陰天。風凉し。セキセイ鸚哥のシヾミ君今朝もまた頭を背に埋めて目を瞑り、止り木の上にて踵を囘らせるにも難儀する有樣なり。あまりに氣の毒なれば町内の動物病院に連れ行きて診察を請ふ。怪我か骨折でもせしにや右脚後ろの指黑ずみたり。然れど醫師の診るところによれば不調の原因は脚にあらず、恐らく感染症或は神經の病なるべしとのことなり。假に神經病ならば專門醫を紹介してくれる由。本日は抗生劑を處方せらる。藥效あらば四五日の中に食慾恢復するべしといふ。午後ことぶきの湯露天風呂に浴す。家にかへりてM社の稿を脫す。直に編輯人H氏に交附す。燈ともし頃雨降り出しぬ。
曇りて肌寒し。午前川岸を干す。放水路の出口に輕鴨二羽、中洲に六羽見ゆ。午後接骨醫T氏を訪ふ。M社の原稾執筆餘事なし。ブルーレイにてリュック・ベッソンの活動寫眞ルーシーを看る。愚劣人の頤を解かしむ。
陰後に晴。西風烈しく終日息まず。シヾミ君今朝は餌を少し食ひたり。正午驛前の甜甜圈屋に行き筆記型電腦を用ゐて執筆。午下地下鐵道に乘り榮に出で、中電ホールに赴く。一時半春風亭一之輔獨演會を看る。ジーンズを穿きし一之輔片手にマイクロフォンを持ちて登塲し、本日は某所にて柳家喬太郎の獨演會あり、入塲券を買へずに此方に來た人もあらうかと思ひますと云ふや、馬鹿正直なる客數名拍手せり。橘家文左衞門の一番弟子前座橘家かな文千早振るを語る。發聲よし。着物に着替へし一之輔登壇。余は鈴ヶ森を聽きたしと思ひしに、噺は堀の内なり。二十分ばかり語りて高座を降り際に、拍手する看客にもう一席演りますよと仕草にて合圖を送り、姑くして再び登塲し浮世床を語れり。仲入後はらくだを語り始め、馬といふ亂暴者が何故にらくだと呼ばるゝに至りしかを說明せむとするに、塲内に何やら音樂の流るゝを聞き取り、音が鳴つてゐますね、もう一度出からやり直しませうかと云ひて高座を降り、出囃子を鳴らしめてふたゝび登塲し、らくだは來年語りますと斷りて唐茄子屋政談を語りぬ。若旦那の德が僅一日の商ひにて親の勘當を解かるゝといふサゲには無理があると述べ、德の後日譚を創作してサゲに替へる工夫あり。晡時家にかへる。夕餉に稻庭饂飩を食す。
雨は歇みしが空どんよりと曇りて瞑し。NHKラヂオ第一キャンパス寄席に林家彦いちが長島の滿月を聽く。午前河畔を步む。中洲に輕鴨四五羽憩ふ。下流には二羽ぷか/\と浮びゐたり。歸路ハンドル型電動車椅子〔シニアカーといふは登錄商標なる由大辭林に讀めり〕に乘りし老人傍に來りて、あゝ、うゝなど言葉にならざる音を喉より發して余を呼止める。何事にやと腰を低くして顏を老人の口元に寄せるに、不明瞭なる言語ながら超級市塲Sへの道順を尋ねられたり。突當りの道を右に曲がれば眼の前なる由を告げるに、たど/\しき口調にて有難うと云ひて去れり。足腰立たず言語も明瞭ならざる苦しみまことに氣の毒なれど、電動車椅子のお蔭にて人の世話にならずとも外出するを得るは不幸中の幸といふべし。セキセイ鸚哥のシヾミ君病勢依然たり。朝は胡瓜を食ひしに餌は殆食はず、體を丸めて眼を瞑りしまゝ微動だにせず。黃昏止り木をつかむ足に力入らざるにや、體前後左右に搖れて落ちむとす。セキセイ鸚哥の平均壽命は七歲にてシヾミ君は八歲なり。老衰なる歟。三重テレビ淺草お茶の間寄席に三笑亭茶樂の宮戶川、新眞打三笑亭小夢の表札を聽く。
陰雨空濛。昨日根を詰めて執筆せし故にや、朝目覺めてより頭痛岑々然たり。藥箱に蓄へ置きたるロキソプロフェンを服す。Eテレえほん寄席に桂南喬の松竹梅を聽く。午下咖啡を瀹てセキセイ鸚哥のアサリ君シヾミ君に手づからオーツ麦をやらむとせしに、兩君ともに表情曇りて元氣なく、日中にもかゝはらず眠りゐたり。中庭に燕三羽頻に旋囘し、時折書窗をかすめて飛ぶ。南へ去る前に今生の別れを告げに來りしにや。午後ことぶきの湯に浴す。ブルーレイにてアナと雪の女王を觀る。秀作なり。
