2014年6月25日にアナ・マリア・マトゥーテが死去して以来空席が続くスペイン王立言語アカデミーの「K」の席に就く候補者が発表されました。アラビア語文献学者フェデリコ・コリエンテ・コルドバと劇作家ホセ・サンチス・シニステーラ。4月6日に選挙が行われます。
「K」のほか「M」と「J」も空席で、「M」は2015年10月24日に逝去したカルロス・ボウソーニョ、「J」は2016年11月10日に物故したフランシスコ・ニエバが占めていました。
先週4日のニュースの続報です。マタデーロ・マドリードの劇場名からマクス・アウブとフェルナンド・アラバールの名前が外された問題に関して演劇界はもちろん反発。マドリード市長のマヌエラ・カルメナも決定は誤りだとして月曜にマクス・アウブ財団とフェルナンド・アラバール本人にそれぞれ書簡を送り、劇場名は従来どおり「マクス・アウブ劇場」「フェルナンド・アラバール劇場」のままにすると明言しました。
スペイン国立バレエ団や国立舞踊団、国立管弦楽団など国立舞台芸術音楽協会(INAEM: Instituto Nacional de Artes Escénicas y de la Mísica)の管轄下にある組織が過去二年において緊縮財政と時間外労働の減少(一年あたり最大60時間)により国外での公演を断念するケースが多いことがわかりました。国立バレエ団のアントニオ・ナアーロ芸術監督によるとチュニス、ボスニア、キプロス、メキシコ、アブダビ、カナダでの公演を断念。
国立演劇センターの芸術監督エルネスト・カバリェーロや国立古典劇団の芸術監督エレーナ・ピミエンタ、サルスエラ劇場の芸術監督ダニエル・ビアンコらはフェルナンド・ベンソ文化副大臣に事態の打開を要請。プラド美術館やレアル劇場、ソフィア王妃芸術センターや国立図書館のように各組織に自立性を認めるよう要求しました。
マドリードの舞台芸術施設マタデーロ・マドリードに属する「マクス・アウブ劇場」と「フェルナンド・アラバール劇場」の名称が変更されます。どちらも人名を廃止し、もともと屠殺場だった時代の名称である「10棟」と「11棟」に改称。さらにこれまでエスパニョール劇場が運営してきたことに因んでナベス・デル・エスパニョール(Naves del Español)と呼ばれたきたのを改め、ナベス・マタデーロ:ライブアーツ国際センター(Naves Matadero: Centro Internacional de Artes Vivas)に変更。
2006年にマドリード市が創設しエスパニョール劇場が母体となって2007年に開場した施設ですが、昨年9月に民営移行が決まり、落札したマテオ・フェイホーのチームは古色蒼然とした演劇ではなく先鋭的な実験劇の上演と研究の場として再出発することを目指し、劇場を改称することにしたとのこと。
名称の遍歴はまずエスパニョール劇場のマリオ・ガス芸術監督のもと2007年に「劇場1(11棟)」が開場し、2010年に「劇場2(10棟)」がオープン。2014年にガスの後任のペレス・デ・ラ・フエンテ芸術監督が「10棟」を「マクス・アウブ劇場」に、「11棟」を「フェルナンド・アラバール劇場」に改称しました。スペイン現代劇の最前線を疾走した二人の名前が劇場が消えてしまうのはなんとも残念。
記事のタイトルはスペイン国民の半数以上が舞台の外、つまり劇場で芝居を鑑賞する機会がないことを示します。スペイン作家編集者協会(SGAE: Sociedad General de Autores y Editores)が発行した2015年度の年鑑によると劇場公演の54.6%はマドリードとカタルーニャで上演され、この二州で全国の観客数の52.8%を占め、売上高の72.8%を占めます。
劇場の数は全国で1569県あり、数に不足はありません。ただし四割を占める民間の劇場が経営不振。とりわけ付加価値税が21%に上がってからは地方の小劇場が消滅あるいはマドリードなどの大きな自治州に移転しました。劇団の数も少ないわけではなく、2015年には3640団体を数え過去五年で最多。しかし地方巡業は減る一方。舞台演出家協会の理事長フアン・アントニオ・オルミゴンは「劇場専属の劇団がなくてはだめ。劇場と劇団の継続性が観客を生む」と警鐘を鳴らします。