夢百夜

こんな夢を見た。

夜。地下鉄の始発駅からバスに乗り、住まいがある東の町へ向かう。町並みは碁盤状である。「大須」というバス停で下車する。やはり碁盤状の繁華街がある。「新札幌と大麻の位置関係だな」と思う。町角の新地に大きな白いテントがある。脇で男が熊を調教している。サーカスだ。下車した乗客はみな同じ方向に去ってゆく。自分はその反対の、繁華街の目抜き通りを歩く。繁華街といってもネオンやショーウィンドウはなく、暗い街角にはそこかしこに街娼が立っている。なぜか自分は、旅人でもないのにキャスター付きの旅行鞄をゴロゴロ転がしている。「ヤバい」と直感し、踵を返す。だが時既に遅し。目の前に、いかにも素性のあやしそうな浅黒い男が二人、ヌッと現れて、「金を出せ」と脅す。判断がつかずまごまごしていると、二人はナイフを取り出した。目の前にちらつかせながら迫ってくる。ここで完全にパニックになった。逃げるべきか、バッグを武器に抵抗すべきか。〈なんとかナイフを奪ってメッタ刺しにする図〉というのが脳裏に浮かぶのと同時に目が覚めた。