陰天。蒸暑し。咖啡處コメダにて朝飯を喫す。九時出勤。hacer を用ゐる天候の表現と各種疑問詞の練習を行ひ敎科書第七課を終へる。午後執茟。櫻桃を食す。
薄く曇りて稍暑し。BS1にて女子蹴球世界杯日本對和蘭陀の試合を見る。大儀見宮間岩渕阪口の四人が聯繫して放てし二點目のゴール美しかりき。二對一にて辛勝す。午後執筆。この夏始て枇杷を食す。
薄く晴れて暑し。早朝執茟。理髮舖に徃き散髮して後、ことぶきの湯露天風呂に一浴す。午後主治醫を訪ひ投藥を請ふ。夕刻ふたゝび執茟。BS11藝賓館に古今亭寿輔のしりとり都々逸を聽く。余が寿輔の高座を新宿末廣亭にて聽きしは三十年近く昔のことなり。S子を伴ひ木戶錢を拂ひて客席に入るに塲内ほゞ滿席にて、係員に最前列中央の席に案内されたり。直後に登塲せしが寿輔にて、極彩色の着物を着て自ら花吹雪を散らしながら現れたり。S子その姿を見るやあまりの可笑しさに吹出し、口元に手を當てゝ必死に笑ひを堪へたり。座布團に坐りし寿輔S子と余の顏を暫時ぢつと見つめて開口一番、皇室の方ですかと尋ねたり。S子は笑ひを堪へるのに精一杯なりしかば、余は兄妹ですと荅へぬ。今つら/\と往事のことを追懷して感慨深し。
曇りて涼し。夏至。自動車運轉免許證を更新せむと瀨戶警察署に徃く。今までは平針の運轉試驗塲にて手續せしが、五年前より優良運轉者なれば本年は最寄りの警察署にて行へるなり。Googleマップにて最短經路を調べる。立石池南交叉點を東進し、起伏のある隘路を拔けて五十七號線に出でゝ北上。矢田川を渡り愛知環狀鐵道の高架をくゞりて赤重町交叉點を左に折れ直進すれば程なくして警察署に到着す。別館片隅に黑き衝立あり、内側に三人掛けの長椅子三脚あるのみ。十名ほど集ひて三十分の講習を受け、新たなる免許證無事交附せらる。手數料三千圓也。晝前家にかへる。午後接骨醫T氏を訪ひ揉み療治を請ふ。
雨聲蕭條たり。午後雨のやむを俟ちて川邉を步む。中洲に輕鴨四五羽憩ひたり。燕の子等の飛行訓練をなすを見る。Eテレ日本の話藝に桂福團治の百年目を聽く。ブルーレイにてパブロ・ベルヘル監督の活動寫眞ブランカニエベス〔白雪姫〕を看る。脚本演技ともに凡庸なり。
陰天。旬日靑空を拜まず。深夜一時に錄畫せし三重テレビ淺草お茶の間寄席に二代三笑亭夢丸の天狗裁きを聽く。眞打披露興行なり。師匠の名を襲ぎし喜びに浮れたるにや、座布團に坐りてより擧動落ちつかず、言語は甚しく早口にて語尾を聞きとること易からず。また同じ文句を二度繰返す惡癖あり。桂歌丸後生鰻を語る。足腰不自由なりとて緞帳を下ろしたまゝ板付きにて登塲せり。午前三時に錄畫せしBS-TBS落語硏究會に柳家花綠の妾馬を聽く。午後川端を步む。輕鴨五羽。ブルーレイにてロバート・ロドリゲス監督の活動寫眞マチェーテ・キルズを看る。駄作なり。
雨もよひの空晴れやらず。午前慈君と倶に福祉センターに赴き健康診斷を受く。背丈五尺八寸、體重十七貫四百二十六匁、血壓上九十五下六十七。來月滿五十歲になるを以て初めて前立腺癌の檢診も受けたり。岩作の水田に小鷺一羽佇立するさま描くが如し。家にかへりて晚き朝飯を食せば忽ち午なり。ヤマト運輸集配所に徃きN子に自家製紫蘇ジュースと野菜を送る。歸途ことぶきの湯に立寄り露天風呂に一浴す。稻葉町が水田に鳧の鳴く聲耳を射るが如し。夕刻M社より執筆依賴あり。黃昏T氏來訪。實家にて栽培せし山桃と隱元豆を饋らる。微雨。この夏初めて西瓜を食す。地元の初生りにて甘し。
