八時起き出づ。曇天。風猶寒し。JRエクスプレスにて新幹線を豫約し、手紙をしたゝむ。十時五十分ホテルを出でゝ、十一時五十分新幹線のぞみ百十一號にて東京驛を發す。車中ネットブックで執筆。一時半名古屋驛着。地下鐵道驛より乘合自働車に乘り家に歸る。アサリとシジミ四日振りに會ふや嬉々として顏を寄せる。シジミ稍瘦せたり。母上余に内緖で土曜の朝東上せられ、晝の囘を觀て名古屋に戾られし由。談笑盡きず。ミクシィに公演の感想批評數篇を讀む。曆をみるに早や十一月晦日なり。來年もまた忙殺せらるゝこと必至なり。これにまさる喜びなし。
夜中に幾度か目覺めること昨の如し。惡夢を見る。早朝起き出づ。曇天。窗を開けるや冷風肌を浸す。ミクシィにブンといふ人の舞臺評を讀む。一讀に値す。パセオフラメンコ小山社長の舞臺評を讀む。十時半M氏より電話あり。緊急事態ゆゑ時を移さずお詫びの貼紙文案を書きメールにて送る。手紙のつゞきを書けば忽正午なり。一時半ル テアトル銀座に赴き受附の樣子を窺ふ。貼紙早くも印刷され揭げられたり。一人で三人分の仕事をなすM氏の働きぶり敬服するばかりなり。樂屋の喫煙所にて劇塲スタッフT氏と諧語。礒村萩原兩氏來らる。互に久闊を詫ぶ。三時『ラ・セレスティーナ ~三人のパブロ~』最終囘を看る。瞬きする遑も與へざる密度の濃さに呼吸も忘れるほどなり。斯くも堂々たる大作になるとは夢にも思はざりき。最終塲メリベーアが階段より降り來るや早くも客席に忍び泣きの聲聞ゆ。余も淚溢れてとまらず。前列の熊さん呆然として曰く、二十一世紀最初の傑作誕生せりと。通用口より樂屋に早囘りし礒村氏と感想を交へる。礒村氏も茫然自失たり。余感極まりて號泣しぬ。ハビエル來りて抱擁、チクエロとも抱擁し、淚とまらず。No me hagáis llorar と賴むも無理なる相談、オルビード・ランサ、カリダー・ベガ、クリスティアン・ロサーノ、タマラ・ロペス、ペドロ・マヌエル・ナバーロ・グリマルディ、パブロ・フライレ、アンヘル・サンチェス・ファリーニャ次々と來りて抱擁、余はたゞ强く抱締め淚に噎ぶばかり。小島氏を樂屋に訪ねる人もまた淚を流しゐたり。八時西麻布スイス・シャレーにて打上げの晚餐をなす。ペドロ・オブレゴンの誕辰を祝ふ。ホテルに歸れば午前十二時を過ぎたり。
興奮冷めず昧爽に起き出づ。朝食に湯島あし柄の辨當を食ひ、ミクシィの舞臺評を讀む。執筆すれば忽正午とはなるなり。笹卷すし本舖扇の華辨當を食ひ、一時步みてル テアトル銀座樂屋に赴く。小島氏クリスティアン倶に昨夜は殆ど眠ること能はざりしとて表情に稍翳りあり。カリダー・ベガ日に/\日本語上達、その速さ正確さ驚くの外なし。日本語の歌詞でカンテを一曲披露せらる。三時『ラ・セレスティーナ ~三人のパブロ~』第二囘公演を看る。客席ほゞ滿席。クリスティアンの體重く感ぜられ、小島氏の體も半ば眠りたるやうに見ゆ。昨日の完成度の高さに比すれば稍物足りなし。終演後假面制作者正法地美子氏に招かれ築地の事務所に赴く。宝田久人氏に久闊を陳ぶ。コーヒーとルーマニア產赤葡萄酒を飮み談論風發、時の移るを忘る。ハビエルのために制作せられし假面を拜見す。陰陽和洋渾然たる調和をなし、黃金の翼の美しさ形容しがたし。六時半步みて劇塲に戾り、正法地宝田兩氏は七時の囘を觀劇、余は觀ず步みてホテルに歸り公演殘務處理を始む。
