ごあいさつ 2004年

ごあいさつ by 微笑問題

- しかし今年は災害が多いですねえ。台風に中越地震。新潟では車に寝泊りしている被災者がエコノミークラス症候群で何人も亡くなって……。まるで日本全体が呪われているみたいですね。
- きっと、アルカイダの仕業だな。
- 全く関係ないよ!
- いい加減、そろそろ出て来いよ、オサマ・ビン・ラディン。
- ビデオでは見かけるけど。隠れっぱなしだね。
- 恥ずかしいのかな……?
- 捕まらないために決まってるだろ!
- 案外、照れ屋さんだったりして。
- どんなテロリストだよ!
- “引きこもり”のワールドカップがあったら、ダントツで優勝だね。
- くだらないよ!
- “引きこもり”で思い出したけど、ここの管理人、最近見ないな。
- そうなんだよねえ。
- 名前、何て言ったっけ……?
- 俺たちの作者の名前くらい覚えろ! “ゆう”さんだろ。
- 忙しいのかね。
- 無職だから忙しくはないと思うけど……。ちょっと休みたいんだって。
- 何でお前が知ってるんだよ?
- 本人に聞いたから……。
- え? お前、管理人とデキてるの?
- 何でだよ!
- 知らなかったなあ……。お前も案外、“かわいい顔してババンバン”だな……。
- 何勝手な想像してるんだよ!
- サイトの更新は?
- 少し休むみたい。
- 「語尾取り」とか「とりかえっ語」はどうなるんだよ?
- 別にどうもならない。閉鎖するわけじゃないから。
- 「四字熟語」も?
- 使えるんだって。掲示板とかも全部。
- 「細木数子のズバリ言うわよ」も?
- そんなコーナーはねえよ! それテレビ番組だろ!
- じゃあ、勝手に遊んでいいんだな?
- 今までどおり、どんどん遊んで欲しいって。
- しょうがねえな。ま、遊んでやるか……。
- 別に無理に遊ばなくたっていいだろ。そう言えば「語尾取り」は今月23日で三周年、「とりかえっ語」も来月7日が三周年。よく続いてるね。
- マジかよ? 海砂利水魚も“くりぃむしちゅー”に改名して三周年だぞ。すごい偶然だな……。
- どこがだよ! お笑い芸人が名前変えただけだろ。
- 『ドン・キホーテ』なんて、来年四百周年だぜ。
- それがどうしたんだよ! もう数字さえ合ってないだろ!
- 言っとくけど、ディスカウントショップのドン・キホーテじゃないから。
- わかってるって!
- セルバンテスの小説だから。
- しつこい!
- じゃあ、語尾取りでもやるか。
- そうだね。
- 管理人が戻ってきたら、ビン・ラディンだったりして。
- いい加減にしろ!

2004年11月16日


あなたの魅力を採点します

かんたんなアンケートに応えるだけであなたの魅力を採点します。

1. 山奥で熊に会いました。どうしますか?

抱きつく サインを求める 殺したふりをする どうするべきか小一時間悩む 海上保安庁に通報する

2. レストランでお金が足りません。どうする?

泣く 食べたものを吐く 百万ドルの笑顔で払う 客と店員を人質にとる 死んで詫びる 食べなかったことにする

3. インターネット歴は?

4. 「2ちゃんねる」をどう思いますか?

(´ι _`  ) あっそ Σ(゚д゚lll)ガーン (;´Д`)ハァハァ ( ´,_ゝ`)プッ…… ( ゚д゚)ポカーン キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

5.好きな言葉は?[複数選択可]

まじヤバい ヒロシです レシートになります テロには屈したい 薄氷を踏む思い This program is presented by... 痒いところはありませんか

6. 行ってみたい場所は?

フランス インド サマワ ハウルの動く城 TSUTAYA 国立国会図書館

7. 家族との関係は?

近親相姦 良好 まずまず 失踪したい 天涯孤独 キューバ危機

8. 特技は?

料理 頭突き 勘違い 思い出し笑い 誘導訊問 敵に塩を送る

2004年11月3日


「オレだよ」

オレオレ詐欺の被害額が百億円を越えているとか中越地震の被災者まで狙われているとか聞くとまったく気が滅入るが、オレオレ詐欺が世に知らしめたのは、「息子は自分をオレと呼ぶ」ということだ。

「オレだよ」

最近は複雑になっているらしいが、発端は電話口でこう名乗る手口だった。男が電話でいきなり「オレだよ」と言うと世の中の親は息子だと信じてしまう。息子は「オレ」である。「オレ」でこその息子であり、だから親に対してオレと言ったことがないわたしにはオレオレ詐欺をする資格が決定的に欠けているのだった。

「僕だけど」

こんな風に切り出す詐欺師だっているはずである。女詐欺師だっている。女詐欺は「あたしだけど」とか「私ですけど」だろう。オレオレ詐欺がすべて「オレ」かと言うと、そんなことは決してない。

「ミーです」

いるのか。

2004年11月1日


のど自慢

- おばあちゃん! 残念ながら鐘はひとつでしたけど、すばらしかった! おばあちゃんはおいくつですか?
- きゅうじゅうさん。
- 九十三歳! お若いですねえ。ゲストのみなさんに感想をうかがいましょう。五木ひろしさん、いかがです?
- いやもうびっくりしました。今までこの番組にはずいぶん出させてもらいましたけど、初めてじゃないですか? これほどのご高齢でフレディ・マーキュリーは。もうね、うまいとか下手とかじゃなくてね、「ボヘミアン・ラプソディー」を歌う、ただそれだけでもう立派ですよ。参りました。
- 藤あや子さん?
- 感動しました! もう、もう……。
- おばあちゃん! 藤あや子さんが涙で言葉になりませんよ!
- ありがとうごぜえます。
- じゃあ向こうで待っていて下さいね。では次の方、どうぞ!
- 十二番、君が代!

2004年10月28日


お悩み相談

 結婚三年目の主婦です。夫のことで悩んでいます。最近夫との会話が全くありません。仕事の関係上家を空けていることが多く、たまに帰ってきても「疲れた」が口癖で、私から話しかけても生返事ばかり。結婚したての頃は楽しかったのに。夫の仕事はアフガニスタン担当国連事務総長特別代表です。三年も経つとこんなものなのでしょうか。

 黒酢を飲みましょう。ハチミツを入れると飲みやすくなりますよ。

2004年10月27日


「接待 失敗した後」

今月1日から10日までの検索キーワード一覧。692種。

Hな主婦
アカハチハゼ 餌
あせもの写真
セキセイインコだよ
バカはいい
喧嘩オリンピック
高校生の食欲
正しい行進
接待 失敗した後
倒産 夢占い

失敗した後はどうするべきなのか。土下座か。

2004年10月21日


座右の銘

- では先生、最後の質問になりますが、先生の座右の銘は何ですか。
- 糠に釘。
- はい?
- 糠に釘。
- ヌカに、クギ、ですか。
- 糠にスーッと入る釘、そんな釘に抵抗せず、あたたかく迎える糠、そんなものになりたいと、願っております。
- テシガワラ先生でした!

2004年10月20日


土曜日に涙を流したあなたへ

なんでもないごくあたりまえな事
たとえば子供等の遊ぶのを見ていて
胸いっぱいにあふれてくるものについて
誰が正確に述べる事ができよう
それは人の内にわいてくるのではなく
ひとつの宇宙のように人を外から包むのだ
秋の陽に照らされる一枚の枯葉が
すぐに朽ちて忘れられるものでありながら
私たちの目と手と心に
どうしようもなく触れてくる今日
青空のように限りないものに抱かれて
言葉なき嬰児である私たちに
ただ無力な双手を生きとし生けるものへと
差し伸べる事だけが許されている

谷川俊太郎「憐愍」 『谷川俊太郎詩集 続』思潮社、p.642-3

2004年10月18日


五年目

今日気づいたのですが、サイトを開設して今月六日で四周年を迎えました。

年の初めに一度閉鎖しましたが、五日後に再開、今は「このままのんべんだらりと続けていこうか」という気持ちになっています。

今週、スペイン語版のドメインを info から com に変えました。

theatrum mundi は変わります。そして、theatrum mundi は変わりません。これからもよろしく。

2004年10月16日


善意

相手のことを思っているようでいて、自分の「やさしさ」を喧伝することでしかない、無神経な善意。

触れられたくない傷というものが世の中にはあり、にもかかわらず、傷に触れ、傷に言及する、恥知らずな善意。

きょうも枕を高くして眠るのでしょう。

2004年10月15日


ムラタ君と社長

- ムラタ君。
- あ、社長。おはようございます!
- おはよう。いつも元気があっていいねえ。
- ありがとうございます。
- おや? そのネクタイ、昨日もしてなかったかな?
- 帰らなかったもので……。
- じゃあ、ずっと会社に?
- はい。
- 残業か。
- ちょっとした企画が浮かびまして。
- そうか。偉いなあ、君は。
- 恐れ入ります。
- 君みたいな社員に恵まれて、わたしは嬉しいよ。ありがとう。
- いえ……。
- では、恩を仇で返そうかな。
- え?
- 宿泊代、給料から引いておく!
- しゃ、社長!

2004年10月13日


自分の話しかしない人

- やあ!
- はい?
- 僕だよ!
- ど、どなたですか?
- 自分の話しかしないよ!
- え?
- 自分の話しかしない。転んじゃった。
- なんですか?
- あそこで。痛いなあ、膝。あー痛。
- 血が出てますけど……。どうしたんですか……。
- だから転んだの、あそこで。
- 絆創膏ありますけど。使います?
- 平気だよ!
- でも、いま「痛い」って……。
- (カステラをもぐもぐ食いながら)食べる?
- え? それ、カステラですか? いえ、結構です……。
- 嫌い、かふてあ?
- 喋れてませんよ……。いえ、好きですけど、道端ですし。
- (むしゃむしゃ食う)ふーん。
- 口の周りが……すごいことになってますよ……。
- (目を輝かせて)僕ってそんなにすごい?
- いや、そういう意味じゃなくて……。
- ……。(無心で食う)
- あの。
- ……。(わき目もふらず食う)
- ちょっと聞いてもいいですか?
- なに?
- いつもカステラ持ち歩いてるんですか……?
- ふん!
- (なんで怒るんだろう)
- 儲けちゃった。
- え?
- 儲けちゃった、株で。がっぽり!
- あ、あーそうですか。よかったですね……。
- もう、いくら食べてもだいじょうぶ!
- え?
- もう安心!
- 安心って、株で儲けた金でカステラ食べてるんですか?
- 悪い?
- いえ、別に……。
- 何してるの?
- え?
- あんた。ここで、何してるの?
- 待ち合わせ、ですけど……。
- 痛い!
- どうしました?
- 膝がとても痛い!
- あ、ですからこの絆創膏を……。
- 納豆のからしパックって必要?
- え?
- からしのパック。あれ、要らないよね?
- あの、わたし、待ち合わせしてますので……。
- 開けるとさ、ピュッて出ちゃうの。指についたりして。いやだよね。
- (早く来てくれよ部長……)
- だらしないよ。
- (からまれちゃったよ……)
- だらしないって。靴のひも。ほどけてるよ。
- え? あ、ほんとだ。ありがとうございます。
- 革ジャン、洗っちゃった。
- え?
- 洗濯機で。革ジャン。しわくちゃ。
- ……。
- もう、とりかえしがつかない。
- (誰でもいいから来てくれー)
- (トランプを取り出して)一枚ひいて。
- (イライラして)なんですか?
- ひいて、一枚。
- (面倒くさそうに)手品ですか? じゃあ、これ。
- それでいい?
- ええ。
- 本当に?
- ええ!
- 手もとに51枚残りました。じゃあね! (走り去る)
- 好き放題に生きている……!

2004年10月12日


アル・ムルワッス

イラクの劇団「アル・ムルワッス」が初来日します。7日から24日まで、東京、名古屋、大阪で。詳細はこちら

2004年10月4日


戀の後悔

正直過ぎては不可ません
親切過ぎては不可ません
女をご覧なさい
正直過ぎ親切過ぎて
男を何時も苦しめます

だが女から
正直にみえ親切にみえた男は
最も偉いエゴイストでした

思想と行為が彈劾し合ひ
知情意の三分法がウソになり
カンテラの灯と酒宴との間に
人の心がさ迷ひます

あゝ戀が形とならない前
その時失戀をしとけばよかつたのです

中原中也「戀の後悔」
『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫、p.178-9

2004年10月1日


ごあいさつ

- どうしたんですか。
- うん……
- 元気がありませんね。
- まあね……
- きょうの「ごあいさつ」もまだですし。
- それなんだけど……
- どうかしましたか。
- なんだか、疲れたよ……
- アイデア、浮かばないんですか。
- いや、アイデアはあるんだけどね……
- スランプですか。
- なにもかも面倒になってね……
- 「ごあいさつ」って、たしか去年の初めは何日かに一回でしたね。
- そうだったかな。
- そうですよ。それがいつの間にか毎日になったんです。毎日は大変じゃないですか?
- うーん……
- たまに、でいいんじゃないですか?
- たまに、か……
- 二、三日にいっぺんとか。
- 二年に一ぺんはどうかな。
- だめです。
- だめか。
- ええ。
- やっぱりだめか……
- この「ごあいさつ」って、何の意味があるんですか?
- ない。
- やっぱり……
- ああ。意味なんか、これっぽっちもない。
- ですよねえ……
- 薬にしたくともない。
- ええ……
- 毒にも薬にもならないから、そう思え。
- そう思えって、思ってます、最初から。
- 期待は失望の母だ。
- わかってますってば。
- 義理も積もれば邪魔となる。
- ただ言ってみたでしょ?
- バレたか。
- バレバレです。 だいたい、「ごあいさつ」って呼んでる人、いないですよ。
- わたしだけかも知れないな。
- 「巻頭言」って言っている人はいるみたいですけど。
- うん。
- 「扉」とか。
- うん。
- 「入口」とか。
- ああ。
- 「恥ずかしい穴」とか。
- 恥ずかしい穴? そんな風に呼んでる人がいるのか?
- いたらいいなあって。
- どこだ。
- え?
- 会わせてくれ。
- だから、いれば面白いなあって……
- わたしが探していたのはその人だ。
- なに急に目輝かせてるんです!
- 膝を交えて語り合いたい。
- だから仮定の話で……
- 語り明かしたい。
- 前から聞きたかったんですけど……
- 何だね。
- 先生って、変態なんですか?
- わたしも前から訊ねたかったんだが……
- 何ですか。
- どうして「先生」って呼ぶの?
- さあ。
- わからないんだな?
- ええ。
- そうしたもんだ。世の中、わからないことだらけだ。でも、謎が多い方が、おもしろいじゃないか。
- そうでしょうか。
- なぜ花は咲くのか。
- 知りませんよ。
- 考えてもみなさい。花びら、あれは性器だ。
- 性器?
- だってそうじゃないか。それをだよ、お日さまに向かってご開陳だ。どうだね?
- どうだねって言われても……
- どうってことはないか。
- そんなこと、わたしもしょっちゅうだし。
- そうなの?
- ええ。
- 語り明かしたい!

2004年9月30日


ひとり/ふたり

男の子 (地に伏せて)皇帝陛下のおなーりー! 皇帝陛下のおなーりー! 皇帝陛下のおなーりー!

(ホルンが鳴りローマの皇帝が現れる。一緒に、黄色いチュニックを着た肌が灰色の古代ローマの百卒長が来る。続いてトランペットをもった馬が四頭。男の子は皇帝に向かって歩み出る。皇帝は男の子を抱いて柱頭の林に消える)

百卒長 皇帝陛下はひとりをお探しである。
ブドウの葉の人物と鈴の人物 ひとりはわたしです。
百卒長 そのほうのどちらがひとりであるか?
ブドウの葉の人物と鈴の人物 わたしです。
百卒長 皇帝陛下は、どちらがひとりか、見抜くであろう。ナイフを使って、あるいは唾でだ。きさまらのような奴には虫唾が走るわ! きさまらのせいで、我輩は旅を重ね、砂の上で眠っておる。妻は山のように美しい。四ヶ所か五ヶ所で同時に子供を産み、昼間は木の下で鼾をかく。我輩には子供が二百人いる、まだまだもうけるぞ。きさまらなんぞ畜生だ!

(百卒長は唾を吐き、歌う。柱の向こうから長い叫び声が聞こえる。額を拭いながら皇帝が姿を現す。黒い手袋を脱ぎ、それから赤い手袋を脱ぎ、古典的な白さの手が現れる)

皇帝 (無愛想に)ひとりは、どっちだ?
鈴の人物 わたしです、陛下。
皇帝 ひとりひとり、いつでもひとりだ。認めようとしなかった少年四十人の首を斬りおとしてやった。
百卒長 (唾を吐きながら)ひとりひとりひとり以外の何者でもない。
皇帝 ふたりは存在しない。
百卒長 ふたりがいたら、陛下が旅して回るはずがございません。
皇帝 (百卒長に)裸にしろ!
鈴の人物 わたしがひとりです、陛下。そいつは廃墟の乞食でして。木の根を食べて暮らしております。
皇帝 どけ。
ブドウの葉の人物 ぼくだよ。わかってるでしょ。(ブドウの葉を剥ぎ取り、石膏のように白い裸の男が現れる)
皇帝 (抱きしめて)ひとりひとり
ブドウの葉の人物 いつでもひとり。キスしてくれたら、口を開けて君の剣を飲み込んでもいいよ。
皇帝 そうさせてやるぞ。
ブドウの葉の人物 そしてぼくの愛の首を廃墟に置いてね、いつだってひとりだったひとりの首を。
皇帝 (溜息混じりに)ひとり
百卒長 (皇帝に)やれやれ、一件落着ですな。
ブドウの葉の人物 一件落着、二件落着。
鈴の人物 裏切りだ! 裏切りだ!
百卒長 黙れ、この老いぼれネズミ、エニシダの息子め!
鈴の人物 ゴンサーロ! 助けて、ゴンサーロ。

(鈴の人物が一本の柱を引っ張ると第一場の白い屏風になる。後ろから髭の男三人と演出家が登場)

男一  裏切りだ!
鈴の人物 裏切られた!
演出家  裏切りだ!

