9月16日に開幕する第59回サン・セバスティアン映画祭。コンペ部門の出品作が発表されました。英国のテレンス・デイヴィス監督、レイチェル・ワイズ主演の『ザ・ディープ・ブルー・シー』 The deep blue sea。是枝裕和監督の『奇跡』、『ボヴァリー夫人』に創意を得たメキシコのアルトゥーロ・リプステイン監督の『こころの言い分』 Las razones del corazón、女優サラ・ポーリーの第二回監督作品『テイク・ディス・ワルツ』 Take this waltz、女優で主演・監督をつとめるジュリー・デルピーのコメディー『スカイラブ』 Le skylab、俳優マチュー・ドゥミの初監督作品『アメリカ人』 Americano、アルゼンチン人女優アナ・カッツの初監督作品『マルシアーノ家』 Los Marziano。
[8月7日追記: 記事には「アナ・カッツ初監督作品」とありますが、正しくは監督三作目]
エスター・ゴリスやマドンナの主演でたびたび映画化されてきたエビータ。今度は長編アニメです。タイトルは『アルゼンチンのエバ』 Eva de la Argentina。「1977年アルゼンチン軍政により誘拐され暗殺された作家でジャーナリスト」という設定のルドルフォ・ウォルシュが語り手として彼女の足跡をたどるストーリー。1919年ロス・トルドスに生まれた彼女の幼少期から1952年の死と、没後の遺体略奪までを、ドキュメンタリーフィルムも用いて描くそうです。監督はジャーナリストのマリア・セオアネ。製作はアスペイティア・シネとイルシオン・スタジオ、音楽はグターボ・サンタオラーリャ。
今年で三回目を数える映画フェスタ(Fiesta del Cine)がスペインで開催されます。9月26日から28日までの三日間、入場料が全国共通で2ユーロ(約223円)。ただしチケットの入手方法は去年までと異なり、当日いきなり安くなるわけではなく、9月19日から25日までのあいだに通常の入場券を一枚購入すると専用の手帳が交付される仕組みです。時期も去年までは6月でしたが今年はより多くの観客動員が見込まれる9月に変更されました。
記事の後半は「退屈防止マニフェスト」について。映画フェスタを企画した業界諸団体が制定したマニフェストで、スローガンは「家にいないで外に出よう。いろんな人と交わろう。人生の優先順位はいまよりリッチになることではなく、よりよい生き方を学ぶこと」云々だそうです。
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市のビジャマルタ劇場が経営破綻寸前、どうにかして救いましょうと呼びかけるホセ・マヌエル・トリーリョ氏による意見投稿です。劇場の歴史が手際よくまとめられています。
1926年に建築家のテオドーロ・デ・アナサガスティが劇場の設計図を作成し、翌1927年着工。竣工式にはミゲル・プリモ・デ・リベラ首相(第二代エステーリャ侯爵)と勧業大臣のグアダロルセ伯爵、ヘレス市長代行ホセ・ルイス・ピカルド・セリス、ビジャマルタ侯爵らが出席。1928年2月、プリモ・デ・リベラ将軍臨席のもとにビジャマルタ劇場が正式に開場。収容人数1938人、入場料は11列から23列までが30センティモ、平土間席が15.55ペセタ。
時代は下って1986年、財団法人アンダルフィサ(Andalfisa)が従業員11人の給料の支払いを拒否。劇場のスタッフは収益確保のためストライキはせず、代わりにポルノ映画『エロティックなパトリシア』 Patricia Erótica を三ヶ月以上にわたって上映し、収益をスタッフのあいだで分配。同年8月1日、財団法人の重役ガブリエル・プエルト・ペラルタが劇場の閉鎖を決定。これに対抗した11人が動員をかけて、1987年9月、ビジャマルタ劇場開業調整委員会(Coordinadora Pro-Apertura del Teatro Villamarta)を結成。同年10月、ヘレス市が劇場の運営母体になりました。持主であるリーバス家にヘレス市が支払った額は1億3千万ペセタ(約10億円)。十年後の1996年、劇場がリニューアルオープン。改修工事を担当した建築家はヘレス出身のホセ・ダローカとホセ・アントニオ・カルバハル。設立当初のデザインを踏襲したものの客席は738席減らしキャパは1200人に。
