夕方ござらつせに徃き一浴す。雜沓甚し。去二十五日倂設されしあぐりん村といふ賣店兼料理屋殷賑を極む。レティシア皇太子妃第二子出產。女児。ソフィアと命名さる。六時十分よりNHK總合テレビ「ホリデーにっぽん」に三遊亭圓樂最後の高座を看る。頭痛岑々、エバミール2mgを飮み寢に就く。
晴。無風。攝氏二十五度。暑きこと夏の如し。初更NHK-FMサウンド・ミュージアムに坂本龍一と細野晴臣の對談を聽く。二人がラヂオ番組にて對談するはこれが初めてなり。
晴。烈風歇まず。筆とる氣力なし。
曇りて肌寒し。何事をもなすこと能はず、たゞ鸚哥と戲れるのみ。エバミール1mgを飮み寢に就く。
陰。烈風砂塵を捲く。國道百五十五號線の交通量昨年に比して多く、處々澁滯す。授業後學生にありがたう御座いましたと挨拶さる。思はずどういたしましてと荅へさうになりたり。午後主治醫を訪ひ夢分析を受く。宮沢章夫のニュータウン入口第一稾を讀む。
陰りて薄暗き日なれど雨にはならず。讀賣新聞をみるにネットカフェや漫畫喫茶に起居する若者多しといふ。取材に應じたる三十歲代の女性は三年前に夫の暴力を逃れて以來、月收九萬圓の短時間勞働に糊口を凌ぐなりとぞ。昨今彼らを稱してワーキングプアと呼ぶが、これ卽ち浮浪者なり。余もまた浮浪者に身をやつして當然の身分なれど溫かき寢床に惠まるゝは偏に父上の恆產あるを以てなり。浮浪者の記事は他人事にあらず。中國は資本主義の新市塲として脚光を浴びるも、自殺者は每年二十五萬人を下らず。自殺者の心中を思はざるを得ず。
ボリス・ニコラエビッチ・エリツィン歿享年七十六。
鬱少しく良し。今宵よりラジオ深夜便ないとエッセーに小島氏四夜聯續出演さるゝが睡魔抗ひがたく聽かず。
曇りて午後より雨となる。町議會議員選擧投票日なれど徃かず。NHK-FM日曜喫茶室に佐野史郎とあさみちゆきの井の頭公園談義を聽く。
くもりて蒸暑し。終日臥褥に在り。
晴れて後にくもる。母上の鳥籠をベランダにて掃除さるゝ間アサリとシジミと戲れる。巡囘乘合自働車Nバスに初めて乘り藤が丘に出で、伊太利料理屋マルデナポリに晚餐をなす。凡百のファミリーレストランの如き味なり。
快晴。春風駘蕩、旣に薄暑を催す。中京大學授業二週目。何故なるにや今年度は受講者多し。選擧カーの喧騷耳を聾さんばかりなり。拳銃の一丁もあらば狙擊したきほどなり。擴聲器に白手袋、厭ふべし、厭ふべし。
くもりて風なし。午後病院に徃きカウンセリングを受く。夢分析の最中、○○から聯想するものは何ですかと問はるゝこと數次なり。思ひ浮ぶこと殆どなし。三時院外に出るにいつしか雨とはなれり。伊藤長崎市長死去。エバミール1mgを飮むこと昨の如し。
快晴。强風砂塵を卷く。午後ござらつせ地の湯に一浴す。俄に腹痛下痢を催す。午睡例の如し。バージニア工科大學にて銃亂射事件あり、學生三十二人卽死。犯人は自殺したりといふ。伊藤一長長崎市長暴漢に銃擊され人事不省に陷る。エバミール1mgを飮み寢に就く。
降りみ降らずみの定りぬ天氣なり。下痢を催す。
納戶部屋の書架に段ボールの書籍を整理す。午前疲勞して橫臥。ぐらり/\と地震ふ。三重縣龜山にて震度五强。夜 NHK-FM氣まゝにクラシックに荘村清志のギター演奏を聽く。
陰。雨降りしとおぼしく。困臥半日寤むれば日旣に晡なり。東京M氏より電子郵件あり、これから名古屋に向ふが夕食を倶にしませんかとのことなり。外出する氣力消耗何事をもなす能はざれば斷る。悲しむべきなり。
ベアチリーチェの返書を得たり。六時夕食を食べること日課の如し。六時半疲勞甚しく寢に就く。
晴れて俄に暑くなりぬ。カート・ヴォネガット歿享年八十四。
輕陰。風なし。四時過ぎ覺醒。朝食を食べふたゝび眠り、寤むれば二時なり。夕食に赤飯と鯛の鹽燒きを食ひ父上の誕辰を祝ふ。
昧爽覺醒。ベランダに出でゝ煙草を一服す。鬱の谷底に轉落したり。夕食は食べず。終日臥褥に在り。此日父上の誕辰なり。
齒痛忍ぶ可られば藥局に新セデスを購ひ服用す。ガソリン急騰、今朝ハイオク百三十三圓なりしが夜には百三十七圓に上がりぬ。初更父上東京より歸宅せらる。
薄曇の空風もなくて靜なり。早朝父上東上せらる。愛知縣議會選擧投票日なれど徃かず。今日も終日蓐中に在り。
朝の中薄く晴れしが夕刻雨となる。午睡終日爲すこともなし。
天氣牢晴。終日蓐中に在り。時々ヴェランダに出でゝ煙草を喫することいつもの如し。
好天。朝の中机に向ひて筆とらむとせしが心勞れて興來らず、そのまゝ止む。氣分轉換に長久手溫泉ござらつせに徃き受付に入浴料五百五十圓を拂はむとせしに、嚢中錢乏しきを以て拂へず。已むことを得ず恥を忍びて近鄰のコンビニエンスストアにて金を下ろし漸く入浴す。二時カウンセリング。初めて夢分析を受く。二夜の異なる夢の構造的に酷似してゐるさまを指摘され蒙を啓かる。町内の櫻八分咲きなり。八時疲勞して寢に就く。
くもりて寒氣冬の如し。午前霙まじりの雨ふりしが須臾にして歇む。晴。けふも終日臥褥に在り。福岡縣大牟田市明治町三丁目の民家にて白骨化したる五人の遺體發見さる。木乃伊と化したるものもありといふ。死後の復活を信ずる怪しげなる宗敎儀式の如きものを執行ひ居たりしとの噂あり。予が明治町を散策したりしは平成十六年末より十七年五月にかけてなりき。街は死したるが如く森閑とし商舖殆どなく床屋ばかり目立ち居たり。街全體が木乃伊と化したるやうな有樣なりき。
くもりて風冷なること花さくころとも覺えず。氣分すぐれず、朝食を食ひ蓐中に臥す。病遂に恢復しがたきが如き心地して憂愁禁じがたし。實家に入院したるやうなものなり。初更門外に出づるに滿月皎々と照りわたり吹きすさむ風の冷なること寒月の夜の如し。
陰。終日臥牀に在り。夕刻ヴェランダに出でゝ空を仰見るに街は淡き霞に蔽はれて視界不明瞭なり。黃砂なり。
舊二月十四日。陰。春風駘蕩。テニス敎室の日なれど心氣欝々何事をもなすこと能はざれば徃かず。徃かば樂しからうが徃くまでが億劫なり。三囘つゞけて缺席しぬ。日曜喫茶室三十周年紀念の放送を聽く。夕刻煙草を求めむとて門を出づ。木下勘解由塚の櫻五分咲きなり。