(皇帝はブドウの葉の人物を抱きしめている)

フェデリコ・ガルシーア=ロルカ『観客』(1930)

2004年9月29日


会議は続く

- ただいまお配りしました資料は、ヒット数順の検索キーワード一覧です。期間は21日から27日です。質問がありましたらどうぞ。
- トップの「ケロヨンクラブ」はオウム真理教の分派だね?
- そうです。
- 当共和国は何か関わっているのか。
- 微笑問題のネタに使われているだけでございます。
- 3位に「組閣」があるが?
- きのう小泉改造内閣が発表されたためでしょう。5位が「小泉内閣+組閣」、10位が「組閣+小泉内閣」、18位が「内閣+組閣」ですから、間違いないと思われます。
- 29位の「大リーグ歴代+年間安打」は?
- イチローでしょう。
- では82位の「パラリンピックっていつから?」、これは何だ。
- 新聞もろくに見ない馬鹿者のアクセスかと。
- ちょっといいかな?
- はい、スズキさん、どうぞ。
- 133位に「死神のコスチューム」とありますけど、どこで売ってるんですか?
- 知りませんよ。だいたいスズキさん、何で死神のコスチュームが必要なんです?
- だって今夜は仲秋の名月だし。
- よく意味がわからないんですけど。
- あの、いいかな?
- あ、はい、イズミさん、どうぞ。
- 153位だけどね、「緇瑚翌貍晏渕」ってあるけど、何て読むの?
- これは当共和国も頭を悩ませておりまして、ただ今国立学死院のたこ焼き村院長と学術会議のじゅんや会長が解読を行っているところでございます。
- ふーん。解読の結果は報告してくれるんだろうね?
- はい、それはもう。
- あ、質問。
- はい、ムライさん。
- 149位の「俺が産んでやる」。俺って誰?
- さあ、どなたかはわかりませんが、性転換して子宮を移植した男ではないかと……。
- では162位の「倒れる生徒」。これは?
- どこかの小学校ではないでしょうか。退屈な朝礼でバッタバッタと生徒が倒れているのではないかと……。
- 質問!
- キノシタさん、どうぞ。
- 252位の「アイドルのマル秘写真」、わたしも欲しいのだが。
- ちなみにキノシタさんは誰のが欲しいんですか?
- 加藤ローサに決まってるだろう。
- 決まってるって言われても……。
- ほかに誰がいるって言うんだ!
- あ、ごめんなさい。いませんね。加藤ローサで決まりですね。見つかり次第ご報告いたします。
- ちょっといいかな?
- はい、タジマさん。
- 297位の「完全+クラスタ+正しく終了されませんでした」だけど、これってパソコンのエラーメッセージだね?
- だと思いますが。
- 僕のパソコン、調子悪いんだけど。
- それがどうしたんです。
- 直してくれない?
- おい、タジマ!
- あ、ミズタニさん。関連のご質問ですか?
- ああ。
- ではどうぞ。
- 今問題にすべきはパソコンではなく、300位の「ビンラディン 似顔絵」ではないのか!
- 議長!
- あ、はい、チバさん。
- 議論を元に戻して欲しい。
- 加藤ローサちゃーん!
- キノシタさんは黙っていて下さい! では話を元に戻しますが……チバさん、何でしたっけ?
- 君はそれでも議長か! いいか、今話題にしているのは、369位の「覚醒剤+入手先」だ。
- ぜんぜん違います。
- 覚醒剤? どこで入手できるんだ?
- ちょっとミズタニさん。話をそらさないでください。
- 379位の「フジテレビ情報番組センター」、ここじゃないのか?
- ではこの件につきましては今後調査するということにいたしまして、他に何か?
- 質問!
- あ、コイケさん、どうぞ。
- 460位の「ポカン ポカン」、これは何だね。
- さあ……。
- ついでに、462位の「殺したい+時そうする」。何だねこれは! 物騒じゃないか!
- そう言われましても……。
- しかもだ、487位の「でらべっぴん」、これはエッチな雑誌ではないのか?
- そうですね。
- どこで入手できるのか?
- その辺の本屋で買えるだろ、このボケ!
- ミズタニさん! 暴言は慎んで下さい! では最後の質問です。何かありませんか?
- はい。
- ナガタさん、どうぞ。
- いちばんの問題は、398位の「」、これじゃないのかね?
- 確かにこれは珍しいですね。数字の「1」。
- いったいこれは何だろう。
- 最大の謎だな。
- お手上げですな。
- では今後の課題ということにいたしまして、きょうはこれで閉会いたします。お疲れさまでした。

2004年9月28日


株主検索会議 Part2

- えー、それでは会議を再開いたします。議題はひきつづき9月16日から23日の検索キーワードです。
- 質問!
- はい、どうぞ。
- 119の「スリッパ 宮内庁御用達」がだが、わが社の製品にスリッパはなかったと思うが。宮内庁から注文があったのか。
- では専務、お願いします。
- えー、スリッパについてでございますが、当社はスリッパの製造も販売もしておりません。
- もうひとつ確認したい。147の「なまりの弾丸」、これも製造販売はしていない?
- しておりません。
- スリッパも弾丸も製造はしていない、間違いありませんね?
- 間違いございません。
- では、これをどう説明するんです? きょう発売の週刊誌です。219の「伊東四朗」の写真がありますね。4141の「電線マン」の恰好をしている。
- はい。
- 414の「電線マン 音頭 電線に それを猟師が」。漁師は鉄砲で撃つのです。その弾丸に、ほら、わが社のロゴがある。どういうことです? わが社は兵器の製造販売はしていないはずだが。
- ええ、それは……。社長……。
- わたしが答えます。
- では社長、お願いします。
- 弾丸につきましては、製造しております。(会場騒然)ですが、今もお話がございましたとおり、兵器としてではございません。159の「パラリンピック」の競技用、射撃用でございます。
- 本当か? 34の「イラク戦争」とは関係ないのか?
- ございません。ちなみに、43の「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!  事故」とも関係はございません。
- 340の「小泉内閣組閣」で発注があったという事実はないのか?
- ありません。
- 369の「赤いプルトニウム」、これも戦争とは無関係だというのか?
- プルトニウムにつきましては、たしかに受注を受けております。ただし政府ではなく、499の「林家ペー・パー子 所属事務所」でございまして……。

(会場ふたたび騒然)

- わが社がプルトニウムを扱っているなんて聞いていないぞ!
- えーこのことにつきましては、247の「火曜ワイドスペシャル」で放送されることになっておりまして……。
- 株主に説明できないことをテレビで放送するというのか!
- 林家ペー・パー子は281にありますように「元ジャニーズ」でして、ジャニーズ事務所の圧力があったのは確かでございます。180の「ブッシュ 似顔絵」をちらつかせて、プルトニウムを渡さなければ393の「大竹まこと&ビートたけし」に暴力沙汰を起こさせるぞと、脅迫を受けました。
- 社長! わが社の信用をどう考えているのだ!
- 信用につきましては、114の「スペインと国連」の支援を受けておりますので……。
- プルトニウムのことは国連にも報告しているのか? そんなことをしたら世界がメチャクチャになるではないか! 21世紀のわが社に、未来はないではないか!
- 79にもありますように、「こうなる 21世紀」でございます。
- 何だそれは! 答弁になっていないぞ!
- えーそろそろ時間になりました。これにて本年の株主検索会議を終了いたします。ありがとうございました。

2004年9月27日


株主検索会議

- 静粛にお願いします。えーでは株主検索会議を始めます。今回は9月16日から23日まで、505種類ございます。通し番号を振っておきました。アルファベット順、五十音順です。漢字は音読の順番です。何かご質問がありましたらどうぞ。
- いいかな?
- どうぞ。
- 51の「オシドリは浮気をしないのか」ですが、実際どうなんです? しないんですか?
- 専務がお答えします。
- えーその点につきましては、目下調査中でございまして、分かり次第ご報告申し上げたいと思っております。
- 182の「フランシスコザビエル おみやげ」について伺いたい。
- はいどうぞ。
- ザビエルが日本に持ってきたスペイン土産なのか、スペインに持ち帰った日本土産のことなのか、その点をはっきりさせていただきたい。
- では社長。
- えー、ご質問の件ですが、わが社の調査によりますと、ザビエルが来日した当時、長崎でザビエルにあやかった色々な便乗商法があったようで、ザビエルまんじゅうなどは飛ぶように売れたそうでございます。ですから、これはザビエル来日記念のお土産、ということだと思われます。
- ザビエルまんじゅう? 聞いたことがないが、本当にあったのか?
- ええ、ですからあくまでもわが社の調査で……
- はっきりしろ! あったのか、なかったのか!
- ちょっといいかな?
- 関連のご質問ですか?
- ええ、まあ。
- ではどうぞ。
- 195の「ミミズを食べる男」だけどね、これ、ザビエルのことじゃないの?

(場内騒然)

- えー静粛にお願いします。では専務、お願いします。
- 社長のお答えに補足させていただきます。今の時点でわかっていることは、201の「モダン寄席」、ザビエルはここで漫談をやっていたようです。十八番のネタは208の「らくだの馬さん」だと伝えられております。相当な人気だったようで、228にありますように、「越後 納豆 しょうゆ」ですね、わざわざ新潟から寄席の楽屋に届け物があったとのことです。
- 証拠はあるのか。
- はい?
- だから、芸人だったという証拠があるのか。
- 流行り言葉、今でいうギャグですが、316の「使えるものなら使って」、これで爆笑をとったという言い伝えがございます。
- 質問!
- どうぞ。
- ザビエルは宣教師だ。妙なマントみたいなものを来て、そんな恰好で寄席に出ていたというのか。
- それが、378にありますように、「素っ裸」だったという記録が残っていまして……

(場内ふたたび騒然)

- どこにそんな記録が?
- 453の「舞浜商科大学」図書館です。
- 公序良俗に反するではないか。
- はい。462の「放送ガイドライン」にも引っかかったようで、47の「エリザベス一世」も苦言を呈した、と。

(「時代がちがうじゃないか」「そうだそうだ」)

- えー、ではここでいったん休憩いたします。続きは数日内ということにいたします。

2004年9月24日


『ハリー・ポッターと冬の中心でソナタを叫ぶ』

小説のコーナーで書き綴られた集団創作『千年の孤独』。未完の大作となりました。記念にここに保存しました。ご協力ありがとうございました。

第二弾です。

『ハリー・ポッターと冬の中心でソナタを叫ぶ』

タイトルだけで今年のベストセラーは間違いなしですが、念のため本文を書きましょう。ふるってご参加ください。

2004年9月23日


完全復旧

ようやくサイトが完全復旧しました。この二日間ご不便をおかけしました。これからも変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。

2004年9月22日


作業は終わったものの

サーバを新しいものと交換したはいいものの、表示がおかしいページがあちこちにあります。今ご覧の、この「ごあいさつ」も、いつもは右寄せの日付が左寄せになっているなど、いつもと表示が違っています。メインBBSにアクセスすると左のサイドメニューが消えてしまいます。SSIファイルというものが認識されていないからなのですが、なぜ認識されないのか、ただ今問い合わせ中です。ご不便をおかけしますが、しばらくお待ち下さいませ。

2004年9月21日


サーバの引っ越し

ただいま17時38分です。これからサーバのデータを引っ越しさせます。30分くらいで終わると思います。もしアクセスできない場合は少しお待ち下さいませ。

2004年9月20日


マルクス・ダイエット

いまフランスで話題のマルクス・ダイエット。『資本論』を読むだけだからとってもカンタン! もうエンゲルス係数を気にする必要はありません。あなたも始めませんか?

2004年9月19日


道場破り

「ええい、どけどけ、どかんか!」
「こ、こらッ、勝手に入るな!」
「うるさい! でぇーーい!」
「うっ……!」
「たのもう! たのもう!」
「なんだ貴様は? 勝手に入るとは無礼なやつ。ここを鬼瓦流道場と知っての狼藉かッ」
「雑魚を相手にしている暇はない。鬼瓦ァ! ここにいるのはわかっておる! 出てこい!」
「先生は奉行所に出向いているのだッ! ここにはいない!」
「……誰だ」
「せ、先生!」
「ふふふ、いたな鬼瓦……」
「私を呼び捨てにするとはそなたも勇気があるのう。名を名乗れ」
「腰巾着だッ」
「……ん?」
「ふっふっふ。恐れをなしたか」
「私の耳が悪いのか、コシギンチャクと聞こえたが……」
「そう聞こえれば一人前だ。いかにも、腰巾着だ。驚いたか」
「別の意味で驚いたよ」

2004年9月18日


「ちくしょう! おぼえてろよ!」

今月1日から15日までの検索キーワード一覧。1194種。

ちくしょう! おぼえてろよ!
おなかが鳴る 
キューティーハニー だってだってだって
これ誰っ!?
ストリップ 学割
ブルネイ 高校生 皇太子
宇宙人の歴史
初代会長を務めた
日本語 授業の準備 何が必要か
白玉 固くな
服が燃えて 裸
力の限り生きてやれ

などが気に入りました。

2004年9月16日


サーバの入れ替え

時期は未定ですが、おそらく今週、またサーバを入れ替えます。作業は一時間くらいで、その間はアクセスできなくなります。時期が分かり次第またご案内します。

2004年9月14日


ボタンさん

-ボタンさん、どうしてるかなあ……。元気かなあ……。

-あ、ボタンさん!
-本当ですね! 先月でしたっけ、お会いしたのは。
-覚えてるんだー。記憶力すごーい!
-今日はどうしたんですか。
-誰も呼んでませんよ。
-別に呼んでませんけど。どうしてるかなーって思っただけで。
-それだけです。
-いやです
-さようなら

2004年9月13日


給料欲しさに勤続四十年 京都の社員

【京都=ゆう】給料目当てに四十年も勤務を続けていたとして、京都府警は十一日、業務上横領の疑いで京都の事務機器メーカー営業部長、内村鑑三(仮名・六〇)を逮捕した。

調べでは、内村容疑者は昭和十九年から同市左京区の「株式会社アルプス文具」に勤務。今年の八月三十一日まで、売上金から相当分を給料として受給。その際、同社の正規の窓口を通じて四十年分、計三億五千万円を自分の預金口座に預けて着服した疑い。

同社広報室によると、内村容疑者は営業部で業者との取引に携わり、社長の再三の注意にも関わらず収益を上げていたという。

その後、まとまった金額を給料として、社から受け取つていたらしい。

額に汗して稼いだ三億五千万円のうち、ほとんどは自宅や車の購入資金、教育費にあてていたという。

同社専務の話。
「世間をお騒がせして申し訳ない。事実関係を調べている。本当だとしたら会社の信用に関わる」

2004年9月12日


タロット占い

リンクしているなかよしさんのサイト「はみてーじ」のリンク集で紹介されている占いのサイト「瑛利奈の山手タロット」。

「怖いくらい当たります」と、なかよしさんがおっしゃっています。ホントかよ? と、やってみました。ホントでした。

2004年9月11日


卑弥呼を踊る

今月23日(木・祝)から25日(土)まで、上野の国立博物館で小島章司さんが踊ります。

本館リニューアルオープンの記念公演。古代をテーマに、バレエやタップなど、さまざまなジャンルの舞踊家がソロを踊ります。題して「古代のファンタジー 卑弥呼 ~現代の踊るシャーマン達」。

出演は小島章司(フラメンコ)、舘形比呂一(コンテンポラリーダンス)、橋本拓也(ジャズダンス)、熊谷和徳(タップダンス)、三木雄馬(バレエ)。演出・振付は上田遙。かなり面白そうなプログラムです。

25日のチケットは売切れですが、23日と24日はまだ残っています。詳細は博物館の専用ページで。

2004年9月9日


ほぼ復旧

作業が終わりました。サイトはほぼ復旧しました。「語尾取り」など、引き続きお楽しみください。

2004.9.8 Part2


本日しばらくサーバにアクセスできなくなります

わたしのミスでサーバにちょっとした不具合が生じてしまい、これからサーバをまっさらにして、すべてのデータを改めてアップロードするという作業を行います。

本日、しばらくのあいだこのサイトにはアクセスできなくなりますが、どうかご辛抱ください。

2004.9.8 Part1


何かに狂ったこと、ありますか。

ゴロワーズというタバコを吸ったことがあるかい
ほらジャン・ギャバンがシネマの中で吸ってるやつさ
ヨレヨレのレインコートの襟をたてて
短くなるまでヤツは吸うのさ
そうさ 短くなるまで吸わなけりゃだめだ
短くなるまで吸えば吸うほど
きみはサンジェルマン通りのちかくを
歩いているだろう

ゴロワーズというタバコを吸ったことがあるかい
ひとくち吸えばきみはパリにひとっ飛び
シャンゼリゼでマドモワゼルに飛び乗ると
そうだよ エッフェル塔と背較べ
ちょっとエトワールのほうを向いてごらん
ナポレオンが手をふってるぜ
マリー・アントワネットもシトロエンの馬車の上にかけあがって
ワインはいかがと招いてる

きみはたとえそれがすごく小さなことでも
なにかに凝ったり狂ったりしたことがあるかい
たとえばそれがミック・ジャガーでもアンティークの時計でも
どこかの安いバーボンでもウィスキーでも
そうさ なにかに凝らなくてはだめだ
狂ったように凝れば凝るほど
きみはひとりの人間として幸せな道を
歩いているだろう

きみはあるときなにを見てもなにをやっても
なにごとにも感激しなくなった自分に気がつくだろう
そうさ きみは無駄に歳をとりすぎたのさ
できることなら一生赤ん坊でいたかったと思うだろう
そうさ すべてのものが珍しく
なにをみてもなにをやっても嬉しいのさ
そんなふうな赤ん坊を
きみは羨ましく思うだろう

かまやつひろし「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」(1974)

2004年9月7日


三千円

8月19日に投げ銭のコーナーを設けたところ、数名の方から月末までに合計三千円もいただきました。ちょっとびっくりしています。いえ、ちょっとじゃなくて、ものすごくびっくりです。本当にありがとうございます。

2004.9.5 Part2


円周率覚え方

8月24日から30日の検索キーワード一覧。687種。

すっぱだかの男
どんな年?
ヌルヌルの液体
バンコク+きもちいい
ペペ
円周率覚え方
赤く見える月
存ぜぬ
白人のリズム感
発の書き順
本が死ぬところ暴力が生まれる

円周率は 3.1415926... だ。覚え方があるのか。検索してみるといろいろあることがわかったが、日本語より英語のが覚えやすい。"Can I ride a horse? Certainly, of course." アルファベットの数を並べると 31415926 になります。

2004.9.5 Part1


ナンセンス

「喜劇について書かれたものを見て、ふしぎな気がするのは、外国では〈諷刺〉ということが二義的でしかなく、まず〈ナンセンス〉であるかどうかで評価されるのに、わが国では必ず諷刺があるとかないとかいう風に言われる―――これは、つまり、日本のインテリが『笑い』というものを、せいぜい諷刺の道具としか見ていない証拠であります」

〔……〕

「諷刺というのは、せいぜい、一つの現象や状況へのヒステリックな告発に過ぎません。しかし、〈ナンセンス〉は人間そのものの不条理性(平たくいえばバカバカしさ)をあばき立てるのです。ボーヴォワール女史の文章によれば、サルトルはマルクス兄弟の映画のナンセンスぶりから『嘔吐』のヒントを得たそうですが、イヨネスコの数々の芝居がマルクス兄弟の影響を受けているのは有名な事実です」

小林信彦「テレビにとって〈笑い〉とは何か」『定年なし、打つ手なし』朝日新聞社、p. 158-159

2004年9月4日


小島章司さん in 名古屋

あさっての4日(土)、名古屋市民会館中ホールで小島章司さんが踊ります。

スタジオマルソ第一回公演『FIESTA DE MARZO』。

午後4時30分開場、5時開演。全席自由席で三千円。どうぞ足をお運び下さい。

2004.9.2 Part 2


自分なくし

元祖マイブーム、みうらじゅんが今世間に問うているのが「自分なくし」。

「自分探し」とかいう恥ずかしい行為にうつつを抜かして大切な「今」と「ここ」を失い続けるくらいなら、いっそ他人になりきったらどうか。ボブ・ディランになりきったみうらじゅんがどうしようもなく「みうらじゅん」であるように、何かに取り憑かれて初めて見えるものがあるのではないか。

2004.9.2 Part 1


秋の夜空

これはまあ、おにぎはしい。
みんなてんでなことをいふ
それでもつれぬみやびさよ
いづれ揃つて夫人たち。
    下界は秋の夜といふに
上天界のにぎはしさ。

すべすべしてゐるの上、
金のカンテラいてゐる。
小さな頭、長い裳裾
椅子は一つもないのです。
    下界は秋の夜といふに
上天界のあかるさよ。

ほんのりあかるい上天界
き昔の影祭、
しづかなしづかな賑はしさ
上天界のの宴。
    私は下界で見てゐたが、
知らないあひだに退散した。

中原中也「秋の夜空」
『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫、p. 56-57

2004年9月1日


江戸前

- へい、らっしゃいッ!
- おう大将。やってるかい?
- おーい! ご案内!
- ささ、どうぞこちらへ。
- えーと、どうしようかな。とりあえずワインもらおうか。
- ボルドーで?
- ボルドーもいいけど、ちょいと飽きたね。たまにはリオハをキュッとやりたいね。
- リオハ一丁!

