今年の5月17日から28日まで開催される第70回カンヌ国際映画祭の審査員長にペドロ・アルモドバルが選ばれました。「身に余る光栄」(honrado y un poco abrumado)とは本人の弁。
クリスティーナ・オヨスが舞台芸術アカデミーの名誉会員に選ばれました。「十二歳で小学校をやめて舞踊に専念したのでとても名誉なこと。自分にとって嬉しいだけではなく、舞台芸術アカデミーではフラメンコが認められているのが嬉しい」とオヨス。フラメンコがユネスコの無形文化遺産に登録されたことについては「あれは空威張り(brindis al sol)。フラメンコの危機の最中に登録されたけれど、今は昔ほど盛んではない。実際フラメンコの作品は減っている。バレエ・フラメンコは減っているし、上演する会場も少ない」。
今年がカマロン・デ・ラ・イスラ没後二十五周年にあたるのを記念してフラメンコ界における最高の栄誉「カマロン・デ・ラ・イスラ賞」が創設されます。スペイン映画界にとってのゴヤ賞に相当するもの。アンダルシア州政府文化省とカマロンの故郷カディス県サン・フェルナンド市が運営し、11月6日にサン・フェルナンド市で授賞式を毎年開催します。
スペインの教育文化スポーツ省の発表によるとマドリードのフィルモテカ・エスパニョーラ(スペイン国立フィルムセンター)新ディレクターにアナ・ガリェーゴ・トーレスが選ばれました。ガリェーゴはグラナダ大学を卒業後、Cuerpo Superior de Administradores Civiles del Estadoに所属。国の行政機関らしいのですがどんな組織なのかあいにくわかりません。前任者のチェマ・プラードは2016年3月に退職。
マドリードのエスパニョール劇場新芸術監督に就任したカルメ・ポルタセリが今年六月までのプログラムを発表しました。昨年他界したスロベニアの演出家トマシュ・パンデュールトマス・パンドゥール追悼公演を含めて現代劇に重点を置いたラインナップです。
タイトル | 作者 | 演出 | 日程 |
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フエンテオベフーナ Fuenteovejuna | ロペ・デ・ベガ | ペパ・ガンボア | 1月20日~29日 |
ファウスト Fausto | リヴィア・パンデュール翻案 | トマシュ・パンデュール | 2月2日~5日 |
無原罪の御宿り Inmaculata | コルム・トビーンの小説『マリアが語り遺したこと』をリヴィア・パンデュールとトマシュ・パンデュール翻案 | ダニーロ・ロスケル | 2月10日~12日 |
再教育できない女 Mujer no reeducable | ステファノ・マッシーニ | リュイス・パスクアル | 2月9日~26日 |
沈黙のハーモニー La armonía del silencio | ローラ・ブラスコ | ローラ・ブラスコ | 2月22日・23日 |
レバンテの風 Vientos de Levante | カロリナ・アフリカ | カロリナ・アフリカ | 2月25日・26日 |
猛り狂うスカンディナビア Furiosa Escandinavia | アントニオ・ロハーノ | ビクトル・ベラスコ | 3月9日~16日 |
ウシュアイア Ushuaia | アルベルト・コネヘーロ | フリアン・フエンテス・レタ | 3月16日~4月16日 |
喫水線を上げて Anar de carenes al cel | アルベルト・ボロナット+ジュデス・プジョル | ジュデス・プジョル | 4月20日 |
キャンピングカー Wohnwagen | レミ・プラデール | マックス・グロッセ・マジェンク+アンナ・セラーノ | 4月21日・22日 |
不思議な海が沸き立つ Extraños mares arden | チャロ・トロサ=フェルナンデス | チャロ・トロサ=フェルナンデス | 4月22日・23日 |
自分だけの部屋 Una habitación propia | ヴァージニア・ウルフ | マリア・ルイス | 4月23日~5月21日 |
禿の女歌手 La cantante calva | イヨネスコ | ルイス・ルケ | 5月3日~6月4日 |
アイヴァンと犬 Iván y los perros | ハッティー・ネイラー | ビクトル・サンチェス・ロドリゲス | 5月25日~6月25日 |
今年スペインで公開される国内外の話題作をリストアップした記事です。スペイン語圏の作品をピックアップしましょう。
まずアグスティン・ディアス監督の『黄金』 Oro。原作はアルトゥーロ・ペレス=レベルテの未刊の物語。十六世紀にアマゾンのエル・ドラドを目指したナバーラ人とアラゴン人の遠征隊の冒険譚。出演はホセ・コルナード、オスカル・ハエナダ、ラウル・アレバロ、アントニオ・デチェント、ホセ・マヌエル・セルビノ、ルイス・カリェホ、フアン・ホセ・バリェスタ、フアン・ディエゴ、アンドレス・ヘルトゥルディクス、ホセ・エチャノベ、アンナ・カステーリョとバルバラ・レニー。
フェルナンド・ゴンサレス・モリーナ監督の『目に見えぬ管理人』 El guardián invisible はドローレス・レドンドの同名小説を映画化。マルタ・エトゥーラが演じる警部アマイア・サラサールが連続殺人犯に追われる物語。
パブロ・ベルヘル監督の『アブラカダブラ』 Abracadabra は監督によると〈催眠コメディー〉で、ストーリーはマリベル・ベルドゥ演じるマドリード南部の女がアントニオ・デ・ラ・トーレ演じる夫が幽霊に取り憑かれていることに気づき、夫を救うために奔走し、彼に催眠術をかけた張本人であるホセ・モタ演じる従弟が手助けするというもの。
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の『エル・バル』 El bar はバルに居合わせた客が外から威嚇されて店に閉じこめられる話。
アグスティ・ビリャロンガ監督の『あいまいな栄光』 Incerta glòria はジュアン・サレスの分厚い同名小説の一部を映画化。テーマはスペイン内戦
フェルナンド・フランコ監督の長篇第二作『死ぬこと』 Morir はマリアン・アルバレスとアンドレス・ヘルトゥルディスが演じるカップルが変容するさまを描くドラマ。
ハビエル・カルボとハビエル・アンブロッシ監督のミュージカル『呼び声』 La llamada は二人が台本を書いた舞台ミュージカルの映画化。カトリック教会の集会で主人公マリアの前に神が降臨することから始まる災難の数々を描きます。出演はマカレナ・ガルシア、グラシア・オラヨ、ベレン・クエスタ、アンナ・カステーリョ。
アニメーション作品ではエンリケ・ガト監督の『タデオ・ジョーンズ2/ミダス王の秘密』 Tadeo Jones 2: el secreto del rey Midasが公開されます。
最後はフェルナンド・レオン監督の『エスコバル』 Escobar。史上最も有名な麻薬王エスコバル(ハビエル・バルデム)とジャーナリストのビルヒニア・バリェホ(ペネロペ・クルス)の実話に基づく恋愛譚。