天氣牢晴。暖氣小春を思はしむ。正午Ｎ子と倶にふたゝび森林公園に赴き、芝生に仰臥して日光浴す。一時半家にかへるに大瀧詠一の訃報あり。昨夕林檎を食しゐたるところ解離性動脈瘤を患ひ急死したる由。茫然として爲す處を知らず。アナログレコードを愛したる大瀧氏を葬りしが Apple とは不思議なる因緣といふべし。夕餉に手卷壽司と茶碗蒸を食す。初更ことぶきの湯露天風呂に浴す。客いつもの夜に日して稍多し。Ｎ子余愛用のイサム・ノグチ和紙照明 AKARI 1x の傘破れたるを和紙を貼りて修繕せらる。作業に三時間を費す。
晏起。冬日のうらゝかに照渡りて風なきを幸に午前Ｎ子と倶にＯ市森林公園に赴く。駐車塲昨日より閉鎖されしかば園内閑散として貸切狀態なり。鹿小屋に子鹿一頭あり。大道平池の畔に大鷺數多群れて憩ひ、その足下には眞鴨また夥し。靑鷺も一羽あり。川鵜水面を往來す。中央廣塲の芝生に仰臥して暫し日光を浴びる。兒童遊園に親子連れ戲るゝを見る。鄰接の植物園は月曜休園日なりとて入れず。Ｎ子一般開放の公園の廣きに一驚を喫す。一時半歸家。最後に森林公園を訪れしはいつなりしか日誌を閱するに平成十八年十月なれば七年ぶりの訪問なり。夕餉にしやぶしやぶを食す。酒藏ねのひの櫻酵母酒なゝいろ櫻を飮む。
晏起。晴。無風。Ｎ子過日阿寒郡鶴居村に丹頂鶴を見に出かけたりとて寫眞を示す。夕餉に毛蟹と石狩鍋を食す。味佳し。
蚤起。小雪ちら／＼と降り初む。Ｓ子自製のブラウニーと咖啡豆靴下屋の靴下など贈らる。また過日スヌーピー展觀覽の土產なりとて誕生日入キーホルダーを餽らる。エコハウスに空壜空罐を處分す。辭書編纂に半日を消す。雪降りては又歇む。夜二更地下鐵道驛にＮ子を出迎ふ。寒氣激甚。
晏起連日のごとし。曇天。風寒し。辭典編纂を始む。夜初更溫泉。意外にも混雜せず。
晏起午に近し。雨もよひの空なり。日暮雨降り來る。安倍晉三首相突如靖國神社參拜。直後に米政府の叱責を受く。呵々。古今亭志ん生、古今亭志ん朝、春風亭柳朝、三遊亭金馬の佃祭を聽き較べる。志ん朝絕品なり。
晏起。顏を洗へば日は忽ち午なり。寒氣ゆるやかなり。終日技術飜譯。インターバル速步を行ふ遑さへなし。疲勞困憊す。本年度文化廳藝術祭演劇部門大賞に十月大歌舞伎通し狂言義經千本櫻、大衆藝能部門大賞に春風亭小柳枝の二番煎じ、優秀賞にナイツと桂吉弥それ／″＼選ばる。夕餉に自家製ローストビーフを食す。
晏起。快晴。風靜なり。午下堤上を步す。輕鴨二十羽ばかり川面に遊ぶを見る。家にかへりてクリスマスのケーキを食して後主治醫を訪ひ藥を請ふ。歸途理髮。店内混雜す。年末なるが故なり。夕餉の後いつもの溫泉に徃く。こちらは聖夜にて閑散たり。歸宅して事務飜譯を行ふ。終はれば夜は三更にならむとす。
天氣牢晴。風靜なり。天皇陛下傘壽の誕辰なり。毎日新聞に陛下記者會見の全文を讀む。天皇といふ立塲にあることは孤獨とも思へるものとあり。陛下の胸中察するに難からず。午下川岸を步す。冷氣肌に心地よし。書齋と睡房の塵を掃ふ。昨夜に引きつゞき今夜も羊羹を作る。完成すれば夜は二更なり。余が授業の受講生村上佳菜子選手、鈴木明子浅田真央と共にソチ五輪女子フィギュアスケート日本代表に選ばる。