  (「リオハ一丁!」の掛け声、飛び交う)

- ……リオハおまちどう!
- 小僧さん、この突出し変わってるね。何だい?
- へい、こちらが焼き茄子のジュレ、こちらが三崎産マグロのタルタルでございます
- いよッ! 茄子たァ嬉しいねェ。暑い暑いといってもね、暦の上では秋ですよ。秋といえば茄子、秋茄子は嫁に食わすなっていうくらいなもんでね、粋だねどうも。
- どうですリオハは。
- どれ。(喉を鳴らして一気飲み)くーッ、いい酒だねえ、ええ? 喉からつーッと入ってストンと落ちますよ。ツーときてストン。ワインはこれですよ。よくチビチビ飲んでる人がいるけどね、いけませんよアレは。みみっちくてね、みっともないやァね。だいたいカタチがサマになりませんよ。江戸っ子はね、こう、スッとしたカタチでもってね、飲まないといけません。それにしてもいい酒だねえ。そんじょそこらのワインとは物が違うよ。
- ありがとうございます。かぼちゃの冷たいスープでございます。
- 冷たいスープ? 涼しくなってきたから温かいものかなあと思わせておいて、冷たいスープ? 変化球で来たね? いいねえ、ヒネリが効いてて。頓知が利いてるもの。さすがは江戸前のフレンチレストラン。
- お待たせしました。メインでございます。
- え? メイン? もうメインなの? お待たせしてませんよ。ちっとも。早いネどうも。嬉しいじゃないか。待たせる店がありますよ待たせる店が。ひどいところになると孫の代まで待たせるからね。いけませんよ待たせちゃ。スーッと持ってくる。こうでなくちゃいけません江戸っ子は。今日は何?
- 清川村の豚肉スペアリブのロースト、スイカとキュウリ風味でございます。
- 豚肉? ブタ? トン? トンちゃん? いよッ、いいねえトンちゃん。ちょうどトンちゃんに逢いたいなと思ってたンだ。それに何? スイカとキュウリ風味? さすがだ。茄子ですっかり秋の気分にしておいて、スイカでさりげなく夏を偲ぶ。さすがです。さすがですよ大将。振り返るてェやつだね。さよならはしたけれど、忘れたわけじゃありませんてェやつだね。こういう何気ない気配りが嬉しいねェ。美味い! 美味いもの、美味すぎるもの!
- くるみのケーキとコーヒーでございます。
- ああ美味かった。結構なお味なんてもんじゃありませんよ。アタシはね、もう死んだってかまわない。さてと、勘定、いくらだい?
- へい、十二文でございます。
- 悪いけど銭こまっけぇのしかねぇんだ。手ェ出しとくれ。ひい、ふう、みい、よ、いつ、むう、なな、や、いま何時だい?
- 九つで。
- とお、じゅういち、じゅうに。
- 毎度ありがとうございます。お気をつけて。

2004年8月31日


相手を凹ませる

16日から23日の検索キーワード一覧。698種。

ハトに豆鉄砲
ほか弁の事
一夫多妻制の国 一覧
女王様+びんた
相手を凹ませる
太ってしまった時
卓球の愛+萌え
着ぐるみを着て

ほか弁の事っていうのは何でしょう。

2004年8月30日


ドーピング

全面的に解禁したらどうだろう。

死んだっていい、記録さえ残せれば。そう考えているアスリートはひとりやふたりではあるまい。

格闘家はリングで死ねれば本望だ。ついこのあいだも片目をつぶされた選手がいた。本人はけろりとしていた。

百メートルを五秒台で突走り、ゴールしたとたんに息絶える。肉体は滅び、記録は残る。見れば下半身はターボエンジンだ。

いいのか。もちろんいいのだ。

人体改造なんでもオッケーである。高飛び選手は巨大な羽をつけている。重量挙げの選手は腕しかない。水泳選手は指に水かきだ。

ただし、CO2排出量規制に引っかかって失格する危険はある。それとこれは話が別だからだ。

2004年8月27日


- 先生。
- なんだ。
- 詩が書きたいんです。
- 書いたらいいじゃないか。
- わからないんです、書き方。
- わからないって、人に訊ねてどうする。人に書き方を教わる詩人なんて聞いたことがない。
- そこをどうかひとつ。
- 詩の書き方は知らない。詩のようなものの書き方なら知ってるがね。
- 教えて下さい。
- よーくお聞き。大事なのは改行だ。
- 改行?
- そう、改行。何でもいいから文章を書いてみるんだ。書いたら、こう、ゆっくりと、呼吸しながら読む。その、呼吸をするところで改行だ。
- 簡単ですね。
- もうひとつ、句読点は書かない。
- 書いちゃダメですか。
- 書いてもいいが、書かないほうがそれらしくなるんだ。そうだ、例をみせよう。
- お願いします。
- 今の私たちの会話だけどね、これだって詩のようなものになるんだ。

 先生
 なんだ
 詩が書きたいんです
 書いたらいいじゃないか
 わからないんです
 書き方
 わからないって
 人に訊ねてどうする

 ……どうだい?

-あ。なんか詩っぽいですね。
-だろう。段落に分けるのもいいぞ。
-段落?
-こんな感じだ。

 先生
 なんだ

 詩が書きたいんです
 書いたらいいじゃないか

 わからないんです
 書き方

 わからないって
 人に訊ねてどうする

-何か、詩っぽいですね。
-ぽいだろう? さらに、段落をちょっとズラすと、よりいっそう詩みたいになる。

 先生
 なんだ

    詩が書きたいんです
    書いたらいいじゃないか

 わからないんです
 書き方

    わからないって
    人に訊ねてどうする

 ……どうだい?
-さっきと感じが違いますね。
-カッコなんかも使うといい。まるで死者と話をしているみたいな感じになる。

 (先生)
 なんだ

 (詩が書きたいんです)
 書いたらいいじゃないか

     (わからないんです
     書き方)

     わからないって
     人に訊ねてどうする
     人に書き方を教わる詩人なんて
     聞いたことがない。

 (そこをどうかひとつ)
 詩の書き方は知らない
 詩のようなものの書き方なら
 知ってるがね

    (それでいいです)
    よく覚えておきなさい
    大事なのは改行だ
    (改行?)
    そう
    改行

 とにかく改行する
 何でもいいから文章を書いてみるんだ

 書いたら
 こう ゆっくりと
 呼吸しながら 読む

 その
 呼吸をするところで
 改行だ

    (簡単ですね)
    もうひとつ
    句読点は書かない

    (書いちゃダメですか)
    書いてもいいが
    書かないほうが
    それらしく
    なるんだ

-なんか、書けそうな気がしてきました。
-そうか。だが、くれぐれも真に受けるなよ。

2004年8月26日


社会復帰

いやな言葉がある。「社会復帰」はそのひとつだ。

復帰と言うからには、その人は社会の「外」にいることになる。本当だろうか。社会に「内」と「外」があるのだろうか。

「社会復帰」ということばを口にする人が考える社会とは、生産活動に携わる人のみによって構成される共同体だろう。だとすれば、その精神は、かつて生産手段を持たない役者や女郎を河原乞食と呼んだ精神と何ら変わるところがない。生産に関わらない人間には価値を認めないということだ。

自ら招いたのではない事故で半身不随になり病床についている人は、社会の「外」に出たのだろうか。その人が、もしそのあるがままの姿で多くの人の支えになっているとしたら、誰がその人を社会の「外」にいると言えるのだろう。

まったくいやだよ。

2004年8月25日


トッポ・ジージョ

ご存知の方は同世代。市川昆監督の劇場映画『トッポ・ジージョのボタン戦争』がリバイバル公開されます。9月4日から渋谷ユーロスペースで。

2004年8月24日


首から上さえあればいい

数ヶ月ぶりにテレビCMをじっくり見て気づいたのですが、ナショナル「DIGA」のボブ・サップと妻夫木聡は首から下がCG。花王の育毛剤「サクセス」の真ん中で踊ってる男、同じく花王「フラバサイト」の柳葉敏郎も首から下はCG。「プロミス」の井上和香は首から下が別の人。

首から上だけあればいい。いかにもテレビ的です。

2004年8月23日


頼りない人

いつの時代も頼りない人というのはいるもので、本当に頼りない、ついでに生きてるとしか思えないようなのがひょっこり出てきますてえと落語になりまして、

「聞いたか」
「なに」
「きょう、源公の誕生日だとよ」
「源公? ウソだァ。あいつに誕生日なんて、そんな結構なものがあるわけがない」
「ところがあるって話だ」
「あいつの? 誕生日? ふーん、珍しいこともあるもんだなァ」
「だろ?」
「そういえば、あの野郎、去年の今ぐれぇも、誕生日だ誕生日だって騒いでたよ」
「それなんだよ。ちょうど一年ぶりだって話だ」
「そんな毎年毎年誕生日が来るわけねえだろ。図々しい。ちょいと説教してやろう」
「ウソばっかり言ってると承知しないぞッてな」
「ついでに酒奢らせるってのはどうだ」
「いよッ、いいねえ。よし、行こう」

2004年8月22日


昭和十年代と平成十年代

「重慶、済南、北京のアジア杯サッカーで二度三度と繰り返された、耳をつんざく反日ブーイング。あれは日本人に最も分かりやすい形で、中国人がいかに粗末な民族であるかを見せた」

「イチローが打席に立ったとき、シアトルの観客は真珠湾奇襲を思い出して野次るか?度量ある大国民と浅薄な十三億の差は明らかだ」 (強調引用者)

『週刊ポスト』を抜いて販売部数一位になったばかりの『週刊文春』8月26日号47ページのコラム「新聞不信」のことばです。

知性ではなく感情に訴えることば。おそろしく短絡的な思考。平成十年代は昭和十年代を反復しているのでしょうか。

2004年8月20日


「人生一度は万博だ。」

来年の愛知万博の宣伝コピーです。

「オリンピックもサッカーワールドカップも誘致できんかったもんでよう。大きなことやってみてゃあよー。テーマ? どーでもええがね」

そんな思いがよく伝わることばです。

2004年8月19日


こんな時代

- あの。
- なんだ。
- 検索キーワードって、ありますよね。
- ん?
- ときどきここで紹介している……。
- ああ、あるよ。それがどうかしたか。
- 今月はあんまり見ないなあと思って。
- そうかな?
- 気のせいかも知れませんけど。
- 記録ならとってるよ。
- 何かいいのありました?
- そうだねえ……。今月は、3日から6日までの分はないんだ。うっかり消しちゃってね。
- うっかり、ですか。
- うっかりだ。
- 粗忽ってことですね?
- ま、そういうことになるかな。
- 7日からは……?
- あるよ。
- どんなのがありました?
- そうだねえ……。
- 胸がキュンとなるやつ、ありました?
- 別にキュンとはならないけど、何て言うのかなあ、途方に暮れるしかない、そんなのがいくつかあったなあ。
- 聞かせてください!
- 妙に張り切ってるね。
- 聞かせてください!
- まず最初に途方に暮れたのは、「アシスタント 網タイツ」だ。
- なーんだ。
- どうした。不満でもあるのか。
- なんか、ありきたりで。
- ありきたり? 「アシスタント 網タイツ」が?
- 「力士 網タイツ」なら別ですけど。
- 力士?
- ね? 思わず「力士?」って訊きたくなるでしょう?
- よくわからないが。
- お相撲さんの髪の毛の匂い、嗅いだことあります?
- え?
- あります?
- 匂いって、鬢付け油のこと? いや、ないけど。
- すっごくいい匂いなんです!
- ああ、そうらしいね。
- クラクラしちゃう。あーもうどうにでもして! って感じ。
- 網タイツと、何の関係があるの?
- ありませんけど。
- ないの? じゃあ、何でそんな話するの?
- いいじゃないですか、別に。
- ま、いいけど。次に途方に暮れたのが、「トレビーノがあれば」だ。
- トレビーノがあれば?
- そう。トレビーノがあれば。
- トレビーノがあれば、どうなるんでしょう?
- こっちが訊きたいよ。
- トレビーノがあれば……鬼に金棒?
- 知らないよ。
- トレビーノがあれば……この世は天国?
- なんなんだ君は。だいたいトレビーノってのは何だ? まあいい。次だ。次に途方に暮れたのは、「海に沈めてやる」だ。
- いやです。
- え?
- 沈められるのはイヤです。
- そりゃ誰だってイヤだよ。
- そうですけど、わたしは誰よりもイヤなんです。
- ごめん。言ってる意味がよくわからないんだが。
- ですから、海に沈められるのが人一倍イヤなんです。
- 君、沈められたことあるの?
- あるわけないでしょう!
- だよねえ。どうもわからないんだなあ、君の話は。ま、そんな話はおいといて、次に途方に暮れたのは「生命線が短い」だ。
- 何を調べたかったんでしょうね。
- さあ。
- 運勢でしょうか。
- まあ、そんなところかな。
- “生命線が短い力士”かも知れませんよ?
- なんで生命線が短い力士のことなんか調べる必要があるんだ。
- わからないんですよ世の中は。誰が何を検索してるか。何のために検索してるか。こんな時代ですからねえ。
- こんな時代って、どんな時代だ。説明してくれないか。
- 次は?
- え?
- 次。
- ああ、次か。次に途方に暮れたのはこれだ。驚いたよ。「抜いてあげた」だ。
- 抜いてあげた?
- そう。抜いてあげた。
- 何を?
- 知らないよ。わたしが検索したわけじゃないんだから。
- そんな無責任な。
- 無責任?
- そうですよ。そのくらい知らなくてどうするんです。人をアテにしてばかりじゃだめですよ。こんな時代なんですから。
- だから、どんな時代なのか教えてくれよ。
- ほら、そうやってすぐ人を頼りにする。
- なんだか、わたしが言いくるめられているじゃないか。
- それだけですか。
- え?
- だから、検索キーワード。
- いや、まだまだあるよ。これがリストだ。
- 最初からこれ見せてくれればいいじゃないですか。
- まあ、そうなんだけどね。
- しっかりしてください。こんな時代なんですから。
- だからどんな時代なんだよ!

2004年8月18日


Hey, Dubya.

Listen to me carefully.

Our lovely, trully lovely Hedgehog will be on a visit to your country from now on. One little act of offense to her and you'll pay for it.

One more thing. The word "children" is plural.

2004.8.17  FURUYA Yuichiro


ムラタ君と社長

- ムラタ君。
- あ、社長。おはようございます。
- おはよう。いいねえ、朝から元気があって。
- はい。
- つかぬことを聞くようだが、君は音楽は好きか。
- 音楽ですか? ええ、好きですけど。
- 軽音楽は好きか。
- ケーオンガク、ですか?
- 嫌いか。
- いえ、ケーオンガクって、ポップスとかですよね。
- ハイカラだねえ君は。
- ハイカラ……。
- 何だ。おかしいか。
- あ、いえ……。
- ……。
- ……。
- 少しはまじめに働きなさい。
- え? しゃ、社長!

2004年8月16日


日記

― なに書いてるの?
- ……
- レポート?
- ううん。
- なに。
- ……日記。
- 日記つけてるんだ。えらいねー。
- ……。
- きのうの?
- ……きょう。
- きょうって、いまお昼食べたばっかじゃん。
- ……
- ねえ。
- うん。
- お昼食べて、もう日記?
- ……
- なんで? ふつう夜じゃん、日記って。
- ……
- ねえなんで?
- ……
- ねえ!
- 間に合わないの!
- え?
- 今から書かないと。半日かかるし。徹夜するのイヤだし。
- 半日?
- 八時間くらい。
- ……
- 書くの遅いの! だから今書かないと間に合わないの! わかった? わかったら静かにして、集中できないから!
- わかったけど、でもそれって……
- あーうるさい! 徹夜になっちゃうじゃん!

2004年8月15日


Oh! Mikey

「あしたは大好きなエミリーちゃんとお化け屋敷デートなんだ。わくわくして眠れないぞ! 楽しみだなあ」
「マイキー! こんな時間まで起きてちゃだめよ。はやく寝なさい」
「眠くないもん」
眠くなりなさい
「えぇー?」
「宿題は済ませたんでしょうね」
「もちろんだよ! と言いたいけど、やってません」
「なんですって! 宿題をしないのはとても悪いことなのよ。どうしてしないの?」
「だって、わからないんだもん」
わかりなさい
「えぇー? だって、わからないから、できないよ」
できなさい
「えぇー?」

2004年8月13日


いい加減

「お、なんかきょうは張り切ってるな」
「わかる?」
「何かいいことでもあったか」
「決めたんだ」
「何を」
「きょう一日いい加減に過ごす、そう決めたんだ」
「いい加減って、どんな風に過ごすの」
「いいか、まず9時から12時までぼーっとするんだ。お昼を食べたら1時から3時までビシッとごろ寝だ。3時から6時はのほほんと過ごす。6時から9時まではぼんやりだ」
「晩ご飯は」
「もちろん食べる。でも10時からがすごいぞ。10時からはな、のんべんだらりだ。どう思う」
「すごくいいと思うよ」

2004年8月13日


記録

跳んでください一センチでも高く
走ってください一秒でも速く
持ち上げてください一グラムでも多く

次から次へと世界記録をつくってください
せめてカラダだけでも進歩してください
我が愛する人類よ!

