芸人列伝

電撃ネットワーク
キワモノ芸の極致

■大道芸人をご覧になったことがあるでしょうか。街の片隅や公園などで、パントマイムや珍芸などを見せては小銭を稼ぐ人たちです。昔は大勢いたものですが、最近はほとんど見かけないかも知れません。ところが、彼らの匂いをプンプン漂わせる芸人さんがいます。それが電撃ネットワークです。実は私は彼らのライブをナマで観たことがありません。もっぱらビデオとDVDです。

■メンバーは三五十五、南部虎弾、ギュウゾウ、ダンナ小柳の四人。名前からして「なんか変なことやりそうだなあ」と思えますよね。そうです。彼らの芸はまさに珍芸、絶対子供が真似してはいけない危険な見世物を体をはってやります。舞台に登場すると音楽に乗って四人が妙な踊りを踊り、司会役の三五十五が観客を扇動します。三五十五はもっぱらネタの紹介役を務めます。ではどんなネタがあるのでしょうか。

■たとえば―。

■南部虎弾(豆知識。この人はかつてダチョウ倶楽部のメンバーでした)。南部はメンバーの中では最長老。頭のてっぺんはツルツルに剃り、鹿の角のように左右にだけ残した髪の毛を立てているという奇怪な風貌です。そのツルツルに禿げた頭に缶ビールの缶の底をピタリとくっつけて振り回します。たったこれだけの芸ですが「いいかァ!見てろォ!」と恐ろしいまでにテンションを上げてやるのがご愛嬌。他には、パンツの中に打ち上げ花火をたくさん仕込んで破裂させるという芸もあります。電気ノコギリから飛び散る火花に顔を近づけて、くわえ煙草に火をつけるというのも得意。

■続いてギュウゾウ。頭はモヒカン刈り。彼の得意技は、生きたサソリを口にほうばるというもの。たぶん毒のないサソリを使っているとは思いますが、見ているだけで怖いです。蝋を使った芸も見もの。ロウソクの、あの蝋です。大きな鍋を火にかけて白い蝋をドロドロに溶かします。当然熱くなります。それをお玉ですくって、水が入ったボールに入れると溶けた蝋は一瞬のうちに固まります。それを見せた後で、ギュウゾウは「よっしゃー!」と気合を入れて、熱く煮えたぎった蝋に顔面を突っ込み、すかさずボールの水に顔を移します。すると蝋で真っ白になった顔面の出来上がり。まったくバカバカしい!でもこのバカバカしさが彼らの身上なのです。

■ダンナ小柳はメンバーではいちばん地味な存在です。彼の持ちネタは、鼻から牛乳を吸い込み目から出す、というもの。

■まだまだ珍芸はありますが、どれも体をはって無茶なことをする点で共通しています。まさに「バカじゃないの?」という世界です。大道芸人というものは、えてして、「何を考えているのか分からない」ようなバカバカしい芸をやるものです。奇人変人ですね。電撃ネットワークには、そうした大道芸人の精神が生き生きと息づいています。メンバーの詳しい情報については、オフィシャルサイトがありますから、そちらでご覧下さい。

(2000年10月)