睡眠劑を飮みしが中途覺醒すること幾囘なるを知らず。晴れて暖なり。便利店に赴き朝食のサンドヰッチを購ふ。十時過ぎフロントより電話あり、部屋の支度とゞのひたる由告げらる。直に荷物をまとめて別館より新館に移動す。スモールシングルとはいへ廣さ充分、卓子も橫長にて執筆に支障なし。午後十一時ホテルのインターネット囘線點檢作業始まる。ネットブックで執筆。正午前凾舘ラーメン舟見坂にて晝餉をなす。特鹽ラーメン味佳し。カウンターにて食ひ始めるや忽ち外に人々行列をなせり。腹ごなしついでに有樂町驛に赴きSuicaにチャージ。マリオンに至る商店街の東半分いつか巨大商業施設と化したり。ホテルに歸りてふたゝび筆を秉る。二時過ぎインターネット囘線點檢終了。ヤフーニュースを見るに圓高一ドル八十四圓、一ユーロ百二十六圓なりとぞ。ドバイ・ショックといふ見出し目に飛込む。ドバイの空中樓閣早晚廢虛となるべし。晡下ル テアトル銀座樂屋に徃く。祝ひ花廊下にずらりと竝びたり。山口智子、宇崎龍童・阿木燿子、北方謙三などの名見ゆ。スペインより來りしスサーナと相識りたり。樂屋より客席にスサーナを案内し、七時ラ・セレスティーナ~三人のパブロ~初囘を觀る。踊り演技演奏どれも絕妙、初日とは思へぬ出來映えに、觀客の拍手喝采を聞きて暗淚を催したり。終演後ホワイエにてF氏と會ひ歡談。斯くの如き舞臺を日本で觀られるとは夢にも思はざりきと云はる。樂屋に戾りてN氏と歡語。十時半西麻布の鮨屋まぐろやに徃き小島氏M氏S氏と夕餉をなす。諧語夜半に至る。タクシーを倩ひ拔道を通りて澀滯を避けホテルに歸る。
快晴の空拭ふが如し。小春の佳き日なり。一限二限とも先週に續きてアルモドバルの映畫ボルベール後半を觀る。娘パウラが母ライムンダに實父は誰なるやを詰問する塲面より觀始めて丁度一時間なり。今週も感想を書かしめ出席點呼の代りとなす。一限の男子學生ほゞ全員沈沒、机に突つ伏して朝寢を貪れり。二限は男子女子ともに反響よく、誠に意想外の幸福なり。十二時半歸宅し、大急ぎで晝飯を食ふ。卓子橫のアサリ籠より出で來りて余の親指にとまりて動かず。余が丸めし鼻紙を千切りて舌を巧みに操り飽かず丸めるなり。一時過出發。二時十分新幹線のぞみ號にて名古屋を發つ。富士山雲に覆はれ見えず。車中ネットブックで原稾を執筆する中東京驛に着けり。山手線にて有樂町に出で、ホテルに荷物を置き一服してルテアトル銀座に赴けば四時半、第一囘通し稽古の最終塲面なり。舞踊家五名、音樂家八名と遂に相識りたり。インフルエンザに罹りしアンヘル本復して安堵の思をなせり。七時ハビエルと倶に客席に坐りて第二囘通し稽古を見る。堀越千秋氏の美術見事なり。舞踊團員見違へるほど佳し。小島氏のみ稍難あり。ハビエル、クリスティアン、タマラ、パブロ、アンヘル、フランシスコ、小島氏、M氏、S氏と西麻布HALEKAI'Sに赴き晚餐をなす。ハビエルとクリスティアン口角泡を飛ばして藝術論を戰はせ店内騷然となれり。辻自働車を倩ひてホテルに歸れば一時を過ぎたり。
雨霽れて町竝朝靄に包まれ意外なる佳景を示す。朝餉の後理髮舖に赴き散髮し、セブンイレブンに立寄り文庫本新書を受取り、圖書館に本を返卻す。シジミ本復したるやうにてよく動きよく食ふなり。籠の扉を開け放つに、先づ用心して少し躊躇し、徐に籠より出でゝ屋根傳ひにアサリの籠に移り、壁越しにアサリと語らふこと日課の如し。然れどこの日は須臾にして自分の籠の中に戾りぬ。いつもは一時半ばかり籠の周圍を經巡り室内を飛ぶなどして遊ぶなり。午後旅裝をとゞのふ。夕刻疲れて一睡を試む。内田樹日本邊境論を讀む。開卷早々人をして爆笑せしむ。亀山房代の訃に接せり。享年四十二。