頼りにならぬアタマのほうは
疑いぶかいココロのほうは
おあとをゆっくり参ります

先に逃げてくださいいざとなったら
また類人猿のあたりからやり直しましょう

谷川俊太郎「記録」(1964)
『谷川俊太郎詩集 続』思潮社、304~305頁

2004年8月12日


かわいくない?

「ねえねえ」
「なーに」
「夢精ってかわいくない?」
「え?」
「かわいいよねー」
「なんの話?」
「夢精」
「ムセー? ムセーって、あのムセー?」
「うん」
「なにそれ! なに、かわいいって?」
「だって夢の精だよ」
「夢の精! アハハ! 妖精じゃんそれじゃギャハハハ! あーおっかしー」
「会ってみたいよねー」
「会いたくないです。てゆーか会えないし」
「わかんないよー?」
「わかるし」
「ひどーい! どーでもいいけどさー、あたしたちふだんこんなしゃべりかたしないよねー」
「うん」
「てゆーか、あたしたち誰?」

2004年7月31日


「これが私の優しさです」

窓の外の若葉について考えてもいいですか
そのむこうの青空について考えても?
永遠と虚無について考えていいですか
あなたが死にかけているときに

あなたが死にかけているときに
あなたについて考えないでいいですか
あなたから遠く遠くはなれて
生きている恋人のことを考えても?

それがあなたを考えることにつながる
とそう信じてもいいですか
それほど強くなっていいですか
あなたのおかげで

谷川俊太郎「これが私の優しさです」(1968)
『谷川俊太郎詩集 続』思潮社、372~373頁

2004年7月30日


「毎日ペロペロ」

7月18日から26日までの検索キーワード一覧。783種。

「how+to+make+Takoyaki」
「イチロー そんなことはどうでも」
「ざの人」
「ミュウミュウのバック」
「雲が流れるアニメーション」
「会うは別れの始めなり」
「幸せ……小林幸子」
「清から2001年まで」
「体を張った芸」
「毎日ペロペロ」
「優しさとは何か」

優しさとは何でしょう。

2004年7月29日


つもり

自分じゃ生きてるつもりで
歌いながら番いながら小鳥が死ぬ
自分じゃ生きてるつもりで
わきめもふらず働きながらひとが死ぬ

僕は自分が死ぬのはこわくない
こわいのは小鳥が死ぬこと
こわいのはひとが死ぬこと

自分じゃ生きてるつもりで
葉を風にそよがせて木が死ぬ
月に見守られながら海が死ぬ

自分じゃ生きてるつもりで
僕の書く言葉が死ぬ
木と海と小鳥とひとつの死体の上で
自分じゃ生きてるつもりで

谷川俊太郎「つもり」
『谷川俊太郎詩集 続』思潮社、806~807頁

2004年7月28日


思考停止

「考えることをどこかでやめると、考えを停止したことによってそこから先に発生するマイナスは、借金が雪だるま式に大きくなっていく、というようなことに例えることができる。思考を停止した人が最も陥りやすいのは、べきである、べきではないという、すでにその人のなかで出来上がって固定されている価値観によって、すべてを性急に裁断してしまうことだ。その人の価値観はその人の財産であり、少しだけ大げさに言うなら、それはその人の既得権益のようなものだ。これを守ろうとして活用される、べきである、べきではない、という価値観は、持続させることがもはや不可能なほどに効用のつきた制度であり、現在という現実に対して、これほど無力なものはない」

片岡義男『影の外に出る』NHK出版、2004年、7頁

2004年7月27日


正義の味方

「ふっふっふ。もう逃げられないぞ。さっさと設計図を渡せ」
「渡すもんか!」
「ほほう。妹がどうなってもいいのかな?」
「なにッ!」
「お兄ちゃん!」
「こんな時に正義の味方が来てくれれば……」
「……お待たせいたしました」
「なんだ貴様は!」
「あちらにクルマを用意してありますので、さ、今のうちにどうぞ」
「え?」
「お怪我はございませんか」
「うん」
「脚から血が出ていますが……」
「あ、これはね、さっき転んだだけだから。だいじょうぶ」
「おい! お前たち何をごちゃごちゃ抜かしておる!」
「これはどうも失礼致しました。ご紹介が遅くなりまして。こういう者です」
「……株式会社ジャスティス・ジャパン?」
「当社はですね、善悪のソリューション部門において400社を超える実績に基いたノウハウとリソースを集約しておりまして、コンサルティングからソリューションのご提案まで包括的に支援を行っております。データをビジュアルに捉えて顧客ニーズの発掘などの分析で付加価値をつけるソリューションもご提案させていただいておりまして」
「なんだかわからないけど、おじさん、助けて!」
「ありがとうございます。ではお手数ですがまずこちらのアンケート用紙にご記入を」
「そんな暇ないよ! 見てよ! 殺されるんだよ!」
「先ほどから拝見しておりました。まあこんな時代ですから、情報戦略から戦術策定、実行までのスピードアップが鍵でございます。オプションの欄がございますが、妹さんの救出をご希望でしたら『人質救出』のところにマルをつけて下さい。未定でしたら空欄のままで結構です。今回は資料のご請求ということで、一週間後にお送り致しますので」
「ここにマル?」
「そうです。あ、このボールペンで」
「こう?」
「ありがとうございます。さ、はやくクルマへ」
「ちょっと待って。資料の請求って、今やっつけてくれるんじゃないの?」
「ええ、先ほどもご説明しましたとおり、私どもはあくまでも“ソリューションのご提案”をさせていただく、というわけでございまして」
「話がよくわかんないんだけど」
「詳しい内容につきましては、資料を見ていただいてですね……」
「おいッ、貴様ら!」
「はい?」
「オレ様は……オレ様はどうすればいいのだ」
「あ、これはこれは失礼いたしました。資料のご請求、ということでよろしいですか。ではこちらのアンケート用紙に……」
「ふざけるな!」
「……」
「オレ様を誰だと思っているのだッ!」
「妖獣ギドラ様ですね」
「……知ってたのか」
「もちろんでございます」
「……すごいな」
「当社は世界149ヶ国にネットワークがございまして、データベースは……あ、詳しい話はおクルマでご一緒に」
「そうか。じゃ、一緒に行くかな」

2004年7月26日


「そんな話はいいじゃないか」

「ムラタ君」
「あ、社長。おはようございます」
「おはよう。どうだね、最近は」
「はあ……。あ、例の件なんですが、先方がどうしても水曜までに見積もりを出してほしいと言ってるんですが。なんだか向こうもいろいろあるようでして……」
「そんな話はいいじゃないか」
「……はい?」
「いいじゃないか、そんな話は」
「ですが……」
「それよりどうなんだ、珠緒は」
「タマオ? タマオって……中村玉緒ですか?」
「馬鹿か君は! さとう珠緒に決まってるだろうが!」
「はあ……」
「どうなんだあの子は……。嫌われてる自分が好き、そういうことなのか?」
「……わかりません」
「しっかりしなさい」
「え?」
「君はスパイダーマン2を見たか」
「スパイダーマン……映画ですか。いえ、見てません」
「そうか……じゃ、わたしはこれで」
「え? 社長!」

2004年7月25日


世界一美しい

「ほーっほっほっほ。美人、それがどうかしたの? 私は世界一美しいブスよっ。」

笙野頼子『説教師カニバットと百人の危ない美女』(河出書房新社)1999年1月の新聞広告コピーより

2004年7月24日


作文

「では授業を始めましょう。きょうは作文ですね。みんな書いてきましたか」
「はーい」
「では読んでもらいましょう。タナベさん」
「はい」
「読んでください」
「はい」
「立ってね。みんなに聞こえるように」
「はい」
「なにを書いてきましたか」
「……船で沖縄に行ってきました」
「船で? まあよかったわねえ。じゃあ、船旅の話かな」
「……そうです」
「ではお願いします」
「はい」

大阪南港から風は私を運んでいって日向の国へ近づけました。そこで私はを攻略し市民らを掃蕩したのち、市中から婦女たちやたくさんの財物などを奪い取って、家族で分配しました。公平な分け前を受け取らずには誰も出てはいかぬようにして。そのおりまったく私にしては、足に帆かけて早々そこを逃げ出すようにと命じましたのを、家族の者らはまるきり何のえもなく、それをこうといたしませんで、その場でしたたか酒を飲みつづけ、牛をまた何頭も浜辺で屠殺しておりました。

「タナベさん?」
「はい」
「途中でごめんね……えーとね、あのね……」
「なんですか」
「……あ、なんでもない。続けてください」
「はい」

そうするうちに、ツングースの騎馬民族がやって来たのです。この連中は数も多くて武勇にすぐれ、内地に住まっておりますのが、馬上からの武士らと戦う技も心得ており、また必要に応じては、徒歩でもができるという者ども、それがこの折やって来たので、その多勢なことといったら、季節の花や葉の数ほど、しかも朝早くにです。まったくその折にこそ、迩迩芸命から来た凶運が、われわれ哀れな運命の者に取り憑いたのです。われわれは進みの速い船のえに陣取って戦をしてまいりました。互いに青銅の刃を取りつけた長身の槍を投げあいまして。それで朝がたのうちい陽射がおいおいと高まってゆくあいだ、その間は敵方のほうが多勢ながら、防戦して持ちこたえていたものです。ところが西へ日が傾いて、牛をから解き放す頃にもなると、その時分にとうとうツングースの騎馬民族はわが弟をめたのでした。 残りはともかく死の運命をれましたので、そこからさらにわれわれは船を進めてゆきました。愛する家族を失したことに胸をたいそう痛めながらも、死を免れたのを幸いとして。それでも無論、憐れな弟の名を大声で三度呼ばないうちは、両端の反り返った船を先へ進めはしませんでした。

「タナベさん?」
「はい」
「……弟さん、二年二組のハヤトくんだよね」
「はい」
「沖縄、行ったんだよね」
「はい」
「沖縄の話は……」
「続きがあるんです」
「あ、ごめんね」

ところがわれわれの船へと叢雲を寄せる迩迩芸命は北の風をおそろしい勢の突風もろとも起こしなさって、群がる雲で大地も大海原もひとしく蔽いかくすほどに、大空から夜が湧きおこった。それから船は船首を波に突っ込んだまま運ばれてゆき、張った帆は風の力で三つに裂け、四つに裂け、ちりぢりに引き裂かれたのに、われわれは破滅をおそれて帆組を下ろして船中に収めました。そして大急ぎで櫂にとりつき、船自体を志布志の地へと漕ぎ寄せたのです。この場所に二日と二晩、引き続いてずっと同じところに家族一同ぐったりして臥込んでいました。疲労と苦悩に命をり減らしつつ。しかしいよいよ三日目の日を結髪もみごとな暁の女神がもたらしたとき、帆柱をまたおし立ててから、真っ白な帆を引き上げて張りわたし、櫂座へ坐り込みました。それであるいは恙なく琉球の土を踏むこともできたでしょうに、波風と潮の流れがちょうど佐多岬をぐるりと折れて回ってゆく際、北風さえも加わって船を陸から押し遠ざけ、黒毛島のをただよい過ごさせたので、そこから九日のあいだ忌わしい風のまにまに魚鱗に富む大海原をただよい渡っておりました。

「タナベさん?」
「はい」
「沖縄は……」
「沖縄は下です」
「ゲ?」
「いま上の真ん中へんです」
「はいわかりました。じゃあ続きは来週にしましょう。どうもありがとう。では次……ミツイくん」
「はーい」
「ミツイくんはなにを書いてきたのかな」
「昆虫採集です」
「ではお願いします」
「はーい」

ガラパゴス諸島は赤道直下にある。

「……えーきょうはこのくらいにして、あとは自習にします」
「やったー!」(歓声)

ホメロス『オデュッセイアー(上)』(呉茂一訳、岩波文庫)を参照しました

2004年7月23日


絶望する余裕さえない

「演劇を専門にしている私のもとにはまだ二十歳代の俳優志望の者らが多く集まり、それはたとえば、ワークショップという場になるが、あるワークショップに来ていた二十歳代の女性たちの何人かが『リストカッター』だと知ったときは何か背筋の寒くなる思いがした。あるいは、それら若い女性たちが精神科に通院して薬を処方してもらっている話もしばしば耳にする。そこに『鬱』は存在しそれが時代の病となっているのを想像させられるが、その根源ともいうべき女たちの『自己実現の焦燥』は、しかしそれほど深刻なものではないと感じるのは、なによりも若いからこそ、『絶望』するだけの余地があると思えてならないからだ。けれども『絶望』すら諦めざるをえない者がいるのではないか。もちろん年齢に関係なく世界中のいたるところに、泣くことさえ許されない現実、『絶望』する余裕すらない現実があるのは知っているが、もっと身近なところに目を移すと、たとえばそうした『絶望』は多発する鉄道自殺を新聞の記事に発見したときのやりきれなさにかすかに見える。首都圏の鉄道、なかでも『JR中央線』で頻発する、その大半が『飛び込み自殺』だと知られている『人身事故』の当事者とは、先に挙げたリストカットするような『若い女たち』ではなく、ほとんどが中年の男たちであることが新聞の記事を丹念に読めば分かる」

宮沢章夫「四十七歳の憂鬱・特別篇」
『ユリイカ』2004年5月号、183頁

2004年7月22日


詩人

谷川  〔……〕インスピレーションなんて言うけど、自分のなかのものが出てくるんじゃないんです。天から降ってくるんですよ。
高橋  ホントに?
谷川  ホントに。ぼくは天からじゃなくて下から上がってくるんだけど。恐山のイタコと同じ。自分の内面の教養とか知識とか情念とかあんまり関係なく、日本語が下からのぼってきて、それを書きつけると詩に見える。基本的にそういう性質があります。だから詩人のほうが信用できませんね。小説家はやっぱり人間世界に足をおろして、日々真摯に生きてますよ。
高橋  でしょう。いい人たちですよね。
谷川  悪いこともするいい人たちですね。
高橋  微妙ですね(笑)。
谷川  詩人は悪いことすらできない―――
高橋  悪い人たち?
谷川  いや、いい悪いを超えてる。人間のところからちょっと浮き上がってますからね。だから逆に人間世界では首を切られようが文句は言えないのが詩人じゃないでしょうか」

谷川俊太郎×高橋源一郎「詩のこえ、小説の声」(対話)
『現代詩手帖特集版 高橋源一郎』239~40頁

2004年7月21日


夏の日の歌

青い空は動かない、
一つあるでない。
  夏の眞晝の靜かには
  タールの光も淸くなる。
夏の空には何かがある、

いぢらしく思はせる何かがある、
  げて圖太い向日葵が、
  田舍の驛には咲いてゐる。
上手に子供を育てゆく、

母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。
山の近くを走りながら、

母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の眞晝の暑い時。

中原中也「夏の日の歌」(1933)
『中原中也全詩歌集』講談社文芸文庫、46-7頁

2004年7月20日


「シンクロナイズドスイミングもどき」

7月10日から17日までの検索キーワード一覧。630種。

「22世紀+こうなる」
「あぶらがみ」
「カビの培養」
「かもめ幼稚園」
「こだわりレシピ」
「コミックソング(北海道)」
「サイボーグっぽい」
「シンクロナイズドスイミングもどき」
「スタッフ政治」
「ミキサー車 の仕事 給料」
「レモン入りオリーブオイル」
「旭川の女性」
「運動の神」
「月のマーク」
「口の中+ちまめ」
「私を救った+ひらめき」
「出生率低下の対策」
「小紋染め」
「心霊の声」
「冬のあなた」
「読者のダイエット」
「馬耳豆腐」

いちばん多かったのは「梅宮アンナの元夫」でした。

2004年7月19日


貧乏

小三治  あと泣いたってのは、近年、十年かもうちょっと前かもわかりませんけど、『バベットの晩餐会』(ガブリエル・アクセル監督、1987年、デンマーク)ってのがありまして、これは泣きましたねえ。

〔……〕

 で、本当に泣いたのは、その宴が終わってみんなが帰って、その女中さん、バベットというんですけど、バベットが戦場だった台所でほっと一息ついていると、そこへ主人の姉妹が話しかける。『あなた出ていくの?』『いえ、わたし行くとこありませんから』『だって宝くじに当たったじゃない』『全部晩餐に使ってしまいましたから』っていうわけですよね。『実はわたしは、パリのカフェ・アングレの料理長でした』……。ああ、この話してると涙出てきちゃう(笑)。
 主人の姉妹が『じゃァあなた、貧乏になっちゃったのね』というと、次のひとことでほんっとに声を出して泣きましたね。『芸術家に貧乏はいませんわ』という言葉なんですよ。

 〔……〕

 おれたちはねェ、金があるのないの、家を建てたのって、そんなことじゃなくて、ただ好きで(噺家に)なったと思ってるんですよ。それを好きでいる限り、どんな暮らしをしてたって、貧しくはない。だから『芸術家に貧乏はいませんわ』って言葉に嗚咽してしまった。すばらしい。」

柳家小三治
『東京かわら版』平成16年6月号、5頁

2004年7月18日


速いよ

14日の「お知らせ」にも書きましたが、サイト内検索のプログラムを変えました。劇的に速くなりました。

対象となるファイルの数は二千以上あるのですが、一瞬です。マジで。もちろんひとりで二千も書いたわけではありません。書けるもんか。「森羅萬象」「意味なし」などのファイルも含まれているからです。

2004年7月17日


精神のトイレ

五木寛之  この間聞いてびっくりしたんだけれど、今の子供たちは給食がまずいと思っても、食べないとか、こんなもの食えるかって投げつけるとか、そういうことはいない。食べる。とにかく食べる。食べた後で、トイレに行って吐くんだそうです。トイレの前に行列つくってる。反抗もサボタージュもしない。非常に従順に押しつけられたものを受け入れる。ただもちろん、嫌悪感とか抑圧はあるわけで、それを個人的に便所で吐く。ひょっとしたら、インターネットとかEメールとかいうのは、精神的なトイレかなと思ったりすることがあるんです」

松浦理英子『おぼれる人生相談』角川文庫、293頁(巻末対談)

2004年7月16日


個人主義者同盟

「それでは8.11大会のモットーをもういちど確認いたしまして本日の総会をしめくくりたいと思います。『人の意見は犬に食わせろ』」
「異議なし!」
「『いつも心に疑いを』」
「異議なし!」
「『孤立のためには連帯も恐れず』」
「異議なし!」
「長時間ありがとうございました」

