眠より寤め枕上の時計を見るに午前四時なり。空見る/\中に白みゆけり。サークルKに徃き値上げ前に煙草三箱購ふ。ウォーキングに耽る女性二三人あり。暑氣少しく減ず。飜譯連載原稾ともに進まず、感興頓に消失せたり。久振りにK氏より電話あり。竹中平藏總務省の私的懇談會(通信放送の在り方に關する懇談會)NHK-FMの削減を撤囘す。削減は視聽者の理解得られぬと與黨主張し總務省側が讓步したる由。至極當然の判斷といふべし。
薄く晴れて溽暑甚し。名古屋攝氏三十三度、多治見市三十五度。午前授業。陸上ホッケー部の學生數名と款語す。第二十五囘全日本大學ホッケー王座決定戰にて早稻田大學に敗れたりといふ。紳士服店に徃き半袖シャツを購ひ理髮舖に立寄りてかへる。飜譯の筆すゝまず。窗外中庭に遊ぶ兒童の笑ひ聲あり。幼きものゝ歡聲ほど人の心を和ましむものはなし。阪急と阪神經營統合す。モンテネグロ獨立し國聯に加盟す。
霧雨折々降り來りて霽れず。ベランダの窗を開放ち朝飯を食すに、樹間頻に鳥語を聽く。木下勘解由石碑脇の楓に鵯とまりて囀れるなり。何を語るや知らず。終日家に在り。飜譯の筆今日も進まず。佛蘭西東部ベルダン近郊にイスラム敎徒兵士の追悼施設完成す。ベルダンは第一次世界大戰の激戰地なり。
午前細谷工業に赴き阿武松部屋の稽古を見學す。瘦身筋肉質の白人あり。グルジア人ならむ歟。ドクター・ノオの頃のショーン・コネリーに少しく髣髴たり。午睡。寤むれば日は旣に晡なり。
雨。十時保健センターに赴き總合檢診を受く。身長稍伸び一七八センチメートル、體重六十七キログラム。尿檢査、眼底檢査、採血、血壓、内診、レントゲン撮影すれば忽ち午なり。一時メディカルクリニックにてカウンセリングを受く。鈴々舍馬風落語協會會長就任。十八番會長への道遂に實現せり。
烟雨空濛。終日家に在り。飜譯頓挫。NHK-FMにて坂本龍一のサウンド・ミュージアムを聽く。ゲスト中沢新一。
夕餉に飛魚の一夜干しを食す。
陰。雨來らむとして來らず。暑氣少しく忍易し。拂曉に行はれし蹴球世界大會の日本對伯剌西爾戰一對四にて日本完敗す。ニュースにて錄畫をみるに敵ゴール前にて絕好のパスを受けたりし柳沢倉皇としてシュートを右に外しぬ。「急にボールが來たから」焦つた由。呵々。今夜もエバミールを飮む。
雨。午前中京大學にて授業。傘を忘れ筆記用具を忘れハンケチを忘れ眼鏡拭きを忘る。老耄いよ/\救ひ難し。第二囘小試驗と授業改善のためのアンケートを行ふ。年齡の表現を練習し、¿Cuántos años tiene tu padre? と問ふに、わかりませんと荅ふる學生半數近くあり一驚を喫す。母親の年齡も知らず、生年を問ひても首を橫に振るのみ。當世の若者は親の誕辰を祝はざるやうなり。余が幼なき頃は肩叩き券や洗車券など作りて贈りたりき。一時家にかへる。晡下父上札幌より歸參せらる。夕餉に伊佐木の刺身を食す。味佳なり。
曇りて溽暑甚し。九時半主治醫の診察を請ふ。一時間人を待たしむ。病院正門軒裏の巢をみるに燕の子大分大きくなれり。岩作の水田にアマサギ靑鷺ケリなどを見る。午下久振りに廚房に立ちパスタを茹でゝ晝餉となす。飜譯僅二三枚にして日は暮れたり。此日夏至。
終日飜譯。燈刻母上を伴ひ料理屋Mに夕餉をなす。中日新聞に森塚敏の訃あり。享年七十九。三更に至りても眠れず。エバミールを飮み寢に就くこと昨日の如し。
