朝の中曇りし空午後に至りて隈なく晴渡りぬ。急性咽喉頭炎に罹りて早や二週間は過ぎしに、喉の痛み纔に和らぎしのみにて猶治せず。咳嗽依然として甚し。書齋と睡房の塵を掃ふ。大須演藝塲來年一月末を以て閉館する由。ブルーレイにてクリント・イーストウッドの活動寫眞J・エドガーを看る。凡作。深夜一時Eテレにて80年代の逆襲宮沢章夫の戰後ニッポンカルチャー論再放送を見る。細野晴臣氏取材に應へてYMOは輕薄さ故にキュートなりきと語る。
快晴。表通欅の葉半落ちたり。公孫樹の黃葉は今將に見頃なり。明石書店拙著カタルーニャを知るための50章を送來る。初更溫泉。小島章司氏の新作舞臺FATUM! ~運命の力~本日西班牙コルドバ市大劇場にて公演あり。ヴェルディ生誕二百周年及び日西交流四百周年紀念の作品なり。NHK總合コントの劇場十一月號を看る。崖、罪深き人々、快適な空の旅、いらっしゃいませ、天國と地獄いづれも凡作。出演者三宅裕司、檀れい、甲本雅裕、小倉久寛、田中直樹、片桐仁。
半陰半晴。西風吹きすさみて寒氣甚し。時〻微雨あり。咖啡所コメダに朝餉を喫す。いつもより早く赴くに喫煙用ボックス席旣に滿席なり。午前授業。現在分詞の使ひ方を指南す。喉の痛み漸く和らぎ幸にして講義に支障なし。辻井喬の訃に接す。享年八十六。別役実中村梅玉井上八千代日本藝術院會員に選ばる。夕餉に秋刀魚のつみれ汁を食す。
薄く晴れて風なし。咽頭痛相變らず。鼻紙片時たりとも手放せず。S子に自家製林檎ジャムなど一箱送る。ブルーレイにてティム・バートン監督の活動寫眞ダークシャドウを看る。佳作。夜に入りて雨ふりしが姑くにして歇む。
乍陰乍晴。寒風强し。咽頭痛痊えず嚔止まらず。宛ら鼻腔の決壞したるが如し。物書かむと机に向ふも精神明瞭ならず一枚をも書き得ずして已む。午後主治醫を訪ひ投藥を乞ふ。歸途耳鼻咽喉科に徃き治療を乞ふ。吸入して後藥新たに四種處方せらる。果して木曜日は授業を行ひ得るや否や。昏黑家にかへる。二更溫泉。BS11ようこそ藝賓館に林家彦いちの熱血怪談部、入船亭扇辰の三方一兩損を聽く。特定祕密保護法案衆議院にて可決せらる。民主主義の輕視恐るべし。
雨もよひの空墨を流せしが如し。書窓黯澹たり。門内欅の黃葉悉く落盡しぬ。午後風雨。咽喉痛鼻づまり未だ痊えず。心地頗わろし。驛前の床屋に赴き髮を理す。
薄く晴れて靜なる日なり。BS-TBS落語硏究會に春風亭一朝が芝居の喧嘩、柳家喬太郎が綿醫者、綿の舞衣(上)を聽く。NHK總合演藝圖鑑に三遊亭歌司のずっこけを聽く。DVDにて山中貞雄の人情紙風船を看る。幕切れの演出いつ見ても感服する外なし。
快晴。咽頭痛未だ痊えず咳嗽歇まず。本日某所にて催せらるゝ公開討論會は已むを得ず缺席す。半日褥中に在り。この日勤勞感謝の日。
天氣牢晴。咽喉痛惡化す。咳嗽ます/\甚し。終日困臥。季刊誌考へる人の編輯長河野通和氏のメールマガジンを讀む。司馬遼太郎の風邪ひき論と題せし隨筆引用せらる。それを讀むに、司馬氏は基礎體溫低く低血壓なるが故その半生を風邪に惱まされ、體溫三十六度七八分に昇れば交通信號機を判別することさへ易からず、讀書また執筆も行ひがたかりき。三十七度に達すれば寢込み、三十八度に及べば遺言執筆を檢討したりき。氏の苦しみ余は我が事のごとくに感ぜらるゝなり。