2004年7月15日


「ぱきぱきぱきんこ」

7月2日から9日までの検索キーワード一覧。652種。

「きゅうりのきゅうちゃん」
「けまり 作り方」
「ゴッホのひまわりの絵」
「ぱきぱきぱきんこ」
「バチカン市国+のごはん」
「感激について」
「厳寒の黒部ダム」
「体弱いねん」
「微熱がつづく」
「帽子の加工」

バチカン市国のごはん。食べてみたいな。

2004年7月14日


「あんたはエライ!」

「彼〔=小松政夫〕は『クレージーキャッツ』の楽器運び、業界では俗にいう“ボーヤ”上がりだから苦労してるんです。
 だからマナーはうるさいですよ。特に若手には。彼はちゃんと筋立ててハッキリ言いますから。自分がずっとそうやってきたから、そういうものを省かれるのは一番腹立たしいことなんでしょうね。

 〔……〕

 小松政夫っていう男は、ぼそーっとしてて、自分からアクティブに動くタイプじゃないんだけど、世の中のことを、それこそ重箱の隅をつつくような感覚で見てて、とても普通の人じゃ見つけられないようなものを見つけてくる天才。
 ルバンク島から生還した小野田寛郎さんをお母さんが空港に出迎えたときの様子を、的確にまねをする、例の『あんたはエライ』っていうやつです。普通は小野田さんのほうのまねを考えますよね」

伊東四朗『この顔でよかった!』集英社be文庫、161~163頁

2004年7月13日


言葉

「わたしたちは空気を呼吸して生きている。そしてあるばあいは空気を呼吸していることをまったく意識さえしていない。おなじようにわたしたちは言葉をしゃべり、書き、聴き、読んで生きている。しかし、あるばあいには言葉をまったく意識さえしていないのだ。これはとても健康な状態だというべきだ。言葉を言葉としてとりだして考察するという一種の不毛な病は、言葉をかくという作業がとめどなくすすみ、袋小路に入ってしまった文化の段階を示唆するもので、ふたたび古代人とはべつな意味で、言葉が物神にまでおしあげられたことの証左なのだ。だから、わたしたちは、やむをえず、という意味と、必然的にという意味のふたつを負って、言葉を言葉そのものとしてとりあげるのである」

吉本隆明『言語にとって美とはなにかⅠ』角川ソフィア文庫、74頁

2004年7月12日


木の実ナナさん

誕生日。おめでとう。

2004年7月11日


美しい

「この世のありとあるものは、ありとあるものの必然に従って『美しい』のです。
 『ありとあるものの必然』とはなんでしょうか? 『ありとあるものは、人間の都合と関係なく存在している』ということです。
 そこに山がある、そこに雲がある、そこにゴキブリがいる―――どれもこれも『人間の都合』とは関係のないものです。自分の都合とは関係のないものに囲まれて人間は生きて、そこで『自分の都合』によって、すべてのものを解釈し直しているだけです。〔……〕
 利害を超越した目で見られた時、人間の都合によって『存在しない』ということにされているものは、どのように見えるか?
 それは、ただ『存在している』と見える。そして、利害とは関係なく『ただ存在しているだけのもの』を見た時、人は『美しい』と感じる―――そうである方向へ進んで行く。〔……〕
 『美しい』は、人の利害からはずれている。だから、その認識はなんの役にも立たない。だから、『美しい』は利己的ではなく、『カッコいい』の上にある」

橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』ちくま新書

2004年7月10日


三連休は銀座です

17日からの三連休、銀座を落語が占拠します。

大銀座落語祭2004。

有楽町朝日ホール、ヤマハホール、銀座ガスホール、JUJIYAホール、ソミドホール、中央会館。

たとえば有楽町朝日ホール。

【Aブロック】17日(土)
12:00-13:00 林家こぶ平奮闘公演「志ん生の世界へ」
13:30-14:30 桂春団治の会
15:00-16:00 立川志の輔の会

【Bブロック】17日(土)
17:00-18:00 高田文夫プロデュース
      昔昔亭桃太郎、春風亭昇太、高田文夫
18:30-19:30 笑福亭鶴光・月亭八方二人会
20:00-21:00 劇団ひとり・パペットマペット・江戸むらさき・ダンディ坂野 vs. 謎の爆笑落語家

【Cブロック】18日(日)
12:00-13:00 三遊亭小遊三・三遊亭楽太郎二人会
13:30-14:30 桂文枝の会
15:00-16:00 三遊亭円楽の会

【Dブロック】18日(土)
17:00-18:00 林家こん平・林家たい平・林家いっ平親子会
18:30-19:30 春風亭小朝の会
20:00-21:00 笑福亭鶴瓶の会

【Eブロック】19日(祝)
12:00-13:00 柳家花縁・風間杜夫二人会
13:30-14:30 桂歌丸の会
15:00-16:00 桂三枝の会

【Fブロック】19日(祝)
17:00-18:00 桂小米朝奮闘公演「地獄八景亡者の戯れ」
18:30-19:30 林家木久蔵・三遊亭好楽二人会
20:00-21:00 桂文珍の会

各ブロック前売り4,000円、当日4,500円。顔付けからしてこれは破格の安さ。

初日18時の銀座ガスホールは「立川流 vs. 上方の凄い人々」。林家染二、旭堂南左衛門、笑福亭福笑、立川志らく、立川談春、快楽亭ブラック。この顔ぶれで前売り1,800円。

企画したのは「六人の会」。春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、林家こぶ平、春風亭昇太、立川志の輔と柳家花縁です。言いだしっぺは小朝。えらい。上方から大挙参加するのは鶴瓶のおかげ。えらいよ。

詳細は小朝のサイトで。

2004年7月9日


人気者

「何してるの」
「……え? なんだ、おまえか」
「何してるの」
「いや、あそこにね、いるから」
「いるって誰が」
「人気者」
「ニンキモノ?」
「大きな声出すなよ。聞こえちゃうだろ」
「どこ」
「あそこ」
「……コンビニの弁当食べてる、あの人?」
「人気者も食べるんだねえ、コンビニの弁当」
「おまえ、ずっと見てるの?」
「かれこれ一時間」
「一時間、コンビニの弁当食べてる人見てるの?」
「さっきは絵描いてた」
「絵?」
「弁当食べる前。ベレー帽かぶってた」
「ベレー帽って……漫画みたいだな」
「人気者はちがうよなあ」
「だいたい、あいつ誰?」
「だから人気者だって言ってるだろう」
「人気者って……」
「あ、立った」
「ほんとだ」
「弁当、ゴミ箱に捨てた」
「ちゃんとしてるな。地球にやさしい人気者だな」
「馬鹿にしてるのか」
「いや、別に」
「なんか言い方にトゲがある」
「そうかな」
「うわ! 踊ってる」
「あれって踊りなの?」
「踊ってるじゃないか」
「手足ブラブラさせてるだけじゃん」
「あれが踊りじゃなかったらなにが踊りだっていうんだ!」
「なんでおまえが怒るんだよ」
「あ、しゃがんだ……。バンザイした!」
「ほんとだ……。しゃがんでバンザイする人、初めて見たよ」
「おまえラッキーだな」
「なんで」
「しゃがんでバンザイする人なんてめったに見られないだろ」
「……」
「さすがは人気者だよなあ。あ、電柱によじ登った……。よじ登って、電柱を抱きしめて……あ、泣いてる……」
「警察に通報した方がいいんじゃない?」
「しーッ! そうか、人気者もつらいんだな……」
「つらいって電柱だよ? なにがあったか知らないけどさ、登らないだろう、ふつう」
「そこが人気者なんだよ。あー心臓ドキドキしてきた! オレきょう眠れないかもしれない!」
「おまえにはいつもびっくりさせられるよ」

2004年7月8日


「10キロ太ってしまった」

6月24日から7月1日までの検索キーワード一覧。685種。

「10キロ太ってしまった」
「カメルーン焼酎」
「これからの金儲け」
「どうして人は騙される」
「ひだまりの詩を歌おう」
「火もまたすずし+心頭滅却+誰」
「患者に人気 名医」
「近年の経済事情」
「九年後+地球」
「三つに折る」
「女王さん」
「男にとって子供とは」
「特定郵便局、局長、おいしい」
「日本の蝉」
「夫に仕返し」
「役に立たない人+四字熟語」

九年後の地球か。九年後の地球ねえ。

2004年7月7日


未来

「あの」
「なんだ」
「昔読んだ本なんですけど」
「うん」
「未来って予知できませんよね」
「なんだ、薮から棒に」
「でも予知できないだけで、実は定められているって、その本に書いてあったんです。じゃあどうして予知できないかというと、それはちょうど電車のいちばん後ろから外の景色を見ているようなものだからだって」
「後ろから景色を見る?」
「ええ。電車がこう、走ってるとしますね。いちばん後ろの車両の窓、進行方向と正反対の窓から外を眺めるんです」
「うん」
「景色、見えますね」
「見えるだろうな」
「目の前に線路がまっすぐ伸びていて。背後から景色がどんどん視界に入ってきて」
「それがどうした」
「どう思います?」
「どうって」
「時間も同じだっていうんです。先のこと、未来のことは、まだ見えないけど、電車の後ろの車両からみる景色みたいに実際はちゃんと背中の方に未来はあって、いずれ視界に入ってくるって」
「時間は走ってる電車と同じだと、こういうことか」
「ええ」
「運転士は?」
「え?」
「いるだろ、運転してる人。先頭に。訊けばいいんじゃないのか、運転士に」
「これは譬えの話で……」
「無人? ゆりかもめみたいに」
「いや、ですから……」
「いっそのこと自分で運転したらどうだ。前の景色、見放題だぞ」
「聞いたわたしが馬鹿でした」
「それが分かれば君も一人前だ」

2004年7月6日


さぼってませんか

「あの」
「なんだ」
「最近さぼってませんか」
「なにが」
「ごあいさつ」
「ごあいさつって、ここのことか」
「ええ」
「……ばれたか」
「当たり前です」
「……目ざといね、君も」
「見りゃわかります」
「でもギリシャ人よりはいいだろう」
「は?」
「ギリシャ人。あるだろ、オリンピック」
「ええ」
「会場の建設が遅れてるそうじゃないか」
「ああ、なんかそうらしいですね」
「オリンピックが終わるまでに間に合えばいいと思ってるらしいぞ。嬉しいじゃないか」
「嬉しいですか?」
「スペイン人もだ」
「え?」
「セビーリャで万博があっただろう。92年」
「ええ」
「どこかの政府パビリオンがね、遅れに遅れたんだよ。終わるまでにはなんとか完成したんだけどね」
「で、その話と、このごあいさつと、何の関係があるんですか」
「そんなことも分からないのか。君はギリシャ人か」
「はァ?」

2004年7月5日


「引きづり女」

6月11日から17日の検索キーワード一覧。741種。

「アメリカの星条旗」
「お腹の音+ラジオ」
「ダイエット+成功+定義+2年」
「メガネの愛眼・書き込み」
「引きづり女」
「雲海酒造+決算」
「英検に受かる」
「外で遊ばない子供」
「四字熟語+しょかつこうめい」
「心霊の声」
「全国の井上さん」
「着ぐるみに入っていたのは」
「天國を經由して地獄まで+」
「電撃ショック! 芸能プロ社長が恐喝で逮捕」
「肌が合う」

5月末に Yahoo! JAPAN が Google との提携を打ち切って自前の YST にしてから、「とりかえっ語」「語尾取り」「森羅萬象」などが Yahoo によくヒットするようになりました。

2004年7月2日


僕は卓子の上に、
ペンとインキと原稿紙のほかなんにも載せないで、
毎日々々、いつまでもジツとしてゐた。

いや、そのほかにマッチと煙草と、
吸取紙くらゐは載つかつてゐた。
いや、時とするとビールを持つて來て、
飮んでゐることもあつた。

戸外では蝉がミンミン鳴いた。
風は岩にあたつて、ひんやりとしたのがよく吹込んだ。
思ひなく、日なく月なく時は過ぎ、
とある朝、僕は死んでゐた。
卓子に載つかつてゐたわづかの品は、
やがて女中によつてく間に片附けられた。
――さつぱりとした。さつぱりとした。

中原中也「夏」(1929)
『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫

2004年7月1日


作家に聞く

「今日は遺言作家の三谷光輝さんにお話をうかがいます。三谷さんはこれまでにずいぶん遺言をお書きになっていますが」
「そうですね」
「書き始めてどれくらいになります?」
「大学を出て出版社に3年勤めて。辞めた直後だったから、40年くらいかなあ」
「小説家になろうと思ったことは?」
「最初は小説書いてました」
「そうだったんですか。でも出版は……」
「地元の文学賞に応募したんですけど、見事落ちまして」
「それで遺言作家に?」
「小説のラストに主人公の遺言を書いたんですけど、編集者がそこを読んで泣けたって言うんです。他はひどいけどここだけは読ませるって、変な褒められ方しましてね」
「変ですね」(笑)
「変でしょ?」(笑)
「では編集者の勧めで?」
「そうなんです。『遺言で行ったらどうだ』って」
「びっくりしませんでした?」
「しましたよ。最初は冗談だと思いました」
「しかも登場人物ではなく三谷さんご自身の……」
「今でこそ遺言文学もずいぶん知られるようになりましたけど当時はまったく。だって遺言ですよ?」
「ですよねえ」
「書いたことありませんからねえ」
「ありませんよねえ、ふつう」
「でも編集者がとにかく書けの一点張りで」
「デビュー作の『遺言』は昭和42年ですね」
「ええ」
「大ベストセラーになりましたけど、どんなお気持ちでした」
「何かもうわけわかんなくてね。160万部でしょ」
「私も買いました」
「ありがとうございます」
「全部手書きで」
「自筆じゃないと遺言になりませんから」
「でも160万部ですよ? それもたった半年で。よく体がもちましたね」
「死ぬかと思いました」(笑)
「本物の遺言になるところだった(笑)。びっくりしたのは、本屋さんに行ったら文学の棚になくて」
「山形の友だちは料理のコーナーにあったって」(笑)
「迷ったんじゃないですか、本屋さんも」
「だからって料理はねえ……」(笑)
「ご結婚はその頃?」
「『続遺言』を書いていた時です」
「これもベストセラーで。奥さんとの出会いは?」
「熱心な読者だったんですね、『遺言』の。手紙をくれまして」
「ファンレター?」
「まあ、そうですね。何度かやりとりしているうちに一度会おうかっていう話になって」
「どんな方です?」
「ふつうの人ですね。ふつうとしか言いようがない」
「遺言に興味があるとか……」
「あるわけないじゃないですか(笑)。います、そんな人?」
「でも三谷さんの奥さんになる方ですから……」
「ベストセラーだから読んだらしいです。それだけです」
「プロポーズはなさったんですか」
「したかなあ……」
「トボケてる」(笑)
「いや、しましたけど」
「何て?」
「いいじゃないですか」(笑)
「でもこの際ですから……」(笑)
「この際って……」(笑)
「対談とか滅多になさらないでしょ」
「デビューした時に一度。それっきりですね」
「で何て?」
「(照れくさそうに)『オレから遺言とったら何も残らない。それでもいいか』って」
「奥さんは何てお返事を?」
「『私の遺言を書けるのはあなただけよ』」
「まあステキ!」
「ステキですか……」(笑)
「今もとっても仲がよろしいそうです」
「完全に尻に敷かれてます」
「でも噂ですよ」
「今朝も『今月の遺言まだ?』って」
「編集者みたい」
「いつも真っ先に読んでくれるんでありがたいです」
「連載の数がすごいですよね。いくつあります?」
「いくつかな……。週刊誌が5つ、月刊誌が3つ、それと新聞。9本ですね」
「混乱しません?」
「しますよ。雑誌と新聞で同じネタ使っちゃうなんてことしょっちゅうですし」
「そうなんですか? 気がつきませんでした」
「遺言って、切羽詰まって書くと思うんですよ。だからあんまりうまく書かない方がリアルなんじゃないかと」
「書きなれている方がおかしい?」
「妙にこなれた文体だとやっぱり……」
「『この人しょっちゅう書いてるんじゃないかしら』なんて……」
「でしょ? まずいですよね、それって」
「多少いい加減でいい?」
「むしろいい加減な方が“らしさ”が出る」
「わざと?」
「作家ですから。いかにいい加減に見せるかが勝負ってところがありますね」
「いい加減といえば、誤字脱字がひどいって、ひところ文壇で叩かれましたね」
「『小学一年生でももっと巧く書ける』」(笑)
「反論しましたよね」
「『小学一年生の遺言を見せてくれ』」(笑)
「著書は何冊ですか?」
「それを調べるのがあなたの仕事じゃないの?」
「すみません……」
「ちゃんと数えたわけじゃないけど、単行本がだいたい150冊、文庫本が70冊くらいかな」
「やっぱり手書きで。手、疲れません?」
「手より肘をやられますね。医者にも、この調子で書き続けたら遺言肘になるって言われてます」
「健康管理にも気をつけていらっしゃる?」
「最近よく思うんですけど、遺言は体力なんです。体力がないと書けない。健康あっての遺言です」
「とてもお孫さんがいる年齢とは思えないくらい若々しくていらっしゃいますが、何か秘訣は?」
「毎朝ジムで三時間トレーニングしてます。ランニングマシンとかペンチプレスとか」
「毎朝? たまにはサボッたりもするでしょ?」
「いえ、毎日」
「日曜日も?」
「遺言のためです」
「はあ……(溜息)。去年から自選集の刊行が始まって。休めませんよね。全部で何巻ですか」
「12巻。今出てるのは4巻と5巻」
「ここに4巻がありますけど、オビの言葉、『ゆいごんわおも白いです』、これはどなたが?」
「小学一年の孫です」
「お孫さんも読んでるんですか?」
「読めるわけないのにね(笑)。でも読んだって言うから」
「若い読者が増えているようですよ」
「嬉しいです。まだまだ死ねないね」(笑)
「ますますのご活躍をお祈りします。今日はありがとうございました」

2004年6月29日


復旧

メールが復旧しました。

サーバ全体が故障してしまい、新しいサーバにデータを移しました。「語尾取り」「とりかえっ語」「四字熟語」などのデータは今日の午前1時までしかバックアップが取れませんでした。すみません。これに懲りず引き続きお楽しみ下さい。

2004.6.24 Part2


メール

メールサーバの故障で22日午後から受信できなくなりました。今後しばらくは ychr@theatrum-mundi.info にお願いします。フォームメールも新しいアドレスに届きます。

2004.6.24 Part1


粗忽主義貧民共和国中間試験

次の文を英訳しなさい。

「世間をお騒がせして申し訳ない」

2004年6月17日


歓喜の鼓動

クリスティーナ・オヨス舞踊団 Ballet Cristina Hoyos としての最終公演、『歓喜の鼓動』 Al compás del tiempo。7月8日の福岡市民会館から30日の金沢市観光会館まで全国14ヶ所を回ります。チケット発売中。詳細は招聘元ムジカのサイトで。

