抑鬱亭日乘

薄く晴れて苦熱ます／＼甚し。早朝慈君と倶にあぐりん村に徃き夏野菜と梨葡萄など購ふ。ミニストップに立寄り新商品カフェラテソフトを食して涼を納む。農協にて赤紫蘇を買ふ。家にかへりて自家製紫蘇ジュースと果物を梱包し、ヤマト運輸集配所に行きN子に送る。晝前市役所前の寒暖計を見るに早くも三十六度を示す。午後ことぶきの湯シルク風呂に浴す。昨日の試驗答案を採點す。平均點豫想を十點以上下囘りぬ。點數の低きは學生の不勉强のためならず、余の設問があまりにも難しかりし故なり。余は大に反省すべし。Eテレえほん寄席に柳家權太樓が黃金の大黑を聽く。三重テレビ淺草お茶の間寄席に隅田川馬石の元犬、林家木久藏の金明竹、古今亭志ん橋の子ほめを聽く。

薄く曇りて溽蒸甚し。咖啡所コメダに朝餉を喫す。九時出勤。前期試驗を行なふ。本年の設問は例年に比べて難しく、辭書の持込を認めしが學生みな終了時間ぎり／＼まで惡戰苦鬪したり。午後家にかへりて一限の答案を採點す。

惡夢に襲はる。陰後に晴。無風。炎熱昨日に劣らず。暑さの故にや頭痛を催し心地よからず。自立支援醫療受給者證屆く。DVDにてニール・ジョーダン監督の活動寫眞俺たちは天使ぢやない We're No Angels を見る。デイヴィッド・マメットの原作喜劇は面白くロバート・デ・ニーロとショーン・ペン熱演すれどジョーダンの演出甚だ拙劣にて笑へる塲面一つとしてなし。俳優が氣の毒なり。デミ・ムーア、ジョン・C・ライリー好演。ロバート・デ・ニーロにはマーティン・ブレスト監督のミッドナイト・ランといふ傑作喜劇あり。

空隈なく晴渡り、樹影色濃く、熊蟬今を盛りと集《すだ》き、乾きたる風書窓より吹き通ふ夏の好日なり。ヤマト運輸集配所に行きS子に西瓜を送る。午後いつもの混堂に徃き不感溫度浴をなす。家にかへりて慈君手製の紫蘇ジュースを飮む。明日よりマイクロソフト社の新OS視窗《ウインドウズ》10無料配布せらるゝなれど、余が愛用するキヤノン社製複合印刷機MP493のドライバは對應せざる由なれば、余は今後も視窗7を使ひつゞけることゝす。BS11藝賓館に笑福亭鶴二が高津の富を聽く。余が執筆せしKindle版電子書籍敬語が劇的に上達する７日間プロジェクト發賣せらる。

惡夢に襲はる。目覺めてなほ心地わろし。晴後に陰。コメダに朝飯を喫す。苺ジャム燒麵麭、茹で玉子、咖啡なり。九時MOVIX三好九番館にてピート・ドクター監督の漫畫映畫インサイド・ヘッド日本語吹替版を看る。兒童向けの作品にはあらず、思春期以降に適するなり。ビヾリとムカ／＼の活躍少なきを憾む。看客席の兒童ら殆反應を示さず。本篇に先立ちて上映されし短篇南の島のラブソング凡作なり。晝前家にかへる。晡刻接骨醫T氏を訪ふ。

晴。酷熱ます／＼甚し。赤紫蘇を購はむとて慈君と倶にあぐりん村に赴くに賣切なり。幸にして農協にて買ふを得たり。大草四辻大賀蓮《おほがはす》の花さかりなり。この蓮は昭和廿六年千葉市花見川區の檢見川遺跡にて發見されたる二千年前の實なり。大賀一郎が發芽開花せしめ、この四辻には十年ぐらゐ前より栽培せらるゝなり。慈君を草蘆に送り屆けて余はことぶきの湯に行き不感溫度浴をなす。BS-TBS落語硏究會に瀧川鯉昇のかぼちや屋、橘家圓太郎の三年目を聽く。NHK總合演藝圖鑑に三遊亭鳳樂の鮑のしを聽く。今夏始めて葛餠とアイスクリームを食す。

晴。苦熱机に向ひがたし。NHKラヂオ第一キャンパス寄席に春風亭朝也のやかんなめを聽く。禿頭の侍が勘違ひしてよくぞ身共を呼止めたと繰返す臺詞、また笑ひ通しの可《べ》く内《ない》を頻に叱る口調いつ聞きても樂し。BS-TBS落語硏究會に柳家さん喬が宿屋の仇討を聽く。DVDにてセドリック・クラピッシュ監督の活動寫眞スパニッシュ・アパートメントを看る。上質の喜劇なり。馬德里遊學の舊時を追懷して感慨禁ずべくもあらず。

