暴暖初夏のごとし。連日無風。二日間大事をとりて休みしインターバル速步を恐る/\再開す。胸をバンドにてきつく締め筋骨を固定すれば肋骨の痛みは和らぎしが、依然として大股にてあゆむこと難く、當分速步は愼むがよかるべし。父上母上冬に東海地震の襲來るを虞れて石油ファンヒーターを購ひ來らる。今年は東日本大震災のため停電せし處多かりしかば、秋に入りてより石油ストーブの需要急增し、電器店はいづこも品切なり。今日は家電量販店二軒巡りて二臺購はむとせしに一臺は品切にて、とりあへず豫約せられたり。初更を過ても氣溫十八度を下らず。氣味惡きほどの暖氣なり。この夜ル テアトル銀座にて小島章司フラメンコ舞踊團東日本大震災復興支援チャリティー・ガラと銘打ちしレクイエム公演あり。ハビエル・ラトーレ特別出演の由。余は東上せず。
曇りし空次第に晴る。風絕えて稍あたゝかし。午下理髮舖に徃き、市立圖書舘に赴き資料を借り、三鄕の溫泉ことぶきの湯に立寄る。抑鬱亭の風呂塲にて又ぞろ顚倒するを虞れてのことなり。使ひ古したる下足箱の鍵取替作業中なりき。八漢湯といふ日替りの藥湯心地よし。露天風呂の龜山の湯はいつ入りても極上なり。洗塲より各浴槽へはなだらかなる階段に手摺あれば骨折の身にとりて大助かりなり。平日晝下りのことゝて湯治の客雜遝せざるもまた好まし。三時主治醫を問ひ藥を請ふ。晚照燦爛たり。
どんよりと曇りし空より雨來らむとして來らず。食慾なし。肋骨の痛み瘉えざれば朝一番に整形外科に赴き檢査を受く。レントゲン寫眞二枚を撮るに、左の肋骨一本折れ曲がりたり。痛み去るまで一箇月、全瘉するまで二箇月に及ぶべしと、醫師の診斷なり。余は定めし肋骨二三本に罅入りしなるべしと思ひしかば、一本にて濟みたるは不幸中の幸と云ふべし。胸に白きバンドを卷きて筋骨を固定し、二週間分の濕布をもらふ。先週來左半身をかばひつゞけたる故にや、右肺の裏側また首筋頭蓋も痛みて心地わろし。家にかへり慈君に病狀を報告す。我が家は昔より父上母上また妹も余もみな骨が丈夫にて骨折したりしことなし。また齒も丈夫なり。母上の語らるゝところによれば、我が家は味噌汁の出汁を煮干にてとるが故なるべしと。余が三歲五箇月の時札幌醫科大學附屬病院に入院し漏斗胸の手術を受けし折、醫師の手違ひにより兩脚を脫臼せしことあり。その節擔當醫が慈君に說くに、子供にはカルシウムを豐富に與ふる可し、味噌汁の出汁は煮干にてとるが宜し、微量なれど每日食せば自ら骨の發育に效果ありとぞ。慈君は幼少の頃より煮干の味噌汁を飮み慣れゐたりしかば、今日に至るまで煮干を用ひらるゝなり。有難きことなり。午後自働車を運轉してカーマホームセンターに赴きセキセイ鸚哥の止り木を購ふ。シジミ君の止り木いつかすり減りたるを以てなり。晡時父上札幌より歸宅せらる。
曇天。肋骨の痛み增して臥牀より身を起すにも難儀するやうになりぬ。寢返りも打てず、中腰の姿勢をとるも能はず。胡坐もかけず。今朝は首の裏、右肩のうしろも痛み出しぬ。午前痛みを堪へてインターバル速步を行ふ。この速步の流儀は三分間ふつうにあゆみて後三分間大股にて早足にあるくを五囘繰返すものなり。然れど痛み甚しければ大股にあゆむこと能はず。午後セブンネットショッピングよりTBS落語硏究會古今亭志ん朝全集上卷八枚組DVD-BOX屆く。定價三萬一千九百二十圓のところ特價二萬八千七百二十八圓。余は常日頃囊中乏しきが故とても手の出せぬ品なれど、先日たま/\信用卡の永久不滅ポイントを Yahoo!ポイントに換算せしところ、意外にも二萬六千五百五十八圓分を得たるを以て、差額の二千百七十圓のみ支拂ひて購ふを得たるなり。音聲のみオーディオプレーヤーにて聽きたければ、文七元結を聽きながらDVD Decrypterなるソフトを用ひてAC3形式の音聲ファイルを抽出し、これをえこでこツールといふソフトを用ひて MP3形式に變換す。七十九分の文七元結を聽き終はると同時に全二十二題の變換作業を終へたり。枕頭DVDにて志ん朝の百年目を聽く。番頭の造形、旦那の說得力、演出に一分の隙も無し。感嘆の溜息漏るゝばかりなり。つゞけて五人廻し、二番煎じ、四段目を聽く。
