天氣牢晴。西北の風烈し。昨夕突然喉の奧痛みて、今朝痛み惡化したれば町内の耳鼻咽喉科に赴きて治療を請ふ。午後辭典編纂餘事なし。
朝來寒雨蕭蕭。朝蚤く石狩の伯母Sより慈君に電話あり、鄰家の伯母K頓死せられしといふ。昨夕料理を差入せむとて鄰家を訪れるに旣に事切れて冷たくなりゐたりし由なり。寢耳に水の話にて到底信ずる事能はず。昨年三月餘が慈君と倶に石狩の家に伯母Kを訪ねし折には齡八十を迎へて猶矍鑠たりき。昨年五月には從兄S君と倶に上京せられ、N子が勤務する銀座の職塲を電擊訪問せられたりき。土曜通夜、日曜告別式。余は慈君と參列する心づもりなりしが、老父を獨り家に殘すは不安にて、父上もまた參列したしと云ひければ、父上母上が參列し余は空しく家にとゞまり留守番することゝなす。伯母Kは一家眷屬の中余が最も深き愛情を受けし人なり。幼き頃より余を雄坊/\と呼び吳れたりき。雨夜に入るも止まず。淚雨なり。
晏起。快晴の空一點の雲無し。午下川邉を步す。立春の節近づきたる故にや日の光うるはしく暖氣そゞろに探梅の興を思はしむ。夕刻圖書館に赴く。步道橋より木曾御嶽の雪景を望む。三重テレビ淺草お茶の間寄席に三笑亭可龍の兩泥、ナイツの漫才を聽く。ジム・ホルト著世界はなぜ「ある」のか?を讀む。
蚤起。目覺めし途端に烈しき眠氣を催す。朝の中薄く晴れし空日の傾くにつれ暗雲に蔽はる。午下川端を步す。輕鴨の群れ集ひ遊ぶさま余の目を喜ばしむ。晡時一睡。BS11ようこそ藝賓館に桂文治の源平盛衰記を聽く。日曜來文治の落語をテレビに聽くこと三度なり。
快晴。慈君の誕辰なり。五十年使ひ來りし蒸器の平鍋に穴空きたれば新しい鍋を求めて正午慈君を伴ひホームセンターに徃く。駐車塲内の空塲所を探して車を徐行運轉しゐるに、公道の入口より入り來りし車の運轉手顏を眞橫に向けしまゝ直進し、余の車の運轉席側扉の前に追突す。車を停めて追突箇所を調べるに大きなへこみはなく擦傷三十センチほど出來たり。相手は八十代半ばと思しき老夫婦なり。助手席の妻は足腰不自由なる老婆なり。運轉者の男に連絡先を尋ねるに名刺を差出して、修理代はすぐに拂ひますと云ふ。男は性質溫和なる人と見え、自らの不注意を素直に詫びたれば、警察には屆けず示談となす。怪我人なかりしは幸なり。ホームセンターに鍋を探せどめぼしきものなし。セキセイ鸚哥の混合餌を購ふ。歸途アンテノールに立寄り一時半家にかへる。アンテノールのモンブランを食して慈君の誕辰を賀す。燈刻廚房に立ちて魚介のピラフと若布のスープを作る。
陰後に晴。寒風あまりに烈しければ日課のインターバル速步はせず家にとゞまりぬ。BS-TBS落語硏究會に桂文治の掛取り、春風亭一朝の尻餠、立川生志の二番煎じを聽く。文治頗よし。NHK總合演藝圖鑑に同じく文治の松山鏡を聽く。Eテレ日本の話藝に川柳川柳の映像グラフィティを聽く。FM愛知サンデー・ソングブックに極私的青山純追悼特輯第二囘放送を聽く。山下達郎氏獨善的なる自稱ファンへの怒りを語らる。茲に氏の持論を記し置く。