それから十一年経った今年、アンダルシア州政府と中央政府からの補助金が50%削減され、ビジャマルタ劇場は経営破綻寸前。赤字額は2千万ユーロ(約22億6千万円)。
ホセ・マヌエル・トリーリョ氏はビジャマルタ劇場開業調整委員会のスポークスマンを務めた人で、新たな調整委員会の設立を呼びかけています。
1980年に発見されたカディスの古代ローマ劇場の遺跡。カディス大学の調査チームが去年の夏から11ヶ月かけて行った第一回発掘調査が終了。全体の作業の七割が終了し、舞台の三割が復元されました。
建設された時期は紀元前1世紀末で、その後約二百年にわたって「フル操業」していたことがわかりました。議員専用の階段席(ima cavea)のうち七段を発見。さらに出入口(vomitorium)の通路と、一般席と貴賓席をへだてる手すりも。出入口は将来エル・ポプロ地区に建設予定の演技センターから劇場へと至る出入口として利用する予定。舞台のほぼ全面と劇場の後部がエル・ポプロ地区の真下にあります。
発掘品のほとんどは中世ムワッヒド朝の陶器類。古代ローマ時代の品々は紀元四世紀から五世紀のあいだに略奪されたらしく、見つかったのはごく僅かで、アフリカ産と思われるオニックス製の柱が三本と、格間が一つ、イタリア産の白大理石のコーニス(柱の上に載せるエンタブレチュアの最上部)、あとは墓碑銘が二十ばかり。劇場の基礎部分はほぼ完全な形で残っています。今後は階段席の上部とオーケストラの発掘調査を行う予定。
グラナダ市の夏のイベントとして定着した「ロルカとグラナダ」 Lorca y Granada。今年の作品はエバ・ジェルバブエナ『フェデリコによるロルカ』 Federico según Lorca。7月20日から8月27日まで。会場はもちろんヘネラリーフェ庭園の野外劇場。グラナダ国際音楽舞踊フェスティバルのクロージング作品でもあります。
原案・演出・振付はジェルバブエナ。音楽監督はパコ・ハラーナ。11種類の振付で構成し、ロルカが描いたグラナダ像がテーマ。俳優フアン・ディエゴが声の出演をします。歌手エンリケ・モレンテの声も。今年他界したモレンテは「存命であれば出演してほしかった」とジェルバブエナ。
2002年に始まった「ロルカとグラナダ」、公式サイトに掲載されたこれまでの作品をリストアップしておきます。
昨日アルマグロ国際古典演劇祭でバスクの劇団ウル・テアトロ UR Teatro がシェイクスピアの『マクベス』を上演しました。スペインでは初めて視聴覚障害者に配慮した公演で、難聴者には字幕を出し、視覚障害者には音声解説(audiodescripción)で対応。スペイン屈指の劇団ウル・テアトロが先鞭をつけたのが個人的にはとても嬉しい。2005年に設立させた字幕音声解説スペインセンター(CESyA=Centro Español de Subtitulado y Audiodescripción)とアルマグロ演劇祭の協力により実現しました。
構想から撮影まですべてバスク語によって製作された現存する最古の映画が修復作業中です。1950年代から60年代にかけて撮影されたドキュメンタリー映画で、フィルムテカ・バスカ(バスクのフィルムライブラリー)の倉庫に人知れず眠っていたのを発見されました。フィルモテカのディレクターである Joxean フェルナンデスとバスク州文化副大臣アントニオ・リベラ氏によると、9月のサン・セバスティアン映画祭(Zinemaldia)で初公開の予定。
撮影者はビスカヤ出身のゴツォン・エロルツァ Gotzon Elortz。当時パリ在住だったエロルツァはバスクでこれらのフィルムを撮影。もう一本、アヴィニョンで撮影したバスク語のフィルムもあるはずなのですが今のところ発見には至らず。
修復中のフィルムは『エレアガからマツィツァコへ』 Ereagatik Matxitxakora(1960年)、『祖国』 Aberria(Erria, 1961年)、Elburua Gernika(1962年)の三本。『エレアガからマツィツァコへ』はエレアガの海辺からマツィツァコ岬までを辿る23分のフィルム。『祖国』は即興詩人バレンティン・エンベイタとジョン・ロパテギ、舞踊家ビクトル・オラエタなどバスク文化の重要人物を収めた15分の短篇。最後の Elburua Gernika ――手もとにバスク語辞典がないので Elburua の意味がわかりません――はベルメオからゲルニカへの旅を記録した26分のフィルム。
