小春の天氣うらゝかに晴れわたりたり。午下ウォーキング日課の如し。西風颯々、東より西に流るゝ川の面に細波立ちて陽光のきらめくさま描くが如し。遊步道の櫻樹落葉狼籍たり。體調のよろしきを幸に初めて延珠橋を過ぎ引山橋に抵る。團地の植込に靑紫色の小さなる花を見る。植物の名に疎きを以て何の花なるや知る由もなし。發汗襯衣を霑す。この日地球人口七十億人を超えたる由。余は穀潰しの一人なり。
寒雨烟のごとし。拂曉錄畫し置きたるNHK總合春風亭小朝の演藝圖鑒に女道樂内海英華の三味線都々逸を聽く。つゞけて夜半に錄畫せし名古屋テレビ放送のミスティック・リバーを看る。民間放送なるが故に省畧されし塲面尠からず、就中開卷劈頭及び幕切れの川の空撮を端折られたるは無念なり。活動小屋にて鑒賞したる日のことを思出しつゝ堪能す。クリント・イーストウッドの演出力は本作品を以て一つの極みに達し、以後も衰へを知らず父親たちの星條旗、グラン・トリノなどの傑作をたてつゞけに發表するなり。慈君風邪未だ痊えず、居間のソファーに困臥せらる。舞踊團公式網站の西班牙語頁更新に半日を消す。晡下雨を冐して農協に赴き月寒あんぱんを購ふ。夜に入りて雨ふりまさりぬ。
晏起の後盥漱を終れば日は旣に午なり。天氣牢晴。余が網站の訪問日誌を閱するに、感謝カンレキ雨あられ＋3といふ博客に余が日誌のことを紹介せらるゝを見る。筆者は余が如何なる軟件を用ゐて舊字舊假名を書くにやと自問せらる。余が執筆に際して用ゐるは秀丸エディタなり。日本語入力は ATOK を常用す。ATOK には文語モードあるを以てなり。舊字は秀丸エディタ專用のk_QKANといふ舊漢字異體字變換マクロを用ゐるなり。午後日の翳る頃合を見計らひ香流川の岸をあゆむ。川の水何故かいつもより澄みて見ゆ。大牟田の堂面川のほとりを步みし日々を思ひ出しぬ。指を屈すれば早くも六年を經たり。新藤森橋の手前に釣人四人あり。一人はいつもの老人、一人は幼子二人を伴ひたる男、一人は初老の男、一人は中學生くらゐの少年なり。輕鴨二十餘羽、子鴨次々に頭をトプン／＼と水中に濳らせ尻を埀直に立てゝ川底の草か何かを漁ること頻なり。高速道路の眞下に小鷺一羽あり。いつもの小鷺なるべし。藤森橋を過ぐるにパピヨンとおぼしき小狗をつれ散步する孫娘と祖父にすれ違ふ。延珠人道橋を渡り夕陽を背負ひて南岸をあゆみてかへる。キャッチボールに興ずる親子を見る。小學三四年生とおぼしき息子の眞新しきグローヴつやゝかに輝きたり。途次顏を歪ませ片手をひら／＼させつゝ走る男とすれ違ふ。苦悶の表情徃年の宗兄弟に髣髴たり。ふと川緣を見るに、思ひもかけず翡翠一羽コンクリート製堤防の緣にとまりゐたるを認め得たり。覺えず步を留めてしばし見入りたり。淸流といふにはほど遠き香流川に翡翠の飛來するは意外の喜びなり。二更BS11柳家喬太郎の粹ダネ！に林家久藏の勘定板、橘家圓太郎の祇園祭、喬太郎の蒟蒻問答を聽く。枕上今曉錄畫し置きたるBS-TBS落語硏究會に柳家さん喬鴻池の犬を聽く。セルバンテス模範小說集所收犬の對話を想起せしむ。
小春の好天氣打つゞきぬ。午下ウォーキング日課のごとし。新藤森橋の先に色とりどりの花咲亂れ、藪の奧を見やるに小さなる小屋一軒あり、入口にフラワーアレンジメントしますと小さき文字で書きたる札貼りてあるを讀み、花屋なるを知れり。小屋の中を一瞥するに妙齡の婦人一人椅子に腰かけたまゝ俯きて何やら作業に沒頭しゐたり。延珠人道橋を渡り初て明德公園に抵る。一時半家にかへる。萬步計七千四百步を示す。夕刻事務所のM氏より電話あり。昨日某所より鶴首して待望みし正式の通知ありし由。とりあへず安堵せり。公演準備に天手古舞の樣子縷々語らる。