曇りて寒し。服務器の調整を行ふ。舞臺通信の路經設定に少々手間取る。シジミ稍恢復したるにや、よく動き食慾も旺盛なり。然れど時折體を丸く膨らませ、ぢつと動かざることあり。風邪の氣味なるや。下痢はせず。いつもは追囘され辟易するアサリも流石に心細き樣子にて、籠より出でゝ鄰の籠に乘り、壁越しに毛繕ひを手傳ふなどしてシジミを見舞ふ。晡下シジミ聲を張上げ夕餉の餌を乞ふ。恢復に至りし證據なり。スペイン人舞踊家の需により日本航空に電話をかけ受託手荷物の超過料金を尋ねる。一キロにつき八千八百圓なりといふ。夜に入りて雨となる。
薄晴。昨來シジミ體を膨らませ顏を背に埋め目をつむりて動かず。暮方には大聲で鳴き夕飯の餌を催促するを常とするも今夕はピイとも鳴かず。普段の血氣盛んなるを思へば俄に心細し。餌籠に混合餌とオーツ麦を入れるや、食慾は衰へざるものと見えて、よく食ふなり。何故か苦手のオーツ麦を好んで食ふは不可思議と云ふべし。くしゃみせざるところを見るに風邪にはあらざるやうなり。今夜一晚樣子を見守るべし。この日ウェブサイトの服務器をI社よりS社に移轉す。移轉作業首尾よく進むを得たり。
曇りし空暮方より雨となる。S子朝日新聞朝刊の取材記事をファクシミリで送らる。返禮にちあきなおみ黃昏のビギン音聲ファイルを贈る。
晴れて寒し。午後カーマホームセンターに赴きセキセイ鸚哥の餌を購ふ。步みてユニクロの樣子を窺ふに駐車塲に入らむとする自働車列をなし五十七號線澀滯、客の出入り絕え間なく、人々帳塲に長蛇の列をなしたり。銀座店は行列二千人といふ。舊稾を校訂す。
父上の聲に眠より寤む。時計九時を示す。昨夜心安くなり久振りに泥のやうに眠りたり。朝の中セブンイレブンに徃き内田洋一責任編集野田秀樹を受取る。帶に祝名譽大英勳章の惹句あり。役塲に立寄りて用事を辯じ、あぐりん村にて次郞柿十個四百圓を購ふ。晝飯を食ひ三郷やまとの湯に赴き露天風呂に疲勞を休む。客尠し。シャワー蛇口ドライヤー全て新調されたり。市内展望塔の鄰に靑きビニールシートに覆はれ高層マンション普請中なるを見る。十年前まさか市内に高層マンション建てらるゝとは夢にも思はざりき。歸宅するや睡魔に襲はれ、被を擁して臥し、いつか華胥に遊べり。寤むれば昏黑なり。夕食中救急車來る。窗外を眺むるに野次馬多し。ユニクロの廣告を見るに創業六十周年紀念なりとて靴下一足十圓にて販賣する由。明日は朝六時に開店、行列の客には餡麵麭と牛乳を配りてもてなすといふ。この日菅直人副總理兼經濟財政擔當相デフレを宣言す。
薄曇りの空風もなくて靜なり。寒氣俄に甚し。今冬初めてカシミヤの上着を着る。八時半豐田キャンパス着。一限二限とも通常授業をやめ秋恆例の映畫鑒賞會を開く。アルモドバル監督のボルベール歸鄕前半を觀る。物語は荒唐無稽なれど學生諸氏食入るやうにスクリーンを見つめるなり。アルモドバルの演出力恐るべし。感想を書かしむるに、ペネロペ・クルスの美貌と演技力に感歎する聲男女の別なく多し。女優六人全員カンヌ映畫祭主演女優賞を獲得し、クルスが本年のアカデミー賞助演女優賞を得たること、またアルモドバルの色彩感覺のことなど解說す。午下家にかへるに事務所よりファクシミリ屆きゐたり。一讀して始めて安堵の思をなす。M氏に電話をかけるに、肩の荷が一トン分下りたるが心地せりといふ。昨來の騷動めでたく決着し、あとは來週の公演に專念するのみ。
快晴の空拭ふが如し。午前衣料品店ユニクロに徃きタートルネックを購ふ。定價千圓を帳塲にて割引し六百九十圓となす。廉價一驚すべし。午下B印刷專務取締役N氏より電話。火急の用事ありてのことゝて西班牙大使館にファクシミリ電話メールにて用事を辨ず。息つく間もなく申請書類の原案を考へゐたるにヘレスよりメールあり。事態急轉囘、今後のことにつきて默考、深更に至る。氣休まらず大に消耗す。
