朝來西北の風吹きすさめども、空は晴れ渡りて溫暖例ならず。長久手溫泉ござらつせに浴す。二週間振りの入浴なり。聯載の筆進まず網上漫遊徒に日を送るのみ。
暖。終日臥褥に在り。夜雨。風なし。廣島のF君の來書に接す。YouTube にて第七十九囘アカデミー賞授賞式の要約を見る。エレン・デジェネレスの司會凡庸なり。コッポラ、ルーカス、スピルバーグの漫才佳し。アル・ゴアもディカプリオを相手に觀衆を笑はしむ。高橋英郎歿。享年七十七。
陰。朝餉の後物書かむと机に向ひしが何といふ事もなく筆とるに懶く、今年の日誌など讀返して徒に日を送るのみ。老懶とは誠にかくの如き生活をいふなるべし。藝術の制作慾は肉慾と同じきものゝ如し。肉慾鬱發症以來薄弱となるに從ひ藝術の慾もまたさめ行くは當然の事ならむ。午後困臥。
終日困臥。四十雀の餌にピーナッツをミカンの袋に入れ書齋のバルコニーに吊す。三遊亭圓樂引退を表明す。國立名人會にて芝濱を口演するも呂律囘らざりといふ。
快晴。西北の風烈し。いつもの鵯二羽來りてアイビーの葉を啄む。十一時父上に誘はれ香流川綠陰步道を散策す。上川原の白梅星の如し。輕鴨二十羽ほど岸邊のブロック溝に憩ふ。子鴨大きくなれり。白鶺鴒二三羽。父上支流を渡らむとして置石を踏外し足首まで水に浸かりぬ。北側の垣根に目白二羽飛入るを見る。振興橋を過ぎしばし步みて川岸に下り、置石を踏越えて渡り藤の木團地を逍遙す。五階建ての棟と棟のあひだ廣々とし、廣塲公園多く閑靜なり。サンプラザシーズンズ内の麵麭屋グルマン・ヴィタルに立寄り小憩す。土曜日の午なれば家族連れの客多く混雜せり。淸水屋に立寄り銀座コロンバンの味噌とくるみの香しケーキを購ふ。歸途翡翠一羽飛ぶを見る。一時半歸宅。疲勞して午眠を貪り、覺むれば六時なり。上弦の月朦朧たり。
雨。書齋の窗より外を打眺るに彼方よりキリ/\と鳥の鳴く聲聞ゆ。ケリなり。感興なけれど勉强して筆を秉る。 DVD爆笑問題のツーショットを看る。スタジオ錄音の客反應中途半端なり。大笑ひし腹の痙攣すること二囘。五時一睡、寤むれば七時半なり。雨霽れて夕月佳し。
晴。意氣銷沈何事をも爲すこと能はず。たゞ眠を貪るのみ。今日も四十雀來れり。この日乘を書初めしは平成十三年二月二十二日なり。指を屈すれば早くも六年を經たり。
天氣聯日限りなく佳し。溫暖頭痛を覺るばかりなり。平和橋北の梅花星の如し。主治醫に藥を乞ふ。一時間半待たされ診察は僅二三分なり。待合室混雜することいつもの如し。長椅子不足し折疊みのパイプ椅子六脚ばかり廊下に竝ぶ。何の病を患ふにや、言語甚だ不明瞭なる初老の女席を立ちては○○先生まだですかと辿々しき口調で受付窓口に訊ねること幾囘なるを知らず。夫と思しき鄰の男まるで意に介さず微動だにせず。每囘同じ黑のジャージを着て來る短髮の中年男あり。十一時半歸宅。けふも窗の外よりツヽピー、ツヽピーと四十雀の鳴く聲聞ゆ。姿は見ゑず。
けふも好く晴れて風なし。終日何事も爲さず、2ちやんねるお笑ひ小咄板に「讀めたら神」といふスレを立てゝ遊ぶ。十一時半にスレを立て午後八時に早くも書込み千件に達せり。ボケノートを除けば最高の人氣を博しぬ。書齋の窗邊に四十雀來りてジュクジュクと鳴くこと數次に及ぶ。瀧野川M氏郵便にてMDを贈らる。ケヴィン・スペイシーが活動寫眞ビヨンド・the・シーの樂曲なり。全十八曲いづれも良し。ケヴィン・スペイシーの歌聲はボビー・ブラウンに髣髴たり。演奏のスイング感また良し。初更疲れて着替もせず寐床に入り忽ち眠る。