快晴の空雲翳なし。風なく暖なり。佐渡にて震度三の地震あり。兩三週間前より全國各地にて震度三以上の地震頻發す。名古屋のみ地震なきは卻て不氣味なり。肋骨の痛み依然たり。午前痛みを冒してインターバル速步日課の如し。午下NHKラヂオ第一上方演藝會に喜味家たまごの女道樂を聽く。喜味こいしの娘なり。五更に錄畫し置きたるBS-TBS落語硏究會に瀧川鯉昇の味噌藏、隅田川馬石の首提燈、柳家花綠の禁酒番屋を聽く。鯉昇はいつか寄席の高座を聽いてみたき人なり。三時過ふたゝび速步。枕頭今朝十一時に錄畫し置きたるBSプレミアムハイビジョン特集立川談志七十一歲の反逆兒を見る。平成十九年二月廿日の番組の追悼再放送なり。嵐山光三郎福田和也立川志の輔太田光らの談志論紹介さるゝ中、甲本ヒロトの談志論正鵠を射て過たず。曰く、談志は優しき人にて優しさうな人にはあらず、優しさうな人には嫌惡すべき人物多し。談志は落語的なるものが嫌ひなんぢゃないか、落語が好きなんだと思ふ、また曰く、談志は落語を手段ではなく目的とする人なりとぞ。それにしても談志の追悼に落語を放送する局がNHKのみ、而も居殘り左平次のみとは理解に苦しむばかりなり。
好く晴れたれど西北の風吹きつゞきて寒氣凜冽なり。臥牀より起きむとするに肋骨痛みて立上がれず。腕を支へにしてやうやく身を起こしたり。納戶よりオイルヒーターを取出し書齋に置く。午前肋骨の痛みを堪へて綠陰步道をインターバル速步にてあゆむこと例の如し。風冷なるがゆゑ手袋を用ゆ。三時過冬日のうらゝかなる中に二度目の速步に出かける。肋骨を損傷したるにや痛み烈しく大股にてあゆむこと能はず。慈君と夕餉を食しながら大相撲九州塲所を觀戰す。三連敗の新大關琴奬菊日馬富士に下手投げでころがされ四連敗を喫す。稀勢の里も把瑠都に攻込まれ寄切りにて敗れたり。結びの一番白鵬對琴歐洲。琴歐洲は白鵬に對して十一連敗中、今塲所も辛うじて八勝に達し角番を脫したるばかりなれば、橫綱が赤子の手をひねるが如く料理して相撲にもならざるべしと思はれしに、大關意外にも健鬪して力相撲を見せたり。最後は白鵬が右腕の下に頭をくるりと滑りこませ見事なる下手投げを決め優勝を決めぬ。二更Eテレ日本の話藝に立川談志追悼の居殘り左平次を聽く。旦那の頭が胡麻鹽ですからの下げを改める工夫あり。昭和五十四年八月三十日の納涼落語特選再放送なり。
寒雨やみしが北風吹き狂ひて寒氣嚴冬の如し。昨夜顚倒して强打せし左脇腹痛みて步み難し。先週にひきつゞき學生諸氏とアルモドバル監督の映畫ボルベール〈歸郷〉後半を鑒賞す。歸路アルペンに立寄り IGNIO のLサイズ風衣上下一組を購ふ。二時過歸家。風衣を着てみるに意外にも丈短すぎてつんつるてんなり。Lサイズならば不都合なかるべしと思ひて試着を怠りしは迂闊なりき。咖啡を喫して小憩の後ふたゝびアルペンに赴き、一囘り大きなるLLサイズを試着す。LLにてもさほど大ならず。傍らに吊されし TIGORA といふ銘柄のLLサイズを試着するにやうやく裄丈合ひたり。大安賣の由にて代價五千九百九十圓なり。晡下購ひしばかりのウインドブレーカーを着てインターバル速步を行ふ。脇腹の痛み稍去るを覺ゆ。西北の風吹きすさみて寒氣凜冽なれど、寒さを感じるは顏と手のみにて首より下はあたゝかなり。夜脇腹に溫感パップを貼る。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席に柳家はん治の權助魚、橘家圓太郎の勘定板、三遊亭若圓歌の授業中を聽く。