快晴の空雲翳なし。風絕えて新寒肌に沁む。この冬初てタートルネックのスヱータを着る。九時過ぎ豐田學舍に到着するに、大型トラック來りて、背中に STAFF と書きしジャンパーを着たる學生五六人手際よく荷下ろしをなす。明日開幕するとよた祭といふ學園祭の準備なり。今朝の授業は主として會話の練習を行ふ。二コマ終へて萬步計を見るに千四百步なり。余は授業中敎壇の椅子には腰かけず、終始立通しにて行ふを常とするなり。午下八號館前の廣塲に出づるに、假設舞臺早くも設營されたり。歸路セキセイ鸚哥の餌を購はむとてカーマホームセンター日進竹の山店に赴く。五十八號線を西進し、光陵女子短期大學を右に見て、山道を登り、日進市總合運動塲を左手に見て東名高速の眞下に出で、二百三十三號線の岩藤交叉點を右折し二百十七號線を經由して辯天池南交叉點より五十七號線に出づ。小鳥用品の棚一新せらる。ペッズイシバシ社製の老鳥用シニア混合餌を購ふ。アサリ君シジミ君の誕生したるは平成十九年二月末なりしを以て年齡は早や四歲半なり。セキセイ鸚哥の平均壽命は七歲なるを以て、人間ならば壯年なり。二時前歸家。母上の風邪半ば痊えて今日より外出を再開せらる。夕刻散步。日旣に低く夕陽の景佳なり。橋下川の淀みに椋鳥三羽水浴びするを見る。椋鳥の水浴は見し事なければ步を留めること暫くなり。釣絲を埀れる老人あり、また犬の散步がてら岸邊の鳩に餌をやる老人あり。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席を見る。五明樓玉の輔の宗論のみ佳し。NHKの網站に故井上ひさし氏祕書勞災認定の記事を讀む。俚諺に緣の下の力持ちといふ事あり。偉人の陰にはかくの如く身を粉にして劇務に在る者必ずあり。YouTube にナオミ・クライン氏の街頭演舌を聽く。擴聲器の使用を禁じられたる塲所なるを以て、聽衆一齋に復唱して徃來の人に演舌内容を傳ふ。
快晴の空澄渡りて北風烈し。木枯しなるべし。午下川端の樹陰を步む。いつもは三十羽近く見ゆる輕鴨けふは數羽を見るのみ。事務所より小島章司フラメンコ舞踊團東日本大震災復興支援チャリティー・ガラのチラシ屆く。飛鷹全隆氏の揮毫見事なり。北杜夫歿享年八十四。
雨もよひの空なり。午下萬步計を革帶に裝着して川岸を散策すること日課のごとし。西風强く濕氣を帶びて俄に冷なり。遊步の男女存外多くみな中高年なり。S橋下に小鷺一羽を見る。思ふに先日と同じ鷺なるべし。橋の袂に一閑と書きてひとゝきと讀ましむる畫廊兼喫茶店あり。歸途市塲に立寄り買物をなす。萬步計をみるに五千五百步なり。この日N子の誕辰なれば洋菓子屋 Downey のケーキを購ひて之を祝ふ。文化勳章拜受者決定、丸谷才一氏の名あり。文化功勞者は大滝秀治山口昌男加賀乙彦橋本堅太郎ほか。朝日新聞に大阪大學外國語學部の非常勤講師全員を三年以内に解雇するといふ記事あり。一驚を喫す。グローバリゼーションとかいふ思想と經營合理化は學問に百害あつて一利なし。少數言語硏究の學府その存在意義を自ら棄つるなり。
