78歳になった俳優で演出家のホセ・ルイス・ゴメスが、1995年に創設したアバディーア劇場の芸術監督の座を退くことを表明しました。「辞めろとは誰にも言われなかった。自分で決断した。そろそろ後進に譲る時期」。後任はカルロス・アラドロ。退任後も年に一度のペースで演出を続ける予定。
ラ・クアドラの演出家サルバドール・タボラが昨日セビーリャでなくなりました。馬を登場させる芝居、とりわけ『カルメン』は素晴らしい作品でした。
故郷マラガに劇場を作るというアントニオ・バンデラスの長年の夢がいよいよ今年の秋実現します。名称は「カシャバンク・ソーホー劇場」。芸術監督にはリュイス・パスクアルが就任。二人の出会いは1981年に遡ります。俳優になるためにマドリードへ来たバンデラスはパスクアル演出によるカルデロン作『風の娘』のオーディションに合格し、端役を得てマリーア・ゲレーロ劇場で初舞台を踏みました。二年後パスクアルはクリストファー・マーロウ作『エドワード二世』でバンデラスを主役に抜擢。そしてロルカ没後五十周年の1986年には同劇場で上演したオムニバス企画「5 ロルカ 5」の中の二人芝居『アマルゴの対話』でバンデラスを演出しました。わたくしはこの芝居を観ました。息を呑むほどの美しさでした。その後二人はロペ・デ・ベガ作『オルメドの騎士』を上演する計画があり、稽古も始めたのですが、諸事情のため企画は中止。2003年にバンデラスがブロードウェイ・ミュージカル『ナイン』に出演した際にはパスクアル演出によるサラ・バラスの『マリアナ・ピネーダ』ニューヨーク公演と重なり、バンデラスはパスクアルを稽古場に招きました。というわけで二人の関係は四十年近くに及びます。カシャバンク・ソーホー劇場の杮落しはミュージカル『コーラス・ライン』。他のプログラムは未定。バンデラスはマラガに立派な劇場を建てることだけが希望で、運営にはノーギャラであたるそうです。「演劇は儲からないし、儲けるために演劇をやるわけではない。むしろ破産するためだよ」。
昨日セビーリャで開かれた第33回ゴヤ賞授賞式の受賞者リストです。
部門 | 受賞者/作品 |
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作品賞 | チャンピオンズ Campeones |
監督賞 | ロドリーゴ・ソロゴイェン (『王国』 El reino) |
主演男優賞 | アントニオ・デ・ラ・トーレ (『王国』) |
主演女優賞 | スシ・サンチェス (『日曜日の病』 La enfermedad del domingo) |
助演男優賞 | ルイス・サエーラ (『王国』) |
助演女優賞 | カロリーナ・ユステ (『カルメンとローラ』 Carmen y Lola) |
イベロアメリカ映画賞 | ローマ |
新人男優賞 | ヘスス・ビダル 『チャンピオンズ』 |
新人女優賞 | エバ・リョラック 『歌ってくれるひと』 Quién te cantará |
新人監督賞 | アランチャ・エチェバリーア (『カルメンとローラ』) |
オリジナル脚本賞 | イサベル・ペニャ、ロドリーゴ・ソロゴイェン (『王国』) |
脚色賞 | アルバロ・ブレクネル (『十二年間の夜』 La noche de 12 años) |
オリジナル作曲賞 | オリビエル・アルソン (『王国』) |
オリジナル歌曲賞 | コケ・マリャ「今こそ Este es el momento」 (『チャンピオンズ』) |
プロダクション・マネージャー賞 | ユサフ・ボクハリ (『ドン・キホーテを殺した男』) |
撮影賞 | ホス・インチャウステギ (『法の影』 La sombra de la ley) |
編集賞 | アルベルト・デル・カンポ (『王国』) |
美術賞 | フアン・ペドロ・デ・ガスパール (『法の影』) |
衣裳賞 | クララ・ビルバオ (『法の影』) |
メイクアップ&ヘアスタイル賞 | シルヴィ・インベール、アンパロ・サンチェス、パブロ・ペロナ (『ドン・キホーテを殺した男』) |
音響賞 | ロベルト・フェルナンデス、アルフォンソ・ラポソ (『王国』) |
特殊効果賞 | リュイス・リベラ、ラウラ・ペドロ (『スーパーロペス』 Superlópez) |
アニメーション映画賞 | Un día más con vida |
ドキュメンタリー映画賞 | 他人の沈黙 El silencio de los otros |
ヨーロッパ映画賞 | パヴェウ・パヴリコフスキ監督『コールド・ウォー』 |
短篇賞 | カルロタ・ペレダ監督『セルディータ』 Celdita |
短篇ドキュメンタリー映画賞 | カルレス・ボベル・マルティネス&フリオ・ペレス・デル・カンポ監督『ガザ』 |
短篇アニメーション映画賞 | ホセ・エレーラ監督『スカウト』 Cazatalentos |
政治家が無知をさらけ出して聞く者が恥ずかしくなるのは洋の東西を問わないようで、アンドレス・アモロスによると先日アンダルシア州議会でアオラ・ポデモスのテレサ・ロドリゲス議員が新たな政府はフラメンコを助成することはできない、なぜならフラメンコはカトリック両王が絶滅させたかったジプシーが発明したものだからだと述べたそうです。
妄言にいちいちコメントするのも馬鹿らしいと言いたげなアモロスは、フラメンコの唯一の発明者がジプシーであるという妄説に関しては、ブラス・インファンテやペドレイ、ガルシア・マトス、バーナード・レブロン、キニョネス、リオス・ルイス、フェリクス・グランデなどを読みさえすれば「(様々な人種の)混合が決定的だった」ことがわかると述べ、カトリック両王による迫害についてはグラナダ陥落後もジプシーは聖体の祝日で歌い踊っており、迫害ということでいえばスペインよりもフランス、ドイツ、イギリスのほうが盛んだったと指摘。さらに十八世紀以前に遡ってフラメンコを語ることなど土台無理である、云々。厚顔無恥にも程がある、と呆れ顔です。