曇りて時〻小雨あり。咖啡所コメダに朝餉を喫す。午前學生諸氏と活動寫眞ボルベール〈歸鄉〉の後半を看る。喉の痛み耐へがたく咳嗽甚しきを以て上映後の作品解說は行はず。午後困臥。
快晴の空午後に至りて曇る。喉の痛み相變らず、鼻詰りひどく心地よからず。三年前蓄膿症の治療を受けし事を思出しぬ。午後ヤマト運輸集配所より叔父Yに荷物一箱送る。歸途疎雨に値ふ。三重テレビ淺草お茶の間寄席にナイツの漫才と古今亭寿輔のしりとり都々逸を聽く。
喉の痛みに堪へかね熟睡すること能はず。疼痛時の頓服藥として處方されしロキソプロフェンNa錠を飮むに一時間ほどして痛み和らぎしが藥效持續せず。午前三時ごろ床を起出でゝ便利店に赴き龍角散のど飴を購ふ。寐つ起きつして黎明に至る。晴。欅の落葉狼籍たり。終日何事をもなし得ず。初更溫泉。血に染まりしが如く赤き十六夜の月の登るを見る。BS11ようこそ藝賓館に八代目林家正藏一門會を見る。林家正雀が大店の犬(鴻池の犬)、桂藤兵衞が半分垢を聽く。
蚤起。靑空に白雲多く浮びて風なし。寒氣ゆるやかなり。喉痛みて堪へがたく聲を出すことさへまゝならぬほどなれば朝早く耳鼻咽喉科に徃き診察を乞ふ。七箇月ぶりなり。受付の仕組いつか變りて診察の事前豫約をせし患者優先せられ、余は一時間近く待たされぬ。老醫師鼻腔より内視鏡を插入し喉を檢査して曰く急性咽喉頭炎症なりと。聲帶眞つ赤に腫上りゐる由にて、醫師の勸めるがまゝ吸入と血液檢査を行ひし後、寢臺に橫はりて點滴を受けること小一時間ばかり。うたゝ寢しながらつら/\思返すに、かつて世田谷區上馬に在りし時突然聲帶腫上りて發聲困難に陷りしことを思出しぬ。指を屈すれば二十餘年の昔なり。グリーンロード脇四辻の水野といふ自轉車屋いつか店舖取壞されショベルカー地ならしの最中なり。午下家にかへる。體溫平熱より一度上る。福島第一原子力發電所四號機にて使用濟燃料置塲より核燃料の取出し作業開始。癈爐作業いよ/\始まれり。三時頃より寒氣俄に加はりたれば納戶よりオイルヒーターを取出し書齋に置きて暖を取る。晡下一睡。夕餉に鯛飯と鯛の潮汁を食す。
快晴の空午後に至りてくもる。風邪ひきしにや喉痛みて心地すぐれず。黒沢清監督の最新作 Seventh Code 羅馬映畫祭にて最優秀監督賞及び技術貢獻賞を受賞す。NHK總合演藝圖鑑に柳貴家小雪の太神樂を見、柳家喬太郎の粗忽長屋を聽く。Eテレ日本の話藝に桂雀松改め三代桂文之助の口入屋を聽く。FM愛知サンデー・ソングブックに岩谷時子追悼特輯第二囘の放送を聽く。昏暮T氏來宅。釣果の鯛と稚鰤を餽らる。十月十五夜とも思はるゝ圓き月薄赤き色をなし屋上に登るを見る。咽頭痛いよ/\甚し。
快晴。寒氣やゝ寬なり。來週末某所にて重要なる行事あるにも係らず責任者より何の音沙汰もなし。無責任こゝに極れり。ギジェルモ・デル・トロ監督の活動寫眞ヘルボーイ/ゴールデン・アーミーを看る。
朝来風雨。雨午後に至りて霽れ風も歇み雨後の空澄渡れり。セキセイ鸚哥のアサリ君いつも上機嫌なれど、けふは寒さ甚しき故にや或は毛の拔け替はる時節なるが故にや、晡下早々體を丸めて目をつむり微動だにせず。初更溫泉。歸途アミカに立寄り白耳義ロータス社のカラメルビスケットを購ふ。十三夜頃の月鏡のごとし。三代目桂文我の死ぬなら今を聽く。
