2016年のヨーロッパ文化首都にバスク地方のサン・セバスティアン(バスク語ではドノスティ Donosti)が昨日選ばれました。文化人のコメントが紹介されています。
スペイン映画界の名監督・名優の名を星に刻んだスペイン版〈ウォーク・オブ・フェーム〉が昨日お披露目されました。場所はマルティン・デ・ロス・エロス通り。映画ファンならご存じのとおり、吹替えではなく字幕スーパーで上映するルノワール座やゴレム座がある通りです。
スペイン映画アカデミー設立二十五周年を記念して、まず二十五人の名前が刻まれました。映画監督は九人でペドロ・アルモドバル、アレハンドロ・アメナーバル、フアン・アントニオ・バルデム、ルイス・ガルシア・ベルランガ、ルイス・ブニュエル、ホセ・ルイス・ガルシ、ピラール・ミロー、カルロス・サウラ、フェルナンド・トゥルエバ。女優はインペリオ・アルヘンティーナ、ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、サラ・モンティエル、エンマ・ペネーリャ、アンパロ・リベレス、カルメン・セビーリャ、コンチャ・ベラスコの八人。男優はアントニオ・バンデラス、ハビエル・バルデム、フェルナンド・フェルナン=ゴメス、ペペ・イスベル、アルフレード・ランダ、トニ・レブラン、パコ・ラバル、フェルナンド・レイの八人。星形のプレートはオスカル・マリネーが作成、素材は花崗岩と白大理石と鋼鉄だそうです。星の数は今後毎年一二個増やす予定。
セルバンテス文化センター(Instituto Cervantes)地下の「文芸箱」に舞踊家・振付家のビクトル・ウリャーテが「遺品」を託しました。先月17日に当ブログでヌリア・エスペルの記事を紹介しましたが、もともと銀行だったこの建物は地下に貸金庫があり、それを「文化のタイムカプセル」に見立てて再利用しているのです。
気になるウリャーテの「遺品」ですが、中身は「チョッキ一着、時計一個、指輪一個、玄孫に宛てたメモ」。子孫に遺したいのは金品ではなく、「一所懸命に努力すればどんな夢も叶う、それが人生だ」というメッセージ。だからメモを入れたそうです。チョッキはスペイン国立バレエ団の公演『チュエカのマドリード』 El Madrid de Chueca で恩師チュエカを演じた際に来た衣裳で、ウリャーテの身体を象徴するもの。時計は否応なく進む現実の時間の象徴、指輪は父親が嵌めていたものだそうで感情の象徴、そして最後のメモは高祖父がいかにモダンな人物だったかを玄孫に理解してもらうため。この「文芸箱」に遺品を収めた舞踊家は彼が二人目。第一号はキューバの舞踊家・振付家のアリシア・アロンソです。
解禁は150年後の2161年6月6日。チョッキを150年も貸金庫に入れたままで大丈夫? 虫に食われない? 防虫剤入れた? と余計な心配をしてしまいますが、もとが銀行の貸金庫ですから、その点は抜かりがないのでしょうね。
毎年カディスで開かれるイベロアメリカ演劇祭(Festival Iberiamericano de Teatro)。今年のアタウアルパ・デル・シオッポ賞はヌリア・エスペル(記事には Atahualpa del Chopo とありますが、正しくは Atahualpa del Cioppo。ウルグアイ人演出家の名前です)。オマージュは女優で歌手のマリア・ドローレス・プラデーラ。
予算は726,000ユーロ(約8500万円)で、2002年の水準に下がりました。なにしろ失業率が先進国で最悪の20%以上。台所事情は大変なようです。
スペイン王立言語アカデミーがスペイン版プレイヤード叢書というべき古典文学叢書(La Biblioteca Clásica de la Real Academia Española)の刊行を開始しました。今後15年間で111タイトル。第一回配本は『わがシッドの歌』 Cantar de Mío Cid、ゴンサーロ・デ・ベルセオ『聖母の奇跡』 Milagros de Nuestra Señora、アントニオ・デ・ネブリーハ『カスティーリャ語文法』 Gramática sobre la Lengua Castellana、ケベード『ぺてん師ドン・パブロスの生涯』 La vida del Buscón の4タイトル。『わがシッドの歌』は現存する唯一の写本に分光技術をほどこし、後生の写字生が書き加えた箇所を特定して削除、あたう限り原本に近いテキストを再現したそうでする
フランシスコ・リコ監修、ラ・カシャ社会事業部協賛、発行はガラクシア・グーテンベルグ/読書会。最後の111作目はエミリア・パルド・バサン『ウリョアの館』 Los pazos de Ulloa。リコの校訂による『ドン・キホーテ』は続編出版四百周年にあたる2015年刊行予定。
