心地すぐれず。起き出でゝ時計を見れば午後一時半なり。雨もよひの空晴れやらず。荷風先生の忌日なり。父上夕餉にボンゴレ・ロッソをつくらる。枕頭リービ英雄千々にくだけてを讀む。
隂。心地すぐれず。下痢數次。終日臥褥に橫はり佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』を讀む。N子も眠りを貪る。地震にて搖れざる家に眠るは久振りなるが故なり。英國ウィリアム王子キャサリン・ミドルトン孃擧式。
隂。百五十五號線沿道のドライブイン廢墟いつの間にか辨當屋開業せり。新年度第三囘目の授業を行ふ。名詞形容詞の性數一致に學生諸君苦心慘澹たり。授業後學生四五人の質問に荅ふ。今年の新入學生は難讀姓名多し。上玉利、榎波、良知は初て目にするなり。良主亞と書きてよしゅあと讀ましむる男子學生あり。基督敎の信者なるべし。圖書舘に立寄り佐々木中著切りとれ、あの祈る手を借る。二時前家にかへり、睡房を掃除し、手紙など書く中日は忽暮れたり。二更驛に徃きN子を迎ふ。來月二日は休業日、金曜は有給休暇をとり十連休の由。風俄に寒し。下痢數次。心地わろし。
隂。曇りし空一際暗くなりて、風吹き出で雨降り出しぬ。心氣爽快ならず。田村さと子先生新著百年の孤獨を步くを寄贈せらる。燈刻N孃の來書に接す。余が縣立大學を辭職せし際最後の授業を行ひし學生なりき。數ふれば八年の昔とはなれり。
隂。欝の症狀惡化の一途を辿るのみ。物書かむと机に凭るも懶し。思考鈍磨如何ともすべからず。午後主治醫を訪ふ。院内を步むも頭を擡げるに難く、視線は爪先に落ちるばかり。診察室の椅子に腰を下ろし先週來の不調を告ぐるに、一瞥して病惡化は明かとみえ、幸にして贅言を要さず。原因に心當りなく抑欝不安昂じるのみ。先々週一日六十ミリグラムに減量せしアナフラニールふたゝび七十五ミリグラムに增量せらる。歸途理髮舖に立寄る。チェルノブイリ原發事故二十五周年。潮出版社山岸凉子の短篇漫畫パエトーンを無料公開す。事故二年後の一九八八年出版、原發卽時停止を求む警世の書なり。
雨やみてはまた降る。心氣欝々、終日眠りを催し何事をもなす能はず。讀書する氣力もなし。
雨もよひの空なり。風さむし。書齋寢室掃塵。小學校に赴き町議會議員選擧の投票をなす。小庭の杜鵑花半ば開きたり。執筆五枚。黃昏暗雲散じて靑空現はる。
風なく雨しめやかに降りて好き日なり。雨の日は花粉飛沫の量少きはずなれど、昨日來目の痒きこと甚し。リボスチン點眼劑を用ゆ。欅の梢に河原鶸の囀る聲鈴の如し。テイボー先生がモノディアロゴスに綠の黨結成を提案せらるゝを讀みしかば、コメント欄に中沢新一綠の黨結黨宣言のことを記す。倂せて今月五日に Ustream にて生中繼されし中沢新一内田樹平川克美緊急鼎談の梗槪を記す。直に先生より電子書信を得たり。西班牙の風力發電につきて長文の返信を送る。
隂。午後微雨。細雨烟の如く新綠更にこまやかなり。編輯長の電子書信にて田中好子の訃報に接す。キャンディーズはコントを巧みに演ずる女性アイドルグループの嚆矢なり。伊東四朗扮するベンジャミン伊東の電線音頭にて一世を風靡したるテレビ朝日みごろ!食べごろ!笑いごろ!企畫當初の趣旨は、加山雄三とキャンデーズを中心に歌とコントでつゞるバラエティーなりき。コントの腕前はランこと伊藤蘭が一頭地を拔き、次いでスーこと田中好子、ミキこと藤村美樹なりき。情報誌ぴあ首都圈版七月廿一日號にて休刊の由。余十年來ぴあを買はず。最後に買ひしはいつの頃なるやと日誌を繙くに平成十三年六月と判明せり。午後草稾に筆をとること五枚。直に編輯長に送る。一昨日の民主黨復興ビジョンチーム會合における孫正義の講演を Ustream に見る。H氏駿河臺出版社刊フランス語學小辭典を惠與せらる。