晴れてむしあつし。全身筋肉痛甚し。カタルーニャにて自治州憲章改正案の住民投票あり、七割四分の贊意を得たり。カタルーニャの悲願は國家としての獨立なるは言ふまでもなし。エウスカディも早晚自治權擴大を訴へるは必定なるべし。この日飜譯の筆漸く進む。Vertical Editor のお蔭なり。
朝の中より折々小雨の降り來りては又歇む空模樣いかにも梅雨らしき日なり。テニス敎室は中止なるべしと思ひしかど、念の爲細雨を衝いて菖蒲池テニスコートに赴くに受講生二名來りてコーチ二人と練習しゐたり。バックハンドの要領を漸く摑み得たり。コーチよりサーヴィスエースを二本とりぬ。大に上達せり。午後サンデー・ソングブックを聽くこと例の如し。灰田勝彦野球小僧、岡村靖幸バスケットボール、なぎら健壱悲慘な戰ひなど。山下達郎の話に竹中平藏總務省の私的懇談會(通信放送の在り方に關する懇談會)去六日の會合にてNHKFMラヂオを削減するやう最終報告書をまとめたる由。クラシック音樂はもとより民謠能樂淨瑠璃長唄小唄端唄などはNHKならではの分野なり。憤懣押へ難ければ懇談會構成員名簿をこゝに記し置く。
松原聡(座長) | 東洋大學敎授 |
久保利英明 | 辯護士 |
菅谷実 | 慶應義塾大學敎授 |
林敏彦 | 放送大學敎授 |
古川享 | 慶應義塾大學敎授 |
宮崎哲弥 | 評論家 |
村井純 | 慶應義塾大學敎授 |
村上輝康 | 野村總合硏究處理事長 |
午後十時テレビにて蹴球世界選手權大會日本對クロアチア戰を觀戰す。ゴールキーパー川口能活ペナルティーキックを華麗に防ぎたり。ともに無得點にて引分ける。殘る對戰相手は强豪伯剌西爾なれば決勝トーナメント進出は到底無理ならむ。
曇りて暑し。午後より雨降り出しぬ。晝餉の後物書かむと机に向ひしが何といふ事もなく筆とるに懶し。老懶とは誠にかくの如き生活をいふなるべし。父上所用ありて札幌へ發つ。
半陰半晴。元氣壽司に晝餉をなし三郷やまとの湯に浴す。サークルKまで煙草買ひに出でたるに七月一日より値上となる由。マールボロ三百圓の處三百貳拾圓となる由。余昨年六月に手元不如意のため禁煙せしかど秋に原稾執筆增えるに從ひふたゝび吸始め、冬に再度禁煙せしが四月より給料を貰ひまた喫煙今日に至るなり。朝日新聞をみるに原生鳥類を含む眞鳥類最古の化石中國北西部にて發見されたる由。地層は一億一千萬年前、白亞紀前期のものなり。ガンスヽといふ種類にして頭を除くほゞ全身殘存し、羽も水掻も保存狀態良しといふ。大きさは鴨ほどの由。現在の水鳥の如く魚を食べ水面より飛立つ能力ありたるべしといふ。
晝夜雨やむ時なし。午前授業。學生諸氏朝から頗る元氣なり。男子女子いづれも十八歲前後にて人生のいかなる事にも溌剌たる興味を催し得るなり。靑春妙齡の力ほど尊くして亦强きものはなし。われとても二十年前には路傍の唱歌に感激の淚を流せしこともあり。夕刻本を返卻せむと市立圖書館に赴くに迂闊にも町立圖書館の本を持參しぬ。呵々。
香流通りの下水道工事漸く畢りたるやうなり。久振にてエバミールを飮み寢に就く。この日晝夜共に家を出でず。
くもりて暝き日なれど雨にもならずして暮れたり。七時起出でゝ讀賣新聞電子版に蹴球世界選手權大會の結果をみる。日本濠太剌利に逆轉負けを喫せり。午後東山公園テニスセンターに赴きフォアとバックを練習す。岩城宏之歿。享年七十三。
