夢百夜

こんな夢を見た。

高級ホテルかマンションらしき建物。各フロア中央がサロン風の喫茶室になっていて、一段高いところから内側に弧を描いたカウンターが囲んでいる。母と妹とお茶を飲んだりケーキを食べたりして談笑している。ガラス張りのエレベーターに何度も乗る。どうやら、ここに部屋を取っているか住んでいるらしい。

場面一転。真夜中のマドリードの、プエルタ・デル・ソルの東側の安ホテルのロビーにいる。〈一番危険な場所〉として知られている区域である。表通りに出てみる。人影も車もまばらで、時々銀と赤の征服を着て街中をパトロール中の「ガーディアン・エンジェルス」と呼ばれる女たちが、浮浪者らしき男たちを次々にどこかに拉致してゆく。怖くなり、ホテル前へ戻る。入り口で、二人の小柄な男が、痩せて背の高い男に白い布を被せて、脈をとり、もう駄目だと呟き、担架でホテルに運びこむ。どこか芝居がかっている。後からついて中に入ってみる。ロビーの中でも男たちは同じ仕草をし、奥のトイレか何かのドアの前で蹲っている。周囲の人は何も疑わない。どうみても担架の男は生きている。その旨受付のおばさんにこっそり耳打ちし、外を通った警官にも話すと、それなら間違いない、と入ってきて、担架の男を足蹴にしはじめる。鼻を蹴ったり額を踏んづけたりすると、担架の男は寝返りを打った。生きているだけで罪な男がいるのだ。