先月5日にお伝えしたスペイン版プレイヤード叢書、スペイン王立言語アカデミー「古典文学叢書」のオンライン版が公開開始。無料で閲覧もしくはダウンロードできます。
左のメニューのいちばん上、"Títulos publicados" は書籍版。立ち読みできます。
その下、"Archivos de la Biblioteca Clásica" が無料でダウンロードできるPDF版。本日の時点で公開されているのは『わがシッドの歌』 Cantar de Mío Cid (1779年版)、ゴンサーロ・デ・ベルセオ『聖母の奇跡』 Milagros de Nuestra Señora、アントニオ・デ・ネブリーハ『スペイン語・ラテン語語彙集』 Vocabulario español-latino(1494年版)、ケベード『ぺてん師ドン・パブロスの生涯』 La vida del Buscón。
さらにその下の "Versión beta" をクリックすると改訂作業中の作品が同じくPDFファイルで公開中。タイトルはディエゴ・デ・サン・ペドロ『愛の牢獄』 Cárcel de amor、ガラシラーソ・デ・ラ・ベガ『詩選集』 Obra poética、ホルヘ・デ・モンテマヨール『ディアーナ』 La Diana、ロペ・デ・ベガ『フエンテオベフーナ』 Fuenteovejuna、カルデロン・デ・ラ・バルカ『大世界劇場』 El gran teatro del mundo、ルイス・ベレス・デ・ゲバーラ『跛の悪魔』 El diablo cojuelo、レアンドロ・フェルナンデス・デ・モラティン『娘たちの「はい」』 El sí de las niñas、レオポルド・アラス〈クラリン〉『小話集』 Cuentos。
第57回メリダ国際古典演劇祭が開幕しました。目玉は三つのバージョンの『アンティゴネー』。オープニングを飾ったのは歌手で女優のベベ主演による『メリダのアンティゴネー』 Antígona de Mérida。1936年のメリダ市を舞台にした作品で、7月17日まで。二作目はアンナ・アレン主演、エミリオ・デル・バリェ演出の『アンティゴネー』。こちらは21世紀の現在に設定。7月20日から31日まで。三作目は演劇祭のクロージング作品でメキシコの演出家マウリシオ・ガルシア・ロサーノ演出による『アンティゴネー』。主演は映画で活躍中のマルタ・エトゥーラ。8月11日から28日まで。
記事の前半はメリダ古典演劇祭が始まった経緯に触れています。今から百年前の1910年、考古学者ホセ・ラモン・メリダ(José Ramón Mélida)がメリダ市(Mérida)の羊の牧草地の下に古代ローマ劇場の遺跡を発見。収容人数五千人。1931年、二十世紀スペイン最大の舞台女優マルガリータ・シルグが国内巡演の途次、給油のため立寄ったメリダで車から降りて足を伸ばしたところ目に飛び込んできたのが野外劇場。「劇場だわ! 劇場よ!」と興奮して叫ぶシルグ。1933年、シルグはこの野外劇場で『王女メデイア』を上演。こうしてメリダ古典演劇祭がスタートしました。
マドリードのロペ・デ・ベガ記念館で「夏の野外映画上映会」開催中。グラムはロペに関連する作品で、6月30日から7月28日まで毎週木曜日、午後10時に上映。入場無料。チケットは当日21時30分から先着順で配付。敷地が狭いので、ひとり二枚まで。プログラムは次の通りです。
日付 | タイトル | 監督 | 製作年 |
---|---|---|---|
6月30日 | ロペ Lope | アンドゥルーチャ・ワディントン | 2010 |
7月7日 | ペリバーニェスとオカーニャの騎士団長 Peribáñez y el Comendador de Ocaña | ホセ・アントニオ・パラモ | 1970 |
7月14日 | 意地の悪い女 El perro del hortelano | ピラール・ミロー | 1996 |
7月21日 | 無二の判官、国王 El mejor alcalde, el Rey | グスタボ・ペレス・プイグ | 1970 |