好く晴れて日色晚夏の如し。氣候順調ならず。午後綠陰步道を散步す。一昨日夕刻錄畫し置きたるNHK新人演藝大賞落語部門を看る。瀧川鯉八の雨傘和尙は奇を衒ひすぎなり。落語のをかしみは噺そのものにあり。二つ目は餘計な演出をせぬがよかるべし。三遊亭歌太郎の權助提燈くすぐりに失笑す。桂まん我の三十石佳し。聲のよさ一頭地を拔き器の大きさを示したり。桂ひろばの動物園可もなく不可もなし。鈴々舍馬るこの看板のピン本寸法。優勝は桂まん我なり。深夜錄畫し置きたる小津安二郎が秋刀魚の味を看る。仲村伸郎が初めて笠智衆の事務室を訪れ應接セットに對話する塲面にて畫面齣落としのやうに亂れたり。フィルム損傷のためなる歟。
惡夢を見る。朝の中晴れしが午後より曇りて時雨ふる。風生暖かし。慈君の風邪痊えず。粥を煮る。午後市立圖書館に赴き小三治のCD三枚を借る。小三治の轉宅を聽きながら夕餉をつくる。土耳古にて大地震あり。時恰も日本政府土耳古に原發輸出を目論む最中なり。
早朝雨。後に空晴る。母上風邪に罹りて困臥せらる。今曉錄畫し置きたるBS-TBS落語硏究會に立川志の輔のねずみを聽く。人物造形演出ともに大に感服す。今年聽きたる落語の最高峰なり。つゞけて柳亭市馬のらくだを聽く。枕頭文春文庫小林信彦著映畫×東京雜學ノートを讀む。
昨夜リビアのムアマル・カダフィ大佐捕縛殺害せらる。アルジャジーラのビデオにカダフィと思しき血まみれの男地面に頽れ、襤褸のやうに足蹴にされるを見る。本人なるや影武者なるや。國民評議會は死亡を正式に發表したり。移動電話或はスマートフォン備附けの寫眞機にて撮影せしと見え、映像前後左右に激しく搖れて現塲の混亂を如實に示す。獨裁者の末路ガルシア・マルケス小說を讀むが如し。四十二年つゞきたる獨裁制崩壞せり。そして今曉バスク祖國と自由（ETA）武裝解除を表明す。四十三年に及びしテロリズムに終止符打たる。エル・パイス紙文化面にハビエル・ラトーレ西班牙國家舞踊賞受賞の記事あり。喜び限りなし。午後川邊を散策す。N醫院裏手の畑に柿を收穫する夫婦あり。街路樹の幹に猫の里親になつて下さいと手書の文字にて記したる札貼りてあり。二更Eテレ日本の話藝に桂春若の天狗裁きを聽く。
曇りて後に晴る。午前授業。右膝の靱帶斷裂して缺席つゞきたりしY君今日より復活す。風邪に罹りたる學生尠からず。一時半歸宅。晡下けふも川岸の綠陰步道をあゆむ。十月櫻の枝に薄紅色の花ちらほら咲けるを見る。百日紅の花まだ少しく殘りたり。黑鐵黐、山桃、泰山木を愛づ。中洲に小鷺一羽佇立して西の空を眺む。優美なる姿にしばし見とれたり。S市塲の裏口より仕事歸りとおぼしき女出で來りて川岸斜面の階段を下り、川中に埋めたるコンクリートブロックをトン／＼と彈むやうに踏みて對岸に渡り、階段をスタヽヽヽと驅上がりて川向かうの道を急ぎ步み去るを見る。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席に東京ボーイズの高座を看る。四年前リーダー旭五郎他界し、ウクレヽの仲八郎三味線の菅六郎二人のみにてつとめる高座を看るは今夕が初めてなり。シャンソン枯葉の珍譯よし、仲が菅の額をぴしやりと撲つ間合よし音よし、漕げよマイケルの掛け合ひよし。謎かけ問答に AKB48、Kara、チャン・グンソクなど今時の藝能人を取りあげる仲のセンスもまた健在なり。
小春の好天氣愛すべし。晝餉の後腹ごなしをかねて散策す。香流川畔の綠道をあゆむ。川面に陽光煌めき、輕鴨六羽中洲に晝寢しゐたり。中學校の運動塲に女子は軟式庭球、男子は蹴球に興ずるを見る。晡時BSプレミアム日本の話藝セレクションに柳家小三治の初天神を聽く。
