雨もよひの空なり。連日寒きこと冬の如し。閏日。所得稅還付金を得る。自民黨國會議員は自らの不正蓄財を還付金と稱す。惡事身に返るべし。時事通信の記事にコロラド州メーン州に次いでイリノイ州もトランプの大統領選擧立候補資格を認めず。夕刻大谷翔平結婚の報道あり。余は家族が俗惡なる寫眞記者につけ囘さるゝことなきを冀ふのみ。
蚤起。隂。風漸く息む。大谷翔平ホワイトソックスとのオープン戰第三打席に左翼二點本壘打を放てり。平凡社ライブラリーの中村元著釈尊の生涯を讀む。夕餉に菜花ベーコンのスパゲティ章魚胡瓜のサラド自家製牛乳寒天を食す。文化廳藝術選奬文部科學大臣賞と同新人賞を發表す。桂小すみとねづっち大衆藝能部門新人賞受賞。慶賀すべし。
快晴の空拭ふが如し。十時半を過ても慈君起出でざれは朝餉を用意す。獻立は燒麵麭パストラミ燻腿鮪サラド糵ブロッコリー蕃茄地中海ヨーグルト紅茶なり。凡て慈君が調理濟みのものを余は皿に盛るのみ。僅五分にて食卓とゝのひ慈君も起出でらる。NHK-FM浪曲十八番NHK-FM邦樂のひとゝき小唄篇に篠登喜の黑木賣、寢ながらに、いざゝらば、土川きくの木枯しさん、置炬燵、隅田川、松峰照の七福神、桂川、酒がいはせる、春おぼろを聽く。夕刻鄰市の公民館に徃くに受付前の臺に雛人形飾りたり。門前の運動塲に高校生と覺しき男子二人寒風をいとはず籠球の練習をなす。烈風夜に入るも歇まず。
空は好く晴れしが西北の風吹きすさみて寒し。東京かわら版三月號に落語協會新眞打林家つる子三遊亭わん丈の取材記事、渡邉寧久の林家正樂追悼記事を讀む。何故にや表紙の意匠變りて誌名橫書となる。縱長の雜誌なれば從前通り縱書が宜しかるべし。大相撲三月塲所番附發表。朝乃山前頭筆頭。大の里十枚上りて五枚目。今年四十歲の玉鷲七枚目驚くの外なし。曾て幕内にて八面六臂の活躍をなせし炎鵬序二段五十四枚目。嗚呼。母上は十兩の時疾風朝紅龍に注目せらる。
寒雨蕭蕭。NHKラヂオ第一ラヂオ深夜便話藝百選にタブレット純の漫談と桂小すみの音曲を聞く。中川緑アナウンサアの談に小すみの小は師匠小文治、すみは玉川スミより命名したりといふ。BS-TBS落語硏究會に柳家小せんの三人無筆と柳家權太樓の二番煎じを聞く。收錄日は小せんが昨年二月二十四日第六百五十六囘落語硏究會、權太樓は同年一月二十五日第六百五十五囘なり。文化放送志の輔ラヂオ落語DEデートに桂米朝の鹿政談を聞く。音源は昭和五十二年七月十六日大阪サンケイホールなり。ABCラヂオ日曜落語なみはや亭に三代目桂春團治の代書屋を聞く。音源は昭和六十三年二月二十二日國立文樂劇塲なり。Eテレ日本の話藝に桂小文治の宮戶川を聞く。この噺は古今亭右朝に敎はりしと云ふ。夕餉に冷凍の若鷄龍田揚をあたゝめ副菜に甘藍人參韮を炒める。調味は大蒜生姜のすり下しと鹽山椒なり。この獻立は三十年以上前に購ひし主婦と生活社の基本お料理上手になる本にて學びたり。中京テレビ笑點に宮川大助花子の漫才を聞く。同番組出演六年ぶりなり。會塲岡山縣藝術創造劇塲。兩名板つきにて癌治療中の花子車椅子にすわり大助も鄰のパイプ椅子にこしかけて鬪病の顚末を語る。二人は同縣の後樂園にて相識りしと云ふ。幸にして毒舌健在なり。
蚤起。晴。TBCラヂオ魅知國寄席に春風亭柏枝の禁酒番屋を聞く。ABCラヂオ日曜落語なみはや亭に笑福亭銀瓶のちりとてちんと桂梅團治のSL銀河の夜を聞く。音源は前者が正月元日喜樂館晝席新春特別公演、後者は昨年八月七日同席鐵道ウィークなり。NHKラヂオ第一NEXT名人寄席に立川志ら門の安兵衞狐、トニーフランクのギター漫談、神田真紅の松林伯知傳より歌吉心中を聞く。國會圖書館デジタルコレクションに佐治芳彦著漂泊の民山窩の謎 日本のジプシー 忍者カムイ・出雲の阿国(新国民社、昭和五十七年)を讀む。三重テレビ淺草お茶の間寄席に林家はな平の洒落番頭、柳家小春の粋曲、春風亭昇吉の安いお店を聞く。