7月28日 | 水瓶娘 La moza de cántaro | フロリアン・レイ | 1953 |
1930年代にロルカが主宰してスペイン各地を廻り古典劇を上演した学生劇団ラ・バラーカ。その精神を現在に蘇らせる企画、第6回ラ・バラーカの足跡。主催はスペイン文化アクション(ACE)。ディレクターはセサル・オリーバ。
今年は南米コロンビアとチリの劇団とスペインの四劇団あわせて六劇団が六つのルートを回ります。詳細はそれぞれのPDFファイルをご覧下さい。全国各地の市町村を回りますが、以下、県単位で訪問先を紹介します。
ヌリア・エスペル演出によるプッチーニの歌劇『トスカ』が2004年以来ふたたびマドリードの王立劇場で上演されます。初日は7月12日(火)。指揮はレナート・パルンボ。王立劇場の2011~2012年シーズンの閉幕を飾ります。
7年前の初演時と今ではオペラに対する考え方が大きく変わり、「もし今あらたな『トスカ』を演出するなら、前回とは異なる作品にする。作品が年をとったからではなく、私自身が別の人間になったから」とヌリア。過去6年間舞台女優として華々しい活動をしたのが原因で、「いろんな経験をしたわ。9割はすばらしい経験、残りは母の死を含めてひどかった。今回の再演は初演時と同じくらい新鮮な舞台にするようつとめます」。
オペラの演出はこれが最後と名言。記者会見はさながら引退会見のような雰囲気だったそうです。「今は女優としての黄金時代。それがいちばん幸せなこと」。そもそもオペラの世界に足を踏み入れたのは夫アルマンド・モレーノ氏に強く勧められてのことで、モレーノ氏は1994年に他界。
先月15日のニュースなので時宜を逸してしまいましたが、「新辺境劇場 Nuevo Teatro Fronterizo」を主宰する戯曲家で演出家のサンチス・シニステーラが、20世紀後半に書かれた戯曲のなかから滅多に日の当らない作品を選び、「本来の意味での演劇(立ち上がるテクスト)」Teatro Propiamente Dicho (textos en pie) と題して連続上演会を行います。期間は6月16日から最低限7月14日まで(延長の可能性あり)。エスパニョール劇場との共同企画。
シニステーラの説明によると企画の狙いは「スペインではほとんど取り上げられない(イスラエル、オーストラリア、ブラジル、ケベック、メキシコなどの)戯曲を、原則として期限を定めず紹介すること」。本格的な上演ではなく、簡素な舞台装置を用いたドラマリーディングだそうです。
目玉となるのは三作品。まずシニステーラ演出によるオーストラリアのダニエル・キーン作品(作品名は記事に明記されていません)。会場はエスパニョール劇場倉庫。6月30日にはフランスの劇作家・演出家ミシェル・ヴィナヴェール作『職さがし』。演出はダリーオ・ファカル、出演はカルメン・コネーサ、カルロータ・ギベルナウ、ペドロ・ミゲル・マルティネス、クリストーバル・スアレス。会場はエスパニョール劇場博物館。7月14日にはメキシコの劇作家・演出家・脚本家のヘスス・ゴンサレス・ダビラ作『処女の真珠』 Las perlas de la virgen をエスパニョール劇場博物館で。演出はリディオ・サンチェス、出演はラウル・サエスとカルロス・セニャ。
カタルーニャ演劇を世界に広めるための組織、バルセロナ国際劇場(BIT=Barcelona Internacional Teatre)が始動しました。「我々は外に目を向け、外の人は我々に目を向ける必要がある」と演出家カリスト・ビエイト。設立記念式典が昨日ファブラ・イ・コアッツ工房で開かれました。客席最前列にはリュイス・パスクアル、セルジ・ベルベル、リカルド・シュワルセルなどカタルーニャ演劇界の重鎮が列席。
本拠地は定めず、今月改修工事が終わる予定のファブラ・イ・コアッツ工房の施設を利用。舞台制作と国際的展覧会、世界各地の演劇活動との交流の場を提供するのが目的。バルセロナ市とジェナラリタ(カタルーニャ州政府)、文化省の三者に加えて十八に及ぶ世界各地の演劇組織の協賛を得て、予算は50万ユーロ、2013年には100万ユーロに増える予定。
