晴後に陰。空氣甚だ乾燥す。午下河畔をあゆむ。昏暮溫泉。浴後涼風の心地よさ言ふばかりなし。ル テアトル銀座今宵黒柳徹子大森博史の二人芝居ステラとジョーイを以て閉塲しぬ。銀座テアトルシネマとホテル西洋銀座も閉館せり。予がこの劇塲と關はり始めしは昭和六十三年の事なり。當時の名稱は銀座セゾン劇塲なりき。ヌリア・エスペル主演の芝居イェルマに通譯として參加し、前年摩洛哥にて相識りし俳優フランシスコ・ギハールと樂屋にて再會するを得たり。平成二年エスペル演出乙羽信子渡辺美佐子主演によるベルナルダ・アルバの家にも通譯として協力し、平成四年坂東玉三郎主演のエリザベスにては臺本飜譯者として關はり平成七年めでたく再演されたり。平成十二年以降は小島章司氏のフラメンコ舞踊公演の制作協力者として屢樂屋と舞臺に出入りしたりき。指を屈するに二十五年もの歲月をこの劇塲と共に過ごしたりと思へば感慨窮りなし。
梅雨の空墨を流せしが如し。咖啡所コメダに朝餉を喫す。疎雨自働車の窗を撲つ。午前授業。AR 動詞の練習を行ふ。敎室内の空氣甚陰濕にて恰も蒸風呂に在るが如き心地せり。發汗忽襯衣を霑す。駐車塲脇の木立より雲雀に似たる鳴聲聞ゆ。
霧雨ふりてはまた歇む。午下堤上を步す。東南の風强きに存外寒し。雀、鵯、椋鳥、川鵜、鳧、河原鶸を見る。シャープ製 AQUOS 藍光光盤錄像機 BD-HDW75 の硬盤に錄畫したる番組いづれも再生すること能はず。取扱說明書の故障一覽表を閱するに硬盤に錄畫せし番組の再生されざる現象は該當項目なし。已むを得ずリセットボタンを押し工塲出荷狀態への復元を試みしが解決せず。夕餉の後ふと思ひ立ちて硬盤を初期化してみるに、無事に錄畫再生できるやうになりぬ。
暗雲天を蔽ひ書窗黯澹たり。この日より入梅。二時頃より雨ふる。主治醫を訪ひ藥を乞ふ。晡時ござらつせ溫泉に一浴す。ことぶきの湯設備點檢のため本日臨時休業するを以てなり。
曇りて風冷なり。この頃よく書齋のベランダに土鳩のつがひ來るなり。仲睦まじく雄が雌に給餌する姿を暫し眺めゐたるに、予の目の前にて交尾を始めたり。三時川邉の綠陰步道をあゆむ。市委託淸掃員數名路傍の草を刈る。電線に椋鳥三羽とまりて作業を眺めをれり。頭上或は眼前に燕二羽頻に飛交ふを見る。燕の背は黑一色にあらず、仔細に觀察すれば腰のあたりは群靑色に輝くなり。河原に二十歲くらゐの靑年二人、一人は地べたに胡坐をかきてアコースティックギターを彈奏し、もう一人は對面してカホン cajón に跨がりてこれを掌にて打鳴らしゐたり。雨もよひの空晴れず。けふも裏の空地に棲む鳧の啼くを聽く。喇叭の如く思はるゝ金屬的なる聲なり。
薄晴。居室の螢光燈を交換す。晡時疲勞して一睡。拂曉錄畫し置きたるNHK總合演藝圖鑑に三遊亭小圓歌の三味線漫談、桂宮治の棒鱈を聽く。夕餉にきしめんを食す。きしめんは惠庭大麻に住せし頃よく食したりき。二更N子を驛に送る。日曜夜のことゝて驛界隈に人氣なし。高速バスは名驛太閤口を十一時發車の由なり。十六夜の月あきらかなり。
半陰半晴。涼風颯〻たり。父上本日より不在。午前坡上を步す。夕餉に一ノ藏の淸酒ひめぜんを飮み自家製太卷と稻荷壽司を食す。深夜鳧の聲市中に響き渡るを聽く。
蚤起。天氣連日限りなく好し。空氣甚だ乾燥せり。午下溫泉。夕刻地下鐵道驛にN子を迎ふ。今朝東京より高速バスにて下阪し、ボストン美術館展覽會と大阪城を見物して名古屋に來らる。使ひ古したる電腦二度目の故障を生じたるを以て Mac mini を購ひたりといふ。夕餉に冷やし中華を食す。美術館展及び長谷川等伯展のカタログを見較べながら談笑す。三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭丈二の119(落語にあらず漫談なり)、柳家喜多八の長命を聽く。