陰雲黯澹たり。勤勞感謝の日の祝日にて門巷寂寞たり。正午薄く陽の射すを俟ちてインターバル速步に出かける。いつもの綠陰步道を早足にあゆむに川緣の牆に雀夥しく留りゐたり。うち一羽すばしこく牆から牆へと飛移り、間近に觀察するに繡眼兒なり。今年繡眼兒を見かけるは今日がはじめてなり。拂曉BS-TBSにて錄畫せし落語硏究會に柳家喬太郎が竹の水仙、古今亭菊之丞の三味線栗毛、橘家文左衞門の轉宅を聽く。三時ごろ寒雨降り出しぬ。晡時BSプレミアム日本の話藝セレクションに三遊亭樂太郎の西行と桂南光の素人淨瑠璃を聽き、大相撲九州塲所を見むとて總合テレビをつけるに、アナウンサー立川談志死去を報ず。余が國立劇塲の談志ひとり會に通ひしは平成九年、指を屈すれば十四年前のことなり。夜に入りても雨やまず。浴室にて足を滑らせ左半身を浴槽の緣に打ちつけぬ。幸にして肋骨に異常なきやうなり。
空には白雲多く浮び風絕えて寒からず。原發國民投票を呼びかける通販生活秋冬號の廣告テレビ各局に放送を拒否されたる由。YouTube にその廣告を見る。昨夜錄畫せしBS朝日落語者に桂吉坊の藏丁稚を聽く。甲高き聲聊か耳障りに聞ゆれど、演出奇を衒はず、間を置くべき處に間を置き、意外にも本寸法なり。初更ふたゝびインターバル速步を行はむと思ひしが、西北の風吹き出でゝ寒氣俄に加はりたれば空しく家に留りぬ。初更BSプレミアム西方笑土に横山たかし・ひろしの漫才二題を聽く。
乍陰作晴。兩三日前より飯食ひ終るや猛烈なる下痢を催して氣分わろし。午下日の光うらゝかなるを幸に川緣を速步にて小一時間あゆむこと日課の如し。西北の風烈し。二時を過ぎしころより暗雲空を走り寒氣俄に甚しく、書齋よりベランダに出づるに眼前に大きなる虹あざやかに裏の棟を隔てゝ北の空に現はるゝを見たり。慈君の話に南の空に氷雨ふりたる由。虹は見る/\中に輪郭曖昧になり直に消去りぬ。枕上DVDにてアレハンドロ・アメナーバル監督の活動寫眞アレクサンドリア(原題アゴラ Ágora)を看る。レイチェル・ワイズ佳し。ダオス役のマックス・ミンゲラは力不足なり。ガブリエラ・ペスクッチの衣裳、ガイ・ヘンドリックス・ディアスの美術、シャビ・ヒメネスの撮影一見の價値あり。
雨後の空拭ふが如く澄渡りぬ。西南の風烈しく氣候暖なり。物干竿を見るに昨夕の鴉は旣に飛去りしものと見えその姿なし。床面に白き糞尿の跡夥し。恢復を切に冀ふのみ。晝前川岸を速步にてあゆむこと例の如し。歸宅して慈君手製の紫蘇ジュースを飮む。セキセイ鸚哥のシジミ君オーツ麦ばかり催促すること再三なり。混合餌には見向きもせず。これ微恙ある時の通例にて早や二旬にならむとす。暮夜けふ二度目の速步を行ふ。放水路の河口に昨宵の小鷺黑き影となりて佇立みたり。夜目もきくまいに闇夜に何を思ふにや。この日西班牙總選擧。財政難と金融危機にて失業率二十二パーセントの國情なれば與黨社會勞働黨は大敗、國民黨壓勝の豫測なり。NHKの「らじる★らじる」にてラヂオ第一放送日本シリーズ福岡ソフトバンク對中日ドラゴンズ第七戰の實況中繼を聽く。中日打てず。九囘表最後の攻擊のみ衞星第一テレビにて觀戰す。三對零にてソフトバンク優勝す。秋山幸二監督の男泣きを見る。三代目金馬の高野違ひを聽く中いつか眠りに落ちたり。