今迄ですね、まァ、色々なお手紙を頂いてゐるのですけど、何度か演奏メンバーを變へて參りました。その度にですね、先週も一寸申上げましたが、スタッフには反對されましたし、「以前の方が良かつた」といふ保守的なお客樣も大勢いらつしやいました。現在ではですね、押しも押されぬトップドラマーであります青山純といふ人ですら、彼を私が起用した當初はですね、スタッフや聽衆からは「何故そんな無名のミュージシャンを使ふのか」と反對されたり抗議されたりもしました。お客さんの中には文句を言つてですね、それ以來來なくなるといふ方もいらつしやいました。おんなじ樣な事がもう何度か繰返されて現在に至つてをります。今もさうした情勢はあまり變りありません。
ボブ・ディランの No Direction Home といふ映畫を觀るまでもなくですね、藝事に對してのお客さんの保守性といふものが大昔から存在しました。それはまァ、藝事といふのは、見る側にとつてはですね、自分の歷史の投影、まァ自分史ですね、自分史の投影、自分史の對象化、さうした結果であります。歌舞伎とか傳統藝能、落語なんかの世界ですとですね、必ず「先代は良かつた。おまえの藝なんて先代に比べれば」といふ、さういふ昔は良かつたといふ、まさにさうした自分史の反映としての藝事の評價といふものが昔から御座います。ですが、古い世代といふのは、新しい世代に對する寬容さといふものを常に持つてゐなければならないと僕は常に考へて居ります。若い世代がですね、いつの時代も續々と生れて來ます。我々古い世代はそれらの若い新しい才能を見出して、拔擢し、扶けて、日の當たる塲所に引張り出してあげなければいけません。
然るに、多くの業界人、それから、まァ、耳の肥えた聽衆とかお客さんですらもですね、自分に馴染のある、自分達にとつての、まァ卽ち自分史の反映としての一流、有名ミュージシャン、さうしたブランドを金科玉條と崇めまして、「昔は良かつた、俺達の時代は良かつた、それにひきかへ今の若い者は……」と、屢々さういふ事を口にします。わたくしのライブに關しましても此處十年間青山君がゐませんので、「そんな青山純がゐないライブなんて」といふ方が少なからずをられること、わたくしよく承知して居ります。別にさういふ方々にですね、ふたゝび來て頂こうとは思ひませんが、たゞ一つはつきりさせて置かなければならない事は、今迄私を手傳つて貰つたドラマー、上原裕、村上秀一、そして青山純、そして現在のパートナーであります小笠原拓海といふ、皆優れて卓越したドラマーであります。他にもスタジオやライブで緣のあつた林立夫さん、高橋幸宏さん、知己はないけれども最近ですと吉田佳史さんとか玉田豊夢さんとか、素晴らしいドラマーが今も昔も澤山存在します。彼等一人/\の誰もがそれ/″\にプレイヤーとしての個性や特質性といふものを有して居りまして、それらは固より優劣の比較對象に抔ならないものであります。從つてファンの贔屓、或は贔屓の引倒し、何度も申上げて居ります自分史の反映、さうした次元でのですね、誰が誰より優れてゐるとか劣つてゐるとかいふ、さうした無意味な評論家ごつこは、固より私は何の興味も持つて居りません。
友達の死といふのは大變に悲しいし殘念な現實ですけど、それでも我々は生きて行かなければならないし音樂を續けて行かなければなりません。青山純の數多の名演といふものはしつかりと記錄に殘されて居ります。殘された者は去つて行つた者の、人々のですね、想ひを受繼ぎながら音樂を續けて行かなければならないと思つてゐます。