快晴風靜なり。午下カウンセリングを受く。確定申告をせむとて高辻を經由し昭和稅務署に徃く。案に反して閑散たる建物の入口に貼紙あり。讀むに確定申告會塲はイオン熱田ショッピングセンターとあり。思ふにこれは自動車對策なるべし。名古屋は公共の交通機關甚だ不便の土地にて自動車を運轉する市民頗る多ければ、稅務署のせゝこましい駐車塲に到底收まらざるは火を見るより明かなり。然れば稅務署は民間の巨大ショッピングセンターを會塲となし出張するなり。余はイオン熱田の在處を知らざりしかど、署員の說明を聞くに記入濟みの書類は稅務署にて提出可能とのことなれば、昨夜國稅廳の網站にて作成したりし書類を提出す。歸途出來町通を東進して瀨戶に出で、カーマホームセンター瀨戶店内のペットランドに立寄る。店舖は廣かれど犬猫のみにて小禽は商はず。鳥獸店カトウにて購ふがよろしかるべし。日脚著しく長くなりて五時半を過ぎるも日輪猶沒せず。晚霞染むるが如し。
舊正月。陰晴定らず。暴暖暮春の如し。カーマホームセンター日進竹の山店に徃きペットコーナーを見物す。主な愛玩動物は犬猫ばかりにて小禽は赤いカナリア二羽のみなり。値札を見るに壹萬九千八百圓とあり。去月來りし時は中型鸚哥を見かけしが今日は見かけず。午下 NHK-FMにて日曜喫茶室を聽くこと例の如し。客人牧伸二。「賣れてる人は餘計な事は云はない」「間が大事」の發言に深く首肯せざるを得ず。内田樹私家版ユダヤ文化論を讀む。ヤフー!ニュースを見るにブリトニー・スピアーズ美容院に徃き自らバリカンを用ゐて頭を丸めたりとの記事あり。ロイター通信報ず。もしやと思ひユーチューブにアクセスするに果して Britney Goes Bald と題せし動畫旣に公開されゐたり。クリント・イーストウッド佛蘭西大統領府にてレジオン・ドヌール勳章を受章す。
曇りて後に雨となる。朝食の後ふとヴェランダを見るに鵯二羽來りて葉牡丹の花瓣を啄む。今日もタウンページを閱しセキセイ鸚哥を求めて東區大松町の上州屋小鳥金魚店に徃く。出來町通より大松交叉點を南に下るに大松通といふ細き商店街あり。買物客一人もなく寂寥たり。上州屋の古看板を揭ぐる店を見るに廢屋同然の荒ら屋なるさま、つげ義春無能の人暗原小鳥店の如し。中を覗くに空の鳥籠一つ見ゆるのみなり。奧に人影見えしかど恐れをなして入らず。エバミール2mgを飮み寢に着く。
作來餘寒凜冽。西北の風烈し。セキセイ鸚哥の價格を調べむと春日井市旭町の小川鳥獸店に徃く。環狀線三〇二號線を北上、小野町一丁目交叉點を右折し、小野町交叉點を左折する積りなりしがそのまゝ直進し篠田橋に出でぬ。用水路を渡り國道十九號線に出でゝ大和通り二丁目交叉點を右折すれば左手に小川鳥獸店あり。店舖も看板も古色蒼然たり。昭和四十年代に逆戾りしたるが心地す。廣き店内中央に鳥籠高く積上られセキセイ鸚哥多し。何をお探しかねと老店主に問はれ、セキセイ鸚哥ですと荅ふるに何やら返事されたりしかど、もご/\と口を動かすばかりにて判然とせず。雛はゐませんかと問ふに、賴んである、もうじき來るぢやろうといふのみ。七十代半ばと思しき老人なり。鸚哥の質は惡からず。番で二千五百圓から三千五百圓なり。目白、錦華鳥などもあり。壁面には賣物の鳥籠やペットフードありしが何れも古ぼけて商品棚といふより物置といふべし。歸途理髮補に立寄る。
西北の風吹き出で春寒料峭たり。原稾の筆を秉らむとすれども能はず。懊惱甚し。余は屡文筆の生涯を一變し、今少し無意味なる歲月を送るにしかずと思ふなり。創作の興至るを俟たむが爲、徒に平素憂悶の日々を送るは、さながらお茶挽藝者の來らざる客を待つが如し。
雨。南風吹きすさみて暴暖櫻の時節の如し。聖バレンタインの日なりとて母上S子チョコレートを贈らる。午後何故かサッポロポテトバーベQ味が無性に食べたくなりS藥局にて求む。一袋百圓。