輕陰。風しづかなり。書室暑苦しく、いつものやうに扇子をあふぎて風を送る中、我家に扇風機といふ文明の利器あるを思出しぬ。納戶より之を引出して設置す。本日に到るまで扇風機の存在を忘れゐたりしは何故にや。老耄笑ふべし。鶴見俊輔歿。行年九十三。Eテレえほん寄席に露の新治が兵庫船を聽く。敎材作成。晡時乘合自働車と地下鐵道を乘繼ぎて榮に出で、中電ホールに徃く。柳家三三獨演會なり。開口一番柳家小太郎登塲し、三三は本日上野鈴本演藝塲晝の部主任を務めて未だ會塲に到着せずといふ。舞臺袖を氣にしつゝ彌次郎を語る。七時三三無事登塲。四時半に鈴本を出で、四時四十七分東京驛に到着し、新幹線にて名古屋に驅けつけたり。動物の小咄二ツ三ツ披露して客の喜び拍手するを見て、では動物の噺にしませうと言ひて猫定を語る。仲入り十三分。プログラムによれば後半は一席のみの筈なりしに、三三登塲して後半はもう二席おつき合ひ願ひますと挨拶し、先づ碁どろを語る。サゲの後一禮して座布團に坐りしまゝ三席目の船德を語る。看客大に笑ひたり。夜二更家にかへる。小憩していつもの混堂に赴き一浴す。西の空に赤き半月の沈むを見る。

陰雨冥〻。風涼しきこと大暑の節とは思はれぬばかりなり。頭重苦し。DVDにてJ・A・バヨナ監督の活動寫眞インポッシブルを看る。津波の映像はクリント・イーストウッド監督のヒアアフターに酷似す。以後物語は平凡なり。BSフジ落語小僧にひむか亭ターコイズの弟子インターナショナルと中谷春貴の饅頭こわいを聽く。指南役林家彦いち睨み合ひを語る。雲間に片割月低く浮ぶを見る。

午前風雨。肌寒し。倦怠感甚しく頭少しく痛みて心地すぐれず。電子書籍二册目の稿を脫す。黃昏より復《ふたゝ》び雨ふる。ブルーレイにてリドリー・スコット監督が惡の法則を看る。マイケル・ファスベンダー演じる辯護士が裏社會の男と結託するに至りし動機定かならざるが故、只退屈を覺えるのみ。

半陰半晴。乾きたる風終日吹き通ひたり。電子書籍の原稿執筆半日。午後主治醫を訪ひ投藥を請ふ。ことぶきの湯に立寄りてかへる。BS11藝賓館に桂文三の崇德院を聽く。

好く晴れて暑さ嚴しくなりぬ。余が懸弧の日なり。馬齡五十歲に達せり。網站の御常連粗忽第二共和制に祝辭を寄せらる。N子巴里エステバンのエスプリ・ド・テを贈らる。執筆半日。夕餉に鰻丼を食す。

陰天。朝起きて何となく昨夜夕食後及び就眠前の藥を服し忘れたるものと思ひ、レメロンを服せしところ、眠氣を催して何亊をもなす能はず。寐つ起きつして日を暮らす。服用し忘れたりと思ひしは余の勘違ひと判明す。夕刻雷鳴驟雨。今夕の雷にて梅雨はあけたりと見ゆ。Eテレ日本の話藝に桂ざこばの笠碁を聽く。落語協會の網站を見るに、去十二日東宮御所にて催されし皇后陛下傘壽御内宴にて林家正樂紙切を披露したる由。余が日ごろ服する藥を茲に記し置く。

NHKラヂオ第一眞打ち競演にロケット團の漫才、ケーシー高峰の醫學漫談、三遊亭遊雀の蛙茶番を聽く。M社の電子書籍原稿を執筆す。昨日より朝夕樂々スクワットを開始す。信州大學能勢博敎授が考案せられし筋肉增强法なり。體内の水分は筋肉に多く蓄へられ、筋肉多かれば水分の保有量增え、熱中症を豫防するといふ。インターバル速步を行ひ難き酷暑の日に室内にて手輕に運動し得るは好都合なり。