薄く晴れて風なく靜なる日なり。八時半出發。町内其處彼處に紅白の幕に覆はれし民家あるいはプレハブの小屋あり。町議會選擧立候補者の事務所なり。新學期二囘目の授業を行ふ。この日初めて受講生全員と西班牙語にて挨拶を交す。二限終了後一限の男子學生控へ室に來りて、蹴球同好會顧問の件につきて事務室に問合せしところ、非常勤講師への委囑は許可されず、已むを得ず專任敎員に委囑することゝなしたりといあふ。學生曰く、余はチームの命名者なれば殘念至極なりと。余は影の顧問を僭稱することゝなす。歸途セブンイレブンに立寄り岩波新書の木村榮一著ラテンアメリカ十大小說を買ふ。一時半歸宅。晝餉に鷄麵を食すにセキセイ鸚哥のアサリ君興味津々として箸に飛乘る。シジミ君はオーツ麦を催促してやまず。執筆半日。燈刻窗外に町議會選擧運動員の一團自動車にて來りて、○×でございます、ご迷惑をおかけしてをりますと擴聲器にて連呼す。喧噪厭ふべし。夕餉の後慈君と四國放送サムライフラメンコDVDを鑒賞す。内容充實、一時間は瞬く間に過ぎぬ。全國放送せられざりしは寔に勿體なし。
倦怠甚し。眠よりさむれば旣に午を過ぐ。西北の風終日吹きすさみて歇まず。物書かむと机に向ひしが何といふ事もなく筆とるに懶し。何事も打捨てゝ臥褥に入り、午後半日惰眠を貪る。四國放送ディレクターT氏サムライフラメンコのDVDを惠與せらる。ソフトバンク孫正義社長自然エネルギー財團設立を表明す。個人名義で十億圓據出する由。
晏起盥漱すれば日は忽午なり。曇りし空より怪しげなる風吹き來りて、直に絲雨ふり始む。雨の粒風に煽られくる/\と向きを變へること目まぐるし。雜誌の稾を起さむと思ひしが氣力消耗何事をもなす能はず。蚤く臥牀に橫はりぬ。
惡夢に襲はる。輕陰の空次第に雨氣を帶ぶ。鄰の空地にドラッグストアの基礎工事始まりコンクリート打設せらる。また裏手の超級市塲建設豫定地にてもショベルカー掘削を始む。茟とるも感興來らず。Dropbox 專用軟件の用戶界面日本語化されたるを以て試に安裝せしかど、使ひ勝手思ひの外よからず、また無料にては保存容量二技嘉のみなれば直に卸載す。晡下一睡。黃昏窗外雨聲を聞く。讀書三更に至る。
天氣牢晴。欅の靑葉淺き綠の色いふばかりなく軟なり。濱岡原子力發電所の停止を求める菊地洋一氏の中部電力靜岡支店直訴の動畫を YouTube に看る。二時FM愛知に山下達郎サンデー・ソングブックを聽く。番組終了直前、山下氏南相馬市原町區在住ファンクラブ女性會員の長文書簡を朗讀せらる。山下氏つとめて平靜を保ち、余は女性と佐々木孝先生ご一家を思ひ暗淚を禁じ得ず。終曲 Happy Happy Greeting 演奏會錄音をかけらる。初更日曜洋畫劇塲にサム・ライミ監督スパイダーマン3を看る。退屈窮りなし。
蚤起。旅亭のレストランに朝餉をなし、タキシ自働車を倩ひて驛に徃く。鴨川の柳靑々として染めたるが如し。市中閑散、車の徃來殆なく運轉手も驚きたり。九時新幹線にて京都を發す。名古屋驛停車塲で小島氏と別る。十時半歸宅し玄關扉を開けるや、セキセイ鸚哥のアサリ君シジミ君聲を限りに囀りて余を迎ふ。午下セブンイレブンに赴き文庫本を買ふ。西北の風吹起り砂塵を捲く。俄に寒し。T氏釣りたての鰺を餽らる。書樓のアナログテレビを見るに、畫面下に字幕表示され、ご覽のチャンネルはひまわりネットワークが地上デジタル放送の電波をアナログ方式に變換してお屆けしてゐます、お使ひのテレビは二〇一五年三月末までご使用になれますと讀めり。右上隅に黑地白拔の字にて浮かびしアナログの文字いつかデジアナに變りたり。