晴れて日の光うらゝかなり。後期試驗の採點を爲し、車にて豐田學舍に徃き成績票を敎務課に提出す。途次保見驛前にて事故車を見る。大型トラックの側面に乘用車衝突せり。助手席潰れ跡形もなし。救急車と警察車輛それ/″\一臺來りてあり。運轉手は無事なる歟、警察官格別騷ぎ立るわけでもなく交通整理しゐたり。愛知縣は交通事故死者數全國一位なり。歸途長久手溫泉ござらつせに立寄る。晡下午睡。
昨日建國紀念の日、舊紀元節にあたれば今日は振替休日なれど余の如き下等遊民には何ら關はりのない事なり。飯塚市アラブの石油王と電話にて歡語一時間半。グランドピアノを購入したりと聞き一驚を喫す。
晴れたる空に白雲多し。西北の風吹きてやまず。齒痛忍ぶ可らず。朝食後バファリンプラスを飮む。九時杁ヶ池體育館に赴き、昨年に引續きテニス敎室に申込み受講料五千圓を納む。三月四日より七月二十九日迄、五箇月五千圓は破格の安値といふべし。但し隔週なり。
陰晴定らず風暖なり。今年の冬ほど暖なるは罕なり。東京都心百三十年振りに降雪なし。名古屋も正月七日以來雪降らざるなり。晝夜とも門を出です。睡魔如何ともすること能はず眠を貪る。右下奧齒ふたゝび痛み出しぬ。治療を受くべきなれど余は齒科醫を嫌ふこと蛇蝎の如し。夕食後バファリンプラスを飮み痛みを胡麻化す。
眠より寤むけば午前七時半なり。十五時間眠りぬ。朝の中より折々小雨の降り來りては又歇む空模樣梅雨の如し。セブンイレブンにて内田樹私家版ユダヤ文化論を受取る。アマゾンより爆笑問題のツーショットDVD完全版屆く。確定申告の準備を始る。YouTube にてタカアンドトシの漫才を看る。アンナ・ニコル・スミス怪死。享年三十九。枕上多和田葉子アメリカ非道の大陸讀畢る。容疑者の夜行列車に髣髴たり。
空くもりて風なく暖なり。ベアトリーチェに返事を書き藤丘郵便局にあゆみて投函す。朝日が丘の舊S田邸地均しの最中なり。パークスクエアモデルルーム撤去工事始まる。歸宅午睡。そのまゝ夜を明しぬ。レティシア・オルティスの妹エリカ・オルティス死去。享年三十一。死因は報道されず。
立春の後日々晴れて暖なり。主治醫に藥を請ふ。待合室にて多和田葉子アメリカ非道の大陸を讀む。車を走らせ鶴舞三丁目の上田小鳥店に徃く。間口一間程の小體なつくりの店にして看板も見窄らし。硝子戶をあけて入るに店員をらず左壁にセキセイ鸚哥の籠つみ重ね、右壁には空籠のみ。硝子戶の内側に雛六羽紙箱に在り。どの籠も値札なく、怪しむうちにいつしか奧より小柄な店主現れ余の右脇にぴたりと貼付き佇立するなり。何となく薄氣味惡し。靑の番の値を問ふに三千圓ですといふ。下の黃色はいくらかと訊ねるにこれは一寸高いです、橫の綠は一寸安いですと言ふのみにして値を云はず。怪しむべし。專門店にしては鳥の數滅法少なし。市中道路舖裝工事多し。日暮ビエケスの女たち飜譯を畢る。ベアトリーチェ汎マイム工房いつか來た道招待券を送來る。フランキー・レイン歿。享年九十三。枕上小林信彦うらなりを讀む。
薄晴。此日も溫暖三四月の如し。町立圖書館にて書籍四册借り、昨日タウンページにて發見せし極樂の株式會社ウチダに徃くにペットショップにあらずして鳥獸用品の卸賣業者なりき。タウンページには小鳥店と明記されゐたり。三郷やまとの湯に一浴してかへる。歸途白山二丁目の畑に梅花の開きたるを見る。午眠を貪り、寤むけば燈刻なり。靜岡縣廳前にて男燒身自殺。傍の自動二輪車に靜岡空港建設反對の抗議文あり。宮川大助腦出血入院。生惠幸子歿。享年八十三。第十四囘讀賣演劇大賞發表さる。
快晴溫暖三月の如し。藤丘郵便局にて用事を辨じ、藤見が丘の鳥獸店ペットのカトウに徃く。店主は無愛想な男なり。つげ義春無能の人の登塲人物に髣髴たり。セキセイ鸚哥十數羽あり、すべて成鳥なり。雛は小櫻鸚哥のみあり、セキセイの雛は四月まで入手困難なりといふ。小禽の價格を下に記す。