朝來風雨蕭〻たり。ブルーレイディスクにてJ・J・エイブラムス監督がスター・トレックを看る。活劇といふよりは豫告篇映像の寄集めといふ趣を呈す。レナード・ニモイの客演のみ堪能せり。余は一九七九年のロバート・ワイズ監督作を愛するものなり。かの寫眞にては異星人は有機體にあらず、まづこの點に於て凡百の空想科學映畫とは一線を畫し、脚本に創意工夫ありき。また異星人と人間の愛の成就に宇宙誕生の祕蹟を連關せしむる發想もまた昨今の寫眞には認めがたきものなりき。エイブラムスの映畫に何ら醍醐味を感ぜざる最大の理由は宇宙船の發進塲面の描寫頗粗雜なるが故なり。宇宙船にせよ戰鬪機にせよ客船にせよ自働車にせよ、凡て乘物の映畫は乘物を發進せしむる手續のすべてを細大漏らさず描きて初めて醍醐味を覺ゆるなり。エイブラムスは乘物にさしたる興味を覺えざるなるべし。晡時雨やみ、食堂のベランダを窺ふに、物干竿の端に小さなる黑き鳥一羽とまりてあり。漆黑の羽根悉く雨に濡れそぼち、人間ならばざんばら髮と形容したきほどなり。顏も一面眞つ黑にて、額が突出し嘴の先やゝ鉤形をなすあたり、嘴太鴉の子なるべし。竿に留まりしまゝ微動だにせず、眼をゆつくり閉ぢてはまた開くを繰返すばかりなり。尾羽打枯らすとはこのことなり。憔悴せし樣子を硝子戶越しに眺むるにつけ胸のつぶるゝ心地せり。野鳥の羽はその表面を脂が覆ひて水をはじくものなれど、この子は脂すつかり拔盡したりしと見え、竿に留まるが精一杯のやうなり。野鳥は徒に介抱すべからざれば、そつと窓紗を閉め其の儘にして置きたり。窓紗の端より外を窺ふに、やはり竿の先にぢつと留まりたり。雨のやみしを幸に、夕餉の後川緣を速步にてあゆむ。放水路に合するあたりに小鷺一羽佇立みゐたり。風雨に散りみだれし公孫樹の落葉狼籍たり。
どんよりと曇りし空雨ともならで暮れたり。午前速步。門前の欅竝木黃葉の盛なれど、今年は氣溫の高き故その色黑ずみて鮮ならず。綠陰步道の十月櫻の花未だ落盡さず。午後DVDにてイーストウッドの活動寫眞ヒア アフターを看る。かくも美しき接吻をアメリカ映畫に看たるは實に久振りなり。慈君和幸のとんかつを購ひ來らる。何故にや今日は五百九十九圓の特ひれかつ二百圓割引にて三百九十九圓なりし由。思ふに一昨日高崎市の店に勤める從業員の起せし不祥事の謝罪なるべし。この男變質者にて自らの精液を通りすがりの女子高生にかけ、また性器を露出したる動畫を互聯網にて公開するなどして警察に出頭せり。昨日二更Eテレ日本の話藝に笑福亭松喬のつぼ算を聽く。 枕頭ハルキ文庫古典落語⑦旅・芝居ばなしに橘家圓喬の朝這い、柳家つばめの田能久、三遊亭圓生が長崎の赤飯を讀む。
天氣連日限りなく佳し。午前通常授業の代りに每秋恆例の映畫鑒賞會を催し、アルモドバル監督がボルベール〈歸鄕〉の前半一時間分を看る。ペネロペ・クルスの美貌を見せんがためなり。物語に退屈するもの多かるべしと思ひしに、意外にも居眠りするもの尠く、學生諸氏畫面に引きこまれたり。全員に紙を配り前半の感想を書かしむ。ペネロペ・クルスの官能的器量に驚嘆せしもの男女を問はず多し。クルスの出演したる他の作品を看たることありやなしやを問ふに、パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉を擧ぐる學生七八人あり。また昨今看たる映畫はトワイライト三部作が一番人氣なり。第二部第三部の撮影監督はハビエル・アギレサローベといふスペイン人なることを解說す。歸路アルペンに立寄り iHEAT(アイヒート)のシャツとタイツを購ふ。冬期のウォーキングに用ゐるが爲なり。夕刻川岸を速步にてあゆむこと日課の如し。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席にペヽ櫻井のギター漫談を聞く。刑務所の慰問は出演料なく交通費も自前の由。