寒雨霏々。拂曉起き出でゝ公演資料をつくる。畢れば正午なり。A4版全二十七頁、單語數六千四百四十八語に及ぶ。キングソフトWriterにて淸書しPDFファイルに變換、直にヘレスに送る。三時過病院に徃き三週間振りに診察を乞ふ。幸にして身心爽快なり。有難き助言を受く。四時歸宅するやB印刷ふたゝび校正摺を送り來たる。校正初更に至る。民主黨政府各種有識者懇談會閣僚會議の整理を始む。敎育再生懇談會の廢止を決める。百害あつて一利なき組織なれば朗報なり。
昧爽に起き出づ。薄く曇りてしつかなり。郵便局に徃き校正刷をEXPACK500の封筒に入れ郵送す。十時過ぎMOVIX三好に赴きマイケル・ジャクソンの記錄映畫 THIS IS IT を觀る。今年七月倫敦にて開催豫定の演奏會稽古風景を三月より六月まで記錄せしものなり。客席五百十九の十番シアター客尠し。開卷劈頭のインタビュー人をして早くも暗淚を催さしむ。音の良さ實に驚くべし。歌唱ダンス演奏いづれも間然する處なし。マイケルがビリー・ジーンを歌ひ踊るに魅入るバックダンサーの興奮手にとるが如し。宛然ライブ會塲最前列にて眺むる心地す。マイケルの完璧主義フレッド・アステアを思はしむ。二十一世紀は偉大なる藝能人を喪ひたり。午下歸宅して西班牙に送る資料を作成す。
晴れて西北の風寒し。アサリ今朝も餌を殆ど食はず。何故かシジミも瞑目して止り木を動かず。病にあらざるを願ふばかりなり。校正刷を檢閱し終れば早くも初更なり。
夜中に死の發作に襲はれ、あらん限りの聲で叫喚、我に返るにいつか慈君來りて介抱せらる。その後八時まで眠るを得たり。曇りて後に晴る。校正刷の到着を待ちながらS社の服務器にファイルを上載す。無事作動するを確認せり。夜に入りて西北の風吹き出づ。兩三日前よりアサリの食慾頓に減じ、好物のオーツ麦を食ふこと僅か半分ばかり。指に乘せるに身體妙に輕く、瘦せたるやうなり。初更衞星第二放送にてエンターテインメント歌傳說ちあきなおみ・ふたゝびを見る。平成十七年十一月六日の再放送なり。絕品。來週はちあきなおみ大全集放送さるゝ由。畫期的なる企畫といふべし。
七時半起床。曇り。無花果を求めて今日もあぐりん村に赴きしが時節過ぎたるやうにて買ふことを得ず。富有柿を購ふ。歸路圖書舘に赴く。遊步道に夏櫨の紅葉描くが如し。黃綠赤茶のグラデーション宛然一幅の畫圖をなす。白鶺鴒のつがひ道端を步みて毫も車を恐れず。雨來らむとして來らず。この日S社の服務器を借りる。
曇天。俄に寒し。授業。先月末來缺席者稍多かりしは新型インフルエンザに罹患したるが故と判明せり。一人また一人と醫師の診斷書を持來たる。S君病瘉えたれど瞳どんよりと曇りて如何にも苦しげなり。一限二限とも語根母音變化動詞の小試驗を行ひ、再歸代名詞を用ひて會話の練習をなす。歸路無花果を購はむと今日もあぐりん村に立寄りしが入荷せざりき。時節は過ぎたりしと見ゆ。一時歸宅して晝飯を食ひながら何となくテレビを見るに、徹子の部屋に森繁久彌の姿あり。昭和五一年第一囘放送の再放送なり。森繁マイクを片手に立ちてオホーツクの舟歌を歌ふ。後の知床旅情なり。背後にアントニオ古賀坐りて伴奏す。公演雜務を畢れば日は旣に沒す。一昨日劇團らせん舘より電子メール屆きたるに今日まで心附かず。本日午後四時半立命館大學にて多和田葉子氏土耳古人作家エツダマー氏の朗讀會案内なり。題辭は越境する心なりとぞ。この日天皇卽位二十周年の紀念祝賀會國立劇塲にて行はる。皇居前廣塲に特設ステージ設置され、エグザイルEXILEとかいふグループ奉祝歌を披露する由。十周年の折はGLAYなりしと記憶す。人選興なし。明日はオバマ米大統領來日するとて都内は嚴戒態勢のやうなり。