近い中に大瀧さんの追悼特輯も企畫する豫定で居りますけれども、大瀧さんが亡くなつてから後ですね、番組宛に「早く追悼特輯をやれ」とかですね、「追悼特輯は誰も知らないレアアイテムを澤山かけろ」とかですね、「最低半年はやれ」と、さういふ樣な類の端書が少なからず舞込んで參ります。ツイッター等のネットでも、私さういふのは興味ありませんので見ませんけれど、さういふ發言があると聞きます。さうしたファンとかマニアとか仰る人々のですね、或る意味でのさうした獨善性といふものは、大瀧さんが最も忌み嫌つたものでありました。親とか兄弟の關係を他人に說明できないのに、僕と青山君、僕と大瀧さん、さうした個人的な關係は又ですね、第三者に說明出來るものではないし、說明したいとも思ひません。從つて追悼特輯の迅速性とか密度とかいふものに、わたくしは固より全く關心が御座いません。そこの所を豫め御諒承頂きたいと思ひます。時期が來たら大瀧さんの追悼特輯やつてみたいと思ひます。
曇天。無風。午後河岸を步す。この冬はじめて毛絲の帽子と革手袋を用ゐず le coq sportif のキャップのみ被りてあゆむ。暖氣彼岸の頃を思はしむ。小鷺一羽川面の上を滑るが如く飛ぶを見る。過日東京都知事選擧公布され、元航空自衞隊幕僚長の田母神とやらいふ極右運動家立候補し、同じく極右の石原某これを支援す。彼らに共通するは反知性主義なり。橋下某大阪市長は自身が揭げる大阪都構想に反對する政治家を一生かけて邪魔してやると公言せし由。これまた反知性主義なり。黃昏BSフジ落語小僧に中學三年生でらうえ家トカゲの强情灸、林家木久扇の弟子にして高校三年生林家きく坊の初天神を聽く。指南役柳亭市馬得意の掛取りにてご機嫌を伺ふ。
天氣連日限りなく好し。今年は大寒に入りてより寒氣却つてゆるやかになり、そが爲にや輕き頭痛を覺ゆ。梅の蕾もいつか膨らみ初めたり。年度末試驗答案の採點をなす。ボールペンの赤インキ盡しかば步みてO商店に赴き替芯を買ふ。途次預金を下ろさむとて驛前の銀行に至るに現金自動預拂機の前に行列の人長蛇をなせり。金曜日の故にや、或は便利店設置の預拂機手數料が有料になりし故にや。歸途理髮舖に立寄る。午後河畔を步す。輕鴨數多遊ぶを見る。本年度授業受講生の成績を評定す。夜初更いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。星斗森然たり。
快晴の空拭ふが如し。咖啡所コメダに朝餉を喫す。午前年度末試驗を行ふ。一時歸家。答案の採點二更に及ぶ。
晴れたる空に白雲多く浮びて西北の風强し。午後川沿を步す。高橋昌也歿。享年八十三。疲勞甚しく夕餉を食して直に寢に就く。
陰後に晴。午後主治醫を訪ひ藥を請ふ。待合室にて荷風先生の日和下駄をよむ。落語協會インターネット落語會に柳家小袁治が夢の酒を聽く。正月十四日新宿末廣亭二之席の高座なり。夜初更溫泉。BS11ようこそ藝賓館に三遊亭好樂王樂父子の親子だけど兄弟會を見る。王樂は新作戀してコチコチ、好樂は志ん朝直傳の元帳を口演す。三更NHK-FM佐野元春の元春レイディオショーを聽く。四週連續大瀧詠一追悼特輯の第一囘放送なり。
晴後に陰。目ざめし直後に尋常ならざる疲勞を覺ゆ。大寒なれど風なく寒氣ゆるやかなり。午後川添を步す。クラウディオ・アバド歿。行年八十。
晏起午に近し。寒風あまりに烈しければ日課のインターバル速步は斷念して空しく家にとゞまる。FM愛知サンデー・ソングブックにドラマ奏者青山純追悼特輯第一囘を聽く。NHK總合演藝圖鑑に柳家三三の金明竹、Eテレ日本の話藝に桂雀三郎の素人淨瑠璃を聽く。