快晴の空一點の雲もなし。午前速步。川面を飛交ふ白鶺鴒また輕鴨の聲耳に心地よし。セキセイ鸚哥のシジミ君未だ微恙の痊えざるを以てオーツ麦を催促すること頻なり。偏食とは雖も食慾の衰へざるは不幸中の幸と言ふべし。三時頃俄に下痢を催す。晡時NHK日本の話藝セレクションに三遊亭好樂の紙屑屋、三遊亭金馬の茶金を聽く。夕餉の後腹ごなしを兼ねてふたゝび川岸を速步にてあゆむこと三十分ばかり。夜氣漸く冷なり。枕上ハルキ文庫古典落語⑦に蝶花樓馬樂の芝居風呂、桂文治が猫の忠信、三遊亭圓彌の七段目を讀む。
天氣牢晴。西北の風吹きつゞきて寒し。午後主治醫を問ひ藥を乞ふ。日脚頓に短くなりぬ。午後三時半にしてフロントガラスを日除にて覆はざれば車を運轉すること能はざるほどなり。燈下ハルキ文庫落語協會編古典落語⑦旅・芝居ばなしに三遊亭圓彌一分茶番、金原亭馬の助六段目、柳家小せんきゃいのうを讀む。BSプレミアムにて錄畫せしリドリー・スコット監督ブレード・ランナーの製作過程證言集デンジャラス・デイズを看る。コッポラが地獄の默示錄にせよテリー・ギリアムがドン・キホーテにせよ撮影現塲はしば/\戰塲なるを知れり。
晴れて西風强し。朝餉を食しつゝBSニュースを見るともなしに見るに、昨日鳴門市大塚國際美術館にて催されし松竹製作第三囘システィーナ歌舞伎五右衞門の模樣放送されたり。特別出演の小島章司氏の踊りも數秒間放映されたり。午下インターバル速步。欝血したるが如き赤き月の昇るを見る。枕頭DVDにてニール・ブロンカンプ監督の映畫第9地區を看る。舞臺をヨハネスブルグに設定し、異星人を難民として描くは妙案なり。實錄風の映像とコンピューター・グラフィクスの相性また拔群なり。思へばスピルバーグ監督のプライベート・ライアンもノルマンディー上陸作戰を描きし冐頭の實錄畫面にてコンピューター・グラフィクスを多用し見事に調和を保ちたり。MNU(Multi-National United)といふ企業の記錄せしフィルムといふ結構なれど、主人公ヴィカスが黑き液體を顏に浴びて異星人化しはじめる塲面に至りて劇映畫の手法に變じ、撮影者は匿名の存在となり、言はゞ神の視點より物語を描寫す。然れど同時に記錄映畫の手法たび/\混在し、いかにも素人趣味のあぢはひなり。豫定調和の大團圓を排したる點に於てスピルバーグのE.T.とは異なり、また異星人との交流に諧謔の妙味あり、かつ惡洒落に墮さゞる點に於てメン・イン・ブラックとは一線を畫したり。BS朝日落語者に三遊亭兼好の權助魚を聽く。
朝の中どんよりと曇りし空次第に晴れたり。異例の暖氣猶去らず。午下インターバル速步日課のpropro如し。NHKラヂオ第一スタパ落語會に柳家三三のたらちねを聽く。晚間舞踊團公式網站を更新す。晚間烟草を購はむとて便利店に赴くに早くも店先にクリスマスツリー飾りてあり。
晏起旣に午に近し。快晴。午下インターバル速步。川岸に小さなる蝶の舞ふを見たり。黑き翅に靑き筋模樣あり。立冬の節を過ること數日にして蝶を見るは珍しきことなり。步數をかぞへるに三千九百步なり。一時放送の豫定なりしNHKラヂオ第一上方演藝會日本シリーズ中日ドラゴンズ對福岡ソフトバンク戰中繼のため休止せらる。中日先勝す。由紀さおりの1969と題せし最新歌曲集米國の iTunes ジャズ販賣順位表にて一位獲得、加奈陀の iTunes ワールドミュージック部門にても一位に躍り出でたる由。また希臘にては六位、新嘉坡にて十八位なり。先月倫敦ロイヤル・アルバート・ホールにて獨唱會を催し、來月は全米を巡業行する由。由紀さおりは夜明けのスキャットを始めとする持ち歌のみならず、他の歌手の歌また童謠唱歌など何を唄はせても極上にて、その歌唱力劫を經てなほ聊も衰へざるは驚くの外なし。またコメディエンヌとしての才能も一頭地を拔き、近年はNHKコメディーお江戶でござるの仕事に明かなり。この度の快擧は寔に慶賀の至りなり。