小春の好き日なり。編輯長の返書に接す。向後のことにつき諒承を得る。午後主治醫を訪ひ診察を乞ふ。欝惡化の兆見ゆれば前囘處方をやめたるドグマチールふたゝび處方せらる。文房具店に赴きステッドラーの機械鉛筆トリプラスマイクロを買ふ。タイ國豪雨による大洪水による國土の三分の一水沒す。中米にても集中豪雨あり、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアにて死者多し。枕頭ハルキ文庫の落語協會編古典落語⑥幇間・若旦那ばなしに入船亭扇橋の崇德院、三遊亭圓生の山崎屋を讀む。
雨もよひの空晴れやらず。某網站に意外なる記事あり。不快の感禁ずべからざるを以て編輯長に事の顚末を質す。中公新書田沢耕著ガウディ傳を讀む。まえがきにカタルーニャ語の原音に能ふ限り忠實なるカタカナ表記を採用せりとあり。然るに Francesc Berenguer を終始一貫してバラゲーと表記するなり。バランゲーなるべし。
好く晴れて暴に暑し。三日前注文したるキヤノンの印刷機MP493屆く。NHK總合春風亭小朝の演藝圖鑒に林家正樂の紙切りと笑福亭松喬の上燗屋を聽く。正樂挨拶代りに熊猫を切り、客の注文は花火。いつみても鮮やかなり。松喬を聽くはこの日が初て、上燗屋を聽くのも初てなり。飮んだくれの愛嬌まことに好し。午後ヤマト運輸に赴き、使ひ古しの咖啡機、印刷機、PHSをパソコンファームに發送す。柳原氏新譯書カルロス・バルマセーダ著ブエノスアイレス食堂を惠贈せらる。先月分の稾を脫す。
秋雨蕭々。書窗黯澹たり。價格ドットコムに咖啡機の滿足度ランキングを一瞥するに、ミルなしはデロンギ、ミル附は象印とパナソニックが人氣なり。午下母上と倶に家電量販店に赴き象印の咖啡機を購ふ。土曜日にも係らず買物客尠し。晚間執筆五枚書き得たり。
陰雨冥〻。强ひて筆を秉る。感興索然たり。惡戰苦鬪し二枚ばかり書きて纔に責を塞ぐ。小島章司フラメンコ舞踊團公式網站の意匠を手直して高解像度ディスプレイに對應せしむ。昨夜錄畫し置きたるBSジャパン今どき落語に古今亭菊之丞の湯屋番を聽く。歌舞伎役者の聲眞似佳し。この噺は亡き古今亭右朝に稽古してもらひたる由。稽古の依賴を受けし右朝、フルバージョンが宜しいか將又安直バージョンが宜しいかと問ひたる由。折角なのでフルでお願ひしますと荅ふるに、では百二十分テープを持參されたしと命じ、懇切丁寧に稽古をつけたりといふ。夕食の後食器を洗ひゐたるに、迂闊にも咖啡機の硝子壺を流し臺に落し破損せしめぬ。余が愛知縣立大學に赴任せし時購ひたる品なれば、指を屈するに十三年前なり。二更Eテレ日本の話藝に三遊亭遊三の唐茄子屋を聽く。
曇りて暗き日なり。倦怠甚しく思考鈍磨、軀重きこと鉛のごとし。午前授業。人前に立ちて話すことさへ懶く疲勞すること甚し。午後小雨ふる。市立圖書館に立寄りて家にかへる。書齋のキヤノン社製印刷機 MP450 突如故障す。印刷せむとするや用紙が詰まりましたといふ警告表示出でゝ給紙されず。内部を點檢するに紙片なく異物もなし。何度試みても用紙が詰まりましたの警告出でゝ消えず。キヤノンお客樣相談センターに電話かけ、女性擔當者に助言を請ふに、一度電源を切りて電源コードを拔き、本體内部に異物なきことを確かめ、再度コードを繫ぎ電源を入れコピーを試みられしと。