快晴の空午後に至りて曇る。甥R二十歲の誕辰なり。寒氣やゝ寬になりしかば堤上を步す。BSフジ落語小僧にはれる家ほっぺの味噌豆、豐の小熊のつる、林家たい平の禁酒番屋を聽く。
薄く曇りて寒し。疲勞を覺ること甚し。三時より五時まで假眠す。夜初更ことぶきの湯露天風呂に浴す。十六夜の月紅色を呈して昇るを見る。五代目三遊亭圓樂が茶の湯、町内の若い衆、萬金丹、星野屋を聽く。
快晴の空拭ふが如し。寒氣嚴し。目覺めし途端に甚しき疲勞を覺ゆ。自動車のフロントガラス凍りたり。咖啡所コメダに朝餉を喫す。本年度最終授業を行ふ。大相撲初塲所、稀勢の里蒼山に手も足も出ず押出されて慘敗、二敗目を喫す。滿月鏡の如し。
陰後に晴。目覺めて眼鏡を探すに見當らず。枕の下を探るにブリッジ眞つ二つに折れゐたり。 昨夜蓐中にて讀書する中眼鏡かけしまゝいつか眠りに落ちたりと見ゆ。朝餉の後驛前の眼鏡屋に徃き修繕の依賴を爲す。午後川岸を步す。堤上の植込より繡眼兒一羽飛立ちて綠陰步道の大樹の葉陰に隱れる。幾望の月皎〻たり。三重テレビ淺草お茶の間寄席に古今亭菊之丞の付き馬を聽く。
半陰半晴。駐車塲より木曾御嶽を望む。雪肌旭日に映ゆ。咖啡所コメダに朝餉を喫しつゝ荷風先生の日和下駄を讀む。MOVIX三好に赴きアルフォンソ・キュアロンの活動寫眞ゼロ・グラビティ3D日本語吹替版を看る。カットを最小限にとゞめ九十分の短さにまとめしは評價すべし。立體映畫のおもしろさを味ふ。但し無重力空間に於るにも係らずカメラの動きの機敏なるは違和感を覺えしむ。また背景音樂喧しく餘計なり。豫告篇エージェント:ライアン、大統領の執事の淚、小さいおうち、ホビット/龍に奪はれた王國、プリズナーズ、るろうに劍心、黑執事、ウルフ・オブ・ウォールストリート。午後年度末試驗問題を作成す。三時ごろ河岸を步す。下川原橋のに輕鴨三羽頭を背に乘せて晝寢するそばに小さき龜一匹ぷか/\浮び泳ぐを見る。頭上には川鵜一羽飛ぶ。初更いつもの溫泉に徃き露天風呂に浴す。月明なり。BS11ようこそ藝賓館に古今亭文菊の豐竹屋、古今亭菊之丞の短命を聽く。
天氣好晴。西北の風吹きすさみて寒し。T氏來訪。釣果の鯛と志摩菅島名產の鹽若布を餽らる。昨夜中京テレビNNNドキュメントにて錄畫せし大島渚の記錄映畫忘れられた皇軍を見る。五十年ぶりの放映なり。
快晴。日の光うらゝかに照り渡りて風なく昨日に比すればあたゝかなり。書齋睡房の塵を掃ふ。午下川端を步す。NHK總合三遊亭小圓歌の演藝圖鑑に古今亭菊志んが堀の内を聽く。大相撲初場所初日。大關稀勢の里豐ノ島に敗れる。枕頭大貫妙子著私の暮らしかたを讀む。
曇天。寒氣昨日に劣らず。舊臘草蘆裏の閑地に雜貨店建設工事始まりぬ。この閑地は長らく鳧のつがひが好みて憩ひたりき。今年は間近に鳧の姿を見ること得ざるべし。悲しむべきなり。午下河畔を步す。下川原橋の下に小鷺一羽見ゆ。果して昨日の鷺なるや。或はその形のみ同じくして異なれるものなるや知る由もなし。十月櫻の白き花點々と咲きて星のごとし。鏡開きの汁粉を食す。BS12桂雀々の大判小判がじゃくじゃくに雀々の不動坊を聽く。余が今日まで使ひたる電腦及び文書作成ソフトの履歷を茲に記し置く。
年 | 機種 | 文書作成 |
---|---|---|
