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2015年12月8日(火)

ルイス・ランデーロ「隣人にびんたしてから抱き締めることもあり得る」
“Podría abofetear al prójimo y luego abrazarlo”

『冬のバルコニー』 El balcón en invierno (トゥスケッツ社)を出版した小説家ルイス・ランデーロのインタビュー記事です。インタビュアーはフアン・クルス記者。

――人生が教えてくれたことは何ですか?
自分自身のことはほとんど知らないんだ。とても孤独でね、でも同時にとても社交的。勇気がもてたらなあと思うよ、ハハハ、臆病は真っ平だ。しょっちゅう人類を憎んでる。歴史の本や新聞を開けばどれだけ野蛮で愚かなのかがわかる。同時に人間にいとおしさを感じるよ。
――でもその野蛮さと愚かさは人間の行いです。
だから僕が感じる軽蔑と憐憫は手に手を携えてるんだ。隣人にびんたを食らわせておいて、続けて抱き締めるなんてことをしかねない。人類の所業を俯瞰した眺めはじつに陰惨だ。
――目に映るものの中でいちばん恐いことは何ですか?
臆面のなさだね。それは残酷さへの、とてつもない権力への道だ。それが恐い。
――私たちは出来事の主人公たちに対して公平でしょうか?
ここだけでなく、どこでも不公平だよ。今ほど速く物事が忘れられたことは一度もない。戦争を行ない戦後を生み出したあれらの世代は忘れられてしまった。僕たちは両方の世代の遺産なのに、彼らに対してすごく不公平、恩知らずだ。
――ここ〔=スペイン〕では歴史的記憶が嘲笑の的になりました。
いまだに愚弄されてるよ、まるで古傷を暴き立てるかのような言いぐさで。思い出すということは生者と死者との対話だ。歴史的記憶はフェリーペ・ゴンサレスの時代に解決しなくてはいけなかった、でも軍が恐くて実行するだけの肝っ玉がなかった……。
――今の時代に失望しましたか? 私たちは市民的、倫理的、道徳的に成長しなかったのでしょうか?
市民的にはたしかに成長したよ、倫理と道徳はどうかなあ。よってたかって民主主義を堕落させたけど、スペインでは記憶にないくらい長い民主主義の時代が得られた。民政移管を理由もなく断罪するのはまったくくだらない。
――今、民主主義がうまく機能しなくなった理由は?
まず巨大なナルシシズムがあった、特に1982年前後、モビーダの頃、社会主義者が勝利した時にね。僕たちは自分たちを好きだったことはなかった、でもその時から僕たちはヨーロッパに気に入られ始めた。ヨーロッパは月曜日で、スペインは日曜日だった。何から何までお祭り騒ぎだった。僕たちはみんな天才ですばらしかった。スペインはすごかった!
――で、今は何が不足しているのでしょう?
深い教育[註。原文の poso は pozo の誤りと思われる]、人文学的、そして科学的な素養だね。スペインの失敗は教育の失敗という温度計で計られる。教育がもっと充実している国々はいちばん繁栄している、すぐれた本屋がもっとたくさんある国々だ。
――この国の対立を裁く力のあるレフェリーに任命されたと想像してみてください。
手当たり次第にぶん殴るよ! どいつもこいつも馬鹿で堕落してるから、しかも公共の利益を、みんなの利益を、自分や政党の利益の下に置くんだからね……。政治という言葉の値打ちは下がったよ、法を適用するための官僚的なものに変わってしまった。いつからだろう、この国で政治が行なわれなくなったのは!
――いつからですか?
民政移管だよ。何かがお披露目されると人間は興奮して頭がおかしくなるんだ。そしてこの国は変わるよう運命づけられている、永遠なるスペインは永遠ではなくなるのだという幻が生まれた。
――ペシミストなんですね。
ならざるを得ないよ!世界が邪悪すぎるからどうしたってペシミストになる。でも同時に美しいものがたくさんあるし、良いこともあちこちにあるもんだから、どうしたってオプティミストになる。
――最新作では子どもだった頃の自分を蘇らせました。
うん、あの子どもは今の時代に自分がどこかよそ者であると感じてるんだ。この世界はもう僕の世界ではない、僕の時代は過ぎ去った。僕の哲学者たち、僕の作家たち、僕がずっと愛してきた人たち、僕の英雄たちはもういない。母は僕にとって英雄だった、でも一ヶ月前に亡くなったんだ……。年をとったなあって感じるよ、自分は足手まといだって。