舞台通信

 help

2009年4月26日(日)

アルモドバル、コイシェ、アメナーバル カンヌ映画祭正式出品  Almodóvar, Coixet y Amenábar, en la Sección Oficial de Cannes

5月13日から24日まで開催される第62回カンヌ映画祭。スペインからは三作品が正式出品。ペドロ・アルモドバルの『崩れた抱擁』 Los abrazos rotos ――英題は Broken Embraces なので邦題は「ブロークン・エンブレイス」とかになりそうな予感――と、イサベル・コイシャの『東京のサウンドマップ』(原題 Mapa de los sonidos de Tokio )がコンペティション部門。アレハンドロ・アメナーバルの『アゴラ』 Ágora はコンペ不参加。写真は『アゴラ』主演のレイチェル・ワイズ。

審査委員長はイザベル・ユベール(女優/仏)。審査委員はアーシア・アルジェント(女優/伊)、ロビン・ライト・ペン(女優/米)、スー・チー(女優/台)、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(監督/トルコ)、イ・チャンドン(監督/韓)、ジェームズ・グレイ(監督/米)、ハニフ・クレイシ(作家/英)。

2009年4月8日(水)

文化大臣にゴンサレス=シンデ サパテーロ改造内閣  La designación de González-Sinde, un guiño al cine

サパテーロ改造内閣の顔ぶれが発表されました。国務大臣(中南米担当)のトリニダー・ヒメネスが厚生消費大臣。文部大臣はマドリード自治大学学長アンヘル・ガビロンド、総務大臣だったエレーナ・サルガードは第二副首相兼経済財務大臣。アンダルシア州政府首相マヌエル・チャベスが第三副首相と、今回新設された領土政策大臣を兼任。PSOE副書記官ホセ・ブランコが勧業大臣。舞台通信としてはセサル・アントニオ・モリーナ文化大臣の後任に抜擢されたアンヘレス・ゴンサレス=シンデが気になるところ。

1965年生まれのゴンサレス=シンデは映画監督・脚本家。2006年からスペイン映画アカデミー会長を務めていました。初代会長ホセ・マリーア・ゴンサレス=シンデの娘です。1997年『エストレーリャ(星)のまわりで』 La buena estrella でゴヤ賞最優秀脚本賞、2003年『眠っていた運』 La suerte dormida で最優秀新人監督賞を受賞。来週マラガ映画祭で公開されるコメディー『七分間』 Siete minutos の共同脚本家でもあり、3月末から公開中のアルフォンソ・アルバセーテとダビ・メンケスの新作『嘘とデブ』 Mentiras y gordas の脚本にも協力(この映画、IMDb で2.9点なんですけど…)

文化大臣就任に関してネットは批判だらけ。この記事を書いたエル・パイスのボルハ・エルモーソ記者も、余りにも経験が浅すぎのではないか、と疑問視。ゴンサレス=シンデは映画の違法ダウンロード撲滅に積極的で、ネットの規制が強まるのを心配する声が多いようです。

まずはお手並み拝見。

2009年4月7日(火)

【訃報】チャノ・ロバート  Muere Chano Lobato

カディス生まれのフラメンコの名歌手チャノ・ロバートが6日未明、セビーリャの自宅で亡くなりました。享年82。本名フアン・ラミレス・サラビア Juan Ramírez Sarabia。1927年生まれ。糖尿病が悪化したようです。

2006年にソフィア王妃に歌を捧げる直前、低血糖症で昏睡状態に陥り、以来体調が思わしくない日が続いていた、と記事にあります。その後舞台に復帰したものの、去年の夏ふたたび血糖値と血圧が上昇、脳梗塞(脳出血?)を併発し、セビーリャのビルヘン・デル・ロシーオ病院のICU(集中治療室)で手当を受け、「舞台に立てないなら死んだ方がいい」とコメントしていたそうです。

1999年にメルパルクホールで、2002年に新国立劇場で歌を聴いたのが忘れられません。

2009年4月5日(日)

また一つガボの小説が映画化  Otro libro de “Gabo” será llevado al cine

3月29日、アルゼンチン「ラ・ガセータ」紙のニュース。

ガボ Gabo はガルシア・マルケスの愛称。『誘拐』 Noticia de un secuestro が映画化されます。脚本はアルゼンチンのアイーダ・ボルトニク(『私が愛したグリンゴ』)。ボルトニクは3月末にメキシコのグアダラハーラ国際映画祭でガルシア・マルケスに完成した脚本を渡したそうです。

アルゼンチン・メキシコ・コロンビア・スペインの合作で、キャスティングについては今週にも決定するとのこと。今のところサルマ・ハエック、ビクトリア・アブリル、ベニチオ・デル・トロの名前が挙がっています。

監督はメキシコ人のペドロ・パブロ・イバーラ Pedro Pablo Ibarra。撮影は10月から11週間の予定。公開は来年半ば。

2009年4月4日(土)