陰雨冥々。朝飯の後無花果を求めてあぐりん村に赴きしが入荷せざりしを以て歸宅せり。プログラム原藁執筆例の如し。ファクシミリ電話メールをやりとりすること幾囘なるを知らず。枕上ビデオで社長太平記を看る。仕入課長有島一郎の演技眞に迫りて恐ろしきほどなり。兒童フラフープに興ず。昭和三十四年なり。
薄く曇りてしづかなり。朝飯の後あぐりん村に赴き次郞柿を購ふ。五個入一袋百五十圓也。徃來の人を眺むるに、半袖シャツの男あり、ダウンジャケットに手袋の婦人あり、春やら秋やらわけの分らぬ陽氣なり。執筆日課の如し。連載の稾六七枚書きたり。夕刻より雨となる。この日Firefox公開五周年。初更森繁久彌の訃に接せり。昨夜社長三代記を觀たりしは蟲の知らせなりし歟。享年九十六。今宵は新社長三代記を觀て追悼するなり。
輕陰。連日溫暖例ならず。執筆日課の如し。十五枚書き得たり。T氏寄稾文を送らる。直に題辭を考案し印刷所に送る。マイケル・ジャクソンの THIS IS IT を見たしと思へど活動寫眞舘に赴く遑なし。この日ベルリンの壁崩壞二十周年。枕上ビデオにて森繁久彌主演社長三代記を觀る。小林桂樹、加東大介、三木のり平、越路吹雪みな佳し。
快晴。溫暖小春といふより小夏といふべし。坐ながらにして肌も汗ばむばかりなり。公演プログラム原稾執筆添刪餘事なし。
快晴。一點の雲なし。暖氣昨の如し。立冬とも思はれず。原稾添刪、電話メールにて打合せをなす。食慾猛烈、食へども食へども滿腹感を得ず。先月來三瓩增えぬ。
薄く晴れて暴暖初夏の如し。步めば汗流るゝばかりなり。一凾百九十八圓の紙巾を購はむと超級市塲S特設會塲に赴くに、買物客の雜沓すること豫想以上にて立錐の餘地もなし。人波に押返されて步み難し。人々日常雜貨を山と抱へて帳塲前に長蛇の列をなしたり。精算に三十分かゝりぬ。石油危機の頃を思はしむ。
曇りて靜なる日なり。百五十五號線の交通量ます/\增加、菓子屋福岡屋まで數珠つなぎなり。通常授業を行ふ。各種スポーツ大會の時節なるが故にや、缺席者稍多し。午下家に歸り晝飯を食ひながら米野球ヤンキース對フィリーズ世界選手權試合を觀る。松井秀喜六打點、最優秀選手に選ばる。燈刻小島氏と電話にて打合せをなす。昨日はホテルオークラにて文化功勞者顯彰式二時間、その後乘合自働車にて皇居に移り天皇陛下とのお茶會に出席、歡語二時間に及びしなりと云ふ。
快晴。クロード・レヴィ=ストロースとフランシスコ・アヤーラの訃に接せり。朝日讀賣每日共同通信時事通信いづれもレビストロースと書きたり。行年それ/″\百、百三。終日執筆。夕刻脫稾。夕陽明媚。日暮淡烟空を籠めて月赤く物凄し。
西北の風吹きすさみて寒氣凜冽、俄に冬めきたり。終日執筆。あぐりん村に赴きて次郞柿を購ふ。五個入り一袋二百圓也。夜滿月の光冱え渡りて風絕ゆ。文化の日舊明治節の祝日なり。
晝頃より空くもりて西南の風つよし。執筆の興至らず怏々として徒に時間を空費するのみ。T氏パブロ・ネルーダ自身による二十の愛の詩朗讀の錄音を送らる。抑揚潮騷の如し。S氏の寄稾文に目を通す。夜に入り明月淸風を得たり。
陰曆九月十五日。曇りて午後より小雨ふる。K氏鳥羽にて釣りし鯛を餽らる。刺身潮汁にして食す。