快晴。寒氣烈し。本年も德利襟のスヱータを着て襟卷をまとふ時節とはなれるなり。本日喫茶店コメダ店内淸掃のため休業なれば步みて支留比亞に赴き朝餉を喫す。この店に入るは初てなり。喫煙席に先客わづか二組のみなりしが忽ち滿席になりぬ。九時十五分豐田學舍着。一限二限とも通常の授業は行はずペドロ・アルモドバルの活動寫眞ボルベールの前半を看る。鑑賞後感想を書かしむ。一限の女子學生に少女パウラの實父を見事言ひ當てし者あり。歸途郵便局に立寄りお線香たより翠麗を購ふ。この秋發賣されしばかりの喪中見舞商品なり。一時半歸家。大相撲九州場所の客席にポール・マッカートニーの姿見ゆ。二更河畔を步す。余がインターバル速步を始めしは一昨年の十一月十日なれば早や二年を經たり。每日新聞の記事に天皇皇后兩陛下の御葬儀に關する記事を讀む。埋葬は從來の土葬を癈し世間一般の風習に倣ひて火葬を望まるゝ由、また葬儀は極力簡素にし、兩陛下の合葬は皇后陛下これをご遠慮遊ばさるゝ由。兩陛下の國民を慮るお氣持深く胸に沁み入るばかりなり。當今若夫婦の我が子にキラキラネームとやらいふ奇妙奇天烈なる名をつける者少なからざるといふ。リセマムの記事に人氣上位三十名の一覽あり。あまりに滑稽に感じたれば之を記し置くなり。
昊空 | そら |
心愛 | ここあ |
希空 | のあ |
希星 | きらら |
姫奈 | ぴいな |
七音 | どれみ |
夢希 | ないき |
愛保 | らぶほ |
姫星 | きてぃ |
匠音 | しょーん |
美望 | にゃも |
奇跡 | だいや |
杏奴 | あんぬ |
祈愛 | のあ |
男 | あだむ |
頼音 | らいおん |
夢露 | めろ |
雅龍 | がある |
琉絆空 | るきあ |
黄熊 | ぷう |
天響 | てぃな |
泡姫 | ありえる |
本気 | まじ |
皇帝 | しいざあ |
火星 | まあず |
緑夢 | ぐりむ |
姫凜 | ぷりん |
宝物 | おうじ |
大大 | だいだい |
今鹿 | なうしか |
快晴。兩三日寒氣甚し。敷蒲團を二枚重ね冬物の靴下を穿く。執筆半日。芋餠を食ふ。甜菜糖の甘み殊に佳し。暮方始て床暖房を入れる。三重テレビ淺草お茶の間寄席に春風亭柳好の權助魚、春雨や雷藏の片棒を聽く。
半陰半晴。寒氣嚴冬の如し。執筆。午後町營の塵芥捨塲エコハウスに赴き咖啡壺壜罐乾電池使ひ古しの墨盒を棄つ。主治醫を訪ひ藥を乞ふ。夕刻ふたゝび茟を秉る。ことぶきの湯本日は館内淸掃のため臨時休業するを以て、已むを得ず昏黑久振りにてござらつせ溫泉に徃く。夜空くもりて月影淡々たり。BS11ようこそ藝賓館に三遊亭兼好が黃金の大黑、春風亭百榮が船越くんを聽く。
朝の中曇りし空午後に至りて拭ふが如く晴れて澄渡りぬ。日〻寒氣加はる。八ツ手の花さく。茟秉りしが興來らずして歇む。昨日の朝日新聞に桂米朝の一文笛直筆原稿發見せられし記事あり。燈刻片割月中空に浮び出づ。
寒雨蕭〻。落葉狼籍たり。NHK總合演藝圖鑑に入船亭扇辰のねずみを聽く。わづか十三分に縮めて手際よく語りたり。Eテレ日本の話藝に三遊亭圓丈のムービー落語タイタニックを聽く。FM愛知山下達郎サンデー・ソングブックに私家版岩谷時子追悼特輯第一囘の放送を聽く。曲目を茲に記す。