2004年6月16日


報告

さつき火事だとさわぎましたのはでございました
もう一時間もつづいてりんと張つてります

宮沢賢治「報告」(1922年)
『ちくま日本文学全集 宮沢賢治』

2004年6月15日


「あんいんうんえんおん」

5日から11日の検索キーワード一覧。877種。

「『柔軟+開脚+あたし』」
「CDが安い」
「あいさつ+いつから」
「あぶらあげ+通販」
「あんいんうんえんおん」
「そうとうたまってる?」
「トンボの捕まえ方」
「まらまら」
「海老+怪獣」
「柿 ねだん」
「宮沢+中田+キス」
「刑務所・おしっこ」
「結婚にいたるまで」
「止まれ見よ」
「女という」
「着ぐるみに入って」
「中国+省の略称+一覧」
「読めるH漫画」
「奈良の大仏と鎌倉の大仏」

検索エンジンさん、おつかれさま。

2004年6月14日


あらすじで読む世界の名作

ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』
ロベルトとマリアはスペイン内戦で戦った。
ミッチェル『風と共に去りぬ』
スカーレットは幸せになりたいのに南北戦争に翻弄された。
スタインベック『怒りの葡萄』
ジョード一家はしかたなくカリフォルニアに移住した。
魯迅『阿Q正伝』
阿Qは貧しいけれどへこたれなかった。
ヘッセ『車輪の下』
ハンスは放校になって寂しく死んだ。
ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』
ジャン・クリストフは真実を追い求めた。

2004年6月13日


かっこ

「まだかなあ……」
『ごめーん!』
「ナオ! おそーい! ……あれ、ナオ?」
『えへへ』
「え? うそ!」
『いーでしょ』
「うそー! 二重かぎかっこじゃーん!」
『ちょっとキツいの。まだなじんでないから』
「ずるーい!」
『ユキもやってみなよ。絶対気に入るって』
「ナオみたいに細いと似合うけど……」
『似合うって!』
「でも……」
『だいじょうぶだって!』
【こう?】
『キャハハハハ!』
【似合わない?】
『それ、すみつきかっこじゃん!】
【うそ! 恥ずかしい……】

2004年6月12日


かおりちゃん

「かおりちゃんは大きくなったら何になりたい? 看護婦さん?」
「ううん」
「およめさん?」
「ううん」
「なあに?」
「みみどしま」

2004年6月11日


オレオレ

「あ、オレだけど」
「もしもし?」
「オレだよオレ」
「どちらさまですか」
「オレオレ。オレオレ詐欺」
「……義男?」
「ちがうよ。オレオレ詐欺だよ」
「……義男でしょ?」
「オレオレ詐欺だって言ってるだろ」
「どこほっつき歩いてるのよ! どうせまた競馬でしょ」
「おい……」
「あのね、仕送り、スイスの口座に振り込んだから。ちゃんと確認してね」
「だからオレオレ詐欺だって!」
「あとね、ヘビから連絡あったから。ファルコン完成したって」
「……」
「それとね、こないだのアレ、プロメテウス、アレね、カウボーイオキナワに運んだから」
「……」
「……ちょっと聞いてるの? 義男? 義男? もしもし? もしもし!」
「ガチャン」

2004年6月10日


ひらがなとものかい

「それでは、ひらがなとものかい、げつれいほうこくかいをかいさいしたいとおもいます。まずはかいちょうのごあいさつから」
「みなさんこんにちは。こんげつもひらがなでいきましょう!」

(拍手)

「ありがとうございました。えーほんらいですとここでけっさんほうこくですが、あたらしくにゅうかいしたかたがいらっしゃいますので、ごしょうかいいたします。みずたにはじめさんです。みずたにさん、かんたんでけっこうですから、じこしょうかいをおねがいします」
「あ、どうも。えーただいまご紹介にあずかりました、水谷肇と申します。このたびは……」

(「おいおい」「ったく」「こまるよなあ」)

「えーおしずかにねがいます! ……みずたにさん」
「はい?」
「……ひらがなで、おねがいします」
「ええ、ですから私も常日頃ひらがなをもっと使おうじゃないかと……」
「みずたにさん!」
「はい?」
「かんじはちょっと……」
「……」
「みずたにさん、しゃべるとき、かんじになってますね」
「漢字……?」
「あーだめだめ! しゃべるときも、ひらがなで、おねがいします」
「しゃべるときも、ですか?」
「それだけじゃありません。かんがえるときもです。ひらがなで、かんがえてください」
「でも……」
「でもひらがなでおねがいします」
「しかし……」
「しかしひらがなでおねがいします」

2004年6月9日


今度はスゴイぞ

5月31日から6月5日までの検索キーワード一覧。814種。

「2004年+6月2日+サンフランシスコ+天気」
「イチロー一杯」
「うみがめ+歴史+象徴」
「うめぼし+デパート+壺」
「エベレスト頂上」
「キムタク+ショック+静香+付き合って」
「ことわざ+身を捨ててこそ」
「さんぞく」
「じゅげむ+全文」
「セキセイインコ+飛べない」
「どれふゅすじけん」
「バスガイドさん 長靴」
「フレンチトーストの由来」
「ふんどし+女」
「むかつく ウルルン滞在記」
「めや斎場」
「もぐり たこ」
「もっともシビアな+王者」
「ライオンは寝ているの原題」
「悪妻+定義」
「飲酒運転+論文」
「火もまたすずし+意味」
「学生運動+美人+戦後」
「京セラ+独裁」
「古代オリンピックは全裸だった」
「砂糖+防蟻」
「耳の穴から 財津一郎」
「若く見える秘訣」
「若尾文子+見逃さず」
「手作り石鹸+み~しゃ♪」
「出る杭は打たれる」
「女性医師 絵」
「小松政夫 に負けるな」
「小惑星の名前+felicidad」
「松本清張の顔」
「聖書を読んだ感想」
「足くさい+健康」
「単身赴任+定義+用語」
「男装+主従逆転」
「着メロ+無料+仁義なき戦い」
「豆腐の角に頭をぶつけて死ね」
「夢見るぞ」

面白すぎます。

2004年6月8日


マクベス

「ピンポーン」
「はーい。どちらさまですかー」
「マクベスというものですけど」
「はい?」
「マクベスですけど」
「マクベスって、シェイクスピアの」
「そーです」
「あ、うち間に合ってますので」
「一ヶ月だけでもどうです」
「間に合ってますから」
「どうも失礼しましたー」

2004年6月7日


終演

小島章司フラメンコ舞踊団公演『アデントロ』、無事終了しました。ご覧下さったみなさま、ありがとうございました。舞踊団のみなさん、素晴らしかった。おめでとう。そして、ありがとう。

2004年6月6日


Lluís

¡Feliz cumpleaños, Lluís!

2004年6月5日


「哲学者以外立入り禁止」

「ちょっと!」
「……え? 俺?」
「ダメだよ勝手に入っちゃ! 字読めないの?」
「なにが」
「入口! 書いてあるでしょ」
「知らねーよ」
「ここ!」
「あー読んだよ」
「出てって」
「哲学者だから」
「なに?」
「俺」
「はいはい。そういう話はね、あっちでね、受付でしてちょうだいね。出て左にあるから」
「だから哲学者だっつーんだよ」
「身分証明書」
「あん?」
「身分証明書」
「ねーよ」
「忙しいんだから、さあ帰った帰った」
「中で何やってるの」
「受付で聞いて。警備頼まれただけだから」
「おじさん時給いくら?」
「いいから帰って」
「サイドビジネス興味ない?」
「あのねえ……」
「チラシあるんだけど。見て、これ。ね? この人クルーザー乗ってるでしょ。これマジだから。インチキじゃないから。おじさんちパソコンあるでしょ? あ、でも難しくないから心配しないで。メールできればいいから」
「今時そんなうまい話あるわけないでしょ。何なのあんた」
「だから哲学者だっつってるだろーが」
「身分証明書」
「ねーよ」

2004年6月4日


「木製のシーソー」

5月25日から31日までの検索キーワード一覧。598種。アルファベット順にしてみました。

「あとうかい」 alltheweb 16位
「ダイハツ クレーム」 alltheweb 7位
「パンツのしみ」 alltheweb, fresheye 3位
「ブルーベリークリームチーズクッキー」 Google, Goo 3位
「もんぜんこうこう」 alltheweb 1位
「レモン飛び」 Goo, fresheye 1位
「茜屋 明太子」 Google, Goo 8位
「遠泳 学習院」 fresheye 2位
「金成日」 alltheweb 4位
「蛇を 見た 運勢」 Goo 11位
「秋刀魚の梅煮」 Goo 13位
「男子小学生 ふんどし」 fresheye 8位
「定年 生き方 欝」 Google 12位
「土方伯爵」 Google, Goo, alltheweb, fresheye 6位
「日本体育大学アメリカンフットボール部」 alltheweb 7位
「木製のシーソー」 Goo 8位
「抑鬱愛」 Goo 3位

なぜこんな言葉が、なぜこんな順位に。

2004年6月3日


詩人は辛い

私はもう歌なぞ歌はない
誰が歌なぞ歌ふものか

みんな歌なぞ聽いてはゐない
聽いてるやうなふりだけはする

みんなたゞ冷たい心を持つてゐて
歌なぞどうだつたつてかまはないのだ

それなのに聽いてるやうなふりはする
そして盛んに拍手を送る

拍手を送るからもう一つ歌はうとすると
もう澤山といつた顏
私はもう歌なぞ歌はない
こんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない

中原中也「詩人は辛い」(1935)
『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫

2004年6月2日


雰囲気だけでも

「ムラタ君」
「あ、部長。おはようございます」
「どう、最近?」
「はい、まあ、何とか」
「ハッスルしてる?」
「なんですか」
「こんなことは言いたくないんだけどね、ハッスルしてないんじゃないかなあ」
「……どうすればいいんでしょう」
「人を頼りにしてどうする」
「……」
「できないならできないでいいんだけどね。せめてハッスルしてるように見せてほしいなあ」
「……」
「雰囲気だけでも出してもらわないと、アレだからねえ」
「……頑張ります」
「頑張ってるところは見せてほしくないなあ。こう、さりげなく、やってほしいねえ。ま、しっかり頼むよ」

2004年6月1日


「付き合わないか」

「ムラタ君」
「あ、部長」
「今度の日曜、何か予定は?」
「とくにありませんけど」
「付き合わないか」
「ゴルフですか」
「いや。日曜は、鍵穴をふさいで回るんだけどね」
「鍵穴を? ふさいで回る?……」
「人の家じゃないよ。クルマだ」
「クルマのドア、ですか」
「違法駐車。腹立つだろ、君も」
「ええ、まあ……」
「アロンアルファ、忘れずにね」

2004年5月31日


メインBBS

メインテナンス中です。午後3時半ころには復旧する予定です。「意味なし」は年中無休でございます。

2004.5.30 Part2


日曜討論

「おはようございます。日曜討論の時間です。今朝は『どうなる? どうする? パレスチナ情勢』と題してお送りいたします。三人の方をゲストにお迎えしております。まずキリスト教の神さま。おはようございます」
「おはようございます」
「イスラム教のアッラーさんとユダヤ教のエホバさんは今スタジオに向かっていらっしゃいます。到着次第ご紹介するといたしまして、ではさっそくですが、神さま、パレスチナ情勢が混迷をきわめておりますが、どうご覧になっていますか」
「こんな話をするのもアレなんですけどね、ギャラはどうなっているのかと」
「あの、生放送ですからそういうお話は……」
「三人分もらえないとわたしも困るわけで」
「ですからそういうお話は……」
「だって全部わたしですよ? それに神をつかまえて三人って言い方はいかがなものか。だいたいあなたたちは……」

      * * * * *

「番組の途中ですが、ここで『ヨーロッパ 音楽の旅』をお送りします」

      * * * * *

「話がちがうじゃないか」
「いや、ですから……あ、ディレクター!」
「あのー困るんですよねー生放送なんだから」
「だってマネージャーの話とちがうから。ちゃんと話したの?」
「しましたよ。ギャラのこともムハンマドさんに……」
「ムハンマド? イエスでしょ?」
「いえ、ムハンマドさんでしたよ。いただいた名刺にも……ほら」
「オー・マイ・ゴッド!」

2004.5.30 Part1


「私」万能主義

「今の歌手達が、歌わされてるんじゃなく、歌ってるという意識が強いのはいいことなんだけど、書くのも考えるのも歌うのも自分というので、全部自分になってしまう。『私』万能主義で、自意識の外に出ることができないんです」

阿久悠(「阿川佐和子のこの人に会いたい」『週刊文春』6月3日号より)

2004年5月29日


「独身 無気力」

19日から25日までの検索キーワード一覧。

「豆腐+裝置」
「かんのう」
「甘口抹茶小倉スパ」
「これからの金儲け」
「独身 無気力」
「水戸黄門 論文 権力」
「宛名シート」
「しらみ 頭」
「塩辛 定義」
「良子(オカマ)」
「破竹の煮物」
「日本のよふけ+装飾」
「創刊 あいさつ 考古学」
「拉致問題埒開かず」
「八色++アイスクリーム 東京」
「罰ゲーム ペイント」
「学校不審者」
「へら+專門店」
「イラン 言葉 あいさつ」
「ヘチマのたわし」
「新緑++茶そば 新茶」
「天狗写真」

天狗の写真。見てみたい。

2004年5月28日


"What have you done!"

「(拍手)ありがとう……どうも……。(タランティーノに)何てことしてくれたんだよ! こんなことされて、もう、ホントに、すっかり気が動転してます……メルシー……。あの、ええと、あの……(タランティーノ失笑)……ひどいよ、メチャクチャだよ! ……みなさんご存知のとおり、先日ハリウッドの式典では散々だったので……まずお礼を申し上げます、審査員のみなさん、映画祭関係者のみなさん、ジル・ジャコブ、ティエリー・フレモー、ミラマックスのボブとハーヴェイ、製作スタッフ全員、ありがとうございました。〔中略〕ついさっき知らせが届いたんですが、アルバニアでの配給が決まりまして(笑)、これで世界中の国がこの映画を見ることができることになったわけです、一ヶ国を除いて(笑)。でも、みなさんのおかげで、カンヌ映画祭での評判のおかげで、アメリカ人がこの映画を見てくれるのではないかと、そんな気がしています。どうお礼を言っていいかわかりません(拍手喝采)。大きな光を当てて下さいました、大勢の人が真実を知りたがっています、そして大勢の人がそんなものは押入れにしまって知らんぷりしたがっています。ある偉大な共和党の大統領がむかしこんなことを言いました、人民に真実を知らせれば、共和党は、アメリカ人は、救われると。〔中略〕このパルム・ドールを娘に、アメリカの子どもたちに、イラクに、そして、わたしたちのせいで苦しんでいる世界中の人たちに捧げます」

(マイケル・ムーア、パルム・ドール受賞スピーチより)

2004年5月27日


備えあれば憂いなし

先行き不透明なこの時代。いつスペイン王室の人と結婚する羽目になるかわかりません。フェリーペ皇太子とレティシア・オルティスが交わした結婚の誓いの言葉、復習しておきましょう。

「私○○は、汝△△を妻(夫)として迎える。富めるときも苦しいときも、健やかなときも病めるときも、命ある限り毎日汝に誠実であることを誓う」 まず男性から女性へ。

"Yo, Felipe, te recibe a ti, Letizia, como esposa, y me entrego a ti. Y prometo serte fiel en la prosperidad, en la adversidad, en la salud y en la enfermedad todos los días de mi vida."
(ヨ、フェリーペ、テレボアティ・レティシア・コモエスサ・イメントゴアティ。イプロトセルテフィル・エンラプロスペリ、エンラドベルシ、エンラサ・イェンラエンフェルメドスロスディアスデミダ)

Felipe は自分の名前、Letizia は相手の名前です。太字のところを強く発音します。

続いて女性から男性へ。

"Yo, Letizia, te recibe a ti, Felipe, como esposo, y me entrego a ti. Y prometo serte fiel en la prosperidad, en la adversidad, en la salud y en la enfermedad todos los días de mi vida."
(ヨ、レティシア、テレボアティ・レティシア・コモエスソ・イメントゴアティ。イプロトセルテフィル・エンラプロスペリ、エンラドベルシ、エンラサ・イェンラエンフェルメドスロスディアスデミダ)

唯一の違いは esposo (エスソ)。「夫」です。

いつ言えばいいのでしょう。司祭の次の言葉を聞き逃してはなりません。

「では聖なる結婚の証として手をつなぎなさい。そして神と教会の前で汝らの気持ちが同じでることを表明しなさい」

"Así; pues, ya que queréis contraer santo matrimonio, unid vuestras manos. Y manifestad vuestro consentimiento ante Dios y su Iglesia."
(アプエス、ヤケケイスコントラル・サントマトリニオ、ウブエストラスノス。イマニフェス・ブエストロコンセンティミント・アンテディス・イスイグシア)

つなぐのは両手です。片手だとついスキップしてしまいます。

2004年5月26日


プレゼントはお早めに

フェリペ皇太子とレティシア王女へのプレゼント選び、もうお済みですか?

各界からの贈り物、一部をご紹介しましょう。

フェリス・バスケス(マドリードの果物商)
4,500ユーロ(約60万円)相当の白トリュフ
エルネスト・フンコ(オオライチョウ飼育家)
野生のオオライチョウ二羽
アリカンテの採石場所有者
皇太子王女の名を刻んだバテイグ石
セウタ市
ジャンニ・ヴェルサーチ・デザインによるメデューサ・コレクションのローゼンタール・クリスタル燭台四つ
エクアドル政府
エクアドル産のバラ二万輪
スペイン政府
アルフォンソ十世『七部法典』1789年版
アルカラ・デ・エナーレス市
アルフォンソ十三世依頼によるセルバンテス没後三百年記念版『ドン・キホーテ』
アルフレード・サンチェス・モンテセイリン(セビーリャ市長)
カルトゥーハ・ピックマン青磁食器エリザベス二世モデル一式
アトレティコ・デ・マドリード
レティシアの名入りシャツとソックス

2004年5月25日


作戦司令室

「(前方に敵機確認!)」
「長官。敵機をとらえました」
「まだか」
「……まだです」
「何時だ」
「12時42分」
「(ロックしました!)」
「長官。ミサイルはいつでも発射できます」
「どうだ」
「まだです」
「時間は」
「12時45分」
「『ごあいさつ』はまだなのか」
「まだであります」
「(発射命令はまだですか!)」
「長官」
「……」
「長官!」
「時間は」
「12時59分」
「何をしているんだ、ゆうは……」
「長官。ご決断を」
「……」
「(3時の方向に敵機発見!)」
「長官!」
「『ごあいさつ』を無視するわけにはいかん」
「ですが……」
「何時だ」
「13時15分」
「(ご命令を!)」
「長官!」
「ミサイル発射準備!」
「(発射準備、完了!)」
「まだか。『ごあいさつ』はまだなのか」
「長官!もう時間がありません」
「(発射します!)」
「待て!勝手な行動はゆるさん」
「これが最後のチャンスです!」
「(発射します!)」
「長官!」
「時間は」
「13時21分」
「待つんだ……」
「長官!」
「……」
「ご命令を! ご命令をををを~!」

2004年5月22日


「袋井 多きな海老フライ」

13日から19日の検索キーワード一覧。655種。

「かば内科」
「肺炎 牛」
「命名 ともこ」
「陶然たる 作品」
「けいも 育毛」
「蓮根もち」
「袋井 多きな海老フライ」
「日々是粗忽」
「温泉係CG」
「泥棒市場」
「しゃれたスピーチ」
「蚕豆の塩茹で」
「office+で宛名印字」
「かつら 行列 殿様」
「恐竜が滅んだ理由」

温泉係CGって、コンピューター・グラフィックスで描いた温泉係でしょうか。てゆーか、温泉係ってだれ?

