製作者との確執やロケ地での悪天候、出演者の度重なる変更などトラブル続きで完成に二十五年もの歳月を要したテリー・ギリアム監督の『ドン・キホーテを殺した男』El hombre que mató a Don Quijote が先頃カンヌ国際映画祭で上映され、このたびスペインで公開されました。エル・パイスのハビエル・オカーニャによる批評は冒頭でフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』に触れてから、ギリアムは自分をドン・キホーテという遍歴の騎士だと思いこむアロンソ・キハーノと自己同一化していると指摘。作品は撮影のアクシデントの数々に言及したり、未完成に終わったオーソン・ウェルズの映画『ドン・キホーテ』と同じショットを正確に再現してみせたりして悪戦苦闘。オカーニャいわく、「ギリアムの自由奔放な態度と創造性こそが天国と地獄であり、揺籃と墓場である」。