云はれるがまゝにコピーのボタンを押すに、またもや用紙が詰まりましたの表示出でたり。擔當者に症狀を告ぐるに、MP450 は五年前の品物なれば修理期間旣に去りたり、新製品に買替へるほかなしとぞ。選擇の餘地なきを以て、早速價格ドットコムにて印刷機の新商品を探し、キヤノン社製 MP493 を發注す。それにしても先週來デジタル機器の故障つゞくはいかなる所以にや。先づ桌上型電腦のディスプレイ故障し、兩三日前 PHS 故障し、けふは印刷機が故障しぬ。何の祟りなるや知らず。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席に桂竹丸の紀州、春風亭柳橋の代り目、桂米丸のジョーズを聽く。竹丸の高座頗樂し。柳橋現はるゝや、待ッてました、たッぷりの聲かゝりたり。米丸はサゲの反應芳しからざるをみて卽座に口眞似にてビデオテープを卷戾し二つ目のサゲを云ひ、これも不發とみるや三度卷戾して三つ目のサゲを云ひけり。八十六歲になりてなほ轉びても只では起きぬ藝人根性をみたり。齋藤憐死去。行年七十。
輕陰。茟とるも懶し。午前市立圖書館に赴く。無鹽牛酪を購はむとて業務用食品市塲に立寄るに品切なり。品薄につき一人三個迄、次囘入荷日は未定と書きたる札あり。NHKの取材によれば、昨夏の猛暑により原乳の生產量著しく減り、また今年は原發事故ありて四萬トンの原乳廢棄されたる由。晡時NHK日本の話藝に桂ざこばの子は鎹と五街道雲助の幾代餠を聽く。鄰のマンション屋上より滿月の昇るを見る。烟草一服つけるほどに。月光冱渡りて風もなし。
陰晴不定。氣溫俄に低くなりぬ。ウィルコムより KES 社製の PHS KES WS009 用電池パック屆く。早速本體に裝塡し電源を入れるに通電はすれど液晶の畫面何故か赤紫色に濁りて恰も寫眞のネガを見るが如し。姑く放置するに、畫面次第に暗くなり文字を判讀すること能はず。液晶畫面の故障なるべし。先週末桌上型電腦の液晶ディスプレイ故障し、今日また PHS の液晶畫面お陀佛となりぬ。WS009 を購ひしは平成十九年十一月の事なれば、わづか四年にて使ひものにならざるは不可思議なり。余は滅多に電話を用ゐざるを以て、いよ／＼怪しむべし。昨日支拂ひし電池代四千二百圓はどぶに棄てたるも同然なり。已むを得ずウィルコムプラザにふたゝび赴き、溝機種變更の手續をなす。SII 社製の新商品 SOCIUS WX01S を購ふ。女店員の聲蚊の鳴くが如く、營業手引書の文言を機械的に暗唱すること宛然ロボットと相對するが如き心地せり。店内廣告放送の音聲喧しく、女の說明を聞かむと耳を欹てゝも容易に聞き取ること能はず。半時ほどして手續を終へ家にかへる。
半陰半晴。異例の暖氣打ちつゞきぬ。午前執筆四枚書き得たり。昨日突如として小靈通の電源入らず、充電器に立てゝ一夜明けてもなほ入らず。電池パックを取出してみるに、赤白黑の銅線三本のうち黑き銅線一本根元より切れたり。電池を交換せむとウィルコムプラザに赴く。金木犀の香風脉々として人の面を撲つ。店員に訊ねるに、電池は商はず、互聯網上のウィルコムショップにて購はれたしと。踵を返して歸宅し、ウィルコムショップに電池を注文す。代金消費稅込四千二百圓也。中村芝翫歿行年八十三。此日體育の日。