セキセイ鸚哥 | 貳千五百圓 |
小櫻鸚哥(若) | 五千圓 |
美聲鸚哥 | 四萬五千圓 |
ヨーム | 壹拾五萬圓 |
ブルーホンセイ鸚哥 | 四萬八千圓 |
シナモン文鳥(番) | 九千八百圓 |
錦華鳥(番) | 參千五百圓 |
十姉妹(番) | 參千五百圓 |
白牡丹・黃牡丹(若) | 壹萬參千圓 |
歸途白樺書房西店に立寄りジャック・アリエール著バスク人を購ふ。三時車に乘りて高針の鳥獸店ウチダに徃くに休店日なり。竝びの半田水園に熱帶魚を愛づ。アマゾンに爆笑問題のツーショット二〇〇六年上・下期限定版DVDを注文す。亞米利加の對テロ戰爭經費八千億ドルに達し、ベトナム戰爭六千億ドルを上囘れり。讀賣新聞の報ずる處なり。
立春。空澄みわたりて日の光いよ/\春めきたり。西北の强風終日吹き歇まず。ビエケスの女たち飜譯再開す。今日は知事選なれば北小學校投票處に徃き石田芳弘に一票を投ず。余は石田といふ人物に何ら期待するところなし、偏に現職神田真秋の再選を阻まんがために票を投ずるなり。矢田川に白鶺鴒一羽あり、コンクリートの土手を右往左往するを見る。
晴れて日の光うらゝかなり。スヱータ一枚着て步く男女多し。執筆半日。ラモス=ペレアの戲曲生きてゐる灰飜譯畢る。セキセイ鸚哥を購ひたく下見とて天白區島田の鸚哥鸚鵡專門店こんぱまる名古屋店に徃く。サッシの引戶を開くに上り框ありて、スリッパに履替へ店内に上る。汚らしい安普請なり。キイ/\ギャア/\鳴聲囂し。籠を一つ一つ檢めるにオカメ鸚哥やマメルリハ、三日月鸚哥など中型大型のみにしてセキセイ鸚哥の姿一羽もなし。一番奧の籠に瑠璃金剛鸚哥あり、オハヤウ/\と挨拶すること頻なり。店員に訊ねるにオカメ鸚哥以上の鳥しか扱つてゐませんとの返事なり。ジャンボセキセイ鸚哥八千八百圓。余は中型大型に左程興味なければ早々に店を出でゝかへる。この夜節分なれば夕餉に惠方卷を食す。日本テレビアナウンサー大杉君枝飛降り自殺。享年四十三。今夜もエバミール2mgを飮む。
終夜眠ること能はず。NHK-FM私の名盤コレクションになぎら健壱の推奬盤を聞く。一時よりラヂオ深夜便を聽いて曉明に至る。陰。寒氣凜冽。秋葉原のPCサクセス自己破產申請。余は昨八月この店にてキヤノンの印刷機MP450を購ひしばかりなり。昏暮滿月の昇るを見る。舊十二月の望なるべし。久振りにエバミール2mgを飮み寢に就く。私の名盤コレクションの曲目をこゝに記す。
渥美清 | チンガラホケキョーの唄 |
だるま食堂 | 永代橋 |
西田佐知子 | 裏町酒塲 |
ビートたけし | 淺草キッド |
なぎら健壱 | 下町 |
くもりし空午後に至り次第に晴る。風冷なり。午前地下鐵道にて中京大學名古屋學舍敎務課に徃き用事を辨ず。名城線車内に蚊の飛ぶを見る。此冬異例の暖氣によるものなるべし。朝日が丘のS田邸取壞され更地と化しぬ。この邸は樹木多く鵯など小禽の憩ひの塲なりしかど今は草一本殘さず整地されぬ。看板をみるに藤が丘マンションなる七階建て共同住宅三棟建つとあり。正午歸宅。晝は食さず。午後三郷やまとの湯に一浴す。パークスクエア入居始る。讀賣文學賞發表さる。
戲曲・シナリオ賞 | 西川美和 ゆれる |
野田秀樹 ロープ(新潮一月號) | |
隨筆・紀行賞 | 宮坂静生 語りかける季語(岩波書店) |
評論・傳記賞 | 嵐山光三郎 惡黨芭蕉(新潮社) |
詩歌俳句賞 | 辻井喬 鷲がいて(思潮社) |
硏究・飜譯賞 | 渡辺守章譯 ロラン・バルト ラシーヌ論 (みすず書房) |
小說賞 | 該當作なし |