晴れて西風强し。冬至。午下寒風を冒して河畔を步す。砂埃目に入る。落語たらちねの淸女に倣へば、今朝は怒風烈しゆうして小砂眼入し步行爲り難し。FM愛知サンデー・ソングブックに年末恆例山下達郎竹内まりや夫婦放談を聽きながら戲曲Ｃの添削を始む。事務所の需に應じ公式網站の管理運營費を算出す。夕餉に冬至南瓜を食す。食後羊羹を作る。平鍋に寒天と粗目を溶かし、昨夜作り置きし漉餡を入れて練ること二時間半ばかりにて完成す。未明に錄畫せしBS-TBS落語硏究會に柳家喬太郎が錦の舞衣（下）、三遊亭小遊三が六尺棒、古今亭文菊が稽古屋を聽く。小遊三の六尺棒は前座時代に談志に敎はりしものなる由。拂曉錄畫したるNHK總合演藝圖鑑に桂文珍のかぜうどんを聽く。
どんよりと曇りて暗き日なり。歲末恆例羊羹作りを始む。けふは漉し餡を作る。午前一晚水につけ置きし小豆を煮る。午後茶菓を食して小憩の後小豆を笊にあけて漉す。作業を終へれば日は早くも晡なり。今夜より湯婆子を用ゆ。
晴後に陰。事務所より急なる需ありて行政文書を飜譯す。余が最も不得手なる文章なれば苦心慘澹たり。作業に半日を費して纔に責を塞ぐ。疲勞を覺えること甚しければ晡下一睡を試む。夜初更溫泉。十八夜頃の月雲間に覗くを見る。
蚤起。雨もよひの空晴れやらず。寒氣寬なり。義弟を地下鐵道驛に送りて後豐田學舍に赴く。年内最終授業。一限二限ともに直說法點過去を用ゐたる會話の練習を行ふ。學生諸氏みな熱心に臺詞を覺え發音も惡しからず。特に流暢に話す者には自然に拍手湧起り敎室内和氣藹々たり。講義を終へて外に出づるに微雨降來りしが須臾にして霽る。日暮れてより雨霏〻たり。
朝來雨霏々として歇まず。頭痛岑々然たり。昏黑義弟三年振りにて來訪。。夕餉におでんを食す。甥Ｒより拙著お禮の電子郵件あり。枕頭初更に錄畫し置きたる三重テレビ淺草お茶の間寄席に三遊亭若圓歌の授業中、古今亭文菊のやかんを聽く。
曇天。寒氣稍ゆるやかなり。午下堤上を步す。夜初更溫泉。客少なくプラセンタ風呂シルク風呂を獨占し得たり。滿月厚き雲に蔽はれ朦朧たるさま雪洞のごとし。
靑空に白雲多し。西北の風吹きすさみて寒し。女子冰壺のソチ五輪世界最終豫選にて二位の日本三位諾威に逆轉勝ちし五輪出塲を決めたり。北海道銀行フォルティウスの一員には我が中京大學スポーツ科學部三年生の小野寺佳步あり。午下强風を衝いて坡上を步す。幾望の月朧に昇るを見る。
陰晴不定。先週互聯網版每日新聞の書評欄有料制になりしと思ひ閱讀を諦めしに、無料會員登錄すれば閱讀できると判明し早速登錄す。午下川岸を步す。買物に出かけし母上大きなる段ボール箱を抱へ嬉々として歸宅せらる。歲末抽籤會にてガラポンの籤四本を引き、日淸赤いきつね十二食分と使捨て懷爐を當てたり。籤運おそるべし。NHK總合演藝圖鑑に桂竹丸の童謠批評を聽く。昨夕BSフジにて錄畫し置きたる落語小僧を見る。ひむか亭なると長短愛嬌ありて滿塲の笑ひを誘ふ。日暮亭健吉は番組初の新作落語江戶っ子の花屋を語る。指南役古今亭志ん輔紙入れを口演す。落語の藏どっとこむ來年一月廿四日を以て閉店する由。FM愛知サンデー・ソングブックにクリスマス特輯を聽く。ザ・シェルズのハッピー・ホリデー拔群。ジュディ・ガーランドの歌ふ Have Yourself a Merry Little Christmas 心に沁む。
陰後に晴。寒氣激甚。二時雲散じて靑空現れしかば寒風を冒して河畔を步す。獨逸の劇團らせん舘諸氏クリスマスカードを送來る。降誕祭に人より繪端書をもらふは十年ぶり位なるべし。