2004年5月21日


きのうのつづき

フォントを変えたらより写真っぽくなりました。

2004年5月20日


デジカメの写真とは

つまりこういうものです。

2004年5月19日


尊敬する人

「ねー」
「なーに」
「尊敬してる人、いる?」
「自分以外で?」
「え?」
「自分以外?」
「……自分を尊敬してるの?」
「しない? ふつう」
「しないよ」
「それって変」
「どこが」
「全体的に」

2004年5月18日


デニス・ホッパー68歳

それがどうしたと言われれば、どうもしませんと答えるしかありませんが、時は確実に過ぎてゆくのでありました。

2004年5月17日


おならうた

いもくって  ぶ
くりくって  ぼ
すかして  へ
ごめんよ  ば

おふろで  ぽ
こっそり  す
あわてて  ぷ
ふたりで  ぴょ

谷川俊太郎「おならうた」
『谷川俊太郎詩集 Ⅱ 朝のかたち』角川文庫

2004年5月16日


「はせるべし」

7日から13日までの検索キーワード一覧。663種。

「定年後の住まい」
「自衛隊イラスト」
「ナスの夢」
「あずきな 使った 料理」
「ゆうぼう」
「藤の花の香り」
「はせるべし」
「うわき」
「小6の人気モデル」
「緊急メッセージ+タグ+YAHOO」
「小間物屋を開く」
「天網快々疎にして漏らさず」
「そろり」
「レモン語」
「ざけんじゃねえよ」
「永谷園 おかしい」

何が何だかさっぱりです。

2004年5月15日


『死なないためのスペイン語入門』 まえがき

いいかよく聞け。

俺のやり方でやる。「駅までどのくらいかかりますか」だの「テーブルを予約したいのですが」だの、カタギの日常会話は一切ない。ママゴトに興味はない。俺流だ。第1課の最初の例文をみろ。

「こらっ、ルイス。おのれ、近いうちにパクったるからな」
「なにぬかしとんじゃ、いつでも来い」
「ロベルト、また何を企んで戻っとんのじゃ。おのれだけはボゴタに居らさんぞ」

13課をみろ。

「お前の口座に三億円の振込みがあったことは、ちゃんと確認しとる。どう説明するのや、これを! 性根入れて、キッチリ答えんかい!」
「当時は、何十億の金を動かす仕事をしとった。極道時代に貸した金で、返ってくるのもあるんや。そんなもん、一々憶えとらん。それより、わしの口座に入った三億円、それほんまに被害企業から振り込まれたものなんかい」

人生、るか殺られるか。

死なないためのスペイン語だ。俺が教えるからには生きて帰れると思うな。死ぬ気でこい。以上。

2004年5月14日


恋ごころ

思いつめてはただぼんやりと
夢の浮世に夢を見る

古典都々逸

2004年5月13日


プレゼンテーション

「……と、まあこんな感じです。説明はこのくらいにいたしまして、何かご質問があれば」
「ちょっといいかな」
「あ、はい」
「えーと、あ、どうもお疲れさま。あの、コピープロテクトなんだけどね、ほら、あるでしょ、品質が落ちるって話」
「えーその点につきましては何度も実験しておりまして、データによりますと多い日も安心ということで、はい」
「地震は大丈夫? 400万画素で」
「鈴鹿サーキットで耐久実験していますから、その点は心配いらないかと」
「足りないんじゃない?」
「あんまり増やしてもアレなんで。コンセプトは“お口で溶けて手で溶けない”ですから」
「コンセンサスとれてる? 沿線の住民」
「一部で反対運動があるにはあるんですが、当社の副社長がボリショイ・バレエ団出身でして」
「二宮さん?」
「ええ」
「ほんと? 見えないねえ」
「ですから旧作一泊二日95円でも新作の需要が見込めるということで」
「ボリショイならイケるか」
「と思います」
「……」
「他になにか……」
「……」
「では……」
「あ、いいかな」
「はい」
「いや、大したことじゃないんだけどさ。ノンシュガーでキシリトールだよね」
「はい」
「素材はポリカーボネイトで」
「ええ」
「それでやさしい浸透力ってことだけど、ふつうはさ、しつこい油ヨゴレも根こそぎでしょ。そこんところはどうなの」
「ですからその点は先ほども申し上げましたが国土交通省の規定がありまして」
「いや、いいのいいの。大したことじゃないから」
「茂木、あんまり若いのイジメちゃだめだよ」

(一同笑)

「他にありませんか……」
「ご苦労さま。じゃあ、このセンで進めていきましょう」

2004年5月12日


「炒飯の歴史」

4月30日から5月7日までの検索キーワード一覧。483種。

「下腹 痛み」
「当時の毎日放送」
「せるり」
「冬のどなた」
「語尾 お」
「とまと しおれ」
「野球拳+++++++ ちゃん」
「炒飯の歴史」
「資格 しょうじょ」

炒飯にも古代や中世、ルネサンスがあるのでしょうか。ジュラ紀とか。

2004年5月11日


慈善組稲川会

「兄貴。ちょっといいですか」
「なんだ」
「……黒龍会がこっちに向かってます」
「……」
「戦争する気です」
「そうか……おいリョージ!」
「へい」
「ぜんぶ拾ったか」
「だいたい片づきました」
「だいたい?」
「……便所のまわりがまだ……」
「ばかやろう! さっさと片づけろ」
「へい」
「通勤客の邪魔するんじゃねえぞ」
「へい」
「兄貴。どうします」
「話は車だ。どこ停めた」
「あそこの角です」
「路上駐車じゃねえか。てめえふざけんじゃねえぞこのやろう!」
「す、すんません!」
「コインパーキングに入れろっていっつも言ってるだろうが! おう! てめえ殺されてえのか!」
「すんません!」
「いいからこっち持ってこい」
「へい」
「おいおまえら。ちょっと出かけるから、空き缶、ゴミ処理センターに持ってけ」
「へい! 行ってらっしゃい」
「シンジはどうした」
「あ、あいつは募金に」
「どこ行った」
「足長育英会です」
「足長ぁ? 先月行かなかったか」
「……行きました……」
「今月は?」
「……」
「今月はユニセフ月間だろうがこのやろう!」
「すいません!」
「シンジに言っとけ」
「へい!」

(車中で)

「で、どうします」
「こんなとこいたら人目につくだろ。車出せ」
「へい」
「……」
「おい」
「へい」
「なんでウィンカー出さねえんだ」
「……」
「車出すときは右ウィンカーだろ」
「……はい」
「はいじゃねえだろこのやろう! ぶっ殺すぞ!」
「すいません!」
「おい、止めろ!」
「あ、はい」
「信号赤だろうが!」
「す、すいません」
「どこ見てんだばかやろう!」
「……」
「おい」
「……」
「ケータイ。出なくていいのか」
「あ、はい……。おう、俺だ」
「電話するときは路肩にとめるんじゃねえのか!」
「は、はい! ……おう、どうした」
「ハザード出さなくていいのか、おう!」
「すんません!」
「ったく……」
「……うん。ああ、わかった。伝えとく」
「なんだ」
「黒龍会が駅前に着いたそうです」
「便所は」
「片づけました。あいつら、もう手も足も出せません」
「そうか」
「兄貴……ヤバイっすよ」
「ひまわり公園に駅前。あいつらのシマはあとひとつだな」
「青少年運動公園……やるんすか?」
「全面戦争だよばかやろう! ぶっつぶすしかねえだろ!」
「へい」
「雑草ぜんぶ引っこ抜くぞ! 親分には俺から話しとく」
「へい!」

2004年5月10日


1坪2円25銭

月の土地を売る業者がいるなんて知りませんでした。1エーカー(約1,200坪)が2,700円。

「誕生日や結婚、出産祝い、クリスマスやバレンタイン、母の日といったプレゼントとして大変喜ばれています」って、本当だろうか。地上げはないのか。バブルが弾けてぜんぶ駐車場になったりしないのか。

2004年5月9日


善行組黒龍会

「おい」
「へい」
「あれどうした」
「捨ててきました」
「ちゃんと始末したんだろうな」
「へい」
「どこに捨てた」
「あの、裏のゴミ置き場に」
「ばかやろう。粗大ゴミは二丁目だろ」
「……」
「名前は」
「……」
「書かなかったのか」
「……はい」
「回収してもらえねえだろ!」
「すんません」
「田代のばあさんちは」
「……これから行きます」
「これからだあ? 何時だと思ってるんだ。さっさと庭掃除してこい」
「へい」
「忘れるんじゃねえぞ、ひまわり公園の草むしり。……うるせえな。なんだ」
「組長! こいつ、連れてきました」
「おう。まあ座れ」
「……」
「電車で目の前にじいさん立ってたんだってな」
「……」
「讓ったか」
「……」
「讓ったか讓らなかったか聞いてンだ!」
「……讓ろうと思ったんスけど」
「うちの組にきて何年だ」
「……三年です」
「わかってるな」
「……」
「おいリョージ! あれ持ってこい」
「へい!」
「すいません! 勘弁してください……」
「てめえふざけんじゃねえぞ。リョージ! 早く持ってこい」
「へい!」
「よし……手、出せ」
「勘弁してください!」
「おいリョージ! ハンコどうした。“もっとがんばりましょう”がねえだろ」
「……すいませんでした」
「勘弁してください!」
「おい、おまえら、押さえろ」

(ぺったんこ)

「うう、うう……」
「組長! 稲川会が駅前で空き缶拾ってます!」
「……戦争だな」
「組長!」
「行くぞ」
「へい!」

2004年5月8日


順番

紙は横にページをめくる。ウェブページは基本的に上から下へスクロール。新聞のオンライン版も上から下へ。

日本のいわゆる三大紙のオンライン版はいちばん上が「社会」。次が「スポーツ」。いちばん下が「国際」。イラクで事件があると「しょうがないな」という感じで「国際」がトップになるけれど、数日後にはいちばん下に戻る。

新聞社が読ませたい順番なのか、読者が読みたい順番なのか。いずれにしてもヨーロッパ、アメリカ、アジア各国の主要新聞ではまずみられない構成です。

2004年5月7日


巡業

こいし 戦前、中国に巡業に行きました。昔の満州(現中国東北部)ですわ。子役のときに芝居で行って。まだ大砲の音が聞こえていたのを、子供心に覚えてるわ。(低い声で)どぅーん、どぅーんちゅうのが。
いとし そうか。
こいし 昭和十何年や。古いなあ。話わかるのは、あんただけやで。
いとし (黙っている)
こいし 知らん顔しとる。
いとし 行ってたのは二十日間くらいか。
こいし どっから乗ったんかな。
いとし 関門海峡というか、下関か門司かどっかから乗って。国境越えて、満州鉄道に乗って。満鉄ですわ。
こいし ビュッフェみたいなもんもあったんやで。食堂車ですわ。満員で座れなかったら、中国人が荷物置いてくれて「この上、座りなさい」って。
いとし 「ここへ腰掛け」ってね。親切でしたよ。
こいし 寒い時期でしたわ。馬車に乗ったら、(ほおを指して)ここに当たる風が痛いねん。冷たい風や。それだけは覚えてますわ。

夢路いとし・喜味こいし『浮世はいとし人情こいし』中央公論新社

2004年5月6日


「むすめ」

4月22日から30日までの検索キーワード一覧。

「ジャガイモ健康法」
「魚じま」
「りんしん」
「黄色」
「むすめ」
「年の差30歳」
「小鳥の小物」
「反省猿次郎」
「V字回復」
「北条秀司 本名」
「松島の民宿、旅館」

語尾取りやとりかえっ語、森羅萬笑にヒットするようです。

2004年5月5日


Q&A

Q: 夫は共済年金加入者、わたしは3号加入者です。離婚を考えているのですが、配偶者としての年金と一人の年金では、どのくらい差がありますか。(女性・1958年生まれ)

A: 老齢年金の金額は太陽と月、地球の位置関係によって設定されます。離婚した場合は皆既月食だけが生活資金になりますから、5日の午前3時から5時が決め手です。本影食は3時43分ごろ始まりますが、第3号被保険者は皆既食が始まる4時49分ごろがいいでしょう。離婚後に仕事をして厚生年金に加入する場合は5時21分ごろが最大、そうでない場合は皆既食が終わる5時52分ごろが最大です。

2004年5月4日


ふー

「ねえねえ」
「なーに」
「ふーした?」
「ふー? なに、ふーって」
「綿毛」
「わたげ?」
「たんぽぽ」
「たんぽぽかー」
「した? ふー」
「したって、どういう意味」
「だから、もうした?」
「もう? 今年ってこと?」
「うん」
「してないけど」
「してないの? いいわけ? それでいいわけ?」
「なにが」
「だってもうゴールデンウィークだよ? ガッコー始まって、梅雨で、夏だよ! いいの? 綿毛ふーしないで、夏になって、あんたそれでいいの!」
「なんで怒るの!」
「なんででも!」

2004年5月3日


ADENTRO

小島章司フラメンコ舞踊団の公演のお知らせです。

『ADENTRO ―秘すれば花―』。

6月4日(金)・5日(土)・6日(日)。天王洲・アートスフィア。

詳細はこちらのページで。

2004年5月2日


雀が鳴いてゐる
起きよといふ
だがそんなに直ぐは起きられようか
私は灌木林の中を
走り廻る夢をみてゐたんだ

戀人よ、親達にてられた私の戀人、
君はどう思ふか……
僕は今でも君を懷しい、懷しいものに想ふ

雀が鳴いてゐる
朝日が照つてゐる
私は椿の葉を想ふ

雀が鳴いてゐる
起きよといふ
だがそんなに直ぐは起きられようか
私は灌木林の中を
走り廻る夢をみてゐたんだ

中原中也「春の日の夕暮」
『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫

2004年5月1日


社長

「あ、社長。おはようございます!」
「おはよう。どう? 会社にはもう慣れた?」
「はい!」
「そうか。元気があっていいな」
「ありがとうございます!」
「君のような人が来てくれて、わたしも嬉しいよ」
「ありがとうございます! がんばります!」
「しっかり頼むよ。わたしはね、社員の名前は絶対覚えない主義なんだが、どうかね」
「……」
「どう思う」
「……社長のお考えでしょうから、それはそれでいいと思います!」
「そうか。君はイエスマンか」
「……いえ、そういう意味では……」
「こんな風に廊下で会って親しくあいさつを交わす。でも君の名前は絶対覚えない。君はそれでいいのか」
「あ、いえ……できれば覚えていただきいです……」
「逆らうのか」
「あ……」
「君は社長に逆らうのか」
「いえ……」
「どっちなんだ」
「……」
「君は、今どんな時代だと思う」
「……いろいろ厳しい時代だと思います!」
「そうか。まだ入社したばかりだったね。だめだよ、そんなことじゃ。今はね、グローバルなソリューションでブレイクスルーな時代なんだ。すぐれたデータ・アベイラビリティをハイエンドにアウトソーシングする。わかるね」
「……はい」
「わかってるのか」
「はい!」
「説明してくれないか」
「……はい?」
「わたしにはさっぱりだ。説明してくれないか」
「……」
「お見通しだよ」
「……」
「君が今なにを考えているか」
「……」
「スタッフサービスに電話するつもりだろう」
「……」
「オー人事オー人事」
「……」
「無駄だよ。経験者が言うんだからまちがいない」
「社長がですか?」
「ああ。紹介されたのがここだ」

2004年4月30日


金魚を救え!