四時睡より覺め五時起出づ。寒雨霏霏。寒冷冬の如し。天皇誕生日。六十四年の誕辰なり。AutoHotkeyスクリプトを改良す。自民黨といふ無法者の集團巨額脫稅して恬然として愧ぢず。宮城野部屋の北青鵬暴力發覺して引退、親方は監督不行屆きの廉にて年寄に降格す。アシェット・コレクションズ・ジャパンの昭和落語名演祕藏音源CDコレクション創刊號に古今亭志ん朝の明烏と富久を聞く。音源は前者が昭和三十七年三月二十四日鈴本演藝塲眞打披露興行、後者は收錄日塲所不明、昭和三十三年十二月二十七日ニッポン放送演藝くらぶなり。
雨。後に歇みしが陰雲散ぜず。山本陽子急逝の報に接す。享年八十一。余曾て同じ卓にて會食せしことありしを思出しぬ。二〇一〇年三月十四日グランドプリンスホテル赤坂にて催されし小島章司の古稀を祝ふ會なり。山本氏の發聲にて一同乾杯せり。指を屈するに十四年前のことなり。BS-TBS落語硏究會に柳家喬太郎の按摩の炬燵を聞く。膝の痛み荏苒たりとて相引に腰かけ釋臺を据えて語りたり。余は八代目桂文樂の外この噺を聞は初てなり。昨年二月二十四日第六百五十六囘落語硏究會にて收錄。百圓商店セリアにてポイントマグネットといふ磁石式栞六點揃ひを購ふ。意匠ウイリアムス・モリス。廉價驚くの外なし。
雨霏霏たり。氣溫十一度に下る。岩波文庫の中村元譯仏弟子の告白を讀む。園丁來りて雨中庭樹の刈込をなす。
蚤起。濃霧濛濛、殆咫尺を辨せず。正午氣溫二十一度に達す。
雨。NHK-FM邦樂のひとゝきに宇治はるきぬの一中節松の羽衣を聽く。つゞけてNHK-FM浪曲十八番に天中軒月子の大石東下りを聽く。曲師伊丹明、民謠井上朋子。午後主治醫を訪ひ藥を乞ふ。レキサルティといふ藥を二週間服して效驗ありと覺しく、超級市塲の店内背景音樂また宣傳音聲のけたゝましさ稍輕減せらる。氣溫は終日攝氏十四度なれど風雨烈しく思の外寒し。夕餉にらーめん山頭火の旭川とんこつ鹽を食す。岩波文庫のワールポラ・ラーフラ著今枝由郎譯ブッダが説いたことを讀む。
すべての悪の根源は無知であり、誤解である。
ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』
今枝由郎譯、岩波文庫、二〇一六年、三十頁
蚤起。濃霧濛濛、殆咫尺を辨せず。正午氣溫二十一度に達す。
[十九日記す]雨もよひの空なり。溫暖頭痛を覺るばかりなり。NHKラヂオ第一ラヂオ深夜便話藝百選に初代古今亭志ん五の火焰太鼓を聞く。音源は二〇〇八年九月一五日ラヂオ第一眞打ち競演なり。NHK總合林家正藏の演藝圖鑑に林家正樂の紙切り(梅に鶯、野球選手、辰年)を見て追善し笑福亭鶴光の手水廻しを聞く。文化放送志の輔ラヂオ落語DEデートに六代目春風亭柳橋の夢金を聞く。音源は昭和三十九年一月三十一日東寶演藝塲なり。ABCラヂオ日曜落語なみはや亭に古今亭志ん朝のたがやを聞く。音源は昭和四十七年五月九日道頓堀角座なり。
[十九日記す]隂。頭痛みて心地すぐれず。NHKラヂオ第一關西發ラヂオ深夜便上方落語を樂しむに桂慶治朗のみかん屋と桂そうばの十德を聞く。前者二〇一九年四月四日、後者二〇一六年四月七日收錄。NHKラヂオ第一眞打競演に宮田陽昇の漫才、のだゆきの樂器演奏、柳家三三の狸賽を聞く。先週九日福島縣富岡町文化交流センター學びの森にて收錄。スイスフレックスの中近兩用眼鏡を購ふ。NHKラヂオ第一上方演藝會に宮川大助花子の漫才お年寄りバンザイ(高見孔二作)を聞く。花子の発病以来五年ぶりの出演なり。三重テレビ淺草お茶の間寄席に柳亭こみちの台所の隅、隅田川馬石の豆や、柳家小ゑんのほつとけない娘を聞く。