寒雨霏々たり。速步したしと思へど能はず、終日門を出でず。曉明錄畫せしEテレえほん寄席に柳家さん喬の長短を聽く。午後市立圖書館に赴き資料を借る。三遊亭圓生の死神を聽く。六時衞星第一放送にて蹴球世界盃亞細亞三次豫選日本對タジキスタン戰を看る。前半二十分迄は氣壓されゐたりしが、今野が先取點を獲りてより試合巧者、後半香川の左側よりゴール前に上げし玉を岡崎頭で押込み、前田三點目を擧げ、ロスタイムにふたゝび岡崎が四點目を決め四對零にて快勝す。八時試合終了と同時に、テレビ畫面上方に白き文字にて野田佳彦首相TPP交涉に參加を表明とのテロップ表示せらる。環太平洋經濟連攜協定(Trans-Pacific Partnership)の詳細につきて余は殆知るところなし。農工業のみならず醫療保險に於ても關稅自主權を放棄するやうなり。果して國益となるや否や。いづれにせよこれ我が國にとりて一大事なれど、NHKはフィギュアスケートの放送をするのみにて記者會見を報道せず。洋の東西を問はず政局風雲急を告ぐるとき國營放送公共放送のテレビはスポーツ中繼を增やすものなり。
空どんよりと曇りて風なし。午前授業。語根母音變化動詞の小試驗を行ひ、その塲にて答合せをなす。後半は再歸動詞の練習を行ひたり。來週は秋恆例の映畫鑒賞會を催すことゝす。一時半歸家。三時インターバル速步を試む。三分間悠然とあゆみて後三分間大股かつ足早にあゆむを五囘くりかへして川岸を徃復す。合計わづか三十分の運動にしては鼓動早まり發汗衣を霑す。家にかへりつかむとするころ微雨に値ふ。初更やゝ强き地震あり。時計をみるに七時五十六分なり。震源地愛知縣西部。三更BSフジ今どき落語に三遊亭兼好の一分茶番を聽く。
薄く曇りて風絕え靜なる日なり。午前ウォーキング日課の如し。初めて新屋敷橋に至る。中島橋の下にいつもの釣師三人岸邊に坐りて釣絲を埀れゐたり。小鷺の目聰く小魚を捉へるを見る。 NHK總合テレビゆうどきネットワークにウォーキング特輯を見る。信州大學能勢博敎授の考案によるインターバル速步紹介せらる。三分間普通に步みて後三分間はやく步むを五囘繰返せば效果覿面たる由なり。立川志の輔の猿後家、帶久を聽く。
立冬の日なり。天氣牢晴。西北の風烈しきこと昨の如し。市立圖書舘に赴き資料を借る。市内ところ/″\瓦斯管下水管埋設工事の最中にて片側交互通行なり。歸路アルペンに立寄りイグニオの長袖德利襟シャツを購ふ。晝前ウォーキング。けふも翡翠の川面に飛ぶを見たり。過日と同じ岸邊なれば同じ翡翠なるべし。延珠橋の下に大きなる魚三匹悠然と泳ぐを見る。中島橋の先に釣人三人あり。初て中島橋を過ぎ神ノ木人道橋に抵る。一時半歸家。明治三十三年佛蘭西にて錄音されし川上音二郞一座のSP盤復刻CDを聽く。オッペケペー、長唄、新内、端唄、こちゃ江婦志、芝居科白、米國演劇學校の稽古聲眞似など。俳優諸子意外にも甲高き聲なり。
雨後の空拭ふが如く澄渡りて西北の風烈し。晝前ウォーキング。初めて引山橋を過ぎ西の町を步む。この橋より川幅いきなり數倍に廣がり、中洲の石に小鷺一羽佇立して動かざること眞白き彫像の如し。遊步道入口に立看板あり、護岸改修工事中にて今月朔より來年三月卅一日まで徃來留と讀めり。已むを得ず住宅前の道をゆく。北岸は大雨の增水に備へて堤防を削りとり川幅を廣げんとす。遊步道に立入ること能はざれば引山小學校の校庭を過るに、幸にして香月人道橋より先は散策路を步むを得たり。櫻樹枯葉紛々として雨の如し。眞新しき中島橋といふ橋に抵る。橋の欄干に平成二十二年三月完成と識したればこのあたりの交通開けたるは半歲前のことなり。橋を渡りて南岸をあゆみ家路に就く。引山橋に狗四匹の里親募集の貼紙あり。延珠橋にさしかゝらむとする時ふと川面を見やるに、陽光を受けてギラリと金色に輝く魚影を認む。覺えず步を停めて打眺むるに、鯉なるや將又鮒なるや、遠目にも四十センチはありと思しき魚一匹悠々と泳ぎゐたり。