今年の夏バルセローナで撮影が始まるウディ・アレンの次回作(タイトル未定)、主演のペネロペ・クルスに続いてハビエル・バルデムの参加が発表されました。
ビガス・ルナ監督の『ハモン、ハモン』の二人がふたたび共演。バルデムは『夜になる前に』で、クルスは『ボルベール〈帰郷〉』で、ともにアカデミー賞主演男優賞と女優賞にノミネートされています。
スペインの宗教団体オプス・デイがダン・ブラウンのベストセラー小説『ダ・ヴィンチ・コード』とロン・ハワードの映画版に対抗して、オプス・デイの創設者であるホセマリーア・エスクリバー・デ・バラゲールの伝記映画の製作に乗り出すらしい。1928年の創設からスペイン内戦の影響と1946年にローマに本部を構えるに至るまでの話。主役候補としてロバート・デ・ニーロとアントニオ・バンデラスが浮上。
イタリアのスポークスマンによると教団は資金提供はせず、「検閲しない範囲で顧問として関わるにとどめる」とのこと。
テーブルサッカーを発明したのは誰か、諸説あるようですが、スペインではアレハンドロ・フィニステーレとされています。2月9日、サモーラで亡くなりました。87歳。作家であり詩人でもありジャーナリストでもあった人。
テーブルサッカーを発明したのは17歳の時。スペイン内戦真っ只中の1936年11月、フランコ軍の爆撃でマドリードで瓦礫の下に閉じ込められた時でした。ムンサラットのコロニア・プッチ病院に搬送され、目が覚めると周りは手足を切断された患者だらけ。「僕も昔サッカーをやったもんだ。顔を蹴られて歯を折ったこともある。びっこになって、サッカーができる人たちが羨ましかった。卓球(=テーブルテニス)も好きだった。だったらテーブルサッカーを創ったらどうだろう?」。
同じ年の12月に友人のフランシスコ・ハビエル・アルトゥーナと連絡をとり、設計図を渡して作成。1937年初頭に特許登録を行ったものの、数週間後にピレネー山中から脱出しなくてはならなくなり、折悪しく見まわれた豪雨で書類は紙屑に。特許登録したのはテーブルサッカーともう一つ、ペダル式の自動楽譜めくり機でした。
苦労が報われたのはずっと後になってから、しかもグアテマラででした。グアテマラ政府からテーブルサッカーを創ってほしいと要請状が届いたのでした。
アントニオ・バンデラスの監督三作目の概要が発表されました。エルナン・コルテスの伝記映画『コンキスタドール〈征服者〉』 Conquistador 。ロケ地はメキシコ、ベラクルス州の町ラ・アンティグア。コルテス(1485-1547)が1521年に上陸した町で人口千人。コルテスが住んだ住居の一部が残っており、キューバからヌエバ・エスパーニャに渡った船を繋ぎ止めていたと推測される木もあるとのこと。
発表したのはベラクルス州のプロスペロ・レボジェード映画担当官。撮影日時は未定。
マドリード市議会場で開催中の第16回俳優組合賞。ヌリア・エスペルが功労賞を受賞。71歳。初舞台は13歳。「この美しい仕事が私の存在を満たしてくれた、涙や絶望、過ちもあったけれど」「演劇に全身全霊を捧げてきた」。
今月8日、〝プエルトリコ演劇の父〟と評される劇作家フランシスコ・アリビーが心筋梗塞で死去。享年91。
1915年6月24日サンフアン生まれ。教育学を学び、ニューヨークでラジオと演劇の勉強をし、1947年『光明』 Alumbramiento で劇作家デビュー。教育者として、また数々の劇団の創立者として活躍。代表作に『ボレロ・イ・プレーナ』 Bolero y plena 、『セイレーン』 Sirena 、『ベヒガンテ』 Vejigante ――記事の Vegigante は誤植――、『名無しの告白』 Confesiones de Don Nadie など。
『島と無』『影の彫刻家』などの詩集も発表、『根源からの進入』『プエルトリコ演劇のプエルトリコ的意識』などのエッセイ集もある。
アカデミー賞短編賞にスペイン人が二人ノミネートされています。日本では『ミラクル・ペティント』の監督で知られるハビエル・フェセールの『ビンタとビッグ・アイディア』 Binta y la gran idea と、バスク人ボルハ・コベアガの『私たちはほんの一握りだった』 Éramos pocos 。
『ビンタ――』は2005年にセネガルで撮影した30分の短編。発展途上国の子どもたちの問題を扱ったユニセフ協賛によるオムニバス映画『一瞬ごとの世界で』の一つ。