颱風十一號襲來。雨降りてはまた歇む。兵庫縣立大學の英語入試問題模範解答及び解說を執筆す。晡時乘合自働車と地下鐵道を乘繼ぎて榮に出で、中電ホールに赴く。柳家喜多八、三遊亭歌武藏、柳家喬太郎による第十四囘落語敎育委員會なり。看客席滿席。この三人會は開卷劈頭時事に取材せし寸劇を披露するを常となすに、今夕は明るき話題なきを以て歌謠ショーを催したり。先づスーツ姿の喜多八現れディーン・マーティンの Everybody Loves Somebody を熱唱す。次いでタキシードを着たる歌武藏登塲し、加山雄三が夜空の星を披露す。最後に喬太郎堺正章のさらば戀人を歌ひたり。開口一番は歌武藏の弟子にて前座の三遊亭歌むい轉失氣を語る。發聲よし、丁寧なる口跡よし。將來有望なり。歌武藏は夏に相應しきお菊の皿を語る。仲入後喬太郎圓朝作牡丹燈籠より本鄉刀屋を語る。トリは喜多八が盃の殿樣なり。今宵は珍しく下座に囃子方來りて在り。喜多八は當初囃子方を援用して七度狐を語り、幽靈噺の夕べにする心積りなりしに、昨年十一月の會にて旣に七度狐を演じたるばかりなれば已むを得ず斷念したりといふ。九時半家にかへる。いつもの混堂に行き不感溫度浴をなす。

盆を覆すが如き雨ふりてはまた歇む。溽暑堪ふべからず。咖啡處コメダに朝飯を喫す。九時出勤。雨中學舍喫煙所に燕の飛ぶを見る。前期最終授業を行ふ。試験に備へてプリントを配布し敎科書五課より八課までを復習す。試驗問題を敎務課に提出す。歸途郵便局に立寄りH氏に火事見舞金を送る。家にかへるや戰爭法案衆議院にて可決せらる。亡國の兆一步一步顯著となりぬ。

快晴。三伏の暑氣襲ひ來る。正午過衆議院特別委員會にて安全保障關連法案强行可決せらる。安倍晉三といふ國賊の率ゐる自民黨及び公明黨は法案に反對する國民の聲に耳を貸さず、憲法學者の批判をも傾聽せず、立憲主義を放擲して恬然として愧ぢず。明日衆議院にて可決せらるゝならば國家衰亡に歸着すべきのみ。枕頭DVDにてビセンテ・アランダ監督の活動寫眞女王フアナを看る。非人稱的なる語り手の聲を屢《しば／＼》插入せしめ物語の狀況說明をなさしめるは不可解といふ外なし。殆鑑賞に堪へず。

炎天燃ゆるばかりなり。首都大學東京の英語入試問題模範解答と解說を執筆す。書齋に孤坐して問題を解く中、酷熱いよ／＼甚しく眩暈を覺ゆるほどなれば午下空調を運轉して除濕す。午後ヤマト運輸集配所より荷物二箱發送す。市役所前なる寒暑計攝氏三十五度を示す。向日葵の花ひらき、蟬もまた一時に鳴き出でぬ。ことぶきの湯に一浴してかへる。中京大學前期の試驗問題を作成す。BS11藝賓館に柳家喬太郎の茶代、三笑亭笑三が息子の結婚を聽く。枯淡の味はひ寔に佳し。笑三は大正十四年生まれにて御年八十九歲なり。入門當時の思ひ出話を語るを聞くに、小學三年生の時上野の鈴本演藝塲にて二代目三遊亭圓歌の呼出し電話を聽きて落語に開眼したり。後年知人を介して三笑亭可樂に面晤し入門を願出でし時、圓歌の噺に感激したりと迂闊にも告白しぬ。然るに可樂は氣分を損なはず入門を承諾せしのみならず、自らが圓歌の弟子たりし時に前座名歌壽美を名乘りしに因みて、可壽美といふ前座名を與へたりといふ。

曇りて溽暑蒸々たり。午前三時ごろ大分にて震度五弱の地震ありといふ。敎材作成。敎材作成。午後接骨醫T氏を訪ふ。T氏に醫院の專用駐車塲の在處を尋ねるに、言葉にて說明するは難しき故にとて施術の手を休めてわざ／＼案内せらる。橫には一方通行の細道あり、この道には駐車禁止の標識なければ夜には醉客大勢來りて車を停め、近鄰の居酒屋にて飮食に耽る由なり。警察は默認し、たまに醉客同士が喧嘩するに及べば始めて飮酒運轉の檢擧を行なうといふ。名古屋ならではの聞かれぬ話といふべし。理髮舖に立寄りてかへる。鹿兒島大學の入試問題模範解答と解說を書き畢れば夜は初更にならむとす。今夏始めて空調を用ひて家内を除濕す。强風終日息まず。