まず七演目でスタート。最初の作品はカラスト・ビエイト演出、カルラス・サントス音楽によるカルデロン・デ・ラ・バルカの『大世界劇場』 El gran teatro del mundo。11月5日ドイツのフライブルクで初演したのちバルセロナでも公演を行いますが時期は未定。2012年にはシェイクスピアのテキストに基づく『森』 Forests を上演。2012年ロンドン文化オリンピックとの共同制作でカタルーニャ語と英語による公演2012年~2013年のシーズンにはアレックス・リゴラ、アンドレス・リマ、デイヴィッド・マートン演出による『ルルス』 Llull がカタルーニャで上演、こちらはカタルーニャ語、カスティーリャ語、ドイツ語で公演。そのほかパウ・ミロがシューベルトの歌曲を使う『冬の旅』台本を執筆中で、フリオ・マンリーケは七カ国の俳優が四つの言語で演じる芝居『ムーブメント』 Moviments を演出する予定。
今年4月の舞台通信でも予告しましたが、今月1日開幕したアルマグロ古典演劇祭でヌリア・エスペルがコラル・デ・コメディアス賞を受賞しました。プレゼンターはスペイン演劇界の四巨頭と称すべきマリオ・ガス、ジョゼップ・マリア・フロタッツ、ホセ・ルイス・ゴメス、リュイス・パスクアル。四人は「とっくに受賞してると思った」そうです。最後にスピーチしたヌリアは「演劇人は気前よく名誉を称えてくれます。世界中が惨事に見舞われる今日、劇場がお客さんでいっぱいになるのは、そこに行けば何かリアルで本当のものが、倫理的な何かが見つかるからだと思います」。写真は左から俳優ホセ・ルイス・ゴメス、演出家マリオ・ガス、リュイス・パスクアル、ヌリア・エスペル、演出家ジョゼップ・マリア・フロタッツ。
文学史の記述によれば詩人パブロ・ネルーダは1973年の軍事クーデターの12日後に前立腺癌で他界したことになっていますが、ネルーダの元運転手マヌエル・アラーヤ氏が「死因は癌ではなく暗殺」と最近証言、チリ共産党がこの証言に基づき告訴し、マリオ・カローサ判事が調査に乗り出すことになりました。
証言によるとネルーダは入院先で毒を盛られた可能性があるらしい。亡骸はチリ中央の海岸部イスラ・ネグラに妻マティルデ・ウルティアとともに自宅の敷地に埋葬されましたが、原因究明のため発掘するかも知れないとのこと。証言者のアラーヤ氏(65歳)は「何年も扉を叩き続けたのに誰も耳を貸してくれなかった。真相が知られないまま死ぬとばかり思っていた」。暗殺を命じたのはピノチェト将軍で、ネルーダがメキシコに亡命するのを阻止するため。午後四時頃、ネルーダの自宅にいた妻ウルティアとアラーヤ氏に首都サンティアゴの病院に入院していたネルーダ本人から電話がかかり、「医者が来て胃に注射した。すぐサンティアゴに来てくれ」と依頼。その数時間前までネルーダは「とても元気だった」そうです。
元メキシコ大使ゴンサロ・マルティネス氏もこの証言を補強。マルティネス元大使はアラーヤ氏同様晩年のネルーダに親しく接した人で、「始めて知り合った頃と最後の日々とで彼に特段の変化はなかった。知り合ったときはすでに病人だったが、一刻を争うような状態ではなかった。そうとわかっていたら彼に知らせたし、少なくともマティルデが私に知らせてれたはずですよ! 飛行機に九時間乗せる予定だったんです!」。
9月23日ネルーダ死去。アラーヤ氏は拘束されてめちゃくちゃに殴られたそうです。
パブロ・ネルーダ財団は「進行性の癌以外の原因によって死亡したことを示す証拠は一切ない」と反論。カローサ判事はアジェンデ元大統領の死因も調査中。遺族は「大統領府ラ・モネーダで自殺した」としていますが、5月23日に遺体を発掘し、死因を突きとめ、8月に発表の予定。
4月7日に速報としてお伝えしましたが、ペネロペ・クルスがウディ・アレンの次回作 The Bop Decameron に出演することが決定。キャストが発表されました。共演はアレック・ボールドウィン、ロベルト・ベニーニ、ジュディ・デイヴィス、ジェシー・アイゼンバーグ、グレタ・ガーウィグ、エレン・ペイジ。そのほかアントニオ・アルバネーゼ、ファビオ・アルミリアート――記事に Armiliata とあるのは Armiliato の誤り――、アレッサンドラ・マストロナルディ、オルネラ・ムーティ、フラヴィオ・パーレンティ、アリソン・ピル、リッカルド・スカマルチョ、アレッサンドロ・ティベリ。アレンも端役で出演。
タイトルで明らかなとおりボッカチオの『デカメロン』が下敷き。今月11日ローマでクランクイン。