快晴。暑し。朝餉をなさむとていつもの咖啡所コメダに赴くに珍しく本日休業の札をさげたり。詮方なくM交叉點のコメダに徃く。戶口より中に足を蹈み入れるや店内の空氣どんよりと淀みて曰く言ひ難き不快感を覺ゆ。四人掛の卓子につきしに足許狹苦しく坐り心地惡しきこと甚し。給仕人は高校生かとおぼしき靑年にて言葉遣ひまことに辿々し。咖啡とモーニングを注文し、小倉トーストを食さむとて小倉餡も注文せしところ、給仕人咖啡と餡のみ盆に載せて來たりぬ。餡は事もあろうにタッパーウェアに入れたるまゝ、中にスプーンを突込みてあり。給仕のぞんざいなることに一驚を喫す。姑くして女將とおぼしき女お待ち遠樣でしたと言ひてトーストを持ち來る。咖啡はいつもの店に較べて量少く味も香りも劣るなり。餡は甘からず、味ひなし。帳塲で會計をなすに何故にやいつもの店より七拾圓安し。不可思議なり。店の雰圍氣わるく粟肌に生ずるが如き心地するなり。この氣分は何處かにて經驗したる事あり。思返すに喫茶マウンテンの雰圍氣なり。九時過豐田學舍到着。一限二限とも -AR 動詞の練習を行ふ。けふの講義は樂しく充實したり。學生諸氏も大人しく眞面目に勉强したり。一時半家にかへり玄関扉を開けるや否や、セキセイ鸚哥のアサリ君シヾミ君とも/″\大きなる鳴聲にて予を迎ふ。氣溫攝氏三十度に達す。黃昏河畔をあゆむ。夕陽燦然、十四日頃の月鏡の如し。
未明平山秀幸監督の活動寫眞しゃべれどもしゃべれどもを看る。国分太一扮する今昔亭三つ葉が小三文一門會にて演ずる火焰太鼓に予は大に感服せり。香里奈といふ人はコマーシャルフィルムにて顏を見たりし事あるのみにて、モデルなるや女優なるやも知らざれど、この映畫に限りていへば適役なり。大阪の少年を演じたる森永悠希に愛嬌あり。五更就眠。十時起床。薄く晴れて風しづかなり。午下川端をあゆむ。凉風爽颯たり。黃昏草蘆裏の空き地を打眺むるに、鳧のつがひ離れて佇立し遠近相應じて啼くを聞く。予は常々鳧をケリとケを高く發音するなれど、日本野鳥の會發行の聲でわかる山野の鳥といふCDを聞くに、松田輝雄氏はリを高くケリと發音せらるゝなり。松田氏は元NHKアナウンサアなればこれが正しき發音なるべし。
倦怠感甚しく寢床より起出づれば旣に十二時半なり。空好く晴わたりて氣溫攝氏三十度に昇る。いかにも初夏らしき日なり。晡時川緣を步む。南風强し。けふより半袖のウェアを着る。日傘さす女多し。體は相變らず重く感ぜらるゝに昨日に比すれば步幅囘復するを得たり。黃昏時溫泉。好評を博したる漢方の湯一昨日を以て中止せられ、代りにワインの湯といふ風呂に模樣替へとなれり。赤葡萄酒を混ぜたるにやロゼ色の湯なり。余は興味なきが故に、いつものやうに露天風呂龜山の湯にてあたゝまり、シルク風呂にて汗を流すなり。南天に上弦の月明かなり。田疇より蛙の鳴聲夥し。BS11にて錄畫せしようこそ藝賓館に瀧川鯉昇の蕎麦處ベートーベン、入船亭扇遊の一目上りを聽く。三更BSフジ落語小僧第五囘放送を見る。中學一年生日向家ひかる手水廻し、高校一年生ちび柿家まんごりら反對俥。遲々たる步みの老いぼれ車夫駄賃五十錢をもらひてサーッと姿をくらます件人をして感心せしむ。まんごりらは林家彦いち門下生なり。ゲスト古今亭菊之丞棒鱈を披露す。
雨後の空晴れしが白雲多く浮びたり。夏の暑さ襲ふが如し。午下坡上をあゆむ。T製作所鄰に普請中の分讓住宅五棟ほゞ成る。一旦家にかへりて後理髮舖に行く。嚢中錢乏しきを以て途次驛前便利店のATMにて小金を下ろさむとせしに、サークルKいつか癈業し、驛入口に Circle K Mini Style など稱して間口二間ばかりの小さなるキオスクが如き店を出したり。舊店舖はファミリーマート出店準備中なり。晡時歸宅す。去四月朔新宿末廣亭の高座柳亭市彌の金明竹、三遊亭萬窓が悋氣の獨樂、柳家權太樓が黃金の大黑を聽く。BSプレミアムにて錄畫せし五所平之助監督の活動寫眞マダムと女房を看る。