[十九日記す]母上と朝餉をなしつゝ窗外を見やるにヴェランダに繡眼兒二羽來れり。プーチン入獄中のナワリヌイを暗殺す。天罰下るべし。
[十九日記す]雨もよひなり。體溫平生に復す。小學館ライブラリーの中村元三枝充悳共著バウッダを讀む。
[十九日記す]連日快晴。岩波現代文庫の中村元著原始仏典を読むを讀む。午後俄に上半身の筋肉痛みて指先の冷なること氷の如し。體溫三十八度に近し。早々寢に就く。
[十九日記す]快晴。岩波文庫の中村元譯ブッダ最後の旅を讀む。
[十九日記す]快晴。建國記念の日振替休日。朝日新書の高橋源一郞著一億三千万人のための『歎異抄』を讀む。卷末の解說は不要なり。
[十九日記す]天氣連日限りなく佳し。NHK總合林家正藏の演藝圖鑑に柳家さん喬のそば淸を聞く。文化放送志の輔ラヂオ落語DEデートに桂枝雀の代書を聞く。音源は昭和五十六年十月一日大阪サンケイホール枝雀十八番なり。Eテレ日本の話藝に三遊亭歌武藏の子ほめを聞く。昨年十月二十二日收錄。中京テレビ笑點にギャロップの漫才味覺を聞く。岩波文庫の中村元譯ブッダ 悪魔との対話を讀む。
[十九日記す]快晴。春の日晴れてのどかなり。春風亭小柳枝歿。享年八十八。悲しい哉。小澤征爾歿。享年同じく八十八。NHKラヂオ第一眞打競演に立川小春志の眞田小僧、玉川太福の祐子のスマホ(曲師玉川みね子)、五街道雲助のお見立てを聞く。一月二十七日茨城縣日立市民會館にて收錄。三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭圓馬の代書屋、ぴろきのウクレヽ漫談、桂歌春の强情灸を聞く。
[十九日記す]蚤起。晴。朝餉の前に慈君とあぐりん村に徃き柑橘甘夏淸見せとか、北海道產赤鰈、島根產蜆など購ふ。午後讀書。自民黨議員百名近く公金橫領と脫稅發覺す。無法者の集團なり。
[十九日記す]惡夢に襲はる。晴天。朝餉をなしつゝ窗外欅の枝に河原鶸と繡眼兒の群戲るゝを見る。
[十九日記す]折疊み書見臺破損す。岩波文庫の井筒俊彦著イスラーム文化 その根柢にあるものを讀む。
[十九日記す]中近兩用の眼鏡を注文す。岩波文庫の中村元訳ブッダの真理のことば 感興のことばを讀む。
[十九日記す]寒雨霏〻たり。D君の朝餉を食して直に名古屋へ出張するを見送る。D君玄關にて母上と余と握手を交す。午前百貨店内の理髮舖に徃く。店内模樣替の最中なり。午後主治醫を訪ひ藥を乞ふ。聽覺過敏の相談をなす。テレヴィ放送の音聲また超級市塲藥局などの店内背景音樂音量の大小にかゝはらず頭痛を催すばかりにて、入店する塲合は耳栓を裝着し、母上の買物に同行するときは駐車塲に自動車をとめ車内に待機せずんばあらざるなり。醫師レキサルティといふ藥を處方せらる。
[十九日記す]晴。文化放送志の輔ラヂオ落語DEデートに三遊亭圓生の雁風呂を聞く。音源は昭和三十三年十一月六日TBSラヂオお好み寄席なり。午後臥牀に在りてEテレ日本の話藝に瀧川鯉昇の宿屋の富を聞く。舊臘六日町田市民ホールにて收錄。頭痛少しく痊ゆ。晡時甥D君大阪より來宅。明日名古屋出張なりとて前日に泊りに來りしなり。
[十九日記す]快晴。寒氣ゆるやかなり。頭痛と胃痛に苦しむ。臥蓐にありて岩波文庫の中村元譯ブッダの感興のことばを讀む。夕餉に惠方卷を食す。
[十九日記す]頭痛岑々然たり。胃また痛む。
舊十二月二十二日。曇りて暖氣四月の如し。頭痛。何事をもなす能はず。