舞台通信

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2012年7月22日(日)

文化予算削減をめぐる弁論
Alegatos contra los recortes

スペインの映画・演劇・美術・文学など文化の領域に関わる24人が政府が推し進める予算削減と付加価値税の増税に対してメッセージを公開しました。順番に氏名と職業、各自の主張をご紹介します。

番号氏名職業主張
1トリスタン・ウリョア俳優・41歳・失業中CULTURA=LIBERTAD SI LA CONVERTIMOS EN UN LUJO AMORDAZAMOS A NUESTROS HIJOS/文化=自由を贅沢品に変えてしまえば我々の子供たちを抑圧することになる
2クララ・サンチェス作家・57歳A LA MISERIA CULTURAL NO HAY QUIEN LA RESCATE/文化の困窮を救える者はいない
3ギリェルモ・ロガール俳優・25歳NO ME FÍO DE UN GOBIERNO QUE DESPRECIA LA CULTURA/文化を蔑む政府は信用できない
4ヘマ・デル・バリェレコードレーベル Subterfuge 社員・40歳EL 21% DE CERO ES...CERO/ゼロの21%は……ゼロ
5ラモン・マルティン音楽プロモーター52歳AYER, CULTURA ±PROTEGIDA HOY, CULTURA ARTICULO DE LUJO/昨日まで文化はだいたい保護されてきた、今日文化は奢侈品
6マルティン・リーバス俳優・27歳ESTO ES UN SUICIDIO PARA UN PAÍS Y ENCIMA LA CULTURA TIENE QUE PAGAR ENTIERRO/これは国にとって自殺行為、しかも埋葬料は文化が支払わなくてはならない
7フアナ・デ・アイスプール画廊経営者・72歳SI PIENSAN RECAUDAR MÁS, QUE EQUIVOCADOS ESTÁN/税収が増えると思ったら大間違い
8ジョー・オカーニンアルフィル劇場芸術監督¿Y CON LA SUBIDA DEL IVA NOS REGALAN EL KIT DE EUTANASIA?/付加価値税アップで僕たちに安楽死セットをプレゼントしてくれるの?
9マルタ・サンス作家・44歳LA CULTURA NO ES UN ARTÍCULO DE LUJO: MÁS INCULTOS, MÁS DÓCILES/文化は奢侈品ではない:教養がない人ほど素直に従いたがる
10ネストル・ロサンオペラ歌手・俳優・28歳Porque tras la desaparición de toda sociedad solo arte y cultura prevalecen COMIENZA LA NUEVA ERA/社会が全部消えたあとに存続するのは芸術と文化だけ 新たな時代が始まる
11イレーネ・エスコラール女優・23歳TODO LO QUE DEGRADA A LA CULTURA FACILITA EL CAMINO HACIA LA SERVIDUMBRE/文化を堕落させるものはすべて隷従への道を用意する
12マヌエル・グティエレス・アラゴン作家・映画監督・70歳RABIA CONTRA TRISTEZA/悲しみに対する怒り
13ロシーオ・レイ人文学士・23歳¿SE ACABÓ EL CINE PARA MÍ?/私にとって映画は終わってしまったの?
14エリアス・ケレヘータ映画製作者・77歳EL I.V.A. MATA AL SÉPTIMO ARTE/付加価値税は第七芸術を殺す
15ブランカ・ロサ・ロカロカ書店社長・55歳IVA 0 PARA TODOS LOS LIBROS/すべての本の付加価値税をゼロに
16フェリス・サブローソ映画監督・46歳UN GOBIERNO QUE NO PROTEGE LA CULTURA INVIERTE EN LA INFELICIDAD DE SU PUEBLO/文化を保護しない政府は国民の不幸に投資する
17ホルヘ・エラルデアナグラマ出版編集者・77歳GÖRING: "CUANDO OIGO LA PALABRA CULTURA SACO EL REVÓLVER" AQUÍ CON ESTE "GOBIERNO" BASTA LA ASFIXIA/ゲーリング「文化という言葉を聞くと私はリボルバーを引き抜く」 この国の政府なら窒息で充分
18アントニア・サン・フアン女優・興行主・51歳UNA MANERA DE FOMENTAR LA IGNORANCIA/無知を助長する方法の一つ
19フアン・マヌエル・バリェステール写真家・51歳ES MEJOR UN 8% DE ALGO QUE UN 21% DE NADA/無に対する21%よりいくらかに対する8%の方がまし
20アルムデーナ・グランデス作家・52歳LA CULTURA ES DIGNIDAD Y LIBERTAD ¡NO A LOS RECORTES! 文化は威厳と自由 予算削減反対!
21リュイス・ミゲル・セギー俳優・製作者・39歳EL GOBIERNO REMATA LA CULTURA SIN COMPASIÓN COMO A UN TORO EN UNA PLAZA/政府は闘牛場の牛のように無慈悲に文化にとどめを刺す
22カルロス・バルデム俳優・49歳NO QUIEREN CULTURA PORQUE NO QUIEREN CIUDADANOS LIBRES SINO SÚBDITOS NO A LA ACULTURACIÓN MAS IVA/自由な市民ではなく臣民がほしいから文化を切り捨てる 付加価値税による文化摂取に反対
23エルビラ・ミグノーニ画廊経営者・48歳Nos Resta Competitividad/競争力が奪われる
24アイトール・テハーダカミカゼ・プロドゥクシオネス演劇制作者・51歳UN PAÍS SIN CULTURA ES UN PAÍS SIN IDENTIDAD/文化のない国はアイデンティティーのない国

