メリダ国際古典演劇祭の新ディレクターがヘスス・シマーロに決まりました。ラ・バングァルディア紙によると1988年にホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスとヘラルド・マリャ、タト・カバル、ラファエル・アルバレス・〈エル・ブルーホ〉、マルガリータ・ピニェーロとともに演劇制作会社ペンタシオンを設立、今も代表をつとめています。
今年は中止の憂き目に遭うのではと危惧されましたが、第58回となる今年の夏は7月5日から8月26日まで開催すると発表。オープニングは古代ギリシャの作品をコラージュした Elade。演出はジュアン・オリェー、台本はホセ・マリーア・ポウで、8日まで。11日から15日はプラウトゥスの『アンピトルオ』 Anfitrión をフアン・カルロス・ペレス・デ・ラ・フエンテの演出で。20日から29日まではビセンテ・モリーナ・フォシュ台本、ホセ・カルロス・プラーサ演出によるエウリピデスの『エレクトラ』。8月1日から12日はラファエル・アルバレス・〈エル・ブルーホ〉の演出によるホメーロスの『オデュッセイア』。16日から19日はカルロス・アルバレス=オソーリオ演出によるエイリピデスの『バッコスの信女』。最後は22日から26日まで、デニス・ラフター演出によるソポクレスの『アイアース』。
赤字が出た場合の負債はペンタシオンが受け持ち、黒字の場合は諸費用を差し引いてフェスティバルの基金に。これではペンタシオンに利益がないのでは? と記者が質問すると、「我々の利益は演劇作品をプロデュースし続けることができることにある。利益はフェスティバル以外の作品であげている」。大丈夫なのかしら。
特集記事の続きです。
若手ナンバーワンの演出家ミゲル・デル・アルコが昨年発表した『別荘の人々』 Veraneantes はマックス舞台芸術賞の14部門にノミネート。しかし各地の市役所は公演の予算を払えず。最新作『カミカゼ』 Kamikaze も公演が続けられるかどうか不透明。
バレンシアでは市役所が60万ユーロ(約6588万円)を節約するため野外劇小劇場フェスティバル・ベオ (Veo)が中止に。バレンシア州政府は演劇、舞踊、サーカスの予算を漸進的にカット。エルチェの中世演劇音楽祭(Festival de Teatro y Música Medieval de Elche)とサグント演劇祭(Sagunt a Escena)も予算大幅カット。
ガリシア州は昨年の舞台公演予算のうち120万ユーロ(約1億3176万円)が未払い。ガリシア演劇センター(Centro Dramático Galego)は今年の演目がたった一作品というありさま。
セビーリャでは前衛的な作品をメインに上演する中央劇場(Teatro Central)の予算が2008年比で49%カット。数々の演劇祭や舞踊フェスティバルも市役所が2010年には30万ユーロ(約3294万円)を拠出したのが去年はゼロ、今年はわずか5万ユーロ(約549万円)を全劇場に分配。セビーリャ現代舞台フェスティバル(Festival Escénico Contemporáneo de Sevilla)は今年から隔年開催に。
アルメリアの黄金世紀演劇祭は2011年予算が10万ユーロだったのが今年は4万6千ユーロで五割以上カット。今年で35回目を数えるエル・エヒード演劇祭(Festival de teatro de El Ejido)は今年の予算が組まれていません。2008年には60万ユーロで70公演行ったのが2011年の予算は10万ユーロで35公演。
女流劇作家ライラ・リポル率いる劇団ミコミコンは結成二十周年を迎えるにもかかわらず新作を上演する目処が立たず。
ホセ・サンチス・シニステーラが主宰する新辺境劇場(Nuevo Teatro Fronterizo)も「ジュアン・ブロッサ、芸術の岐路」「ネルソン・ロドリゲス百周年」「ラテンアメリカの新しいドラマツルギー」など数々のイベントの立て直しや延期を余儀なくされます。「集団自殺にならなきゃいいけどね」とサンチス・シニステーラは苦笑い。
パリのドン・キホーテ・フェスティバル(Festival Don Quijote)はスペイン語の上演作品を集める唯一の演劇祭。このフェスティバルは昨年マックス舞台芸術賞の批評賞を受賞したのですが、予算カットの煽りを受け、ジュアン・ブロッサが制作したトロフィーを泣く泣く競売にかけました。それでも足りずに参加劇団の数を減らし、スタッフの給料も減額、開催日数も十日間だったのを六日に縮小。
財政難による文化事業縮小をとりあげたエル・パイスの特集記事です。今回は演劇篇。
1933年にスタートしたメリダ国際古典演劇祭。財政危機が直撃し、エストレマドゥーラ州政府はフェスティバルの運営を民間資本に委ねる公算。新任の管理責任者ペドロ・ブランコが、今月26日に興行主エンリケ・サラベリーアもしくは同業のヘスス・シマーロのどちらに運営を任せるか決する予定。同演劇祭は一昨年から去年までブランカ・ポルティーリョが芸術監督をつとめていましたが、予算運営が不透明であるのと政権交代にまつわる政治的圧力のため辞任を余儀なくされたばかり。
カタルーニャも大打撃を受け、リセウ大劇場は五月末から十月半ばまでのプログラムを中止。カタルーニャ国立劇場もプログラムを削減。ジローナとサルトのハイシーズン・フェスティバル(Festival Temporada Alta)も資金不足。夏の風物詩、ムンジュイックのフェスティバル・グレックは開催期間を七月のみに短縮。
音楽、映画、舞台などの分野で活躍する女性をテーマに掲げる第8回「創る女たち」――スペイン語タイトルは Ellas Crean で、直訳すると〈彼女たちは創造する〉 ――が今月5日にマドリードで開幕します。オープニングを飾るのは歌手ファティマ・ミランダ。会場はソフィア王妃芸術センター。
映画ではイシアル・ボリャイン監督のレトロスペクティブで長篇五本、短篇五本を上映。エリザベス・テイラー特集も。記事では触れられてませんが、リード下の写真のキャプションによると女優マリベル・ベルドゥとイザベル・クシェット監督も目玉だそうです。舞台芸術ではキューバの舞踊家アリシア・アロンソに捧げるガラ公演がサルスエラ劇場で。