輕陰の空雨氣を帶び門前の櫻花半散りたり。坂東玉三郎南座特別舞踊公演の日なれば旅裝をとゞのふ。晝餉にて左手に匙をもち茶漬飯を食ひつゝ右の指にオーツ麦をつまみてはアサリ君とシジミ君にやること日課の如し。食後假睡。京都の天氣豫報をみるに夕方より夜にかけて雨ふる由。折疊み傘を鞄に入れ二時半門を出づ。直に小雨降り來たりしかば傘をさす。三時三十五分新幹線のぞみ號にて名古屋驛停車塲を發す。乘客八分程度なり。ネットブックを開きて執筆、忽京都到着を告げる電子音鳴り響き、窗外に鴨川畔の櫻を愛づ。雨旣にやみたりとおぼしく、雨後の空墨を流せしが如し。奈良線に乘替へ東福寺に出で、出町柳行京阪電鐡を待つ。祇園四條驛下車、五時四十分南座入口に出づるに開塲を待つ中年初老の女性客長蛇の列をなしたり。社會見學らしき中學生の一行もあり。小島氏旣に來りて入口左の玉三郎獅童東日本大震災慈譱對談の貼紙を眺められゐたり。近くの喫茶店に小憇して入塲す。小島氏十四列十五番、余十五列二十番。六時半坂東玉三郎特別舞踊公演開幕。今月は午後一時開演なれど九日と本日のみ午後六時半開演なり。觀衆滿塲、空席殆無し。第一部忍夜戀曲者將門よからず。中村獅童の大宅太郎光國に踊りの醍醐味なし。宛ら演出家玉三郎と弟子獅童の稽古を見學するが心地せり。三十分の休憇を挾みて第二部日本振袖始を看る。玉三郎の岩長姬頭を振りて大甁の酒を飮む仕草に化物の異形ぶりを感ぜしむ。初めて玉三郎の凄みの片鱗を見たり。獅童の素戔嗚尊意外にもよし。後半の立囘り小氣味よし。幕引きと同時に拍手喝采鳴り止まず、歌舞伎公演には珍しくカーテンコール三囘あり。客の中にはブラボーと叫ぶ者もあり。最後はスタンディングオベーションとなりぬ。背後の老人こんなん初めてやと昂奮したり。九時裏手の割烹ちとせに小島氏と晚餐をなす。客余等のみにて金曜の夜とも思はれず。鯛の白子、鰧のお造り、鰧のかま味佳し。秋公演のことなど話す。祇園の町も人通り少く、路肩に客待ちのタキシ自働車連なりてものわびし。三更旅亭に投宿す。八坂神社前の交叉點に灰皿を見つけ一服す。ワイシャツを半分ズボンより出したる二十代後半らしき醉漢よろ/\と近づき、此所はどういふところなのですかと藪から棒の質問をなす。この土地の者にあらざれば知らずと荅ふ。
晴れて暑きこと六月の如し。新學期初囘授業を行ふ。今年度より始業時間三十分繰下がりて九時半開始となり、體育學部スポーツ科學部と改稱せらる。發音練習をなす。一限終了後快活なる男子學生四五人敎壇に來りて、この度蹴球同好會を結成せり、差閊へなければ顧問役を務められたしと云はる。非常勤講師にその資格あるやなしやを余は知らず。余に資格あらば應諾するにやぶさかならずと荅へ置きたり。一時半歸宅。久振りの授業にて疲勞せり。晡時一睡。KeyHoleTV 七月のデジタル放送完全移行を以て終了の由。
晏起旣に午に近し。蚤く起きて物書かむと思へど倦怠甚しく睡氣を催すばかりにて書くこと能はず。新學期を控へて徒に緊張する故にや、花粉症藥アレロックの副作用にや、花盛りの時節に卻つて心氣欝々として樂しまず。氣分よからざれど敢へて門を出で、富が丘の便利店に赴きクロネコメール便にてDVDを發送す。沿道の櫻花紛々として散り放水路の水面を覆ふ。欅の若葉靑々として染めたるが如し。旅亭料亭の豫約をなす。