半陰半晴。いなやに赴き晝餉をなし三郷やまとの湯に浴す。稻苗靑くして芝生の如し。午下メディカルクリニックに徃きカウンセリングを受く。意のごとく話すこと能はず、たゞ時間のみ過行けり。二時半歸宅。耳鳴り甚し。何故か左耳のみなり。
時々小雨。午後杁ヶ池體育館に赴きテニス敎室抽選結果をみるに當選せり。受講料四千圓を納む。
藥を飮まずに眠るを得たり。去七日バグダッド北方のバアクバにてヨルダン人アブムサブ・ザルカウィ容疑者米軍の空爆を受け死亡す。アメリカは容疑者を法の下に裁かず、暗殺するなり。抑も五年前のアメリカ同時多發テロとアル・カーイダの關係は證明されず容疑に根據なし。この事は田中宇氏の指摘するところなり。世界最大のテロ國家はアメリカなり。
陰。昧爽覺醒。エバミールの效果なり。午下七月八月の町營テニス敎室に應募せむと杁ヶ池體育館に赴き申込をなす。公園散策。池を渡る通路に色白の若き女蹲りてぢつと水面を見つめ居たり。服裝容姿醜からず。何やら譯ありの風情なれば余は暫くこれを傍觀し、その姿勢態度表情等を遠くより凝視し尾行したき心なりしかど、變質者と間違へらるゝ虞あれば急ぎて對岸に渡りぬ。池には龜の親子數多泛び居たり。石の上に甲羅干しをなすものも尠からず。
入梅。晴雨定まりなし。八時中京大學に赴くに覺えず保見町塚原交叉點を通過ぎぬ。午前授業。冷房入れたれど蒸暑く發汗衣を霑す。車のタイヤ摩耗したれば交換せむと南新町のミスタータイヤマンに徃くに店員の姿なし。待てど暮らせど接客の樣子なかりければ井田町のタイヤ館に徃き交換せしむ。岩波新書の柄谷行人世界共和國へを讀む。不眠の兆候あれば久振にエバミールを飮み寢に就く。この日××氏ピカソ・クラシックの圖版目錄を送らる。
輕陰。時々日光を見る。九時半病院に赴き受診を請ふ。待合室にて河合隼雄と中沢新一の對談佛敎が好き!を讀む。先月來快眠つゞけば睡眠導入劑エバミールは處方されず。ジプレキサも服藥を止む。日中の藥は變らずこのまゝ暫く樣子を窺ふ。三郷やまとの湯に一浴し町立圖書館に立寄りてかへる。午後倦怠感甚しく被を擁して臥す。忽ち華胥に遊ぶ。
くもりて蒸暑し。晝夜共に門を出でず。去三日東京都港區の公共住宅にてシンドラー社製のエレヴェーター誤作動し男子高校生筐體と天井に挾まれ死亡せし事故あり。余が勤めし縣立大學のエレヴェーターも同じシンドラー社製にして誤作動を起したること幾囘なるを知らず。行先のボタンを押せども停まらず通過せしこと少なくとも二囘あり。ペルー大統領選擧にてアラン・ガルシーア二度目の當選を果す。一度目は二十年前、余がマドリードに在りし時なり。余は二十歲、ガルシーアは三十七歲なりき。この度二十年ぶりに大統領職に返咲き年齡僅か五十七歲。我が國に於ては到底望むべからず。
夕餉に今年初て空豆を食す。町内產なり。リュイスに電子郵件を送り誕辰を祝ふ。
陰。九時テニス敎室に徃く。四人缺席、參加者七人。アンツーカーゆゑならむや暑熱堪ふべからず。練習すること三十分ばかりにして早くも汗瀧の如し。アプローチ・ショットを習ふ。蟹原にセブンイレブン出店す。
筆秉らむとせしが感興來らず讀書空しく半日を消す。
七時過ケリの鳴くを聞く。十一時半鶴龜堂長久手圖書館通店に徃きとんこつ拉麵を食す。開店十分にして早や滿席になりぬ。味佳なるもスープの濃厚なること胃にもたれるほどなり。
陰晴定まらず。午前授業。小試驗の答案を返卻し復習をなす。E氏先週の豫告通り缺勤。歸途理髮舖に立寄る。