こんな夢を見た。
巨大な劇場で芝居を観ている。舞台では髭をつけた江守徹がイギリスかフランスの古典翻訳劇を演じている。休憩時間に、客席奥の天井が吹抜けになっているラウンジへ行く。果てしなく上に延びるエスカレーターがある。天まで届きそうな高さで、今にも人が零れ落ちてきそうなほど、乗客で立錐の余地がない。見上げるだけで怖い。
客の中から友人のU君が「すまない」とこちらに手を振る。なにがすまないのか、分からない。ラウンジのソファーにS叔母さんがいる。声をかけたが無視された。
こうなったらエスカレーターに乗るしかない。上階へ行くと、カフェテリアがあり、その向かいに、仕切り板で区切られた机がならんだ、東京の町田図書館のようなガラス張りの図書閲覧ブースがある。覗いて見ると、同僚のO先生がひとり沈思黙考し、なにやらペンを走らせている。自分も急を要する原稿の仕事がある。だがどうしてもブースに入る気にならない。締め切りは刻々と迫っている。