薄く曇りて微風颯々たり。倦怠感痊えず。夕刻インターバル速步。體重は減少せしに足取り重く步幅も短し。午後一時Eテレにて錄畫し置きたる奪はれた野にも春は來るか~寫眞家鄭周河を見る。辛卯の大地震大津波に襲はれし南相馬を撮影したる鄭氏の寫眞に佐々木孝先生希望を見て取らる。
薄く曇りて微風颯々たり。倦怠感痊えず。夕刻インターバル速步。體重は減少せしに足取り重く步幅も短し。午後一時Eテレにて錄畫し置きたる奪はれた野にも春は來るか~寫眞家鄭周河を見る。辛卯の大地震大津波に襲はれし南相馬を撮影したる鄭氏の寫眞に佐々木孝先生希望を見て取らる。
晴。日盛りには薄暑を催すも旦暮風の涼しさ言ふばかりなし。午下堤上をあゆむ。土鳩、雉鳩、雀、背黑鶺鴒、鵯、河原鶸、輕鴨。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席に古今亭菊之丞の替り目、柳家權太樓の人形買ひを聽く。菊之丞NHKアナウンサア藤井彩子氏との結婚を報告す。權太樓半月板損傷したる由なり。午後一時BSプレミアムにて錄畫し置きたるチャップリンの活動寫眞キッドを看る。脚本演出編集に間然するところなし。傑作とは斯くの如き作品のことなり。ジャッキー・クーガン少年の演技また申し分なし。放映時間五十分。三十數年前余が初めてこの寫眞を見たる折には一時間以上ありしと記憶す。Internet Movie Database を閱するに、一九二一年(大正十年)公開當時の尺は六十八分なりしが、一九七一年(昭和四十六年)チャップリンが再編輯して五十分に縮めたる由なり。余がむかし看たりしは初公開版ならむ。八日頃の月紅色に染まりて何やら不氣味なり。
晴。咖啡所コメダに朝餉をなす。九時過豐田學舍に赴く。本年度の講義始まりて旣に一箇月は經たるに敎科書或は辭書を持參せざる者少からず。授業遲々として進まず。疲勞すること甚し。夕刻川岸をあゆむ。突風吹き狂ひて砂塵を捲く。燈刻溫泉。夜に入るも强風なほ歇まず。夕餉に空豆を食す。
晏起連日のごとし。今週に入りてより倦怠感甚しく、十一時頃まで床を起出づること能はず。起出でし後も體重く精神また明瞭ならず。晴後に陰。午下いつものやうに坡上をあゆむ。足取り重く步幅も短くなりぬ。川の中洲に龜の甲羅干するを見る。
晏起。薄晴。風絕えて暑し。いよ/\初夏らしき氣候となりぬ。午下河畔を步す。薰風颯〻たり。主治醫W氏を訪ひ藥を乞ふ。今月より電子カルテ導入されしが電腦に不慣れなる職員多く、W氏も未だ慣れざるを以て診察室に助手を招き入れ端末に入力せしめられたり。次囘より自ら入力するつもりなる由なり。燈刻溫泉。歸途稻葉町付近を走りながらカーラヂオのNHK-FMにベスト・オブ・クラシックを聽き始めしに、窓外の田疇より蛙の合唱聞こえしかば、ラヂオを消して暫しその聲に聞入る。余八九歲の頃惠庭市に住し、雨蛙を一年間飼ひたる事ありしを思出しぬ。夏は蚊を喰ひ冬はよく蠅を喰ひたりき。纎月鎌のごとし。BS11ようこそ藝賓館に八代春風亭柳橋の粗忽長屋、桂小文治の牛ほめを聽く。
薄く晴れて南風靜なり。八ツ手アイビーの若芽舒ぶ。午下インターバル速步。火點し頃中庭に蝙蝠四五匹飛交ふを見る。夕餉に鰹の刺身、獨活の酢味噌和へを食す。
雨後の空晴れわたりて遽に暑し。新綠こまやかなり。街路アベリアの若葉靑々として染めたるが如し。午下堤上をあゆむ。拂曉錄畫せしNHK總合演藝圖鑑に柳家紫文の三味線漫談、月亭文都のがしんじょ長屋をきく。
雨終日小止みもなく降りつゞきたり。柳家小袁治の生兵法、樟腦玉をきく。
舊四月一日。午ごろより風雨蕭〻たり。空飛ぶ鳧の聲勇まし。雨ふるときは必ず嬉〻として啼くなり。午前カーマホームセンターに赴きセキセイ鸚哥の混合餌を買ふ。ファッションセンターしまむら北鄰に全國初といふ大垣共立銀行のドライブスルーATM開業せり。マクドナルドの南には牛丼吉野家出店準備中なり。アサリ君とシジミ君の好物なる東京飯塚農產のプラスグリンフードそろ/\底を盡きむとするを以て、互聯網にて檢索す。近鄰の愛玩動物店にては商はざる品なればなり。幸にして Yahoo! ショッピングに廉價なる品を發見す。Yahoo! ポイント四百六十四圓分を使ひ、代金僅八十四圓にして二袋買ふを得たり。燈刻溫泉。雨降りまされり。
