舞台通信

 help

2011年1月30日(日)

フアン・ラモン・ヒメネスの生家、博物館としてオープン
Huelva Información - La casa natal de Juan Ramón abre sus puertas reconvertida en...

1881年12月23日ウエルバ県モゲール町のリベーラ通りに生まれた詩人フアン・ラモン・ヒメネスの生家が全面改修工事を終え、生家博物館(casa museo)として生まれ変わり、きのう開館記念式典が催されました。ヒメネスの記念館は既にヌエバ通りにセノビア=フアン・ラモン記念館(casa museo Zenobia-Juan Ramón)があり、今回の生家博物館は差別化を図るため、フアン・ラモン本人よりはむしろ家族に焦点を当てた記念品を中心に展示し、既存の記念館の補完的な役割を果たすのが狙いだそうです。

一階には父エウスタキオ・ヒメネスの書斎を再現。父はこの書斎から、フアン・ラモンの叔父らが生産したモゲール産最高級ワインの商品化と物流を指揮。中庭には児童用図書館とトイ・ライブラリー(ludoteca)を設置。二階には生涯の伴侶セノビア・カンプルビーにまつわる写真や遺品。甥で遺言執行人のフランシスコ・エルナンデス=ピンソンのコーナーも。

2011年1月29日(土)

70歳プラシド・ドミンゴ、男泣き
Plácido Domingo entra en los 70

2011年1月21日午後10時、プラシド・ドミンゴが古希を迎えました。その瞬間を祝おうとマドリードの王立劇場(テアトロ・レアル)にソフィア王妃をはじめ友人知己、音楽仲間が勢揃い。もちろんドミンゴ自身も。セレモニーのオープニングを飾ったのは中国人作曲家譚盾(タン・ドゥン)がドミンゴのために作曲した「ハッピー・バースデイ」。歌はテレサ・ベルガンサ。

記事の写真に見られるとおり、劇場のファサード上方には巨大スクリーンを設置、広場に集まった市民も式典の様子をリアルタイムで鑑賞。ドミンゴはロイヤル・ボックスでソフィア王妃と鑑賞。

ヴェルディ、レオンカヴァロ、プッチーニ、ジョルダーノ、ワーグナー、リヒャルト・シュトラウス、ビゼーのアリアが二時間半以上続くなか、オールスタンディングの聴衆は「ブラーボ!」と叫びながら眼はロイヤル・ボックスに釘付け。

熱狂は最高潮に達したのは黒いドレスに真っ赤なガウンをまとったテレサ・ベルガンサが登場したとき。「親愛なるプラシドへ」とスピーチを始めたベルガンサ。「ここで私は『椿姫』を歌うことになっていました、でも、遅すぎた(è tardi)、とヴィオレッタなら言うでしょう、何から何まで遅すぎました(è tardi)。私を殺す前にあなたが何度も言ってくれたように、ジュ・テーム(Je t'aime)。愛しています、いい男であるあなたを、歌がうまいあなたを、そして偉大な人であるあなたを」。ベルガンサはスピーチのなかで、死の床にあったアルフレード・クラウスの最後の数週間をドミンゴが見舞ったこと、病床にあったホセ・カレーラスを支えたことを紹介、ドミンゴが「細やかな心配りの人」で「最上の友人であり父親であり仲間」であることを強調しました。

そしてベルガンサは第一バイオリンに「ミ」の音を出すよう指示。何かと思ったら、ケネディ大統領にあの感動的な「ハッピー・バースデイ」を歌って捧げたマリリン・モンローを真似て「ハッピー・バースデイ」を歌い出しました。

歌い終わったベルガンサはロイヤル・ボックスのドミンゴに舞台に降りてくるよう懇願。1931年1月21日午後10時にマドリードのイビサ通り30番地に生まれたドミンゴがロイヤル・ボックスからステージに向かうあいだ、舞台では幼いころのドミンゴが母ペピータ・エンビルと一緒に歌う様子などがビデオで紹介されました。

ビデオ上映が終わった直後、ステージに現われたドミンゴは男泣き。タン・ドゥンに感謝し、「私がマドリードに生まれたのは神様の思し召し」(soy madrileño porque Dios ha querido que yo lo sea)と述べ、歌手全員を抱擁し、一同は「クンプレアニョス・フェリス」(スペイン語版ハッピー・バースデイ)の大合唱で応えました。

式次第についてドミンゴは事前に何も知りたがらなかったそうです。

2011年1月24日(月)

スーパー判事ガルソン THE MOVIE
Garzón la película

今年のベルリン国際映画祭のプレミアとしてバルタサール・ガルソン判事のインタビュー映画が上演されます。監督はイザベル・クシェット、タイトルは『ガルソン判事の話を聞く』 Escuchando al juez Garzón。公私にわたる話を作家マヌエル・リーバスが聞くという体裁。

ルス・カサル「今日は特別な日」 ステージに復帰
Luz Casal regresa a los escenarios: 'Hoy es un día muy especial para mí'

二度目の乳癌治療のため活動休止中だった歌手ルス・カサルが復帰、セゴビアのフアン・ブラーボ劇場でライブを行いました。最新アルバム『ラ・パシオン(情熱)』 La pasión ツアー真っ最中の昨年5月に二度目の手術を受け、待望の復帰を遂げました。「言うまでもないことだけど、言います……今日は私たちにとって、私にとって、とても特別な日です」(De sobra está decirlo pero lo voy a hacer, en fin, hoy es un día muy especial para nosotros, para mí…)と涙を堪えて聴衆に挨拶。2月4日にはマドリード・アレーナ Madrid Arena で「世界対がんデー」のチャリテー・コンサートに出演予定。