曇天。北風吹きて寒きこと昨日に劣らず。氣分怏々として樂しまず。岐阜にて初雪ふる。午下慈君を伴ひホームセンターに赴き葉牡丹數鉢とセキセイ鸚哥の混合餌を買ふ。二時川端を步す。十一日頃の月氷のごとし。夕餉に味噌煮込み饂飩を食す。アサリ君今宵もまた箸の上に乘り先端を舐めて飽きることなし。深夜Ｎさんより電子郵件あり、昨日Ｓ先輩病歿すと云ふ。白血病の由。Ｓ先輩と最後に會ひしは西曆二千年十一月小島章司氏の公演1929の樂屋に於てなり。學生時代と變らず溫和なる人柄なりき。當時の日誌を繙き悄然として夜を更かす。
寒氣激甚。咖啡所コメダに朝餉を喫す。先週も今週も道路は何故にや混雜せず。午前授業。不規則比較級の解說と練習を行ふ。人數多き一限の學生靜に勉强するに較べて人數少なき二限は私語一時も歇むことなし。疲勞すること甚し。一時半歸家。三時河岸を步す。北風烈しく身を切るが如し。DVDにてロマン・ポランスキー監督の活動寫眞おとなのけんか Carnage を看る。ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリーの演技合戰を堪能す。
薄く曇りて寒し。二時頃雨ふりしが須臾にして霽る。三時川邉を步す。Windows XP を搭載するレノボ社製 IdeaPad s10e にてウインドウズの更新を行はむとせしが讀込作業遲々として進まず。來年四月には XP の保證期間過るを以て買換へ時ならむと思ひ、レノボ社の ThinkPad E145 を注文す。OS は Windows 8 64bit、CPU は安價なる AMD。代價三萬九千圓也。
半晴半陰。西風吹狂ひて寒し。午後主治醫を訪ひ診察を請ふ。心身の重苦しさ氣怠さを報告するにドグマチール增量せらる。烈風信號待ちの自動車の車體を搖がす。初更いつもの溫泉に徃く。半輪の月あきらかなり。この頃朝夕食事の際セキセイ鸚哥のアサリ君必ず余のもとに來りて箸の上に乘り、箸の先に沁みたる總菜味噌汁などを舐めるなり。BS11ようこそ藝賓館に落語協會新眞打の三遊亭天どんタラチネ、金原亭龍馬鷺捕り、川柳つくし十低の男を聽く。つくしのみ佳し。
朝の中雲間に靑空覗きしが午後に至りて暗雲天を蔽ひ四時には街燈點火す。西班牙の全國紙ABC、コルドバ市の地元紙コルドバ日報及びコルドバ日日新聞の舞臺評飜譯脫稿。直に事務所に送る。三時坡上を步す。氣分すぐれず足取り重し。風は冷なれど三十分步けば發汗夥し。すまけい歿。享年七十八。
快晴の空拭ふが如し。新聞紙の舞臺評飜譯に半日を消す。午下Ｔ氏來訪。實家にて栽培したる大實檸檬金橘柚子を惠まる。三時過インターバル速步。川面に輕鴨の遊ぶを見る。木下塚にはいつもの土鳩二三羽あり。Ｅテレ日本の話藝に桂春團治の蜆賣りを聽く。季節にふさはしき噺なり。慈君早くも大實檸檬のジャムと金橘のシロップ煮を作らる。毎日新聞の書評欄今週より有料制となる。
陰晴定らず。風冷なり。先月二十九日西班牙コルドバ市大劇塲にて上演されし小島章司氏の新作舞臺FATUM! ～運命の力～現地の新聞各紙にて絕贊せらる。舞臺評を二三選びて飜譯す。三時香流川堤上にてインターバル速步。
晴後に陰。ネルソン・マンデラ氏自宅にて死去。享年九十五。氏が危篤の報に接したりしは去六月廿四日なり。遠からずこの日來るべしと覺悟はしゐたりしが、いざ訃報に接して悲しみをおぼえると同時に深き畏敬の念をおぼゆ。余は氏の半生に憎惡の連鎖を斷ち切ることの大切さを學びたり。三時堤上を步す。夜初更溫泉。笑福亭松喬の口入屋、二人癖、寄合酒、崇德院、次の御用日を聽く。深夜特定祕密保護法案參議院にて强行採決成立す。時代錯誤の骨頂なり。