あさって5日(日)はマドリードでも被災者支援イベントが行われます。主催は〈連帯日本〉を意味する SOLIDARIDAD JAPON。午前10時から午後8時まで、会場は Matadero de Madrid の横、Centro Cultural Casa del Reloj(時計の家文化センター)。住所は Paseo de la chopera, 10。
上のリンクは Facebook の告知ページです。これによるとイベント内容は折り紙や日本語、児童向けの美術教室、氏名を漢字で書くポスターづくり、チャリティー市場など。
あさって6月5日(日)午後7時半、バルセロナの Sala Apolo 2 で被災者救援チャリティーのロックコンサート ROCK4JAPAN が行われます。入場料は Sala Apolo 2 のサイトによると前売券8ユーロ、当日券10ユーロ。入場料と関連グッズ売上金は赤十字に寄付されます。
バルセロナのバンド四組が出演。一組目は日本語のロックを追求する Mizu。日本人バンド Esprit D'Air(エスプリ・デア)のボーカル Yosh(Yoshisuke Suga)、女性ボーカリスト、ファイテマ・アヤッツ Fàtima Ayats と共演。二組目は nu-jazz とポスト・ロックとサイケのフュージョンバンド、ヒタバルダアス Hitabaldaäs。三組目はインディー・ロックのクラウディア Klaudia。四組目はカタルーニャのインディー・ポップ・グルーブ、ワントゥン Wantun。
ミュージシャンのみならず日本のポップカルチャーに造詣が深い三人が登場。日本産コミック&アニメのカタルーニャ語・カスティーリャ語翻訳者として名高いマルク・ベルナベ Marc Bernabé、日本文化とコミックに関する人気ブログの主宰者オリオル・エストラーダ Oriol Estrada、そして日本のポップカルチャーをスペインに紹介したプロモーターのひとり、ダビ・エステバン Davi Esteban。
これまた古い記事ですが、去る4月7日にバレンシアのソフィア王妃芸術堂(Palau de les Arts Reina Sofia)で日本支援のクラシック演奏会「がんばれ日本!コンサート」 Concert pel Japó が開かれました。上のリンクはソフィア王妃芸術堂の公式サイトで、コンサートの告知です。指揮オメール・メイル・ウェルベル、出演はバレンシア自治州管弦楽団、バレンシア自治州合唱団、そしてドニゼッティ『愛の妙薬』のソリスト。入場料30ユーロ。プログラムは二部構成で、それぞれ次の通りです。
作曲 | 曲名 | 出演 |
---|---|---|
ヴェルディ | 『運命の力』「序曲」 | オーケストラ |
ヴェルディ | 『ルイザ・ミラー』「静かな薄明かりの夕べに」 | ラモン・バルガス(テノール) |
ヴェルディ | 『リゴレット』「慕わしい人の名は」 | ロシーオ・イグナシオ(ソプラノ) |
ドヴォルザーク | 交響曲第9番『新世界より』「第2楽章」 | オーケストラ |
ドニゼッティ | 『愛の妙薬』「聞きなさい、田舎者たちよ」 | アーウィン・シュロット(バス) |
プッチーニ | 『ジャンニ・スキッキ』「わたしのお父さん」 | リョナ・マタラゼ(ソプラノ) |
ロッシーニ | 『スターバト・マーテル』「アーメン」 | 合唱団/管弦楽団 |
作曲 | 曲名 | 出演 |
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三木稔 | 「マリンバ・スピリチュアル」 | PercaDu |
ピアソラ | 「オブリヴィオン(忘却)」 | アーウィン・シュロット(バス)、オメール・メイル・ウェルベル(アコーディオン) |
ピアソラ | 「リベルタンゴ」 | オメール・メイル・ウェルベル(アコーディオン) |
パブロ・シーグレル | 「ロホ・タンゴ」 | アーウィン・シュロット(バス)、オメール・メイル・ウェルベル(アコーディオン) |
アグスティン・ララ | グラナダ | ラモン・バルガス(テノール) |
宮沢賢治 | 雨ニモマケズ | |
プッチーニ | 『蝶蝶夫人』「ハミング・コーラス」 | 合唱団、管弦楽団 |
4月4日のニュースですが、3月30日にセビーリャのアラメーダ劇場で東日本大震災被災者支援の慈善イベント「日本支援セビーリャのフラメンコたち」 Flamencos de Sevilla por Japón が開催されました。主催はビエナル・デ・セビーリャ。入場料無料。義捐金(任意)の受付はひとり五ユーロ。集まった義捐金は総額2755.52ユーロ(約32万円)。スペインの日本大使館がサバデル・アトランティコ銀行に開設した口座に振込まれ、日本赤十字に送られます。
参加したスペイン人アーティストはエスペランサ・フェルナンデス、アデーラ・カンパーリョ、ハビエル・バロン、ペドロ・シエラ、ラファエル・カンパーリョ、パストーラ・ガルバンなど。記事の終わりに列挙されているようにセビーリャで活躍中の日本人アーティストも大勢出演しました。