小雨ふりて寒し。コメダに徃き咖啡を喫す。九時出勤。先週につゞきてギジェルモ・デル・トロ監督が活動寫眞パンズ・ラビリンスの後半を看る。鑑賞後ゲリラの行く末や希臘神話のパンについて簡潔に說明す。學生諸氏に感想文を書かしむ。讀み應へあり。茲に數例を記し置く。
授業を終へて外に出づるに雨は小止みとなり、淡き日影雲間より漏る。午下家にかへる。BSフジ落語小僧を見る。小學六年生笑楽亭紅覇の牛ほめは獨特のフラありて佳し。中學一年生快楽亭幸志の延陽伯は丁寧なる語り口大に佳し。指南役柳家さん喬十八番の天狗裁きを語れり。
曇りて風肌寒きほどなり。今年の六月ほど凉しき年は罕なり。午前川岸を步む。中洲に輕鴨一羽。燕の姿見かけなくなりぬ。夕刻地下鐵道に乘り榮に出で、ナディアパークに赴き十一階のアートピアホールにて立川談春獨演會を聽く。とん/\落ちの說明をして後山號寺號を語る。KOOといふTRFのDJが落語愛好家にて、KOOに請はれて敎へし噺なりとぞ。高座にとゞまり岸柳島を語れり。仲入りの後井戶の茶碗を語る。屑屋同士の噂話のくだりを端折りたり。何故に先を急ぐにやと訝しく思ひしに、京都の某寺に國寳を見物しに出かけし體驗談を延々披露しぬ。肝腎の噺よりも長く感ぜられたり。家にかへれば夜は二更なり。
曇りてやゝ蒸暑し。微雨降りてはまた歇む。セキセイ鸚哥のシヾミ君今朝は元氣よく囀りしに、その後は依然として不調と見え、餌を殆食はず。何の病なるにや。氣がゝりなり。下山某といふ文部科學大臣國立大學〻長會議の席上入學式卒業式において國旗揭揚と國歌齊唱を要請したりと云ふ。去八日には文部科學省國立大學に通知を送り、人文社會科學や敎員養成の學部癈止或は他分野への變換を需めたり。當今の大學はもはや學問と敎育の總本山にはあらず、小賢しき月給取りの養成學校に成り果てるなり。安倍晉三政權の獨裁制いよ/\顯著なり。午前河畔を步む。いつもの中洲に輕鴨の親子六羽憩へり。午後ヤマト運輸集配所に赴きS子に自家製紫蘇ジュースを送る。歸途ことぶきの湯に立寄り露天風呂にて半身浴をなす。薄暮皮膚科に徃き投藥を乞ふ。BS11藝賓館に三遊亭圓窓の叩き蟹を聽く。
陰天。セキセイ鸚哥の籠の覆ひを除きてシヾミ君を起こすや止り木より落ちさうになりぬ。辛うじて落下は免れしが、兩脚に力入らざるにや、小さき軀は前後左右に搖れて危うげなり。午前坡上を步む。草蘆橫の道に白き車體に赤黃綠靑などの派手なる模樣を描きし自動車、屋根には丸きカメラ設置してあり。グーグルマップのストリートビュー撮影車なり。川沿の一方通行の道にても余の脇を通り過ぎたり。グーグルは道といふ道を悉く撮影するなるべし。昨日繡眼兒かと思はれし小鳥はさにあらず、河原鶸なり。午下咖啡を煮て後いつものやうにアサリ君とシヾミ君に手づからオーツ麦をやる。シヾミ君は麦粒を啄めど嚙まずにぽろ/\とこぼすばかりなり。今日はひとことも囀らず。體調よほどすぐれざると見ゆ。鸚哥の壽命は七歲といふが定說にてシヾミ君は八歲なり。老齡により體力衰へしにや。晡時接骨醫T氏を訪ふ。
曇りて涼し。藥效ありしとみえ喉の痛み和らぎたり。午前坡上を步す。中洲の叢に輕鴨の親子憩ふを見る。此岸より彼岸へ飛び去りし小鳥、背は綠色と黃色なれば繡眼兒なる歟。Eテレ日本の話藝に春風亭小柳枝の八五郎出世を聽く。ブルーレイにてマレフィセントを看る。佳作なり。
薄く曇りて暴に暑し。一昨日より喉の入口上のあたりに痛痒感じて炎症の徵候あり。今朝痛み增したればK耳鼻咽喉科に赴き治療を請ふ。待合室には兒童大勢をり、玩具類また多くあり。電氣仕掛けの海豹、頭を撫でゝやるや喜色を表す犬のロボット AIBO 二體あり。水槽には熱帶魚數多泳ぎ、カクレクマノミとナンヨウハギ多し。いづれも漫畫映畫ファインディング・ニモに登塲せし魚なり。日暮堤上を步す。輕鴨の親子九羽順次川より岸に上がりて一列になり步むを見る。綠陰步道北側の雜草悉く刈りとられぬ。ブルーレイにてオール・ユー・ニード・イズ・キルを看る。愚作なり。