快晴の空雲翳なし。咖啡所コメダに朝餉を喫す。小倉トースト、茹で玉子、ブレンド咖啡の三品なり。朝の中寒氣甚しく襟卷手袋を用ゐしが、授業を終へて午過に外に出づるに日の光うらゝかにて暖氣小春を思はしむ。三時川岸にてインターバル速步を行ふ。綠陰步道の四季櫻別名十月櫻の花開き初む。寫眞機を構へて撮影する女あり。枕頭ブルーレイにてスーザン・ストローマン監督の音樂映畫プロデューサーズ The Producers を見る。愉快痛快この上なし。壓卷はカルメンを演じたるロジャー・バートなり。入魂の演技人をして呵々大笑せしむ。スタッフロールの仕舞に原作者メル・ブルックス御大登塲するもまた一興なり。
天氣連日限りなく佳し。執筆半日。妙案浮ばず苦心慘澹たり。晡時河畔に赴き速步を再開す。ほゞ三週間振りなり。立冬を過て寒氣甚しきに加へて咽頭痛耐へがたき日續きたれば本日まで途絕しゐたり。特定祕密保護法案に反對する學者の會に贊同署名す。
舊十一月朔。快晴。暖氣小春の天氣に似たり。咽喉頭炎症漸く痊ゆ。午前齒科醫Ａ氏を訪ひ定期檢診を受く。午後執筆。夜初更ことぶきの湯に憩ふ。湯錢本月より五百圓のところ五百五拾圓に値上となる。BS11ようこそ藝賓館に落語協會新眞打披露口上を見る。川柳つくし、金原亭龍馬、三遊亭天どん、三遊亭金朝、柳家喬志郎の五氏なり。喬志郎がイヴの夜に、金朝が賣り聲を聽く。二更ドラム奏者青山純の訃報に接す。山下達郎が名曲の數々に參加したりき。行年五十六。
天氣牢晴。終日執筆餘事なし。夜二更Ｅテレの新番組落語でブッダ第一囘放送を見る。世田谷の眞福寺にて柳家喬太郎佛馬を口演す。二十五分間の短き番組なるを以て噺はところ／″＼省畧せられ、三宅民夫アナがその都度粗筋を語るなり。番組の眼目は釈徹宗による說敎なり。本年のユーキャン新語・流行語大賞發表せらる。
| 部門 | 言葉 | 受賞者 |
|---|---|---|
| 年間大賞 | 今でしょ！ | 林修（東進ハイスクール東進衞星予備校） |
| 年間大賞 | お・も・て・な・し | 滝川クリステル |
| 年間大賞 | じぇじぇじぇ | 宮藤官九郎と能年玲奈（NHKドラマ「あまちゃん」） |
| 年間大賞 | 倍返し | 堺雅人とTBSドラマ「半沢直樹」 |
| 上位十傑 | アベノミクス | 安倍晋三 |
| 上位十傑 | ご當地キャラ | くまモン（熊本縣營業部長） |
| 上位十傑 | 特定秘密保護法 | 西山太吉（ジャーナリスト） |
| 上位十傑 | PM2.5 | 日本氣象協會 |
| 上位十傑 | ブラック企業 | 今野晴貴（ブラック企業對策プロジェクト共同代表 NPO法人POSSE代表） |
| 上位十傑 | ヘイトスピーチ | 五野井郁夫（国際政治學者） |
陰曆十月二十九日。快晴。寒氣稍ゆるやかなり。けふは市立文化の家森のホールにて柳家喬太郎桃月庵白酒二人會あり。然れど余がこの催しのあるを知りしは昨夜のことにて、入塲券は早々に賣切となりたるべしと思ひ敢へて問合せず。日頃市の廣報を見ざりしは返す／＼迂闊なり。NHK總合演藝圖鑑にあかつの相撲物眞似、三増紋之助の曲獨樂、東京太・ゆめ子の漫才を見る。Ｅテレ日本の話藝に三遊亭金馬の三軒長屋を聽く。夜に入りて雨聲を聞く。