晴れて日の光うらゝかなれど風猶寒し。朝餉の後產經新聞を見るに、原子力安全保安院福島原發事故の國際評價尺度レベル7に引上げを報ず。遂にチェルノブイリ事故に肩を竝べぬ。西班牙エル・パイス紙逸早くトップ記事にて報ず。早朝長野千葉にて震度五弱の餘震あり。去月二十六日放送の四國放送サムライフラメンコDVDを看る。全國放送せられざりしを惜しむ。公演資料作成意の如くならず。午後主治醫を訪ひ診察を乞ふ。池畔の櫻花强風に舞ひ散るを見る。晡時假睡。H氏電子書信を寄せられ、D氏腦梗塞にて倒れられし由を告ぐ。近藤誠一文化廳長官被災地の文化藝術活動支援を確約す。三更NHK-FM元春レディオショー大瀧詠一第二囘を聽く。
半陰半晴。昨日票を投ぜし新人候補者落選の報に接す。今年初て口脣ヘルペス發症せり。秋公演の資料作成を始む。晡時疲勞して眠る。五時過夕餉の支度をなしゐたりし時、忽然衞星第一テレビより緊急地震速報の警告音鳴り響きたり。福島縣濱通り震度六弱。直後に震度五弱の餘震二囘あり、以後十分每に餘震つゞきて一向に止む氣配なし。大きなる餘震は一箇月後に襲ひ來るが通說にて、荷風先生の日誌を繙き大正十二年九月朔關東大震災の記錄を讀むに、果して十月四日初更强震ありと記されたり。初更煙草を購はむとて便利店に赴く。西北の風吹き出でゝ俄に寒くなりぬ。
春の日うら/\と晴渡りて暴に暖なること初夏の如し。讀書。縣議會議員選擧の當日なればサンデー・ソングブックを聽きて後北小學校に徃く。校庭の櫻意外にも未だ蕾あり。原邸公園に遊ぶ兒童半袖姿なり。辛夷の花風雨の爲にや殆落盡しぬ。高圓寺にて大規模なる反原發示威運動決行せらる。桌上にマネがフォリ=ベルジェールの酒塲を大寫しにして鑒賞す。午後八時丁度讀賣新聞朝日新聞石原慎太郎東京都知事四選確定を報ず。呆然として言ふところを知らず。衆愚政治の見本なり。
細雨糠の如し。舞踊團公式網站のメニュー意匠を變更す。十時過東海テレビ土曜プレミアムにロン・ハワード監督トム・ハンクス主演の活動寫眞天使と惡魔後半を見むとてテレビをつけるに、放送開始繰り下げられたるにや、看終れば十一時半なり。暖爐前に倒れしユアン・マクレガーがイルミナティだと叫ぶ塲面にて黑幕の正體マクレガーに相違なしと思ひ、その後一時間近く續く物語退屈極まりなく、果して彼が黑幕なり。アキヴァ・ゴールズマンの脚本拙劣、サルヴァトーレ・トチノの撮影貧乏臭し。
晝前より春雨しと/\ふりてはまた歇む。衞星第一を見るに、昨夜十一時頃牡鹿半島沖合にて餘震あり、栗原市震度六强なりと。東北地方停電。北海道より東北への送電線も途切れたる由。我家に自ら賢人と稱する男あり。馬鹿の骨頂なり。
東南の風烈しく暖氣蒸すが如し。門前の櫻花爛漫たり。今日も radiko に文化放送大竹まことゴールデンラジオを聽く。週刊文春小林信彦のコラムも紹介せらる。小林氏曰くテレビと新聞は大本營發表にて賴みの綱は雜誌とラヂオなり、但しラヂオも全面的に信賴すべき局なし、A局の某氏、B局の某氏、C局の某氏と選り分けて聽くべしと。セブンイレブンに赴き蓮實重彥監督小津安二郎增補決定版を買ふ。父上母上栗原市の叔父N夫妻に食糧品を送らる。何とはなしに疲勞を覺え平日より早く寢に就きぬ。