一九九一年 | Epson 286-Book | P1、一太郎 |
一九九五年三月 | IBM PS/V Vision | WordPerfect |
一九九六年十一月 | 秀丸エディタ、WordPerfect | |
一九九八年二月 | Compaq Presario 1680 | 秀丸エディタ、WordPerfect |
一九九八年四月 | 日立 Flora | 秀丸エディタ、Word |
二〇〇一年三月 | IBM ThinkPad i Series 1620 | 秀丸エディタ、Word |
二〇〇一年六月 | IBM ThinkPad i Series 1800 | 秀丸エディタ |
二〇〇三年八月 | OpenOffice | |
二〇〇八年五月 | Lenovo ThinkCentre M57e Ultra Small | 秀丸エディタ |
二〇〇八年八月 | Lenovo ThinkCentre M58e Ultra Small | 秀丸エディタ、Kingsoft Writer |
二〇〇九年二月 | Lenovo IdeaPad s10e | 秀丸エディタ、Kingsoft Writer |
二〇一四年一月 | Lenovo ThinkPad E145 | 秀丸、Kingsoft Writer |
乍陰乍晴。西北の風吹きすさみて寒氣嚴し。口唇ヘルペス再發して痛み耐へがたければ皮膚科に徃く。醫師のはなしにヘルペスは疲勞蓄積または不規則なる生活が原因なる由なり。疲勞の故なるべし。歸途セブンイレブンに立寄り過日セブンネットショッピングにて購ひし本を受取る。家にかへりて小憩の後驛前郵便局に赴き用事を辨ず。白樺書房西店いつしか癈業し店舖跡にマツモトキヨシ出店す。遂に驛前の本屋一軒殘らず姿を消しぬ。十二時半歸家。風の靜まるを俟ちて坡上を步す。輕鴨の群、川鵜一羽、また久振りに小鷺の水面を飛ぶを見る。筆記型電腦 ThinkPad E145 の OS を Windows 8 より Windows 8.1 にアップグレードす。作業に三時間かゝりぬ。夜初更ことぶきの湯に行かむとて駐車塲に赴くに自動車の屋根とフロントガラス凍りたり。溫泉に體をあたゝむ。半輪の月清奇なり。深更雪ふる。
半陰半晴。咖啡所コメダに朝餉を喫す。年明け初囘の授業を行ふ。歸路エコハウスに立寄り使ひ古したるレノボ社製ネットブック IdeaPad s10e を癈棄す。折々微雨あり。三時過堤上を步す。東北の空雨雲の下に大小さま/″\なる虹あらはれては又消ゆ。
陰雨冥〻。頭痛岑々然たり。ロキソニンを服して晡時一睡を試む。三重テレビ淺草お茶の間寄席に柳家はん治の鯛、古今亭菊太樓の子ほめ、入船亭扇遊の一目上りを聽く。
晏起。快晴。レノボ社より ThinkPad Edge E145 屆く。出張用に購ひしものなり。CPU は AMD、OS は Windows 8 64bit なり。鍵盤の意匠は廉價版なるが故にや品質やゝわろし。Classic Shell を導入してスタートメニューを復元し、AutoHotkey_L、fenrir、あふw、秀丸エディタ、キングソフト Office を安裝して環境を整ふ。主治醫を訪ひ診察を請ふ。夜初更いつもの溫泉に一浴す。大貫妙子著私の暮らしかたを読む。新潮社の季刊誌考へる人の連載隨筆を編纂せしものなり。BS11藝賓館に柳家喬太郎の文七元結を聽く。