2012年7月15日(日)

付加価値税21%に引上げ 9月1日から
¿Cuánto nos costará ir al cine, al teatro o a un museo?

財政難のスペインが9月1日から付加価値税を増税します。文化の領域で増税を免れるのは書籍・新聞・雑誌だけ。ただし電子書籍は現行の18%から21%に引上げられます。

分野現行増税後備考
映画8%21%全国平均6.6ユーロ(約640円)が平均7.3ユーロ(約708円)に
演劇8%21%全国平均25ユーロ(約2425円)が最大30ユーロ(約2910円)に
美術館・画廊・図書館・資料館8%21%プラド美術館<王妃ソフィア芸術センターなどの国立美術館は無税
闘牛18%21%ノビリャーダ(若牛の闘牛)は8%→10%に
CD・DVD18%21% 
美術品購入8%21% 
出演料8%21%個人名義のアーティスト

2012年7月4日(水)

ヌリア・エスペル出演のオペラ『アイナダマル』でシーズン閉幕 レアル劇場
Nuria Espert cierra la temporada del Teatro Real con 'Ainadamar'

マドリードのレアル劇場 Teatro Real の今シーズン最終作はフェデリコ・ガルシーア・ロルカをモチーフにしたオペラ『アイナダマル』 Ainadamar―――アラビア語で〈涙の泉〉―――。7月2日から8日まで十回公演。作曲はアルゼンチンのオスバルド・ゴリホフ。ヌリア・エスペルの出演が決まり、ロルカの『タマリット詩集』から九篇を朗読します。本作は2005年にニューメキシコ州のサンタ・フェ・オペラで上演されたバージョンで、2007年にグラミー賞二部門を受賞。演出はピーター・セラーズ。台本は David Henry Hwang(黃哲倫)。

ピーター・セラーズとヌリア・エスペルの出会いは昨年1月。セラーズがレアル劇場の『イオランタ/ペルセポネー』 Iolanta/Persépone の稽古でマドリードに滞在した折エスペルの知遇を得て意気投合、『アイナダマル』マドリード公演への出演が決定しました。セラーズは80年代にビクトル・ガルシア演出の『イェルマ』アメリカ公演でヌリアの演技に衝撃を受け、本作の製作で彼女にオマージュを捧げることになりました。本作にはエスペルが登場人物として出てくるのですが、実際に彼女を演じるのはカタルーニャ人ソプラノ歌手ヌリア・リアル。マルガリータ・シルグ役はソプラノ歌手ジェシカ・リベラ。