天氣連日限りなく佳し。小中學校始業日とおぼしく、制服を着るより制服に着られる中學一年生の門前を步むを見る。ジャック・アタリ氏の全力を盡くして福島と人類を救うを讀む。radiko 今月十日まで關東局全國開放中なるを幸に、文化放送大竹まことゴールデンラジオを聽く。冒頭アエラ緊急增刊號に觸れ、原發事故は人災なりとの養老孟司の發言紹介せらる。倂せて香山リカの寄稾を紹介、復興に向けて國民一丸となるべしといふ大言壯語蔓延するなか、被災により心身消磨して何事もすること能はざる者も尠からず、かゝる者は泣きたければ泣き暮れるべし、敢へて何もせぬことが大切と說かる。これまた傾聽に値するといふべし。夕餉の後、昨日日本記者クラブにて行はれし環境エネルギー政策硏究所所長飯田哲也氏の講演及び質疑應答を YouTube に視聽す。爐心溶融は明か、放水は徒に被爆者を增やすのみ、原子力行政は無爲無策、もはや福島原發の制御は日本の手に餘れば、世界最先端の智慧を總動員せずば事態收拾は無理なるべしと說く。東京電力株價一時二百九十二圓。Ullet によれば筆頭株主は日本トラスティサービス信託銀行、以下第一生命、日本生命、日本マスタートラスト信託銀行と續きて、第五位は東京都にて四千貳百六拾七萬六千株を保有し損失額一千億圓を超ゆ。
薄く晴れて風絕ゆ。旬日雨なし。午後一時 Ustream にて中沢新一内田樹平川克美三氏の緊急鼎談いま日本に何が起きているのかを視聽す。原子力エネルギーは生態系の外部に在るものなれば是まさに一神敎の導入にほかならず、古來神佛混同を習ひとする日本人は一神敎に對する處置法を徹底して缺きたりと中沢氏指摘し内田氏感服せり。後半に入り中沢氏綠の黨結黨の告知をなす。三更 NHK-FM 佐野元春レディオショーに大瀧詠一インタビューを聽く。ナイアガラ・トライアングル Vol.2 の錄音祕話なり。この日の曲目を爰に記す。
晏起旣に午を過ぐ。今日も薄く曇りて風さむし。初更小島氏と電話にて作戰會議を行ふ。今月卅日の城井二葉氏フラメンコ舞踊敎室二十五周年紀念リサイタル中止せらる。西班牙人出演者四名原發事故を恐れて來日を拒否したるを以てなり。枕上大瀧詠一 Talks About Niagara を讀む。博覽强記天下無敵なり。
輕陰。風冷なり。久しく雨ふらず。路傍の土乾きて瓦の如くになれり。便利店に徃きマールボロ・ブラック・メンソールを買ふ。日本たばこ產業社製銘柄殆品切なり。家にかへりて新聞の切拔をみるに、栃木福島の工塲被災したるを以て三月卅日より四月十日まで全銘柄出荷停止といふ。朝日新聞ソフトバンク社長孫正義氏この度の震災義捐金として個人名義で百億圓寄付する由を報ず。更に社長引退まで每年役員報酬を全額寄付、ソフトバンクグループ全體としても十億圓の寄付をなすといふ。災後初めて企業人の公共精神を見たり。旣得權益におぼるゝ產業界に決定的なるノンを叩きつけたり。孫氏去月卅日ツイッターにて下記の如き提言をなしたり。
提言。原發利用の電力には多額の課稅をする。その財源でクリーンエネルギーに補助金を出す。この政策一つで日本は、一氣にクリーンエネルギー先進國になる。その輸出で日本經濟復活の一助に。
讀書。この日サンデー・ソングブックにて久振りに聽きたるジャッキー・デシャノンが What The World Needs Now Is Love 心に深く沁みたれば爰に歌詞を識し置く。
Lyrics: Hal David
Music: Burt Bacharach
Song: Jackie DeShannonWhat the world needs now,
Is love, sweet love,
It's the only thing that there's just too little of.
What the world needs now,
Is love, sweet love,
No, not just for some but for everyone.Lord, we don't need another mountain,
