『それでも恋するバルセロナ』でハビエル・バルデムとペネロペ・クルスを起用したウディ・アレン。次回作にいよいよアントニオ・バンデラスが出演決定。共演はナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、アンソニー・ホプキンス、フレイダ・ピント。タイトルは未定。
製作はメディアプロ Mediapro。撮影は夏にロンドンで。メディアプロはアレンの新作三本を契約済みで、これが第一作になります。
バンデラスってアメリカでは台詞が少ないマッチョな役が多かったけれど、内省的な人物を演じるのがとてもうまい(アルモドバル作品で一目瞭然)。大いに期待してます。
去年の3月14日、撮影開始のニュースを紹介したアレハンドロ・アメナーバルの新作『アゴラ』 Ágora。ついに映像が公開されました。
舞台は四世紀、ローマ支配下のアレキサンドリア。主人公はアレキサンドリア図書館を死守する西欧初の女性哲学者にして数学者のヒュパティア。レイチェル・ワイズが演じます。
『アザーズ』同様、セリフは全編英語。撮影はマルタ島で15週間かけて行われました。制作費の88%はスペインのテレビ局テレシンコ Telecinco が負担。残りはフェルナンド・ボバイラ(モド・プロドュクシオネス社)とアレハンドロ・アメナーバル、そしてスペインのカナルプルス Canal+。テレシンコのパオロ・バシレ専務取締役によると、最終的な予算はヨーロッパ映画史上最大規模になるとか。
数日以内にカンヌとヴェネチアの映画祭関係者が正式出品作品とするかどうか決めるそうです。
アカデミー賞最優秀助演女優賞は下馬評どおり、ウディ・アレン監督『それでも恋するバルセロナ』のペネロペ・クルス。スペイン人女優が遂にオスカーを手に入れました。
リンク先はスペインのYahoo!。受賞スピーチの動画が公開されています。内容を訳しておきます。
「45秒で話をまとめるなんて無理です。これだけははっきり言えます。ここで気絶した人って今までいたのかしら?きっと私が最初でしょうね。アカデミーの皆さんに感謝します。この賞はノミネートされた皆さん、そして今回の映画で共演させていただいた見事な出演者の皆さんと分かち合いたいです。ウディ、私を信頼して美しいキャラクターを演じさせてくれてありがとう。この数年間すばらしい女性像を書いてくれてありがとう。女性のキャラクターといえば友人ペドロ・アルモドバルに感謝しないわけにはいきません。彼の冒険の一員にしてくれて感謝しています(客席拍手)。初期の出演作でお世話になったビガス・ルナ、フェルナンド・トゥルエバ、ありがとう。ハーヴェイ・ワインスタイン、ありがとう。両親、兄、妹、そしてもう一緒にいられない友人のロバート・カルロ、最初からずっと私を助けてくれたみんな、名前をいちいち挙げませんが誰のことかはわかってくれるでしょう、みんなとこの賞を分かち合いたいです。心から感謝します。
私が育ったのはアルコベンダスという町で、こんな賞を頂けるなんてとても現実とは思えない夢でした。アカデミー賞授賞式の夜はいつも夜更かししてテレビを見たものです。見る度にいつも、この授賞式は世界が一つにまとまる瞬間だと感じていました。どんな形態であれ芸術は過去においても現在も、そして未来においても常に普遍的な言語であり、私たちは芸術が生きながらえるために出来る限りのことを…出来る限りのことを…するべきです。本当にありがとうございました。スペイン語でもひとこと述べなくては。[以下スペイン語]スペインにいる皆さん、みんな私と一緒にこの瞬間を共有しています。この賞はみなさんのものでもあると感じてほしい。みなさんに、そして私の国の俳優全員にこの賞を捧げます。本当にありがとうございました」
金熊賞はペルー人監督クラウディア・ジョサ Claudia Llosa (マリオ・バルガス=リョサの姪)のスペイン=ペルー合作映画『悲しみの乳』 La teta asustada。原題は直訳すると「怯えた乳」とか「脅かされて恐怖におののく乳」って感じ。邦題は英語タイトル「ザ・ミルク・オブ・ソロー」The Milk of Sorrow を訳したのでしょう。ストーリーは20世紀末、紛争の最中レイプされた女たちが育てた子供のトラウマを描いているそうです。
最優秀新人監督賞はアドリアン・ビニエス Adrián Biniez の『ヒガンテ』 Gigante。日本の報道では〈ギガンテ〉になってるけど、ヒガンテだよ発音は。意味は巨人。ビニエスはブエノスアイレス生まれでモンテビデオ(ウルグアイ)在住だそうです。清掃係の女に惚れた大型スーパーの警備員がビデオカメラで女を隠し撮りし、店の外でも追い続ける話だそうで。しかも銀熊賞審査員グランプリ部門もマレン・アデ監督の『そのほかすべて』 Alle Anderen とダブル受賞。
そんなわけで、スペイン語圏大健闘です。審査委員にはスペインのイザベル・クシェット監督も参加。審査委員長はスコットランド出身の女優ティルダ・スウィントン。
米『バラエティ』誌の記事をEFE通信社が配信、メキシコの新聞エル・ウニベルサルに掲載された記事です。
マーティン・スコセッシ監督の次回作『沈黙』 Silence。遠藤周作の同名小説の映画化ですが、主役三人にダニエル・デイ・ルイス、ベニチオ・デル・トロ、ガエル・ガルシア・ベルナルと交渉中。
で、どこでロケをするのかと思ったら、ニュージーランド。たしか『ラストサムライ』もニュージーランドでした。撮影は年末に開始予定。脚本は『ギャング・オブ・ニューヨーク』のジェイ・コックス。
スペイン版アカデミー賞、第23回ゴヤ賞が日に発表されました。7部門でノミネートされたハビエル・フェセール監督の『カミーノ(道)』 Camino が6部門で受賞(作品賞・監督賞・主演女優賞・オリジナル脚本賞・助演男優賞・新人女優賞)。オプス・デイ信者の家族に生まれ厳格で非寛容的な教育を受ける少女の苦悩を描いた作品だそうです。
(短編の奇才フェセールが長編で受賞とは驚いた。長編『ミラクル・ペティント』は一部のマニア向けだったし。今回は実話――オプス・デイ信者の家族に厳格な教育を受け14歳で病死した少女アレクシア・ゴンサレス=バリオスの生涯――だったのが幸いしたのかな?)