天氣牢晴。咖啡所コメダにて朝餉を喫す。豐田學舍ナンジャモンジャの木の花まさに滿開なり。例年に比べて一週間遲し。本年四月のいかに寒かりしかを知るべし。一限二限ともに動詞 estar の活用と用法を說明す。文明的なるを特質とする一限の學生けふは何故か喧しく、野性的なる二限の學生は終始靜に勉强す。火曜擔當のF氏學生の私語堪へがたき故今週より學籍番號順に坐らしむ由。午後インターバル速步。
空隈なく晴れわたりて西北の風折〻强し。午下インターバル速步。綠陰步道花水木の花悉く落盡しぬ。Sドラッグに立寄り累積ポイント千點を景品の水筒と交換す。授業中喉渴きてスポーツドリンクを飮むのに用ゐんがためなり。
快晴の空雲翳なし。朝來暴風の音騷然たり。午後坡上をインターバル速步にてあゆむ。燈刻溫泉。初更BS11ようこそ藝賓館に柳家喬太郎が初音の鼓、笑福亭三喬がおごろもち盜人を聽く。喬太郎は膝隱し見臺を用ひて語りたり。三更BSフジ落語小僧第四囘を見る。小學五年生KOHARU亭けいじろうの動物園人をして抱腹絕倒せしむ。余は今日までこの噺を面白く聞きたること一度もなかりき。二席目は中學二年生ふえふき亭がちょうの孝行糖なり。今夜の指南役立川談笑時そばを披露す。
陰晴定らず。西南の風烈しく暖なり。午後堤上を步す。曉明三重テレビにて錄畫し置きたるヒッチコックの見知らぬ乘客を看る。ブルーノ・アントニー役ロバート・ウォーカーの演技を堪能す。原作はパトリシア・ハイスミスにて同性愛趣味濃厚なり。庭球試合の看客席にてブルーノが一人カメラを凝視するショットの適確さヒッチコックが名人藝なり。
天氣牢晴。薰風爽颯たり。門巷寂寞。慈君の筆記型電腦 LaVie に Windows 7 Service Pack を適用す。午後インターバル速步。雀の子蒲公英の綿毛を銜へて飛ぶを見る。今曉五時十五分NHK總合にて錄畫したる演藝圖鑑に柳家さん喬の初天神を聽く。晚霞燦然たり。この日端午の佳節にして立夏なり。
薄く曇りて薰風習〻たり。みどりの日とやらいふ祝日なり。公式網站の畧歷頁の意匠を一新し、スクリプトを改良す。jQuery をアップグレードし、javascript は凡て外部ファイルとなす。午後インターバル速步。捕蟲網を手に河原を走る親子を見る。長閑なる景色なり。拂曉三時BS-TBSにて錄畫せし落語硏究會に柳家小滿んの三軒長屋、三遊亭歌武藏の植木屋娘、柳家さん喬の野ざらしを聽く。
好晴。けふも西風强し。憲法紀念日。公式網站の更新作業に一日を費す。夕陽明媚なり。火點し頃溫泉。漢方の湯今月中旬を以て中止しますとの貼紙あり。生藥抽出液甚だ濃厚にて機械に損害を與へるが故なりと。歸途稻葉町四辻の田圃より大量の水步道に流れ出でたり。車體に水道緊急工事中と書きたる車路肩に停まりをれり。水道管破裂せしにや。
晴れて烈風なほ歇まず。去月來寒氣例ならず。咖啡所コメダに朝餉を喫す。午前授業。屋内スケートリンク橫のヒトツバタゴ、通稱ナンジャモンジャの木の花半ば開く。この花は黃金週間に滿開となるを常とす。例年に比すれば一週間ほど遲し。夜初更鳧の遠近相應じて啼くを聽く。夜更けて鳥の啼き出づるは珍しき事なり。これも異例の寒氣の故なる歟。怪しむべし。一時半歸家。公式網站の更新に半日を費す。晚間書齋の寒さ堪難ければ空調を暖房運轉す。
舊三月廿二日。空は好く晴れしが西北の風吹き狂ひて寒し。午後インターバル速步。書齋と睡房の塵を掃ふ。强風日暮に至るも歇まず、欅の枝も吹き折られんばかりなり。日曜深夜BSプレミアムにて錄畫せしクイーンの演奏會を聽く。昭和六十一年七月廿七日ブダペストにて催されし演奏會なり。