ロペ・デ・ベガ記念館がリニューアルオープン  Madrid recobra, innovada, la Casa-Museo de Lope de Vega

2月上旬のニュースなので旧聞に属しますが、マドリードのセルバンテス通りにあるロペ・デ・ベガ記念館が8ヶ月の改修工事を終えてリニューアルオープン。内装と庭を全面的に修復、衛生設備も改善。

ロペ・デ・ベガ(1562-1635)が晩年の25年間を過ごし、『ラ・ドロテア』『当世コメディア新作法』などを執筆した家。同居者は妻マルタ・デ・ネバーレスと大勢の子どもたち。ロペは1614年に司祭になり、この家でもミサを執り行いました。プラド美術館や三位一体会修道院、ガルシーア・カブレーホ財団、国立考古学博物館、ドン・フアン・バレンシア協会、国立図書館、装飾美術館などからの委託品も多く収蔵。

建造は1578年。持ち主はフアン・ペレスという人で、ロペは9000レアルで購入し、1610年から1635年まで暮らしました。

マドリード出身者を網羅する浩瀚な伝記を残した作家ホセ・アントニオ・アルバレス・バエーナが1751年にこの家がロペの生家であることを突きとめ、年代記作家メソネーロ・ロマーノスが研究を引き継ぎました。記念館にしようというアイデアが持ち上がったのは1929年。それまでの三世紀は個人住宅として使用されていました。

最後の所有者アントニア・ガルシーア(ガルシーア・カブレーホの未亡人)がガルシーア・カブレーホ教育財団を設立、スペイン王立アカデミーが経営を請け負い修復し、1935年、ロペの没後三百周年を記念して芸術歴史記念建造物に制定、一般開放されました。1990年に王立アカデミーとマドリード州政府が共同修復協定に調印、2007年12月以降はマドリード州政府文化観光省が修復作業を担当。

下に住所が載っています。開館は火曜から日曜の10時から15時まで。入場無料。月曜は休館。

2009年4月2日(木)

アニマラリオ、再びマックス賞総なめ テアトラ・リウラも  Animalario arrasa otra vez en los Max junto con el Teatre Lliure

第12回舞台芸術マックス賞はアニマラリオ Animalario が4部門で受賞。演出賞(アンドレス・リマ Andrés Lima)と脚色賞(アルベルト・サン・フアン Alberto San Juan)、主演男優賞(ハビエル・グティエレス Javier Gutiérrez)、民間制作部門。民間政策部門賞は過去5年間で4度目の受賞。

最優秀作品賞はロベルト・ボラーニョ原作の小説を舞台化したアレクス・リゴーラ Àlex Rigola 演出、テアトラ・リウラ制作の『2666』。同作品は舞台美術賞(マックス・グラエンセル Max Glaenzel とエステル・クリスティア Esther Cristià)も受賞。ミュージカル賞はラビ・エ・ベル Lavi e Bel の『リキッド・キャバレー』 Cabaret líquido。舞踊賞はソル・ピコー・カンパニー Sol Picó の『セイレーンの鉄板焼き』 Sirene a la plancha

2部門を受賞した人・作品も。
カルラス・サントスは音楽監督賞と作曲賞)、『ゲルマニアの女』 Germanas はカロル・ロペス Carol López がカタルーニャ語作家賞、パウル・ベロンド Paul Berondo が助演男優賞。テレサ・ニエト Teresa Nieto は振付賞と舞踊家賞。『ダーウィンの亀』 La tortuga de Darwin はフアン・マヨルガ Juan Mayorga がカスティーリャ語作家賞、カルメン・マチ Carmen Machi が主演女優賞を受章。

功労賞にあたる名誉マックス賞は演出家ミゲル・ナーロス Miguel Narros。イスパノアメリカ賞はアルゼンチンのロベルト・コッサ Roberto Cossa。新風賞(Nuevas Tendencias)はエセーナ・コンテンポラリア Escena Contemporánea。批評家賞はエル・メス・デ・ダンサ・デ・セビーリャ El Mes de Danza de Sevilla。

『スタッフ』 Staff のダミアン・ムニョス Damián Muñoz は舞踊家賞。『ヌイ・イーリャ』 Hnuy illa は新人作品賞。バスク語作家賞は『スーペルプラスト』 Superplast のラウル・コンセード Raúl Concedo とイスピニェ・ソト Izpiñe Soto、アルヒア・ガルデアサバル Argia Gardeazabal、ピオ・オルティス Pío Ortiz、フレン・ガビリア Julen Gabiria。ガリシア語作家賞は『スラム(身寄りのない女たちの喜劇)』 Comedia das mulleres desamparadas のエドゥアルド・アロンソ Eduardo Alonso。児童演劇賞は劇団黒い鏡(エル・エスペホ・ネグロ El Espejo Negro) の『マティアスという名のシラミの一生』 La vida de un piojo llamado Matías