舞台通信

 help

2007年3月15日(木)

マドリードにサーカス復活  Vuelve la magia del Circo Price de Madrid

移動サーカスではない、拠点を構えたサーカス「シルコ・プリセ」が3月21日、マドリードに復活します。演目は『チャリバリ』 Charivari 。大騒ぎを意味するフランス語からとったタイトルで、サーカスの歴史を二時間以上にわたって繰り広げる作品。演出はフランス人ジョセフ・ブーグリオヌ。

場所はロンダ・デ・アトーチャ通り。元の本部は現在文化省があるレイ広場にありましたが1970年に取り壊されました。劇場のキャパは二千人。百年以上の歴史があるサーカスです。

【訃報】ホルヘ・ディアス、チリの劇作家  Teatro chileno de luto por muerte del dramaturgo Jorge Díaz

アルゼンチン生まれのチリ人劇作家、ホルヘ・ディアスが食道癌で他界しました。享年77。

不条理劇の大家。代表作に『歯ブラシ』 El cepillo de dientes 、『ある裸の男の地勢図』 Topografía de un desnudo 、『パブロ・ネルーダが飛んでくる』 Pablo Neruda viene volando 、『瓶の帆船』 El velero de la botella など。90を越える作品のほとんどは、1959年から自身が関わってきた劇団イクトゥス Ictus によって上演されました。ラジオやテレビの台本も数多く手がけました。

生まれは1930年、アルゼンチンのロサリオ。チリとスペインで過ごし、スペインでは1964年から三十年間過ごしました。以後はチリに定住。

建築家だったのが劇作家・舞台美術家・演出家として名を馳せ、1993年にチリの国民芸術通信視聴覚賞を受賞。他にもメキシコのアントニオ・ブエロ・バリェーホ賞(1992年)やスペインの貯蓄銀行百年演劇賞(1989年)、スペインのパレンシア・デ・テアトロ賞(1980)などを受賞。

死の床にありながら執筆欲は衰えず、「分類不可能」だと本人が認めるテクストを集めた本に取り組んでいました。92ページからなる〈口の頽廃〉シリーズとでも呼べるもので、「編集者と作者の対話」に始まり「みだらな告白」「手短に、というのは偽り」「お話になったかも知れないこと」「新しい哄笑」「口の頽廃」「生後正誤表」の全七章。今月末リル・エディトーレス社から出版予定。

今年はパブロ・クローグ演出による〈記憶の難破者〉三部作の上演が進行中。第一作『嵐の鳥』 Pájaros en la tormenta が一月のテアトロ・ア・ミル演劇祭で上演され、今年は第二作『無邪気な手』 La mano inocente が、来年は第三作『出口 Exit』 Exit が上演される予定。

2007年3月9日(金)

コイシェのハリウッド・デビュー作、ペネロペ・クルスとベン・キングスレー主演  Isabel Coixet salta a Hollywood con Penélope Cruz y Ben Kingsley

イザベル・コイシェ監督が新作『エレジー』 Elegy で本格的にハリウッドデビューします。原作はフィリップ・ロスの小説『ダイング・アニマル』。ハリウッドデビューといっても製作は『ミリオンダラー・ベイビー』のレイクショアだからインディペンデントっぽい作品になりそう。コイシェは2003年にスピルバーグのドリームワークスから『SAYURI』の監督をしないかというオファーがあったのを断った経緯があります。

主演はベン・キングスレーとペネロペ・クルス、パトリシア・クラークソン。四月最終週にバンクーバーでクランクイン。撮影期間は十週間。

2007年3月7日(水)

【訃報】ホセ・ルイス・コル、ナンセンスギャグの天才  Muere José Luis Coll, genio del humor absurdo

1970年代半ば、スペイン民主主義移行期に大人気を博した二人組のコメディアン、ティプ・イ・コル Tip y Coll のコルがマドリードのラ・パス病院で亡くなりました。享年75。相棒のティプことルイス・サンチェス・ポラックは1999年に物故。

結成は1969年。トレードマークは墓掘り人の服装に山高帽。背の高い方がティプ、小柄なのがコル。大晦日のスペイン版「行く年来る年」には1969年と1970年、75年、76年、81年、82年、86年に出演。

一世を風靡したのは「コップに水を入れる方法」というコント。見たことがなかったのですが、ユーチューブを見たらありました。

この二人、見かけが星セント・ルイスにとてもよく似ています。特に小柄なコルはしゃがれ声がルイスにそっくり。