz seguirá siendo un teatro

存続が危ぶまれていたマドリードのアルベニス劇場。6月5日にはペドロ・アルモドバルを始めマリサ・パレーデス、アイタナ・サンチェス=ヒホン、フェデリコ・ルピ、ピラール・バルデムなどの俳優も参加したデモに四百名が集まり、どうなることかと思ったら、案外あっさり存続が決まりました。 事の起こりは劇場所有者がショッピングセンターを建設しようとしたことなのですが、その後所有者が変わり、現在の所有者はモンテベルデ不動産グループ。代表のギリェルモ・カバーナス氏によると「今までどおり劇場として運営する」とのこと。現行の契約を一年延長し、老朽化した舞台機構などに手を加えて新生アルベニス劇場として蘇らせるそうです。

2006年6月5日(月)

ゴヤ賞投票システムを変更 映画アカデミー  La Academia del Cine modifica las votaciones de los premios Goya

スペインの映画アカデミーが定例総会を開き、ゴヤ賞の投票システムを変更することで一致。今までは一次投票で専門部門から四作品に票を投じ(最優秀作品賞とヨーロッパ映画賞、スペイン語圏映画賞、ドキュメンタリー賞、アニメーション賞を除く)、二次投票で全部門に投票するシステムでしたが、次回からは一次投票から全員が全部門に票を投ずるやり方にするとのこと。

シーズン中止 チリ・サンティアゴ市立劇場  Crisis en el teatro municipal deja a artistas sin ópera ni conciertos

サンティアゴ・デ・チレの市立劇場が50億ペソの赤字で給料が払えず職員がスト、今年のシーズンは中止になりました。

ガルシア・マルケスの最新作、映画化へ  La última novela de García Márquez será llevada al cine

ガルシア・マルケスの最新小説『我が哀しき娼婦たちの思い出』 Memoria de mis putas tristes を映画化すると映画制作会社マンダレイ・フィルムズがきのうアカプルコ国際映画祭で発表。脚本はフランスのジャン=クロード・カリエールが執筆中。監督はオランダのヘニング・カールセン。ロケはキューバ。ロケ地選びはガルシア・マルケス自身が行いました。ただし作品はキューバとは無関係。脚本家と監督もガルシア・マルケスが指名。撮影開始の時期は未定。

今年から来年にかけて映画化されるガルシア・マルケスの小説は三作。来年はマイク・ニューウェル監督が『コレラの時代の愛』を映画化。主演はハビエル・バルデム。もうひとつは『愛その他悪霊について』。コロンビアのイルダ・イダルゴ監督がカルタヘーナ・デ・インディアスで撮影予定。

2006年6月2日(金)

ロシーオ・フラード死去  Rocío Jurado llega a Chipiona, donde será enterrada el viernes

歌手ロシーオ・フラードが膵臓癌のためマドリード・モラレーハの自宅で息を引き取りました。享年61。2日(金曜)、故郷カディスのチピオーナで12時に埋葬されます。当初は17時の予定でしたが遺族の疲労が甚だしく五時間早めました。

マドリードのアルベルト・ルイス=ガリャルドン市長とエスペランサ・アギーレ州知事は威徳を偲んで彼女の名前を冠した通りと小学校を設けると発表。

2006年6月1日(木)

マドリード・ルノワール座20周年  Los Renoir celebran su 20 aniversario con un ciclo de sus mejores películas

今から二十年前の1986年6月5日、マドリードのマルティン・デ・ロス・エロス通りに名画座「ルノワール座」がオープンしました。手がけたのは映画製作者エンリケ・ゴンサレス・マチョ。今月は20周年。

オープン当初は客がさっぱり来なかったものの、キューブリックの『突撃』とスティーヴン・ソダーバーグの『セックスと嘘とビデオテープ』が大成功、スペイン全土に61軒、客席数は合計13,750に達しました。

二十周年を記念して6月8日から60作品をなんと1ユーロ(約144円)で公開。大半は『ルルの時代』から『トレンテ』、『アザーズ』などのスペイン映画。6月30日には映画館の名前の由来であるジャン・ルノワール監督の作品から『ピクニック』(1936年)を上映。