夢百夜

こんな夢を見た。

どこかの町。二人の妹が新築のマンションに住んでいる。母と自分は近所の商店で食事の買い物をして届けるのが日課になっている。その店の店員が藤原紀香。間違いなく藤原紀香なのに、人だかりがするわけでもなく、当人もあたりまえのようにレジを打ったりしている。自分は支払いをする度に胸がドキドキする。

ある日、いつものように母と買い物をして藤原紀香に支払いをすると、彼女がジャケットの内ポケットに小さなメモをこっそり入れて寄越した。マンションに向かう途次、読みたくてしかたがなく、母に気取られないように読む。文面そのものは忘れてしまったが、自分に対する好意に満ちた言葉が連ねられている。欣喜雀躍。妄想が始まる。どんな返事を、いつ、彼女に渡そうか、もし結婚できたらどんな家に住もうか。近所の新築マンションを物色したりもした。

まったく見知らぬ町なのだが、交差点や商店街はまるで実在のものであるかのように鮮明である。大きな交差点を渡る。道が二股になる。左を行くと上り坂で名所旧跡に至る。右を行けば商店。マンションはその先である。