夢百夜

こんな夢を見た。

時代がかった私鉄の駅。券売機の上の路線図を見上げる。駅前の住宅街を歩き出す。そこは町田康が住む町である。黄色いマンションに住んでいるのだという、つい最近雑誌か新聞で読んだはずの根拠のない記憶が蘇る。日暮れどきで辺りは薄暗い。マンション名と矢印が書いてある看板にしたがって細い道を何度か曲がると、マンションがみえた。その向こうに繁華街がある。腹が減った。ショーウィンドウに料理ががたくさん並んだ店に入ってみると居酒屋だった。酒が飲めないのですぐ店を出る。

突然友人のO君とビルの待ち合い室にいる。喉がからからに渇いている。まるで砂漠を飲み込んだ感じである。廊下の自動販売機で缶コーヒーを買う。つい今し方飲んだばかりじゃないか、とO君が言う。いっしょに電車に乗る。都心へ伸びる路線の乗り換え駅から電車は都心とは反対に西へと向かう。逆みたいだね、と話しかけると、終点で乗り換えればいい、という。彼はそれでいいかもしれないが、こっちはこれから用事があるのだ。困ったものである。