天氣晴朗一點の雲なし。午下川邉を步す。午後十時ニッポン放送系列東海ラジオにて特別番組オールナイトニッポンGOLDスペシャル~ありがとう大滝詠一さん、NIAGARA Foreverを聽く。小倉エージ大貫妙子鈴木雅之杉真理高田文夫坂崎幸之助の六氏電話取材に應ず。曲目を茲に記す。
快晴の空拭ふが如し。小寒。曉明五時十五分に錄畫せしNHK總合三遊亭小圓歌の演藝圖鑑に北見マキの奇術を見、三遊亭圓丈の手紙無筆USAを聽く。二時FM愛知にサンデー・ソングブック本年初囘放送を聽く。番組主題曲かゝる前に山下氏より緊急の說明あり。
あけましておめでとうございます。山下達郎です。皆樣ニュース等でご承知と思ひますが、大瀧詠一さんがお亡くなりになりました。本日とそれから來週のサンデー・ソングブックはそれ以前に收錄されたものゝため、大瀧さんの話題には一切觸れられてゐない事をご諒承下さい。特輯等は又改めて企畫致します。宜しくお願ひ申し上げます。
一曲目聽取者の需に應じて Happy Happy Greeting かゝる。この朗らかなる曲に思ひがけず暗淚を催しぬ。放送を聽きて後いつものやうに河岸を步す。日の光うらゝかに川面にきらめくを見て師匠の歌曲ウララカを覺えず口ずさみぬ。
陰後に晴。正午堤上を步す。松本隆ツイッターにて名曲さらばシベリア鉄道の歌詞に觸れ、北へ還る十二月の旅人よ。ぼくらが灰になって消滅しても、残した作品たちは永遠に不死だね。 なぜ謎のように「十二月」という単語が詩の中にでてくるのか、やっとわかったよ。 苦く美しい青春をありがとう。と書き、盟友大瀧詠一への弔辭を陳ぶ。この日大瀧師の家族葬營まる。はっぴいえんどの盟友細野晴臣松本隆鈴木茂の三氏棺を支へたる由。明日は師匠鬼籍に入りて後初めてのサンデー・ソングブック放送日なり。余は師匠と一面識もなきに訃報に接して心臟を抉り取られしが如き心地す。然すれば最大の弟子たる山下達郎氏の胸中之を察するに難からず。夜に入りてフィル・エヴァリーの訃あり。
天氣牢晴。午後坡上を步す。NHK總合初笑ひ東西寄席にロケット団、中川家、ナイツの漫才、古今亭菊之丞の親子酒、桂文珍がついの住み處を聽く。トリ爆笑問題、大トリ春風亭昇太が力士の春。初更溫泉。大瀧詠一編輯による店頭演奏用特別盤 Welcome to the Niagara World を聽く。
半陰半晴。西北の風寒し。午下N子と森林公園に赴き植物園を見物す。來園者少なく遊步に好適なり。岩本池に靑鷺一羽大鷺一羽あり。いこいの森と濕地帶を拔けふるさとの森に至る。北海道地區の一角に蝦夷松あり。こどもの森を拔け展示館の脇を通り廣芝生に出づ。紙鳶をあげて遊ぶ親子あり。メタセコイアの大樹を仰ぎ、芝生に仰臥して暫し憇ふ。二時半過家にかへる。夕餉に江別菊水の鹽拉麵を食す。夜初更N子を地下鐵道驛に見送る。一旦歸家して後川端を步す。枕上元旦午前三時に錄畫せしBS-TBS落語硏究會に入船亭扇辰の三方一兩損を聽く。
舊十二月朔。薄く曇りて風なし。午後河畔を步す。步みつゝ大瀧詠一ナイアガラ・トライアングル Vol.1 のB面一曲目幸せにさよならをふと口ずさみ、鬼籍に入りし師匠を想ひて暗淚を催す。家にかへりてナイアガラ・カレンダーを聽く。昨日來大瀧氏の事以外考へられず。