15部門ノミネートの『盲目のひまわり』 Los girasoles ciegos は脚色賞(ホセ・ルイス・クエルダと故ラフェアル・アスコーナ)、11部門ノミネートの『歩きたい、ただそれだけ』 Sólo quiero caminar は撮影賞(パコ・フェメニア)と、どちらも1部門のみ。
助演女優賞は下馬評通り『それでも恋するバルセロナ』 Vicky Cristina Barcelona のペネロペ・クルス。主演男優賞も予想通り『Cheチェ 28歳の革命』Che, el argentino のベニチオ・デル・トロ。
今年のサプライズは新人監督サンティアゴ・A・サンノウ Santiago A. Zannou。『不具者のトリック』 El truco del manco がノミネート3部門(新人監督賞・オリジナル歌曲賞・新人男優賞)を全部かっさらいました。
記事の左に全受賞者リストがあります。
部門 | 受賞者 | 作品 |
---|---|---|
作品賞 | 『カミーノ(道)』 | |
監督賞 | ハビエル・フェセール | カミーノ |
主演男優賞 | ベニチオ・デル・トロ | チェ |
主演女優賞 | カルメン・エリーアス | カミーノ |
助演男優賞 | ジョルディ・ダウデル | カミーノ |
助演女優賞 | ペネロペ・クルス | それでも恋するバルセロナ |
新人男優賞 | フアン・マヌエル・モンテーリャ〝ランギ〟 | 不具者のトリック |
新人女優賞 | ネレア・カマチョ | カミーノ |
新人監督賞 | サンティアゴ・A・サンノウ | 不具者のトリック |
ヨーロッパ映画賞 | 『4ヶ月、3週と2日』 | |
スペイン語圏映画賞 | 『良き人生』 La buena vida アンドレス・ウッド監督/チリ | |
オリジナル脚本賞 | ハビエル・フェセール | カミーノ |
脚色賞 | ラファエル・アスコーナとホセ・ルイス・クエルダ | 盲目のひまわり |
長編ドキュメンタリー賞 | 『ブカレスト | 失われた記憶』 Bucarest, la memoria perdida |
短編ドキュメンタリー賞 | 『ヒーロー | 飛ぶのに翼はいらない』 Héroes. No hacen falta alas para volar |
編集賞 | アレハンドロ・ラサロ | オックスフォード連続殺人 |
撮影賞 | パコ・フェメニア | 歩きたい、ただそれだけ |
オリジナル作曲賞 | ロケ・バニョス | オックスフォード連続殺人 |
オリジナル歌曲賞 | 「手探りで」 A tientas | 不具者のトリック |
美術賞 | アンチョン・ゴメス | Cheチェ 28歳の革命 |
衣裳デザイン賞 | ララ・ウエテ | エル・グレコ |
メイクアップ&ヘアスタイル賞 | ホセ・ケグラースとニエベス・サンチェス | モルタデーロ&フィレモン/地球を救え |
音響効果賞 | ダニエル・デ・サヤス、ホルヘ・マルティン、マイテ・リベラ | 3日 |
製作監督賞 | ロサ・ロメーロ | オックスフォード連続殺人 |
特殊効果賞 | ラウル・ロマニーリョス、パウ・コスタ、ペペ・ケグラス、エドゥアルド・ディアス、アレクス・グラウ、チェマ・レマーチャ | モルタデーロ&フィレモン/地球を救え |
長編アニメーション賞 | 迷子になったオオヤマネコ El lince perdido | |
短編映画賞 | 『ミエンテ』 Miente | イサベル・デ・オカンポ監督 |
短編アニメーション賞 | 『影のない男の数奇な物語』 La increíble historia del hombre sin sombra | ホセ・エステバン・アレンダ監督 |
名誉ゴヤ賞 | ヘスス・フランコ |