舞台通信

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2010年3月18日(木)

シェイクスピアの忘れられた作品見つかる
Aparece una obra olvidada de Shakespeare

1727年、興行主・編集者のルイス・シオボルド Lewis Theobald がロンドンで『二重の欺瞞』 Double Falsehood という作品を〈シェイクスピアの失われた作品の再版〉と銘打ち、鳴り物入りで上演しました。元となったシェイクスピアのテキストの主人公は、セルバンテスの『ドン・キホーテ』の登場人物カルデーニオ。しかしその後は話題にならず、シェイクスピア原作説はインチキとされて今日に至りました。ところがシェイクスピアの注釈本で知られるアーデン社が「シェイクスピアの原作『カルデーニオの物語』の断片が含まれている」と断定、三百年を経て出版されることになったというニュース。

『二重の欺瞞』は作者不詳の三つの手稿がベースとなっており、そのなかの一つが「カルデーニオ」でした。グローブ座の火災で紛失した手稿を、ノッティンガム大学のブリーン・ハモンド教授が十年間調査して復元。カルデーニオとルシンダの恋物語です。

ハモンド教授によると、タイトルは『カルデーニオの物語』で、表紙にはセルバンテスとシェイクスピアの肖像画が並んでいるそうです。初演はロンドンのキングス・クロスで1613年。トーマス・シェルトンの『ドン・キホーテ』英訳が出版された翌年。

三つの手稿のうち作者が特定できるたのは『カルデーニオの物語』だけ。しかもシェイクスピアとジョン・フレッチャーの共作。とはいえ、『二重の欺瞞』にシェイクスピアの痕跡がはっきり認められる、とハモンド教授。

【訃報】リカルド・パルメローラ ヨーダの声を吹替え
Muere la voz española de Yoda

2月21日のニュースなので旧聞に属しますが、スペイン語版『スター・ウォーズ』のヨーダの声で有名な俳優リカルド・パルメローラがバルセロナで亡くなりました。88歳。往年のテレビドラマ『弁護士ペリー・メイスン』や『ボナンザ』の吹替えでも有名。

1921年生まれ。母親は女優カルメ・ブシャドス、父親は演劇批評家リカルド・パルメローラ。吹替え以外でも舞台に映画、テレビで活躍。

ラディオ・バルセロナとラディオ・ナシオナル(国営ラジオ)の娯楽番組に数多く出演。彼を一躍有名にしたのがラジオ・サスペンスドラマの嚆矢『タクシー・ケイ』 Taxi Key 。バルセロナのローカル局ラディオ・ペニンスラール『五時のドラマ』にも出演。

1945年キューバに移住し、テレビドラマの吹替えを多く手がけます。その後プエルトリコに移り、ヨランダ・ビジャビセンシオと結婚。『弁護士ペリー・メイスン』『ボナンザ』の吹替えもプエルトリコで行いました。ラジオ界の栄誉であるオンダ賞を初めて受賞したのもこの頃。

映画ではバルセロナで撮影された『燃えた街』 La ciutat cremada や『天使もインゲン豆を食べる』 También los ángeles comen judías でバド・スペンサーやロバート・ミドルトンと共演。演劇ではカルロス・レモスやヌリエ・エスペルと共演しました。彼はパウ・カザルスの親友だったそうです。

2010年3月12日(金)

【訃報】ミゲル・デリーベス カステーリャ語の魂
Muere Miguel Delibes, alma del castellano

小説家ミゲル・デリーベスがバリャドリードで死去。享年89。九十年代から癌を患っていたそうです。学生時代に読んだ『マリオとの五時間』 Cinco horas con Mario が忘れがたい。二十世紀が少しずつ遠のいていくのを感じます。

2010年3月11日(木)

第16回ビエナル・デ・セビーリャ、プログラム発表
Programación de la XVI Bienal de Flamenco de Sevilla

隔年開催されるフラメンコのビエナル(ビエンナーレ)、プログラムが発表されました。オープニングを飾るのはミゲル・ポベーダ、締め括りはパコ・デ・ルシア。9月15日から10月9日まで。