晴。NHK總合春風亭小朝の演藝圖鑒に柳家三三看板のピンを聽く。將來小三治を繼ぐべき逸材なり。群像十一月號に蓮實重彥映畫時評、多和田葉子雲をつかむ話、大沢真幸〈世界史〉の哲學を讀む。大沢真幸イエスが麵麭五つと魚二尾を以て五千人を滿腹せしめたる祕蹟を論理的に解き明かす。
天氣牢晴。暴暖初夏のごとし。正午過桌上型電腦のレノボ社製顯示器突然不規則に明滅し始め、何事にやと樣子を見守るに三十秒ほどして畫面全く暗くなりぬ。電源ランプは綠色を示したれば通電に問題なかるべし。畫面切替ボタンを押すに、一瞬パッと明るくなりしが一二秒してふたゝび暗くなるなり。幾度試みても症狀變らず。デバイスマネージャーを閱するにドライバーは正常なり。念のため豫備の桌上型電腦に接續したれどやはり一二秒して暗くなりぬ。電氣囘路の故障なるべし。故障の原因につきては思當たる事あり。去七月余が寢室を父上の書齋とすべく明渡して以來、父上壁のスイッチを押し室内燈をともし又消すたびに、何故か余の顯示器一瞬眞つ暗になり、直に復歸するやうになりぬ。三箇月を經て電氣囘路に故障を生ぜしめたるべし。レノボ社に修繕を賴めば何日かゝるや知れず、修繕費も數千圓を下らぬべし。然れば新品を購ふが捷徑なり。譱は急げと瀨港線のコムロードに赴くに、黃色かりし建物いつか靑くなり、店の看板もアプライドと改名されたり。幸にして品揃へはコムロードと同じなり。Princeton とかいふ業者の十八・五インチ液晶顯示器を購ふ。代金壹萬貳千八百圓也。ドット拔け保證金として六百四拾圓を支拂ふ。直に家にかへり電腦本體に繫ぐ。畫面明るきこと目も眩むばかりなり。輝度を百より三十に下げる。枕頭群像十一月號に高橋源一郎の新作小說戀する原發を讀む。高橋氏一流の不敬文學、顰蹙文學なり。
晴。東京かわら版增刊號寄席藝人寫眞名鑒屆く。Eテレ日本の話藝に三遊亭好樂が濱野矩隨を聽く。好樂を聽くは久振りにてさほど期待せざりしが思ひの外よし。
陰後に晴。九時過T學舍に着く。構内の金木犀馥郁たり。本日より一限のみ受講生を出席番號順に坐らしむ。先週とは打つて變つて私語に興じる者なし。授業を終へて歸宅するにスティーブ・ジョブズの訃報あり。氏の思想は Think different. の二語にあり。今曉錄畫し置きたるBSフジお臺塲寄席DOUGAに春風亭一之輔のかぼちゃ屋と古今亭菊之丞の替り目を聽く。夕餉の後ことぶきの湯に赴き露天風呂に浴す。十日頃の月あきらかなり。二更BSジャパン今どき落語第一囘放送に柳家權太樓の家見舞を聽く。此日網站開設紀念の日なり。歲月は矢の如く過ぎ去りていつか十一年とはなりぬ。アップル社の網站にジョブズ氏への弔辭揭げらる。下の如く紀念に寫し置くなり。
Steve Jobs
1955-2011Apple has lost a visionary and creative genius, and the world has lost an amazing human being. Those of us who have been fortunate enought to know and work with Steve have lost a dear friend and an inspiring mentor. Steve leaves behind a company that only he could have built, and his spirit will forever be the foundation of Apple.