薄く晴れて蒸暑し。竟日佐賀大學と熊本大學の入試問題模範解答及び解說を執筆す。Eテレ日本の話藝に桂文樂が鰻の幇間を聽く。當代文樂はいつ聽きても面白からず。

薄く晴れて稍蒸暑し。新潟大學と靜岡大學の英語入試問題模範解答と解說を執筆す。作業を終はれば夜は早くも初更なり。深夜錄畫せし三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭遊雀が看板のピンと昔昔亭桃太郎の春雨宿を聽く。入船亭扇橋の訃あり。享年八十四。平成九年七月二十三日上野鈴本演藝塲にてろくろ首を聞きしが扇橋の聞き納めとなりぬ。サゲは首が出ると蚊が入つていけないなりき。〔以下廿五日記す〕東京かわら版八月號に訃報を讀む。昭和六年五月二十九日靑梅市に生まれ。浪曲を好みて二年ほど浪曲師の旅囘りに同行し、昭和三十二年十二月三代目桂三木助に入門し内弟子となる。昭和三十三年五月前座名木久八にて初高座。昭和三十六年一月三木助死去に伴ひ五代目小さん門下に移る。同年五月二つ目昇進して柳家さん八を名乘る。昭和四十五年三月眞打昇進と同時に九代目入船亭扇橋を襲名。俳號光石。永六輔大西信行小沢昭一桂米朝加藤武柳家小三治矢野誠一らの東京やなぎ句會にて宗匠をつとめたり。

曇天。Eテレえほん寄席に桂米平の小倉舟を聽く。敎材作成。富山大學と新潟大學の英語入試問題模範解答及び解說を執筆す。正午川岸を步む。中洲に龜の甲羅干しするを見る季節とはなりぬ。そばに鮒か鯉か知らねど大きなる魚影見ゆ。路傍に朝顏の花ひらく。Y氏エドゥアルド・メンドサの新譯小說グルブ消息不明を惠與せらる。T氏來訪。釣果の鷄魚《いさき》と鯖を餽らる。晡時いつもの混堂に徃き露天風呂に浴す。黃昏步みて文化の家風のホールに赴く。柳亭市馬獨演會なり。前座柳亭市丸道具屋を語る。市馬一席目のマクラにて先代林家正藏の想ひ出と怪談噺に觸れお化け長屋を語る。仲入後二席目は師匠五代目小さんが園遊會に招かれ昭和天皇に拜謁せし折、どうです、近ごろ落語の方はと問はれて、ハイ、おかげさまでよくなりましたと頓珍漢なるやりとりを交したる插話を紹介し、身分違ひの出會ひをマクラに妾馬を語る。余は三年前この小屋にて立川志の輔の八五郞出世を聽きて大に肝銘を受けしばかりなれば、やゝ物足りなさを覺えしが、市馬には柳家特有の輕みあり、滑稽噺はかくあるべしといふ手本のやうな高座なり。雲いつか散じて星出でたり。

雨沛然たり。コメダに咖啡を喫す。九時出勤。鶯の囀る聲に出迎へらる。目的格人稱代名詞の用法を練習す。敎塲内濕氣堪へがたし。發汗夥しく襯衣はおろかズボンも尻まで汗みどろになりぬ。午下家にかへりて執筆。雨霽る。夕刻乘合自働車と地下鐵道を乘繼ぎて榮に出で、愛知縣藝術劇塲小ホールに徃く。古今亭文菊獨演會なり。文菊は立居振舞美しく、とりわけお辭儀の所作は若手隨一なり。一席目は十八番あくび指南なり。指南所の師匠の擧止人をして感服せしむ。二三分休みて後二席目始まれり。マクラにてテレビ放送業界の言葉狩りに觸れ、就中テレビ朝日は差別用語にうるさく、盲《めくら》聾《つんぼ》跛《びつこ》は言ふに及ばず、親方もチーフと言換へるべしとの御達しありといふ。然れど寄席や今夜の會塲の如きは治外法權ですから遠慮は要りませんとて心眼を語れり。盲の梅喜もさることながら妻お竹の造形見事なり。仲入り十分の後三席目に笠碁を語りたり。家にかへれば夜は二更に近し。

黴雨の空鈍色を呈して書窓暗淡たり。碧空を仰がざること旬日なり。正午去土曜に購ひし東芝製洗濯機配達せらる。この日まで使ひ來りしサンヨー社製洗濯機は平成十年春余が愛知縣立大學に招かれ東京より尾州に移居せし折、家電量販店ギガスカンサイにて買ひしものなり。余はその頃精神明瞭ならず、夜は眠れず食慾もなく、生ける屍の如き有樣なりき。翌春心療内科を受診して重篤なる鬱病と診斷されたり。徃時を追懷して感慨禁ずべくもあらず。午後河畔を步す。步みて五分を經ずして微雨降り來れり。敎材作成に半日を費やしぬ。

