舞台通信

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2011年10月31日(月)

俳優ホセ・ルイス・ゴメス、王立言語アカデミー会員の候補に
El actor José Luis Gómez, candidato a la Real Academia Española

スペイン王立言語アカデミーは現在四名が欠員で、四つの椅子(n, f, b, Z)が空席です。Z は2009年11月に作家のフランシスコ・アヤーラが歿して以来空席ですが、後継者として俳優のホセ・ルイス・ゴメスが推薦されました。立候補の締切は11月3日。今のところ候補者は彼一人。推薦人はフランシスコ・ニエバ、エミリオ・リェドー、フアン・ルイス・セブリアンの三人。

当選するには過半数の賛成票を得なければなりません。演劇人の会員は2007年にフェルナンド・フェルナン=ゴメスが死去して以来フランシスコ・ニエバ一人だけなので、当選すれば二人になります。実は今年の4月7日にいちど選挙がありました。候補者はアンドレス・アモロス(文献学者・作家)、ホセ・テルセイロ(経済学者)、サンティアゴ・ムニョス(弁護士)の三人。しかし誰も過半数に達しませんでした。

n の椅子は2010年12日にバレンティン・ガルシア・イェブラ(文献学者)が死去して以来空席。f の椅子は今年5月にルイス・アンヘル・ロホが死去してから空席。b の椅子は一月前エリセオ・アルバレス・アレナス・パチェコ(軍人・作家)が他界してから空席。

2011年10月29日(土)

次期芸術監督にエルネスト・カバリェーロ 国立演劇センター
Ernesto Caballero, nuevo responsable del Centro Dramático Nacional

スペイン文化省の発表によると、2004年5月からヘラルド・ベラが芸術監督をつとめ今年12月31日に契約が満期を迎えるスペイン国立演劇センターの次期芸術監督にエルネスト・カバリェーロが選出されました。任期は2012年1月から五年間。スペインは11月20日に総選挙を控えており、財政危機で失業率が21%(約500万人)を超えていることから与党の社会労働党の大敗は確実なので、駆け込み人事ではないかとの噂が頻りです。

2011年10月20日(木)

ハビエル・ラトーレにスペイン国家舞踊賞
Goyo Montero Morell y Javier Latorre, Premios Nacionales de Danza

日本では小島章司フラメンコ舞踊団の『戦下の詩人たち』(2007年)、『ラ・セレスティーナ ~三人のパブロ~』(2009年・2011年)の振付でおなじみのハビエル・ラトーレがスペイン国家舞踊賞に決まりました。めでたい。ゴヨ・モンテーロ・モレルも同時受賞。賞金3万ユーロ(約319万円)。

2011年10月24日(月)

ロルカのデザイン画、国が所有へ
El Estado se queda con los 10 dibujos de Lorca subastados en Barcelona

先週末バルセロナで競売にかけられたロルカの『素晴らしい靴屋の奥さん』デザイン画ですが、スペイン政府が買戻権利を行使して買取り、いずれアルマグロ市の国立演劇博物館などの公的機関で保管・公開される道筋が整いました。よかったよかった。

今回オークションに出たのは1930年マドリードのエスパニョール座で初演されたロルカ作・演出『素晴らしい靴屋の奥さん』のためにロルカ自身が描いた衣裳デザイン画十枚。ところがこのデザインは主演女優マルガリータ・シルグのお気に召さず、実際の舞台では使われませんでした。ロルカから絵を贈られたシルグは唯一の兄弟であるミゲルにプレゼント。ミゲル・シルグは1945年1月からバルセロナ演劇学院の教授をつとめており、1950年に授業の一環として生徒と一緒に『素晴らしい靴屋の奥さん』の上演を決定。フランコ政権下でロルカは御法度だった時代ゆえ地下活動的な上演でした。ミゲルは生徒のひとりに衣裳デザインを依頼。参考のためマルガリータから譲り受けたデザイン画を生徒に見せました。上演は無事終了し、ミゲルは生徒の労をねぎらって絵を寄贈。四年後の1955年(記事には1945年とありますが間違いでしょう)ミゲルは急逝。絵の所有者は生徒の息子のうちのひとりで今年80歳。写真家で舞台演出家だった人だそうです。

2011年10月17日(月)

グティエレス・アラゴン、長編で監督業に復帰
Gutiérrez Aragón anuncia que volverá al cine con una película sobre los Valles Pasiegos

文筆業に専念するため監督業を引退すると三年前に発表したマヌエル・グティエレス・アラゴンが長編映画で復帰を表明しました。ただしこれが「最後の作品」になるそうです。肝腎のストーリーは未定ですが、舞台はカンタブリアのパス渓谷で製作者も決定済み。

2011年10月10日(月)

ニーマイヤー文化センター、早くも存亡の危機に 今後のプログラムは中止
El Centro Niemeyer suspende temporalmente su actividad cultural

今年三月アビレス市に堂々オープンしたばかりのニーマイヤー文化センターが、開館わずか半年にして早くも存亡の危機に立たされています。

事の発端は九月半ばにアストゥリアス州政府がニーマイヤー財団の予算運営に関して「著しい不正経理がみられる」と告発したこと。「経営に透明性がない機関にプログラムを組ませるわけにはいかない」とフランシスコ・アルバレス=カスコス州政府知事。これに対しニーマイヤー財団のホセ・ルイス・レボーリョ理事長は「痛くもない腹を探る政治家の横暴だ」と真っ向から対立。州政府のエミリオ・マルコス・バリャウレ文化大臣は「予算の80%を州が拠出している以上ニーマイヤー文化センターは公共の機関であり、財団における発言権もこれに相当するべき。簡単な話だ」と断言。しかしレボーリョ理事長は「州の予算配分は32%~33%にすぎない」と、話がまったくかみ合わず。

州政府は州が所有する劇場などの建物を財団に譲渡しており、譲渡期間が今年の12月15日に満期を迎えます。これは2006年に両者が交わした契約に明記されているのですが、当時は社会労働者党(PSOE)が与党だった時代で、PSOEは50年間の譲渡を提案。しかし財団側は「5年あれば経営は充分軌道に乗る」として5年間だけの契約を交わしたそうです。その後州政府は国民党(PP)が与党となり、経営問題の埒があかないため、今月10日のマリア・パヘス公演を最後に今シーズンのプログラムは一時的に中止。アビレス市民はセンターの継続を求めてデモを決行。ピラール・バレーラ市長(PSOE)もデモを支持。

2011年10月1日(土)

ロルカ『素晴らしい靴屋の奥さん』のスケッチ、競売に
Los 'prodigiosos' figurines de Lorca, a subasta.

今月19日と20日、ロルカが描いた『素晴らしい靴屋の奥さん』のデザイン画十枚がバルセロナの競売業者 Balclis でオークションにかけられます。個人所有で、ロルカが主演のマルガリータ・シルグに贈ったもの。女性の登場人物八人と男性二人の衣裳画でサイズは27.7cm×21.5cm、保存状態は「きわめて良好」。出品価格は10万ユーロ(約1031万4千円)。ロルカ財団が落札してロルカ記念館で一般公開となるよう願ってやみません。