昨來の雨は晝に至らずして歇みしかど空はどんよりと曇りしまゝ晴れやらず。Eテレえほん寄席に柳家さん喬のあくび指南を聽く。繪はモンキー・パンチなり。午前川邊を步む。小鷺一羽河上より水田に向ひて飛ぶを見る。綠陰步道の紫陽花蒼白く咲き出でたり。安全保障關連法案に反對する學者の會の贊同人として署名す。午下ことぶきの湯露天風呂に浴す。浴後體重を計るに目標の六十五・五キログラムに落ちたり。稻葉町の水田に小鷺と鳧を見る。
曇りて暗し。コメダに咖啡を喫す。九時過出勤。鶯語を聞く。學生諸氏とギジェルモ・デル・トロ監督が活動寫眞パンズ・ラビリンスの前半を看る。全員固唾を飮みて食入るがごとく畫面を見つめたり。鑑賞後感想文を書かしむ。物語は固より俳優の演技、音響效果、編輯の妙に感心する者多し。二コマ終へて外に出づるに雨ぽつり/\と降りそめたり。日暮れて雨次第にふりまさり夜に入るも歇まず。
薄く晴れて風爽なり。午前川緣を步す。綠陰步道の雜草刈りとられぬ。輕鴨二羽。椋鳥、雉鳩、土鳩、雀。畑の梅の實熟して落つ。黃昏母上と倶に町内の古道具屋に徃き桐の簞笥一棹を賣る。心欝々して樂しまず。BS日テレ笑點デラックスに三遊亭小遊三が堀の内を聽く。輕妙洒脫まことに佳し。滑稽噺はかくあるべしといふ見本のやうな高座なり。
昨來の雨は十時ごろ歇みしが空はどんより曇りしまゝにて風寒し。午前BS1に女子蹴球世界杯日本對瑞西戰を見る。前半罰球を宮間が決めて一點先取、後半はバッハマンらの猛攻を受けて防戰一方なりしが辛うじて勝利す。午後主治醫を訪ひ投藥を請ふ。舊病棟解體中なり。歸途ことぶきの湯露天風呂に浴す。二十分ほど湯に浸かるに逆上せしにや氣分惡しくなり、湯殿より上がりて洗塲の椅子に坐るも氣の遠くなる心地するばかりにて手足に力入らず。倉皇脫衣所に戾る。頭皮に汗吹き出でゝ頭髮しとゞに濡れぬ。パニック障碍の徵候に似たり。何故にや猛烈なる飢餓感に襲はる。歸途便利店に立寄り餡麵麭を食す。氣分忽ちよくなれり。BS11藝賓館に春風亭昇太のちりとてちんを聽く。
雨もよひの空なり。朝風連日寒し。尾州入梅。午前川端を步む。輕鴨一羽。午後接骨醫T氏を訪ふ。雨ぽつり/\と降り初む。昨夕アマゾンに發注せしJBLの擴聲器Pebbles早くも屆きたり。マンハッタン・トランスファーがヴォーカリーズのwav文件を再生してみるに音に艷ありて一驚を喫す。これに比すれば五年前に購ひしサンワ・サプライの擴聲器は玩具なり。餠は餠屋なり。ブルーレイにてクリント・イーストウッドの活動寫眞ジャージー・ボーイズを看る。佳作なり。
曇りて凉し。NHK總合演藝圖鑑に桂文珍が眞夜中の乘客を聽く。午前川岸を步す。中洲の叢に輕鴨親子五六羽いつものやうに憩ふ。燕の雛は巢立ちぬ。土鳩、雉鳩、雀。FM愛知サンデー・ソングブックを聞くに、マーヴィン・ゲイとタミー・テレルの Ain't No Mountain High Enough かゝりたり。昨日映畫にて聽きしばかりなり。何らの偶然ぞや。Eテレ日本の話藝に林家正藏のねずみを聽く。余は今まで正藏の落語に感心せしことなかりしに、この日は最後まで飽きずに聞くを得たり。正藏精進しつゝあり。但し飯田丹下と左甚五郎が嘗て鼠を競作したりし插話はオチの猫と重複するを以て餘計なり。