There are mountains and hillsides enough to climb,
There are oceans and rivers enough to cross,
Enough to last 'til the end of time.What the world needs now,
Is love, sweet love,
It's the only thing that there's just too little of.
What the world needs now,
Is love, sweet love,
No, not just for some but for everyone.Lord, we don't need another meadow,
There are cornfields and wheatfields enough to grow,
There are sunbeams and moonbeams enough to shine,
Oh listen Lord, if you want to know...oh...What the world needs now,
Is love, sweet love,
It's the only thing that there's just too little of.
What the world needs now,
Is love, sweet love,
No, not just for some oh but just for every, every, everyone.What the world needs now,
Is love, sweet love.
What the world needs now,
Is love, sweet love.
What the world needs now,
Is love, sweet love.
晏起午に近し。半陰半晴。セキセイ鸚哥に手づからオーツ麦をやる。アサリ君シジミ君嬉々として食ふ。慈君驛前商店街櫻まつりに徃かれ、豐田市大沼町有限會社下山の里日本一大きな五平餠を購ひ來らる。S子アエラの養老孟司内田樹震災對談を傳眞にて送らる。内田氏政府に賴らぬ市民意識の高さを指摘す。余も同感なり。養老氏曰く自然は初めより荅を示すものなり、千年に一度の大地震が起きその結果は眼前に明かなり、荅は自明なれば不明なるは問題なり、余等に問はるゝものは何かなりとぞ。夕刻東南の風吹き狂ひて庭樹を騷がす。暴暖頭痛を催さしむ。H氏の返書を得たり。細君統合失調症再發の顚末を知る。讀書今夜も二更に及ぶ。
舊二月廿八日。快晴。春風駘蕩。花粉症の點眼劑殘りわづかとなれば耳鼻咽喉科に徃く。待合室患者余ひとりなり。雜誌入よりAERA今週號を取り出し卷頭の養老孟司内田樹震災對談を讀み始めるや忽診察室に呼ばる。養老先生曰く震災は荅なり、問題は何處にあらむやと。ゴルフ練習塲西側の新道開通す。大學正門橫のセブンイレブンよりN子に食糧一箱を送る。時分時にて店内學生夥し。丁子田交叉點に名東溫泉花しょうぶといふ大きなる施設普請中なり。晡時步みて皮膚科に赴く。混雜いつもの如し。脂漏性濕疹と診斷せらる。民家の庭に雪柳を愛づ。門前の櫻二分咲なり。時事通信によるに、去三月のスペイン月間電力供給量に占める風力發電の割合二十一パーセントに達し、初て原子力發電を上囘り供給源第一位となりたり。讀書三更に至る。