夢百夜

こんな夢を見た。

とある町の交差点。バス停で父とバスを待っている。バスはすぐに来た。乗ってみると、どうも行き先が怪しい。自分は、ちょっと確かめてくる、と父に耳打ちして途中下車をし、傍らを通りかかった別のバスを止めて運転手に行き先を訊ねる。案の定、こちらが正しいバスだった。振り返ると、父を乗せたバスは影も形もない。タコの足のように四方八方に道が伸びている広場に残された自分は、闇雲に一本の道を走りはじめたが、バスは見当たらず、父とはぐれてしまった。もう二度と会えないに相違ない。