2011年1月13日(木)

アメナーバルと『アザーズ』、〈ゼロ年代〉のスペイン映画観客動員数トップ
Amenábar y 'Los Otros', lo más taquillero de la década. europapress.es

スペイン映画アカデミーが発表した報告書によると、2001年から2010年までの十年間、いわゆる〈ゼロ年代〉で最も集客力があったスペイン映画はアルハンドロ・アメナーバル監督の『アザーズ』 Los otros で観客動員数640万人、興収は2720万ユーロ(約30億円)。二位はサンティアゴ・セグーラの『トレンテ2: ミッション・イン・マルベーリャ』 Torrente 2: Misión en Marbella で観客動員数520万人、興収2200万ユーロ(約24億円)、三位はハビエル・フェセールの『モルタデーロとフィレモンの大冒険』 La gran aventura de Mortadelo y Filemón で動員数490万人、興収2280万ユーロ(約24億8千万円)。四位はフアン・アントニオ・バヨーナ監督の『孤児院』 El Orfanato で動員数450万人、興収2500万ユーロ(約27億円)。五位はアメナーバルの『海を飛ぶ夢』 Mar adentro で動員数400万人、興収2070万ユーロ(約22億5千万円)。六位もアメナーバルの新作『アゴラ』 Agora で動員数370万人、興収2130万ユーロ(約23億2千万円)。

アメナーバルは『アザーズ』『海を飛ぶ夢』『アゴラ』の三本で1420万人を動員しぶっちぎりのトップ。二位はサンティアゴ・セグーラ、三位はハビエル・フェセール、四位は『バッド・エデュケーション』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』『抱擁のかけら』のペドロ・アルモドバル。

2011年1月8日(土)

アルモドバルの新作『私がまとう皮膚』、九月公開
Almódovar estrenará 'La piel que habito' en septiembre. El Correo

アルモドバルの新作『私がまとう皮膚』 La piel que habito の公開が2011年9月に決定。きのうアルモドバル自身が語ったところによれば撮影は終了しポストプロダクションの真っ最中。「フィルム・ノワール調だったりSFだったりホラーだったりする密度の濃いドラマ」になるそうです。

アルス・ジュグラース、トリシクラ、ヌリア・エスペル アリカンテ・プリンシパル劇場の新シーズン
Els Joglars, Tricicle, Nuria Espert y dos estrenos nacionales en el Principal - Informacion.es

バレンシア州アリカンテ市のプリンシパル劇場が今年2月から6月までのラインナップを発表。財政危機に発する予算カットの只中にあって料金は据え置き。「バレンシア自治州最高のプログラム。この時代状況では困難とも言える内容」とミゲル・バロール文化担当官が自画自賛。プログラムとは別に来週13日(木)に歌手カルメン・リナーレスが詩人ミゲル・エルナンデスに捧げるオマージュ『開かれたオアシス』 Oasis abierto を披露、アリカンテ市役所の元文化担当官ホセ・アントニオ・マルティネス・ベルニコラと先頃他界した歌手エンリケ・モレンテの追悼を兼ねます。

演劇作品は全16作、中でも注目は創立五十周年のアルス・ジュグラース(エルス・ジョグラルス) Els Joglars が2月に行う『2036 Omenaje』と題した〈反=オマージュ〉。スペイン国立古典劇団によるカルデロン作『サラメアの村長』 El alcalde de Zalamea、ピランデッロの『作者を探す六人の登場人物』を翻案したミゲル・デル・アルコ&アイトール・テハーダ作『上演予定』 La función por hacer――マックス演劇賞最有力候補作――、結成三十一年のコメディアン三人組トリシクラも『ガリック』 Garrick で2008年以来再登場。

4月にはサンティアゴ・ラモス主演の『判事の祭』 La fiesta de los jueces、ジャン・ジュネ作、ミゲル・ナロス演出『黒ん坊たち』 Los negros、5月にはヌリア・エスペル主演、シェイクスピア作『ルークリースの陵辱』 La violación de Lucrecia、マリーア・ルイサ・メルロとミリアム・ディアス=アロカ主演の喜劇『100m2』、ヤスミナ・レザの大ヒット作『アート』 Art、『時間とコンウェイ一家』 El tiempo y los Conwayなど。

舞踊ではアントニオ・ガデス舞踊団『フエンテオベフーナ』 Fuenteovejuna、フリオ・ボッカのアルゼンチン・バレエなど。

2011年1月2日(日)

ウナムーノ没後七十五周年、デッサン展を開催
El Unamuno dibujante centrará los 75 años de la muerte del rector

ミゲル・デ・ウナムーノがこの世を去ったのは1936年12月31日。毎年大晦日には、晩年を過ごしたサラマンカ市ボルダドーレス通りの家の前にある銅像にサラマンカ大学長や市長が集まり献花します。三日前の大晦日も没後七十四周年を記念して例年通り式典が行われました。

今年は没後七十五周年。いろんな記念行事が予定されるなか、今年はウナムーノが描いたデッサンを集めた画集をサラマンカ大学が刊行、併せて今月中にデッサン展を開催。