『私たちは――』は15分。主演はラモン・バレアとマリビー・ビルバオ。母に見捨てられた父と息子が老人ホーム(?)から祖母を引き取り自分たちの世話をさせる話。
アレックス・デ・ラ・イグレシアが新作『オックスフォードの犯罪』 Los crímenes de Oxford をイギリスで撮影中。キャストはイライジャ・ウッドにジョン・ハート、レオノール・ワトリング、ジュリー・コックス、アンナ・マッセイ、アレックス・コックス、ドミニク・ピノン。
アルゼンチン人ギジェルモ・マルティネスの小説『目に見えない犯罪』 Los crímenes imperceptibles が原作。脚本はアレックス・デ・ラ・イグレシア自身とホルヘ・ゲリカエチェバリアが共同執筆。
オックスフォードで老婆が殺され、論理学の教授アーサー・セルダム(ジョン・ハート)と彼のもとで論文を書くために大学に入学したばかりの学生マーティン(イライジャ・ウッド)が偶然一緒に死体を発見するところから物語が始まります。連続殺人であることがわかり、犯人は奇妙なシンボルを使って殺人を予告。事態は目に見えるものが何も信じられなくなるパズルと化す―――というような話。なにやら『セブン』を思わせます。
伝記映画『エル・グレコ』 El Greco がアテネ郊外で撮影中です。ギリシアとスペインの初合作作品。
原作はギリシア人作家ディミトリス・シアトポウロス―――記事の Siatíopulos は Siatopoulos の誤り―――の小説『神の画家』。製作に七年を要しました。ギリシア人監督イオニアス・スマラグディス(初耳だよ。Internet Movie Database にも載ってません)とスペイン人製作者ライモン・マスリョレンスのたっての希望が叶いました。予算はギリシア映画史上最高の六百万ユーロ(約9億4千万円)で、六割をギリシアが負担、残りをスペインとハンガリーが負担します。
エル・グレコに扮するのはイギリス人俳優ニック・アシュドン。スペイン人俳優フアン・ディエゴ・ボットが異端審問官ニーニョ・デ・ゲバラを演じます。音楽はヴァンゲリス。撮影は三月に終了予定。公開は十月にギリシアとスペインとイタリアで。
カルロス・サウラの新作は『ファド』 Fados 。きっかけは三年前、ポルトガルでサウラがテレビのドキュメンタリー番組を撮影していた時のこと。プロデューサーの一人がファド歌手の重鎮カルロス・ド・カルモにサウラの『フラメンコ』と『タンゴ』を見せたところ、「同じことをファドでもやったらどう?」とカルモが提案。
録音は1月7日から2月16日まで、マドリードのサウラのスタジオで行います。カンヌに出品する予定。予算は300万ユーロ(約4億7千万円)で、その三分の一はリスボン市が負担。出演はマリーサ、カマネー、アルヘンティーナ・サントス、ブラジルのチコ・ブアルケとカエタノ・ヴェローゾ、メキシコのリラ・ダウンズ、カーボベルデのセサレア・エボラとルラなど総勢三十名。
「ポルトガル人はファドにチャンスを与えられずにいた。サウラのおかげで世界中で上映されるだろうし、2008年にファドをユネスコの世界無形遺産に推薦するのに大きな力となるだろう」とカルロス・ド・カルモは語っています。
パウ・カザルスが残した文書類が死後34年ぶりに故郷のカタルーニャに返還されました。未亡人マルタ・モンタニェスとニューヨークで暮らしていたアパートにあったもの。「遺産はすべてカタルーニャに」というカザルスの遺志がようやく叶いました。
文書類は亡命中の生活に関わるものばかりで、カタルーニャ亡命政権の州知事ジョセプ・イルラや首相ジョセプ・タラデーリャ、ケネディ大統領、エルサレム市長のテディ・コレックらと交した書簡や、カザルスが名誉会長を務めたSRA(スペイン難民基金)関連の文書など。音楽関係ももちろんあり、アレクサンダー・シュナイダーやユーディ、メニューイン、フリッツ・クライスラーなどと交した書簡に自筆譜など。
整理するのはカタルーニャ国立文書館とパウ・カザルス財団。
ウディ・アレンの次回作、まだタイトルは未定ですが、主演がペネロペ・クルスに決まりました。米フォックスの独占記事です。アレンは目下新作『カサンドラの夢』 Cassandra's Dream のポストプロダクション作業中。
ペネロペちゃん主演作は今年の夏バロセローナでロケ。アレンは家族とスタッフ全員をバルセローナに連れてくるそうです。