俳優・映画監督・脚本家・劇作家のフェルナンド・フェルナン=ゴメンが物故してから空席だった王立言語アカデミーの「B」の席を、同じく映画監督・脚本家のホセ・ルイス・ボラウが占めることに決定しました。推薦したのはアントニオ・フェルナンデス・アルバ(建築家)とエミリオ・リェドー(思想家)、アントニオ・ミンゴーテ(漫画家・作家)。また、クラウディオ・ギリェン亡き後空席だった「m」の席は作家ホセ・マリア・メリーノに決定。推薦者はルイス・マテオ・ディエス(作家)、アルトゥーロ・ペレス=レベルテ(作家)、アルバロ・ポンボ(作家・詩人)。
ホセ・ルイス・ボラウは現スペイン作家編集者協会(SGAE)の会長。かねてから「王立言語アカデミー会員に映画脚本家を加えるべし」とラサロ・カレテール元アカデミー会長に進言し、先日亡くなったラファエル・アスコーナを推したものの、生来謙虚なアスコーナは辞退、結果的にフェルナンド・フェルナン=ゴメンが会員になった経緯があります。目下四百ページからなるエッセイ集『我らの言語における映画』 El cine en nuestro lenguaje を仕上げ中。そんな「映画にとって問題なのは脚本家のギャラが低すぎること。扱いも低く、作家として認められていない」と嘆くボラウ。ボラウにとって完璧な脚本はビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』。
ボラウは自身が監督した Río abajo (1984)でオーソン・ウェルズを演出する話があったとか。フェルナンド・レイの代役としてマフィアを演じてほしく、ウェルズに電話をかけたところ彼も資金難で困窮しており、チャンスだったが、当時ウェルズの契約を仕切っていたのが「タスカ王子」とかいう人物で、「15万ドル用意できますか。それだけあれば脚本も読まずにやりましょう」と言われた。しかしボラウは100ドルすらなく、諦めたそうです。
ホセ・マリア・メリーノは1941年ラ・コルーニャ生まれ。短篇小説家、というよりも物語の語り部として有名。アストゥリアスやレオンでは、女たちが針仕事などの夜なべをしながらお話を語り合う filandón という伝統があり、これをルイス・マテオ・ディエスらとともに復活させた功績があります。師と崇める作家はクラリン、モーパッサン、チェーホフ、ピオ・バローハ、バリェ・インクラン、フリオ・コルタサール、ボルヘスなど。
『シカゴ』のロブ・マーシャルが『ナイン』を映画化します。主演はペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、『エディット・ピアフ』のマリオン・コティヤール。2002年のブロードウェイ版『ナイン』で主演したアントニオ・バンデラスは出演せず。
スペインでは愛称“ペ”で知られるペネロペ。ハビエルとはウディ・アレンの『ヴィッキー・クリスティーナ・バルセロナ』で共演したばかり。しかもアルモドバルの『ボルベール 《帰郷》』でソフィア・ローレンを髣髴させるメイクで頑張った彼女がローレンと共演です。ペ、乗ってます。
記事は『ムーラン・ルージュ』『シカゴ』『スウィーニー・トッド』と続くハリウッドのミュージカル・ブームを伝えるもので、メリル・ストリープとピアース・ブロスナンが『マンマ・ミーア!』 Mamma mia!、ビヨンセとエイドリアン・ブロディが『キャデラック・レコーズ』 Cadillac Records に出演するそうです。
今週アルゼンチンで撮影が始まったばかりのコッポラの新作『テトロ』。主人公テトロ(ヴィンセント・ギャロ)の助言者をハビエル・バルデムが演じる予定でしたが、コッポラは「脚本を何度も読み返して、この役は女の方が好奇心をそそる」と判断。急遽白羽の矢が立ったのが、なんとカルメン・マウラ。共演者はマリベル・ベルドゥ、ロドリーゴ・デ・ラ・セルナとソフィア・ガラ・カスティリオーネ、レティシア・ブレディセ、シルビア・ペレス。
コッポラの製作会社ゾエトロープによると、バルデムは事情を快く承諾、いずれコッポラと一緒に仕事をしようと円満に話は進んだそうです。
しかしコッポラの映画でカルメン・マウラを見られるとは。よくスケジュールが合ったもんだ。