晴れたる空に白雲多く浮びて朔風烈し。階前夏椿の花ひらく。NHKラヂオ第一眞打ち競演に柳家小滿んの蜘蛛駕籠を聽く。午前河畔を步す。午後ロイヤルホームセンターに徃く。混雜を虞れしがさほどにあらず。過日ツタヤより一枚の葉書屆きたり。全品半額クーポン券なり。文面には會員樣の中より抽選の結果、お得な半額割引クーポンをあなたにお屆けしますと讀めり。本日より六月廿八日まで新作舊作問はず全品半額にて貸與する由。また期間中に三囘借りたらば七月廿六日まで半額期間を延長するといふ。余思へらく、ツタヤは商賣思はしからざるなり。S子の家の近所なる店は先般癈業しぬ。半額券を配りて一人でも多く客足を店に運ばしめむとする心なるべし。午後六時半ごろ早速ツタヤに徃く。客僅に二人のみ。十五年ぐらゐ昔には土曜の黃昏時にはレンタルビデオ屋に客殺到して新作の人氣作品には悉く貸出濟みの札下げたりき。今般はDVDやブルーレイを借りる者よほど尠きと見ゆ。恐らく世の人は自宅のテレビジョンにてBS放送やCS放送、或はビデオオンデマンドにて映畫やドラマを鑑賞するなるべし。半額券を提示して準新作二本借りる。代金稅込三百四十圓なり。太田商店の店先に早くも七夕の笹竹立てられ願の絲の風になびけるを見たり。ブルーレイにてピーター・ガン監督の活動寫眞ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを看る。開卷劈頭少年ピーターがソニーのカセット・ウォークマンを使ひて 10CC の I'm Not in Love を聽きしより終幕のマーヴィン・ゲイとタミー・テレルの Ain't No Mountain High Enough とジャクソン5の I Want You Back に至るまで選曲の趣味頗佳し。臺詞も諧謔に滿ち物語にだれ塲なし。
雨もよひの空なり。書窓黯澹たり。風の冷なることさながら秋の如し。Eテレえほん寄席に入船亭扇遊の道灌を聽く。午前坡上を步む。中洲の茂みに輕鴨の母親と雛五六羽身を寄せて一塊になり憩ふを見る。晝過ぎて雨しと/\と音もなく降り初む。咖啡を喫して後、車を運轉して慈君と倶に古戰塲鄰のロイヤルホームセンターに赴き、食卓椅子の足カバーを購ふ。慈君を家に送りて余はことぶきの湯に徃く。一浴して外に出づれば雨沛然たり。
快晴。强風騷然。未明阿寒湖溫泉にて震度五弱の地震あり。咖啡所コメダに一茶す。九時出勤。所有詞、數詞、序數詞を講義す。二限の男子學生四五人雜談に興じて喧噪堪難ければすみやかに退室するやう促すに、打つて變はつて神妙なる顏つきになり身を縮こめ、敎塲内は水を打ちしが如く靜まりかへりぬ。來週は待望の映畫鑑賞會なり。午下家にかへる。夜初更堤上を步む。
雨の音に眠より寤む。枕頭の時計を見るに五時半なり。雨午に至らずして歇む。ヤマト運輸に赴きS子に北海道產松葉獨活を送る。理髮舖に立寄りてかへる。K氏西班牙土產の生ハムを饋らる。
曇天。風凉し。午前川緣を步す。中洲に輕鴨二羽憩ふを見る。岸の陰より牛蛙の聲聞ゆ。午後ことぶきの湯露天風呂に浴す。歸途市役所に立寄り自立支援醫療受給者證の更新手續をなす。この夏初めてコカコーラを飮む。BS11藝賓館に林家たい平の靑菜を聽く。時節に相應しき噺なり。
舊四月十五日。晴れて風爽なり。旬日雨なし。午前齒科醫A氏を訪ひ定期檢診を受く。昨夜錄畫し置きたる三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭歌之介の龍馬傳、三遊亭天どんの眞田小僧、柳家權太樓が町内の若い衆を聽く。晡時接骨醫T氏を訪ひ揉み療治を乞ふ。首裏右つけ根の凝りなか/\ほぐれず。Eテレ日本の話藝に三笑亭夢之助のん廻しを聽く。持ち時間二十八分の中マクラに十四分をも費しぬ。日暮川端を步す。輕鴨一羽、鵯、椋鳥、燕、嘴細鴉、蝙蝠。對岸の水田より蛙聲聞ゆ。岸邉に牛蛙の鳴く聲咆哮と呼ぶべし。晚涼水の如し。