こんな夢を見た。
街の商店街の真ん中に大きくはない馬蹄形劇場があり、客がつめかけ鈴なりになっている。『エリザベス』ではないが、自分が関わっている芝居らしい。母と妹が観にきている。二階席の座席を確保してやる。夜は街のホテルに泊まるという。自分のアパートまでは歩けば十分ほどの距離だが、心配で自分も泊まることにする。
ホテルの従業員は、日本にいるはずなのになぜかみな外国人である。受付の低いカウンターに、日本人学生らしい三人組がダラケて突っ伏している。
何の芝居かさっぱり覚えていないが、自分は一階席や二階席に潜り込んでは這い出るのを繰り返す。終演後、なぜか劇場前で母を含めた女性たちが、垣ヶ原美枝さんを取り囲んで芝居談義に花を咲かせている。母子三人でホテルへ向かいながら、自分は何時の間にか手に提げていたスーパーの袋から林檎をとりだして母と妹に皮を剥いてやる。鄙びたスーパーを通り抜けると、道の両側に、種類は知らないが葉の生い茂った細い木がびっしりと群生している、ちょうど沢にでも降りるかのような、手すりと踏み台が木でできた階段があり、降りてみると蕎麦屋兼茶屋という風変わりな店があり、そこで一服しようという話になる。だが蕎麦屋に寄っている場合ではない。蕎麦屋から生きて帰ってきた者はいないのである。