クラウディア・ジョサ監督の『悲しみのミルク』 La teta asustada とフアン・ホセ・カンパネージャ監督の『瞳の奥の秘密』 Los secreto de sus ojos がそれぞれペルーとアルゼンチン代表としてアカデミー賞外国語映画賞の最終リストに残りました。スペイン代表のフェルナンド・トゥルエバ監督『ビクトリアの踊り』 El baile de la Victoria は落選。
残ったのは9作品。2月2日に5作品に絞られます。
ペドロ・アルモドバルの新作『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos が放送映画批評家協会賞の最優秀外国語映画賞を受賞。ほかのノミネート作品は『ココ・アヴァン・シャネル』(仏)、『ホワイト・リボン』(独)、『闇の列車、光の旅』 Sin nombre (メキシコ=米)、『レッド・クリフ』(中)。アルモドバルが同賞を獲得するのは初めて。
2005年に誕生し、現在のスペインで最も先鋭的なプログラムを組むカスティーリャ・イ・レオン国際芸術祭(FÁCYL=Festival Inernacional de las Artes de Castilla y León) のゲスト・ディレクターにカリスト・ビエイトが決定。二年契約。
ビエイトはブルゴスのミラダ・デ・エブロ生まれ。バルセロナ大学でスペイン文学と芸術史を、タラゴナ演劇学校で演技を、バルセロナ県議会演劇学院で演出を勉強。グロトフスキー、ビーター・ブルック、ジョルジョ・ストレーレル、イングマール・ベルイマン、アンジェイ・ワイダらに師事、ジュディ・デンチ、ブライアン・コックス、ブルース・マイヤースらと研鑽を積みました。
世界に名を知らしめたのは1997年エジンバラ演劇祭で上演した『パローマの夏祭』 La verbena de lal Paloma。カルデロン・デ・ラ・バルカの『人生は夢』も代表作。1999年からバルセロナのルメア劇場芸術監督。2007年ドイツのオペラ誌『オペルンヴェルト』で世界で最も重要なアーティストの一人として紹介。2009年舞台演出家として初めてヨーロッパ文化賞を受賞。
それにしてもエル・ムンド紙は誤記が多いよ。グロトフスキーは Grotowsky ではなく Grotowski、ジョルジョ・ストレーレルは Giorgo ではなく Giorgio、『オペルンヴェルト』は Operwelt ではなく Opernwelt 。
スペイン映画界のアカデミー賞にあたる第24回ゴヤ賞、ノミネート作品が発表されました。ダニエル・モンソン監督の『独房211』 Celda 211 が16部門でトップ、次いでアレハンドロ・アメナーバル監督の『アゴラ』 Ágora が13部門。以下、フェルナンド・トゥルエバ監督『ビクトリアの踊り』 El baile de la Victoria (9部門)、フアン・ホセ・カンパネーリャ監督の『彼女の眼の秘密』 El secreto de sus ojos (9部門)、ダニエル・サンチェス・アレバロ監督『デブ』 Gordos (8部門)、シグフリ・モンレオン監督『ソドムの執政官』 El cónsul de Sodoma (6部門)、ペドロ・アルモドバル監督『抱擁のかけら』 Los abrazos rotos (5部門)、アルバロ・パストール&アントニオ・ナアーロ監督『わたしも』 Yo, también (4部門)。
最優秀作品賞を争うのは『独房211』『アゴラ』『ビクトリアの踊り』『彼女の眼の秘密』の上位四作品。『彼女の眼の秘密』は最優秀中南米映画賞にもアルゼンチン代表としてノミネート。
最優秀男優賞候補は『彼女の眼の秘密』のリカルド・ダリン、『独房211』のルイス・トサール、『デブ』のアントニオ・デ・ラ・トーレ、そして『ソドムの執政官』のジョルディ・モリャ。最優秀女優賞候補は『抱擁のかけら』のペネロペ・クルス、『わたしも』のローラ・ドゥエニャス、『テトロ』のマリベル・ベルドゥ、『アゴラ』のレイチェル・ワイズ。最優秀監督賞にはアメナーバル、カンパネーリャ、モンソン、トゥルエバがノミネート。
『ソドムの執政官』は最初6部門にノミネートされたものの、最優秀美術賞でアントン・ラグーナが『独房211』でもノミネートされたので『ソドム』は外され5部門に。イザベル・クシェット監督『東京サウンドマップ』 Mapa de los sonidos de Tokio は最優秀音響賞のみ。
授章式は2月14日。
2009年のスペイン映画界は興行収入が6億7500万ユーロ(約899億円)で2004年の記録を抜き過去最高。観客動員数は1億1000万人。上半期はやや伸び悩んだものの、下半期にジェームズ・キャメロンの『アバター』、ダニエル・モンソンの『独房211』 Celda 211 、アレハンドロ・アメナーバル『アゴラ』 Ágora と話題作が立て続けにヒットしたおかげ。興収は前年比で35%増。国内市場におけるスペイン映画の割合は約15%。
写真は『アゴラ』のレイチェル・ワイズ。