独立系出版社トゥスケッツの株主に大手出版社プラネタが加わることになりました。グローバリゼーションと電子書籍が席巻する今般、中小出版社の吸収合併はとどまるところを知らず、2010年5月にはアカル Akal がシグロ・ベインティウノ Siglo XXI を買収、同年10月にはエダサ Edhasa がド・ヴェッシ De Vecchi を買収。1969年創業のトゥスケッツは独立系中堅出版社最後の牙城でした。トゥスケッツは電子書籍市場への参入には消極的でしたが、プラネタが加わることで一気に加速しそう。中南米市場でのシェア拡大も見込まれます。
待ってました、と大向こうから声をかけたい。アルモドバルの新作『つかの間の恋人たち(原題)』 Los amantes pasajeros にセシリア・ロスの出演が決定。アルモドバルの弟でプロデューサーのアグスティン・アルモドバルが発表しました。『神経衰弱ぎりぎりの女たち』のような八十年代のコメディー路線を踏襲する喜劇だそうです。共演者は主役がハビエル・カマラで、ほかにロラ・ドゥエニャス、メキシコ人のホセ・マリア・ヤスピク、カルロス・アセレス、ラウール・アレバロ。今年の夏クランクイン、公開は2013年春の予定。
今月30日、マドリードのシルコ・プリセ劇場で開催されるマックス舞台芸術賞の批評賞がホセ・サンチス・シニステーラに決まりました。彼が主催する新辺境劇場(Nuevo Teatro Fronterizo)の活動を評価するもので、授賞理由は「現代中南米演劇の創造と研究を促進」し、「社会劇への支援」と「演劇に関わるすべての専門家に開かれた幅広い活動」を行っていること。
2月18日の記事なので旧聞に属しますが、今年のゴヤ賞発表直前にアントニオ・バンデラスがエル・パイス紙とのインタビューに応じ、カルロス・サウラの新作『33日間』 33 días でピカソ役を演じると明かしました。
バンデラスはピカソと同じマラガ出身で、「ピカソ役のオファーは今までに何度も受けたがいつも断った」そうです。でもピカソへの愛着は昔からあり、生家は「ピカソの家からわずか四ブロック」しか離れておらず、二人ともほぼ同じ青年期に町を出て「故郷への想いは人一倍強かった」。かつてピカソの娘パローマの知遇を得たとき、ピカソが帰郷の夢を棄てなかった話を聞かされ、バンデラスの強いマラガ訛りのスペイン語を耳にしてパロマが父を思い出したというエピソードも披露。『33日間』はピカソがゲルニカを制作した日々を描くそうです。
イギリス国立バレエ(English National Ballet)の新芸術監督にタマラ・ロホが選出されました。二ヶ月前に現芸術監督ウェイン・イーグリングが今夏をもって退任の意向を表明し、以来次期芸術監督の募集が行われ、立候補したタマラが晴れて当選。任期は五年間。タマラは1997年6月に同バレエ団に入団、半年後にプリンシパルに昇格、『ロミオとジュリエット』『くるみ割り人形』に出演。
ABC紙との電話インタビューに応えたタマラは「踊りをやめるつもりはありません」ときっぱり。「芸術監督と舞踊家の二足のわらじは両立できると思います、プラシド・ドミンゴみたいに。引退の時期は決めていません、体の状態次第。今は踊りを始めたときと同じくらいか、それ以上に意欲がある。舞台に立つのがすごく楽しい」。
記事タイトルは二月にゴヤ賞主要部門を制覇した映画『悪党に安らぎはない』 No habrá paz para los malvados のもじり。今月11日にマドリードの王立劇場(レアル劇場)で『マリーナ・アブラモヴィッチの生と死』 Vida y muerte de Marina Abramovic が始まります。演出はボブ・ウィルソン、歌はアントニー・ヘガティ、主演がパフォーマーのマリーナ・アブラモヴィッチで、語り手役のウィレム・デフォーも出ずっぱり。