去年他界したマイケル・クライトンの遺作『海賊地帯』 Pirate Latitudes の映画化権をスピルバーグ率いるドリームワークス社が購入。
舞台は1665年、ジャマイカの港町ポート・ロイヤル。当時世界で最も豊かな町として名高かった町。財宝を積んだスペインのガレオン船を襲う海賊の物語。とはいえ、ドリームワークス社のステイシー・スナイダーによると『パイレーツ・オブ・カリビアン』のようなファンタジックな話ではなく、「より現実に即した作品」になるだろうとのこと。
脚本は『ジュラシック・パーク』『ロスト・ワールド』のデヴィッド・コープ。執筆はこれから。撮影スケジュールも未定。製作はもちろんスピルバーグ。原作小説は今年の秋出版予定。
シュールレスリストがマルクス兄弟の映画を絶賛したのは周知の事実ですが、ハーポがダリを誘って1937年に映画シナリオを共同執筆していたとは知りませんでした。タイトルは『馬のヒレ肉サラダの中のキリン』 Jirafas en ensalada de lomos de caballo 。結局撮影には至らなかったものの、メモやデッサンの数々は残存。その一つが、ガラ=サルバドール・ダリ財団が最近購入した『超現実主義的なピアノ』 El piano surrealista (右の写真)。バシュ・アンプルダの町ラ・ペーラにあるダリのアトリエ、プボル城で9月30日まで公開、その後はフィゲーラスのダリ美術館で公開されます。
ストーリーについては「女二人と男一人の三角関係」と、ごく短い紹介しかされていませんが、こちらの記事によると、男はジミーという名のスペイン人で、リンダという裕福でスノッブな婚約がいるものの、ある晩〈超現実的な女〉と知り合い、泥沼の三角関係でもがく話だそうです。愛人ができた途端、シュールな出来事の数々がジミーを襲う。燃えさかるキリンが一斉に逃げだしたり(って、まるでティム・バートンの『マーズ・アタック!』のオープニングだ)。リンダのの友人たちはジミーの災難を〈超現実的な女〉のせいにし、最後は「現実と非現実の世界のどっちがより不条理かわからなくなる」とか。
ハーポはMGMにアイデアを売り込んだもののMGMは拒否したそうです。
60年代から70年代にかけて、映画・テレビ・舞台で大活躍した女優、マリ・カリーリョが7月31日マドリードで亡くなりました。享年89。
1919年10月14日トレド生まれ。映画ではマルコ・フェレーリ監督の『安アパート』 El Pisito 、ピラール・ミロ監督の『クエンカの犯罪』 El crimen de Cuenca 、マリオ・カムス監督の『蜂の巣』 La Colmena と『無垢なる聖者』 Los santos inocentes 、アルモドバル監督の『バチ当り修道院の最期』 Entre tinieblas などが有名。
『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』の原作者、エドワード・オールビーは彼女が主演したスペイン版の舞台の初日を観て心を奪われ、映画化の際には彼女と契約するようMGMを説得。しかし主役の座を射止めたのはメディア受けが良く英語が話せるエリザベス・テイラーでした。
10歳で舞台に立ち、1936年にオルテンシア・ヘラベール劇団でピラール・ミリャン・アストレイ作『佳人の誓い』 El juramento de la primorosa で正式に舞台デビュー。その後はペピータ・ディアス劇団で活動し、内戦勃発と同時にメキシコに逃れ、ウルタードと結婚。内戦終結後に帰国し、ガルドスの小説が原作のベニート・ペローホ監督作品『マリアネーラ』(1940年)でスクリーンデビュー。
マリア・バソーとニコラス・ナバーロ劇団、マリア・ゲレーロ劇団を経て、1948年に自身の劇団を創立。1980年にはマリオ・カムス演出によるテレビドラマ『フォルトゥナータとハシンタ』にバルバラ・アルナイス役で出演。
と、経歴や受賞歴が紹介されていますが、びっくりしたのは2000年からインターネットでチャットにハマっていたこと。娘さんたち(みんなコメディエンヌ)の助けを借りてネットサーフィンを楽しんでいたそうです。「もしキャリアを一からやり直すとしたら、インターネットは決定的になるでしょう」と、当時のインタビューで語っています。
生地トレドに彼女の名前を冠した「マリ・カリーリョ通り」があるとは知りませんでした。
バルセロナのエル・ペリオディコ紙より。
村上春樹が『1Q84』を書いたと思えば、ティム・ロビンスがオーウェルの『1984』を舞台化。自ら主宰する劇団アクターズ・ギャングの公演。ロビンスは出演せず演出に専念するそうです。
『カタロニア讃歌』の著者の作品だけにバルセロナ公演は特別な思い入れをありそう。台本はマイケル・ジーン・サリバン。マドリードの秋の芸術祭 Festival de Otoño、ビトリア演劇祭を経て、9月30日にバルセロナ公演開始(ポリオラマ劇場)。
4月3日のニュースなので旧聞に属しますが、2002年以来改修工事中のマドリードのコメディア座、リニューアルオープンは2011年秋の予定。ここを本拠地とするスペイン国立古典劇場(CNTC)はラバピエス地区のパボン座で活動中。
コメディア座は1875年9月アルフォンソ12世により創立。こけら落としはマヌエル・ブレトン・デ・ロス・エレーロス作『さらばマドリード』 Me voy de Madrid 。