定めし最前の小鷺は小魚を狙ひゐたるべし。新藤森橋の手前に自轉車の前後左右に空罐を詰めたる大きなるビニール袋を据えて走る男の來るに逢ふ。一見巨大なる一個の風船に車輪をつけたるやうに見ゆ。空罐は金屬囘收により換金し得るを以て、住宅街の塵捨て塲より盜む者尠からず。飜つてペットボトルは之を盜むものなし。此一事を見てもペットボトルの囘收は殆無意味なるを知るに足るべし。池田清彦氏の話によればペットボトルの多くは燒卻處分せらるゝ由。然らば生塵と共に燃やすがよろし、生塵は熱量低く燃えがたく重油を加へて燒卻するなり、之にペットボトルを混入すれば熱源になり燃えやすくなり、わざ/\重油を用ゐる必要なき由。一時半過家にかへる。步數計初て一萬步を記錄す。慈君フルーツケーキを燒かる。
微雨ふりてはまた歇む。散步したしと思へど詮方なく今日も終日家に在り。早朝錄畫せしNHK總合春風亭小朝の演藝圖鑒にチャーリーカンパニーのコントを見、橘家圓太郎の浮世床を聽く。つゞけて幻冬舍社長見城徹と小朝の對談を聽く。見城は三年先まで每日文人有名人と會食の約あり、一年三百六十五日のうち自宅にて食事する日は一日もなき由。小朝身錢を切りて購ひし三鞭酒を馳走し、見城編輯人としての失敗談を披瀝す。曰く、某ノーベル賞作家に三顧の禮を盡くして執筆の依賴をせしかど、某作家見城を嫌ふこと蛇蝎の如く、以後決して手紙を寄越すことなかれと言渡されたりと。また見城醉ひにまかせて女の口說き方を得意げに語る。兩氏の對談は來週ひきつゞき放送の豫定にて、豫告によれば見城が小朝の金髮にもの申す由。午後三時NHKラヂオ第一スタパ落語會に桃月庵白酒の代脈、古今亭菊六の高砂やを聽く。いづれも惡しからず。
朝の中うすく晴れて暑かりしが午後に至りて烟雨空濛、書窗忽黯澹薄暮に似たり。寒氣また俄に加はる。T氏釣果の鯛を餽らる。昨日鳥羽の海にて釣りたる由。晝餉に馬鈴薯のガレットを食す。セキセイ鸚哥のアサリ君いつもながら上機嫌、籠の中より大聲にて余を呼び遊び相手にせしむ。余が籠の外より鼻先や眼鏡の緣を近づけるに、嘴を以て飽かずして之をつゝく。或は余が丸めし薄葉紙を差出すに、嬉々として之を啄みては小さなる舌を巧みに用ひて丸めるなり。午後二時にはいつも大聲にて鳴きオーツ麦を催促す。初世柳家三龜松の明治一代女を聽く。雨次第にふりまさり夜に入りても歇まず。
快晴無風異例の暖氣なり。正午過川岸をあゆむ。振興橋下の中洲に龜の甲羅干しするを見る。この川に龜を見るは初てなり。土手に輕鴨二十羽ばかり思ひ/\の塲處に陣どりて憩ひたり。けふも藤森橋に至りて踵を返す。植込より飛蝗二三匹飛出でゝて危く踏みつぶされんとす。一時半家にかへる。步數計五千步を示す。シジミ君の微恙未だ瘉えず、オーツ麦ばかり催促すること頻なり。食慾衰へざるは不幸中の幸といふべし。未明に錄畫せし松本人志のコントとやらいふNHKの新番組を看る。何ら面白みなし。半輪の月あきらかなり。この日京都に山櫻の狂花あり。
どんよりと曇りし空雨ともならで暮れたり。文化の日舊明治節なるに門巷寂寞として通りかゝる人も稀なり。市立圖書舘に赴き豫約資料を借る。歸途アルペンに立寄り長袖のスポーツシャツを購ふ。カーラヂオのNHK第一ニュースに文化勳章親授式の報道を聽く。丸谷才一氏の本名は根村才一なるを知る。午下川岸を步むこと例の如し。沿道甚寂寥、人影少し。藤森橋を徃復してかへる。步數計七千步を示す。途次猛烈なる空腹を覺えて堪へがたし。初更三重テレビ淺草お茶の間寄席に昭和のいる・こいるの漫才、三遊亭圓歌の代々會長物語を聽く。燈下DVDにゴダールのアルファヴィルを看る。余がこの反ユートピア映畫を活動小屋にて看しは二十年前、馬德里に遊學せし時なり。幕切にアンナ・カリーヌが呟く Je vous aime の臺詞フリッツ・ラングがドクトル・マブゼの Je t'aime を想起せしむ。三更錄畫し置きたるBSジャパン今どき落語に立川談笑の金明竹を聽く。大阪辯を津輕辯にし、口跡流暢立て板に水の如し。