細雨蕭然々たり。小暑とは名ばかりにて肌寒きこと連日暮秋のごとし。敎材作成。敎材といふは昨年度の國公私立諸大學英語の入學試驗問題の正答と解說を書く仕事なり。午後エコハウスに赴き十六年使ひ古せしサンヨー社製電子レンジを處分す。主治醫を訪ひ藥を請ふ。ことぶきの湯に一浴して家にかへる。市役所福祉部先月十九日に受けし健康診斷の結果を早くも送來る。惡玉と稱せらるゝLDLコレステロールの値百五十一に昇りし他は異常なし。然れど日本脂質榮養學會の說くところによればコレステロールの數値高き人は寧ろ長命なりといふ。右側肺門部に異常陰影の疑ひありと記されしは、余が三歲半の時漏斗胸の手術を受けたる後遺症なる歟。BS11藝賓館に柳家喬太郎の拔けガヴァドンを聽く。

雨もよひの空晴れやらず。風連日寒し。早朝女子蹴球世界杯加奈陀《カナダ》大會決勝、日本對亞米利加戰を見る。米國の强さ際立ち二對五にて準優勝に甘んじる。然れど二點奪ひしは立派といふべし。希臘《ギリシヤ》にて緊縮財政の是非を問ふ國民投票あり、反對派大多數を占む。セキセイ鸚哥のアサリ君今朝は居間の長椅子に坐りし慈君の頭上を元氣よく旋囘したり。これを以て病は癒え本復を遂げしことを知る。午後接骨醫T氏を訪ふ。敎材作成の作業を畢れば夜は初更にならむとす。余が執筆せし學硏敎育出版の用例でわかる類語辭典第二版發賣せらる。

梅雨空晴れず。セキセイ鸚哥のシヾミ君籠より出でゝ遂に食堂を飛囘りたり。また細き梯子にも上手につかまれるやうになりたり。右脚後ろ指の黑く濁りしは皮膚の病にはあらずして只の糞と判明しぬ。病勢日ごとに衰へ順調に恢復しつゝあり。大に安堵せり。過日M社の需に應じて交附せし原稿無事受理せらる。敎材作成例の如し。燈ともし頃微雨ふる。Eテレ日本の話藝に入船亭扇遊の不動坊を聽く。

雨もよひの空なり。無風。風連日寒し。六月に入りてより尾州は每日寒冷なること暮秋のごとし。小暑の頃とも思はれず。去年の夏は涼しかりしに、本年もまた冷夏となるにや。午前慈君と倶に家電量販店Eに赴き東芝製の洗濯機と電子レンジを購ふ。いづれも我家にて十六七年使ひ古したるものを買換へしなり。雨降り出しぬ。NHKラヂオ第一眞打競演に桂文治の鈴ヶ森を聽く。午後敎材作成日課のごとし。作業を終へれば夜は初更にならむとす。雨聲蕭條。

曉明雨ふりしと覺しく其處彼處に水たまりできたり。梅雨の空曇りて墨を流せしが如し。セキセイ鸚哥のシヾミ君抗生劑の效驗にや今朝は活發に動き囘り囀ること頻なり。敎材作成餘事なし。午後ことぶきの湯露天風呂に浴して疲勞を休む。夕刻作業再開。仕事を終へれば日は將に暮れむとす。Eテレえほん寄席に橘家圓太郎の化物使いを聽く。三重テレビ淺草お茶の間寄席に新眞打春風亭小柳の皿屋敷、神田陽子の講釋唐人お吉、春風亭小柳枝のたがやを聽く。

曇天。咖啡所コメダに行き小倉トーストと茹で玉子を食す。九時出勤。直接目的語人稱代名詞の練習を行ふ。時恰も女子蹴球世界杯準決勝日本對亞米利加戰の最中なりしかば、講義中學生にスマートフォンにて結果を檢索せしむ。二對一にて辛勝せりといふ。午後家にかへりて一服し、敎材作成。終はれば夜は二更にならむとす。

舊五月十六日。朝來雨午後に歇む。風肌寒し。書齋ベランダのゴールドクレスト二鉢枯れぬ。慈君ゼラニウムに植替へらる。某敎材制作會社より執筆依賴あり。同社の需により大學入學試驗國語古文の問題の解答と解說を書く。題材は竹取物語なり。亞米利加と玖馬《キユーバ》國交を囘復す。