アップル社は先見の明と創造性に富む天才を喪ひ、世界は驚嘆に値する人物を喪ひぬ。スティーブと相識り彼と倶に働くの僥倖に惠まれし我々は親愛なる友人と靈感を與てやまぬ指導者を喪ひたり。スティーブはひとり彼のみが創業し得たる會社を後世に遺し、その精神は永久にアップル社の基址たるべし。
朝來細雨霏々たり。晡時NHK日本の話藝に春風亭小柳枝の子別れと桂歌丸のねずみを聽く。燈下ちくま文庫小沢昭一がめぐる寄席の世界を再讀す。
小春の好天氣愛すべし。金木犀の芳香漂ひ始む。午後主治醫を訪ひ診察を乞ふ。病狀安定したればドグマチールの服用を止む。抗欝劑アナフラニール安定劑ソラナックスの藥效なるべし。聯合定期大會にて古賀伸明會長原發推進の方針を改め脫原發依存を宣言す。この夏以來東日本大震災被災各縣にて復興祭と銘打ちたる催し多し。兩三日前にはいわき市にてがんばつぺ！いわき復興祭といふ催しあり、スパリゾートハワイアンズ舊常磐ハワイアンセンターに映畫フラガール出演者の蒼井優山崎静代ら出席し同所再開の式典を行ひたり。關東大震災の折にも帝都復興祭催されたり。その開催日ウィキペディアには昭和五年三月二十五日と記されたるが、荷風先生が斷腸亭日乘を讀返すに、三月廿四日の條に下の如き記載あり。
三月廿四日 春風駘蕩、この日復興祭、陛下終日市中を巡幸したまふと云ふ、之がため市中通行留の處多き由、
好く晴れたり。北風吹きすさみて俄に寒くなりぬ。午後散步がてら理髮舖に徃き、歸途町内に開店せし市塲を見物す。瀟洒なるつくりの店にて品揃へ存外豐富、食品いづれも廉價なり。半年ぶりに舞踊團公式網站を更新す。『ラ・セレスティーナ』フェスティバル・デ・ヘレス招聘作品東京凱旋公演の告知なり。三更BS朝日落語者に春風亭一之輔のあくび指南を聽く。小器用な人なり。大成するや否やは何とも言へず。
曇天。曉明錄畫し置きたるNHK總合桂文珍の演藝圖鑒に青空球児・好児の漫才逆樣むっつり右門捕物帖と瀧川鯉昇の鰻屋を聽く。鯉昇の落語をきくは今日がはじめてなり。茫洋たる風貌擧措柳昇を思はしむ。落語名鑒を繙くに案の定柳昇の弟子なり。午後二時らじればにてFM愛知サンデー・ソングブックを錄音しながら聽く。昨日より衞星テレビ放送の周波數帶總數十二より二十四に倍增し、WOWOWは三チャンネルに增えしを紀念して番組を無料開放す。WOWOWライブといふ周波數帶を選ぶに去六月サンフランシスコにて行はれしYMOの演奏會最後の樂曲 Tong Poo 放送されたり。WOWOWシネマにてはマーティン・スコセッシ監督の活動寫眞ギャング・オブ・ニューヨーク最終塲面を見る。コンピューター・グラフィックスを濫用して誤魔化したる風景の粗雜さ鑒賞に堪へず。枕頭五代目柳家小さん竹の水仙、三遊亭圓遊松竹梅、干物箱、權助提燈を聽く。
陰曆九月五日。晴後にくもる。風冷なり。五更錄畫し置きたるBS-TBS落語硏究會に柳家小三治の一眼國を聽く。諧謔の妙味まことに佳し。林家正藏と聞き比ぶるに、小三治は茶漬のくだりにて興行主の底意地の惡さを强調す。つゞけて桃月庵白酒ずっこけ、小三治出來心を聽く。iriver の Lyumo M32 Memory にて MP3 ファイルにし、Audacity を用ひて編輯す。午後一時NHKラヂオ第一放送上方演藝會になすなかにしと今いくよくるよの漫才を聽く。いくよくるよの漫才を知りて三十餘年を過ぎたるに、その藝聊も衰へず。午後八時ラヂオ第一眞打ち競演を聽く。被害屆は豪華にと題したる東京丸・京平の漫才奇しくも出來心に通ずる話なり。ケーシー高峰いつもの醫學漫才に先んじて、いわき市の自宅にて二度地震に襲はれたる顚末を語りて大に笑はせたり。放射能禍を扱ひながら興醒ましにならず滿座を哄笑せしむる技はさすがに大御所なり。金原亭馬生の浮世床可もなく不可もなし。同時刻に錄畫したるBS11柳家喬太郎の粹ダネ！第百囘放送に三遊亭圓丈の强情灸を聽く。志ん朝仕込の由。番組前半は學生時代及び前座二つ目ぬう生時代の話なり。師匠の圓生はぬう生の新作落語を高く評價し、常連客にわざ／＼電話かけて賣込みたる由。志ん朝にねたを披露して祝儀一萬圓を得たりし事もありといふ。