輕陰の空晴れやらず。福島第一原發二號機にて放射性キセノン檢出せられ、核分裂を阻止せむとホウ酸水を注入したる由。再臨界起りたるなるべし。三月の事故發生より八箇月を經て未だ原子爐を制御すること能はず。内部の樣子は之を正確に把握することさへ儘ならぬやうなり。この最中に九州電力玄海原發は再稼働せらる。利權ほど恐ろしきものはなし。秋の襃章發表せらる。紫綬襃章大竹しのぶ天兒牛大松本雄吉。兩三日前よりセキセイ鸚哥のシジミ君混合餌を殆食はず、オーツ麦を一口二口啄むばかりにて、折々軀をふくらませ瞑目してぢつとうづくまるなり。體調惡しき故にや、或はペッズイシバシ社製老鳥用の餌を好まざるにや。念のため從前のナチュラルペットフーズ社製バードテイストを改めて購入し樣子をみることゝす。晝前カーマホームセンターに赴きNPFバードテイストを買ふ。鄰のアオキスーパーにて上白糖グラニュー糖を買ふ。歸路アピタに立寄りナイロン製束子を求む。昇降臺ホールの一角にミスタードーナツあり、陳列臺の前に買物客列をなして竝びたるを以て窺ひ見るに百圓均一特賣なり。ドーナツは久しく食さゞりし故手土產に三個購ふ。余は好物のハニーディップ、父上母上にはフレンチクルーラーとポンデリングを求む。一時頃家にかへり、シジミ君の餌を取りかへてやるにさして興味を示さず。三時ウォーキング例の如し。香流川の岸に出づるや川面に翡翠一羽西より東に飛去り、後を追ふが如く輕鴨のつがひ飛びゆけり。先週末につゞきて今日も思ひかけず翡翠の姿を見る。吾がよろこび限りもなし。川岸に白鶺鴒土鳩雀いつもより多く見ゆ。新藤森橋の下にはいつもの小鷺もあり、對岸に初老の男移動電話の寫眞機にて撮影しゐたり。今日も延珠橋に至る。晡時家にかへりシジミ君の樣子を見るに、軀をふくらませ目をつむり止り木に蟠踞して動かず。原因は餌の好惡にあらず、體調不良なるが故なりと判明せり。シジミ君は年に兩三度くらゐ微恙に罹るなり。
舊曆十月六日。好く晴れて暑きこと晚夏の如し。正午過香流川のほとりを速步で步く。發汗衣を潤す。けふも引山橋まで步かむと思ひしかど、ウォーキングを日課として繼續させることを第一となし、無理は禁物と自らに言ひ聞かせ、けふは延珠橋を徃復するにとゞめたり。去月十九日より始めて二週間を經たり。腹部の贅肉目に見えて減りたり。延珠人道橋の眞中に三十がらみの男、綱を結はへしバケツを欄干よりスル/\と手際よく下ろして川の水を汲みゐたり。服裝は平服なれば水質調査員にはあらざるべし。釣果の小魚を室内に飼ふ者なるや。一時半歸家。三時主治醫を訪ひ藥を請ふ。セブンイレブンに徃き伯母Mに野菜一凾を發送す。運動用品店に赴きウォーキング用ズボンとキャップを購ふ。ズボン九百八拾圓。廉價驚くべし。理髮舖と洗濯屋に立寄りて四時半家にかへる。日脚際だちて短くなり書窗忽暗淡たり。町役塲市制移行に伴ふ住所郵便番號變更の告知を送來る。父上早くも年賀狀を購入せらる。一家眷屬のうち父上ほど氣ぜはしき人物ほかになし。壁掛の曆は一週間前に翌月分に取りかへ、年賀狀は發賣初日に買ふと常とす。余が車を運轉して送迎する際など、車を停止せむと徐行するや忽助手席の扉を開きて走行中の車より下りむとす。或はまた父上が人を車に乘せ送り迎へする折には、後部座席の人が乘り降りを始むる途端に車を發進せしむるなり。同乘者は片足を路上に、半身を車内にとゞめしまゝ車に引きずらるゝなり。危險極まりなきが故に、その都度大聲にて注意すれど馬耳東風、恬然として反省せざること幾囘なるを知らず。