晴後に陰。安倍内閣特定祕密保護法案とやらいふものを閣議決定し、國會にて審議始まる。その全文を朝日新聞にて一讀するに、行政機關の長は我が國の安全保障に著しき支障を與へる恐れがある情報を特定祕密に指定して祕匿するなりといふ。然るに祕匿すべき情報はいかなるものなるかにつきては何ら具體的なる指針なく、たゞ法律違反に對する罰則のみ詳しく記されたり。これ卽ち言論封殺に外ならず。深夜Eテレにて錄畫し置きたるETV特輯田中泯畫家ベーコンを踊るを見る。燈刻BSフジ落語小僧を見る。女子高校生二人、でらうえ家亭すいすいの千早振るはギャグ冱え渡り、ひむか亭さきのやかんなめは侍の聲音巧みにして女の聲引立ちたり。指南役桂吉坊七段目。
快晴。風寒し。午前慈君と倶にエイデンに徃き咖啡壺を買ふ。執筆半日。妙案浮ばず苦心慘澹たり。夕刻島倉千代子の訃に接す。享年七十五。初更いつもの溫泉に憩ふ。受付臺に貼紙あり、來月一日より湯錢五拾圓値上げして五百五拾圓とする由。來年四月には消費稅五分が八分に上がり端書一枚五拾圓のところ五拾貳圓になるなり。果してことぶきの湯は再び値上げするにや、或はこの度の値上げは來年四月の增稅を見越しての措置なるにや。月色清奇なり。
立冬。時雨ふり出しては歇むこと數次なり。欅公孫樹の黃葉まさに見頃なれど、本年十月に異例の暖氣打ち續きし故にやその色黑ずみて鮮ならず。咖啡所コメダに朝餉を喫す。二限の出缺自己申告表に不正發覺す。本人が出席せざるにも係らず署名のあるもの十六人に及ぶ。大半の學生は眞面目に受講するなれど、一部の不心得者が不正を働くなり。不快無念窮りなし。午後家にかへりて食器を洗ひ布巾もて拭くに、うつかり手を滑らせ硝子製の咖啡壺を落して粉々に割りぬ。執筆夕刻に至る。
曇りて暗き日なり。執筆。書齋と睡房の塵を掃ふ。茶請に自家製芋餠を食す。初更川端を步す。三重テレビ淺草お茶の間寄席に近藤志げるのアコーディオン漫談赤い靴物語、林家種平のねずみを聽く。
快晴。倦怠甚し。草稾をつくらむとせしが興來らずして歇む。午睡日暮に及ぶ。夜初更溫泉。星斗森然たり。BS11ようこそ藝賓館に笑福亭鶴瓶一門會を聽く。笑福亭鉄瓶テープレコーダー、笑福亭恭瓶宮戶川上方篇。
昨夜七時過より深夜零時まで圖らずも熟睡せしがため、その後は眠れぬまゝ曉明に至る。文化の日振替休日なれど定業なき身の上には何の關係もなし。陰後に晴。門前の欅黃葉いと美し。特に記すべきことなし。
舊十月朔。空どんよりと曇りて風なし。文化の日舊明治節なり。NHK總合演藝圖鑑に内海英華の女道樂と三遊亭笑遊のやかんを聽く。内海は聲に艷あり三味線もまた佳し。夜に入りて雨聲を聞く。
どんよりと曇りし空午後に至りて薄く晴る。秋の敍勳發表。大友克洋柳家權太樓井上八千代紫綬襃章。大友氏の受章大に慶賀すべし。
舊九月廿八日。鱗雲たなびきていかにも秋の空合なり。漫畫の原稿をつくる。久しく癈絕せし創作の興再び起來りて、どうやら稿をつゞけ得るやうなり。創作の興ほど不可思議なるはなし。N子に野菜など一函送る。有限會社S東鄰の空地に保育園の建設工事始まりぬ。昏黑理髮舖に徃きて後いつもの溫泉に立寄りてかへる。