パソコン本体やネットのゲーム。RPGとかシューティング系がどうも苦手で、テトリスとか Badbombs spelet とか SaveTheGoldfish とかがお気に入りです。最近ハマッてるのが Snake。シンプルなものは飽きません。

2004年4月29日


小説女

「本当にいるのか」
「いるんだよ。信じてくれよ」
「聞いたことないもん、小説女なんて」
「いいから黙ってろよ」
「仮にいたとして、どうやってわかるんだよ」
「それは、まあ……なんとなく、だよ」
「頼りないな」
「見てればわかるって」
「どうでもいいけど、なんで北千住なわけ?」
「意外とね、こういうところにいるんだよ」
「ふーん……いたら教えて。俺、あっちで煙草」
「いた」
「え? どこ? どこどこ」
「ほら」
「どれ? あれか? あそこの……」
「ばか! 見つかっちゃうだろ。こっち来いよ。こっち……」
「いてッ」
「……あなた、どなた?」
「あ……ご、ごめんなさい」
「あなた気がちがったのね。しゃべったり、叫んだり、悪態をついたり―――いったいどうだっていうの?」
「……え?」
「あたしが? あなたがそんなことおっしゃる原因なり理由なりを、あなたにあたえたことでもございますの?」
「……何ですか?」
「あたしのどういう点が悪いんですか? あたしはこれまでいつもあなたのお望みどおりにすべてのことをしてこなかったでしょうか? あたしが自分の望みから、自分の願いから、ここに毎晩座っているのじゃないことも、あなたはよくご存知のはずです。あなたはご自分のこうした嫉妬のために気が狂っているんですわ」
「(おい)」
「(なに)」
「(何なんだよ、この女……)」
「(小説女だよ)」
「(助けてくれよ!)」
「(がんばれ)」
「(がんばれって……)」
「あなたは気が狂っているのね。いったいあなたはどうなさろうとおっしゃるんですの? あたしをここに来させたのは、あなたじゃありませんか? なにもあたしが自分から好きこのんでここに来たわけじゃありません」
「あ、あのぉ……」
「あなたはなんと美しいかたなんでしょう。あなたはそれを自分で気づいているの? とても美しくって、若くって、人を殺すことを許され」
「許されてません」
「……復讐することを許され」
「許されてませんから」
「……悪魔を天国からつき落した天の火を、そのむきだしの手のなかに入れて。いいえ、それはあたしだわ」
「はァ?」
「あたしがそれをあなたにあげたのよ」
「別に何ももらってませんけど」
「あたしがあなたの手の中に入れたのよ。ほんとにあなたは、あたしが死んでしまい、あなたがおじいさんになって、“わしはすべてのことをやってみたわい”などとひとりごとをいうようになるとき」
「わし?……」
「あたしのことを感謝するようになるわ。あたしのことを思いだすようになるわ」
「あの……何のお話でしょうか……」
「それはあなたに決めていただきます。でも、これが最後だということだけはどうかお忘れなく」
「いや、今会ったばかりですよ」
「あたしには、まったく平和な時がもてないのでしょうか? もう六か月もこうした状態がつづいています。昼でも夜でも、あなたはいらして、このあたしにがみがみ食ってかかります。だけど、もうこんどかぎり、こんなことは絶対にやめていただきましょう。ごきげんよう」
「……あーびっくりしたー。何なんだよ、あの女……おい。おまえ、ちょっとひどいぞ。何で助けてくれないんだよ」
「しかし、きみは今晩、ついいましがた、あの女になんといったのかね?」
「はァ?」
「あなたにはそんな勇気はなさそうですな。それに、もしそんなまねでもしたら、世間ではなんといいますかね? 臆病者と呼ばれて、がまんができますか? しかし、あなたはそういうこともやりかねない人間ですよ。だから、ぼくは用心します。それに、あなたがそういうことをするとなったら、なんとか成功させてあげたいもんですね。さもないと、反対にあなたがひどい目にあわされますからな。まったく犬っころみたいにやくざな男ですよ!」
「……お、おまえ、だいじょうぶか?……」
「おまえさんはどう思う?」
「どうって」
「わしはどうも思わんね」
「何なんだよ!」
「さよう。人間はみんな死ななきゃならんのだね」
「俺、帰るわ」
「……この世の中はだんだんだめになってゆくわい」

瀧口直太郎訳『フォークナー短編集』(新潮文庫)を参照しました

2004年4月28日


ある時は

(ピンポーン)

「はーい……。どちらさまですか」
「……」
「あの、どちらさまですか」
「ある時は香港丸の船員」
「……」
「ある時は片目の運転手」
「……」
「ある時は手品好きのキザな紳士」
「……」
「またある時はインドの山奥で」
「……」
「またある時はノートルダムのせむし男」
「ダメ」
「……だめ?」
「ぜーんぜんダメ。山奥じゃないし。千恵蔵にぜんぜん似てないし」
「……腹減って死にそうなんだけど」
「死ねば?」
「……頼むから入れてくれ」
「だったらちゃんと覚えなさいよ」
「……うん」

2004年4月27日


アチャラカ喜劇

空飛ぶ雲の上団五郎一座の第二弾『キネマ作戦』。制作発表が行われました。

メンバーで一目瞭然、きちんと作り込んだ笑いです。

2004年4月26日


「念を押す」

14日から22日までの検索キーワード。

「念を押す」
「ママースパゲティー」
「炉辺焼き;宮城」
「古屋 飛行船」
「食うほど空腹になる 植物」
「サードへコンバート」
「最果ての番屋に」
「ぞろっぺいな」

「念を押す」を Google で検索してみたら、12,500件中3位でびっくり。みなさんのおかげです。

日本語を調べているからといって、日本語話者とは限らない。わたしもスペイン語やドイツ語をネットでよく調べます。「なんでこんな言葉を」と途方に暮れている人が世界のどこかにいるに違いありません。

2004年4月25日


社会

人間は誰もが、自分は死ぬと知っている。知っていながら、それでも生きている。これは、知性をもつ生物なら、必ずそうあるあり方である。と同時に、知性をもつことの、誇りでもある。

このことは、人間と人間のつながりにも反映する。

人間は誰もが、無力な幼児として生まれる。そのあと成長して、いったん自立しているように見える時期を過ごしたあと、最後は年老いてひとの世話になりながら死んでいく。

もしも人間が死なないで永遠に生き続けるのなら、他人にかまわず自分のことだけを考える、まったくのエゴイストとなることもできよう。けれども人間は、やがては死ぬ、ひ弱な存在である。互いをいたわり助け合うことなしに、生きていけない。知性があるから、人間はこのことをよく理解できる。社会は弱肉強食の自然状態ではない。人間が、互いに大事にしあう、秩序ある交流の空間である。

社会は、このように組織されるものなので、その内部は価値(大事なこと)や意味(そのわけ)が満ちている。そうした価値や意味は、人びとが共同で支えている。あなたが生まれる前から、そうした価値や意味はもう存在していた。あなたが死んだあとでも、もっと後の世代の人びとによって受け継がれていく。そうした価値や意味なしには、この世界も知性も成り立たない。そして、知性が滅んだあとでも、その舞台であるこの世界は続いていく。あなたは、有限でひ弱で小さな知性として、この世界のまんなかにぽつんと取り残されているように感じる。

あなたは、あたがこうしてぽつんと存在することに、いったいどんな価値や意味があるのかと、なおも考えようとする。

橋爪大三郎『世界がわかる宗教社会学入門』筑摩書房、6-7ページ

2004年4月24日


ゴキゲンってわけさ

やあ! 元気?

今日が何の日か、知ってるよね? サン・ジョルディ。え? 知らない? 彼女にバラをプレゼントする日なんだ。キミの彼女もイチコロってわけ。ゴキゲンだあ!

だけどここまではほんの手始めさ。

バラだけじゃつまらないだろ? あっと驚くテクニックがあるんだ(ここが「ゴキゲン!」なところさ)。ここからはそのやり方だ。

バラをプレゼントしたらさりげなくこう言うんだ。「今日はシェイクスピアの命日なんだよ。だから女の子は男の子に本を贈るんだ」ってね。でもこれじゃありきたりだろ? ここからが肝心だ。「セルバンテスも今日なんだ。でも本当は22日なんだけどね」って、クールにキメよう!

セルバンテスって言ったとたんに「なにそれ? 聞いたことないし。本なんて読まないし」って顔されるんだ。「オタクだったの? キモい!」。これでキミは彼女の“元カレ”ってわけさ。

おっと、自己紹介を忘れてたね。ボクはジョルディ。自分で言うのもなんだけど、カリフォルニア生まれのナイスガイだ。検索エンジンで調べてみなよ。

2004年4月23日


だいたいで、いいじゃない。

吉本ばななのお父さん、吉本隆明の対談本のタイトルです。

いいと思う。思うなあ。

2004年4月22日


モールス信号

「あの」
「なんだ」
「どうでもいいことなんですけど」
「どうでもいいことか。どうでもいいことなら間に合ってる」
「え?」
「だから、間に合ってる」
「いえ、どうでもよくないことです」
「どっちなんだ」
「明るい農村なんですけど」
「明るい農村……」
「ええ。ありましたよね、昔」
「あれか? NHKでやってた?」
「ええ。朝早く。あれ、いつ終わったんでしょうね」
「どうでもいいな」
「そうなんですけど」
「だったら、海難を防ぐためのメモはどうなんだ」
「え?」
「あったじゃないか。海難を防ぐためのメモ」
「あ、なんかあったような」
「7時のニュースのあと、8時ちょっと前かな。静止画像が出て」
「あ、なんとなく……」
「ツツツー・ツツーツツーってモールス信号が流れて」
「なんか、やってましたね」
「ゴールデンタイムにモールス信号だ。しかも番組名が『海難』だ」
「なつかしい」
「問題は、いつ終わったかだ」
「……」
「どうだ。どうでもいいだろう」

2004年4月21日


十年に一度

週末から更新をさぼっていました。心配して下さったみなさん、ありがとう。

この三日間アクセスが増えていてびっくりしました。毎日どこか必ず更新していると、といってもこのごあいさつと抑鬱亭日乘ぐらいですが、「更新しないこと」が「情報」としての価値を帯びてしまうのだと気づきました。

なかなか新作小説を書かない松浦理英子や、13年ぶりに新曲を出して大ヒットさせてまた7年間冬眠している大滝詠一や、十年に一度しか長編映画を撮らないビクトル・エリセのように、世の中には「書かない作家」がいて、そんな芸当ができる人はごく少ないのですが、不遜にもちょっと憧れたりします。

十年に一度更新するサイト。どうだ。どうだってことはないが。

2004年4月20日


「11時57分 笛」

4月7日から14日までの検索キーワード一覧。

「私心を捨ててこそ」
「学術名 猫科」
「結婚式ヘアスタイル」
「11時57分 笛」
「まさと」
「足くさい」
「入国者 2003.12」
「パコ」
「あおこ」

2004年4月17日


わからない

わからない

わからないから
かんがえる

わからないから
かんがえると
ますますわからない

わからないから
かんがえると
ますますわからないのに
わかったわかったとさけんでる

わからないから
かんがえると
ますますわからないのに
わかったわかったとさけんでるのは
どうしてだろうと かんがえる

わからないから
かんがえると
ますますわからないのに
わかったわかったとさけんでるのは
どうしてだろうと かんがえて
わかってないんだと わかる

わからないから
かんがえると
ますますわからないのに
わかったわかったとさけんでるのは
どうしてだろうと かんがえて
わかってないんだと わかるわたしが
わかるのは わからないということだけ

わからないから……

2004年4月16日


登場人物

「あ~あ」
「どうした」
「なってみたいよなあ」
「……なにに」
「登場人物にさあ」
「……登場人物?」
「一生に一度くらい、なってみたいよねえ。登場人物」
「よくわかんないけど」
「なりたくない?」
「いや、考えたことないし。まあ、なれるんなら、なってもいいかな」
「たとえば」
「え?」
「たとえば」
「そうだなあ……スパイ、とか」
「なんだそれ。今どきスパイって。ダメだな君は。ほんとダメ。ちゃんちゃらおかしい」
「そこまで言うことないだろ。なんだよ、ちゃんちゃらおかしいって」
「作品名を挙げてくれないとね」
「作品名?」
「そうだよ。あるだろ、ほら、『カラマーゾフの兄弟』とか、『蛇にピアス』とか」
「ほう。じゃあお前は」
「俺か。俺は、『バカの壁』」
「……」
「知らない? ベストセラー」
「それ小説じゃないよ」
「ちがうの」
「ちがうよ。バカの壁はお前だよ」
「登場しちゃった人物、ってことかな」
「どうしようもないな」
「いやあ、それほどでも」
「褒めてねえよ」

2004年4月15日


「気象予報が出るまで」

3月30日から4月7日までの検索キーワード一覧。

「気象予報が出るまで」
「おたまじゃくし百科事典」
「制服 てかり」
「しらみ」
「運動の神」
「亀の財布」
「壷 貯蔵用」
「高校銭湯」

何がどうなっているのでしょうか。

2004年4月14日


「テロには屈しない」

この言葉がいかに紋切型で空虚か。

2000年のシティボーイズ・ライブ『ウルトラシオシオハイミナール』で、大竹まこと、きたろう、斉木しげる、本田久就がさんざんネタにしています。DVDも出てるよ。

2004年4月13日


THE OTHER SIDE

新国立劇場のアリエル・ドルフマン『線の向こう側』。初日です。28日まで。詳細は新国立劇場の専用ページでどうぞ。

(サイトでは「ドーフマン」とありますが、たぶん本人は「ドルフマン」と発音しているはずです)

2004年4月12日


夕日

夕日にむかってかえってくる
川からのてりかえしで
空のはてからはてまで もえている
みちばたのくさも ちりちりもえ
ぼくたちのきものにも 夕日がとびうつりそうだ
いっちんち いねはこびで
こしまで ぐなんぐなんつかれた
それでも 夕日にむかって歩いていると
からだの中まで夕日がしみこんできて
なんとなく こそばっこい
どこまでも歩いていきたいようだ
遠い夕日の中に うちがあるようだ
ちのしいたのしいうちへ かえっていくようだ
あの夕日の中へかえっていくようだ
いっちんち よくはたらいたなあ

大関松三郎「夕日」
谷川俊太郎『詩ってなんだろう』筑摩書房

2004年4月11日


暗い翼

空が降下してくる
厚い幕のむこうに無数の星の気配がする

大きな法則が
泣いているのを僕は聞く
月は誹謗され
雲も話さない

空とそして土の匂い
われわれのすべての匂いだ
しかしわれわれは
果して自分の立場を知つているだろうか

空が醜くなつてくる
樹や蛙は誰かを憎んでいるらしい

神々が人間に疲労して
機械に代りをさせているのを僕は聞く

時間はガラスの破片だ
そして空間はもう失われた

今夜 僕は暗い翼をもつ
すべての本質的な問題について知るために

谷川俊太郎「暗い翼」
『谷川俊太郎詩集』思潮社

2004年4月10日


きました

あさが きました
きました
きました
「きました」は うれしい

おじいちゃんが きました
うれしい
うれしい
「うれしい」が きました

阪田寛夫「きました」
谷川俊太郎『詩ってなんだろう』筑摩書房

2004年4月9日


負け犬

「酒井順子の『負け犬の遠吠え』、すごい反響ですよね」
「そうですね」
「負け犬論争とか、雑誌でもよくありますが」
「ええ」
「でも、著者も未婚の30代で、自分こそ当事者だと言っているんですね」
「らしいですね」
「その辺のことも含めて、どう思われます」
「負け犬になるのを恐れることはありません」
「そうですか」
「恐いのは化け猫です」
「はい?」
「油をなめるようになったらおしまいです」

2004年4月8日


スローライフ

「もう一度見つめ直してみませんか? Windows 3.1」

2004年4月7日


信念

「以上がわたしの信念である。気に入らないなら他にもある」

―――グルーチョ・マルクス

2004年4月6日


DGZホールディングス入社式 社長挨拶

みなさん、入社おめでとうございます。DGZホールディングスを代表して心から歓迎いたします。

昨今の日本経済は、政府の月例経済報告などによると回復の兆しが見えてきているとは言うものの、国内外の情勢は混沌として予断を許さない状況です。

こうした状況でこそ冷静な判断力が必要とされるわけですが、官民問わず、さまざまな不祥事が多発しているのはみなさんもご存知の通りであります。新聞やテレビを始めとするマスコミで、大企業の重役が頭を下げる姿を見かけない日はないと言っても過言ではありません。

大勢の人間から構成される組織においては、必ず突発的な事故というものが生まれます。いかなる予防措置をとろうとも、これは防ぎようがありません。その際重要なのは、社会に対する責任の取り方、具体的に申し上げればお詫びの仕方であります。

長いテーブルに数人の重役が並び、立ち上がって頭を下げる。すっかりお馴染みになった謝罪方法ですが、どの組織も十年一日のごとし、すでに時代遅れになってしまったことはいまさら申すまでもありません。

当社は2003年4月の合併以来、融合によって生み出された新しい活力を「お客さまに詫びる力の向上」に向けて、あらゆる分野で大胆な改革を行ってきました。そして今年4月より、社名を「ひまわりホールディングス」から「DGZホールディングス」に改めました。

本日めでたく入社したみなさんの中には、なぜ自分が採用されたのか不思議に思っている方も少なくなかろうと思います。実際、面接で満足に話ができなかったばかりか、「お願いします。このとおりです」と土下座しただけの方も大勢おられます。

21世紀のリーディングカンパニーを目指す当社は、改革の第一歩として、学歴や学閥、経験などを考慮することを一切やめました。当社が求める人材は、「人の心を打つ土下座」ができる人であります。

みなさんは先の入社試験において土下座なさった。その姿に面接官はたいそう心打たれました。だからといって安心してもらっては困るのであります。社内に対してのみならず、社外に対しても、みなさんの土下座力を充分に発揮していただきたい、そう願っているのであります。

新しい時代を担うみなさんに、私から特に二点お話をさせていだきます。

まず第一に、当社の特徴である「お詫びさせたら日本一」というステータスを、今以上に高めていただきたい、そのためには、日頃から土下座の研鑽に励み、質の向上を図っていただきたいということです。

そして第二に、土下座のグローバルスタンダードを目指していただきたい、ということです。グローバリゼーションというと、欧米とりわけアメリカのスタンダードに倣うのが通念でありますが、時代の一歩先をゆく当社は、これからは日本が情報発信基地にならねばならない、そのためには、まず土下座を世界標準にするべきであると考えております。社名のDGZには、こうした願いがこめられております。

新時代を築き上げるためにはみなさんの力が必要です。足のしびれを恐れず、若さと体力とバイタリティーを思う存分発揮して、立派な「土下座人」となられるよう心からお祈りいたしまして、私のお祝いの言葉といたします。

2004年4月5日


お近くにお越しの際は

「できたよ」
「え?」
「案内。引越しの」
「お、できたか。ありがとう」
「いい、これで?」
「いいんじゃないの。……ん?」
「なに」
「これは?」
「なによ」
「『お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい』ってあるけど」
「そうよ」
「いいのか?」
「まずい?」
「気軽に立ち寄られて、君は平気なのか?」
「本気にする人なんているわけないでしょ」
「わからないじゃないか。夜中にそこのコンビニに酔っ払った友だちが来てみろ。ぐてんぐてんだ。そいつが気軽に立ち寄るんだぞ。それでいいのか」
「いやよ」
「そもそも同じ市内に引っ越したのが間違いだった」
「どうしましょう」
「逃げよう」
「逃げるって、どこへ」
「南米」
「え?」
「高飛びなら南米だ。昔から決まってるんだ。時間がない。早くしろ」

2004年4月4日


電話相談室

「では次の方どうぞ」
「もしもし」
「どうぞ」
「あの、主人のことなんですけど」
「はい」
「もう情けなくて……」
「どんなお悩みでしょうか」
「マリー・アントワネットの生まれ変わりだって言うんです……」
「マリー・アントワネット、ですか……」
「はい……」
「困りましたねえ。では先生にお聞きしましょう。吉田先生お願いします」
「あーもしもし」
「はい」
「奥さん。あのねー、ご主人、間違ってますねー」
「どうしたらいいんでしょう……」
「私ですから」
「はい?」
「ですから、私です。マリー・アントワネットの生まれ変わりは」
「はぁ……」
「そこのところをですね、ご主人にしっかり言い聞かせてですね、あげてほしいと思うんですね」
「参考になさって下さいね。ではまた来週」

2004年4月3日


Voyage to Cuban Cinema

日本・キューバ外交関係樹立75周年記念企画、東京国立近代美術館フィルムセンターの「キューバ映画への旅」。

『ハロー ヘミングウェイ』『公園からの手紙』『苺とチョコレート』はもちろん、「マファルダ」の作者キーノ原作の短編アニメや日本・キューバ初の合作『キューバの恋人』など15作品。

4月6日から25日まで。詳細はこちら

2004年4月2日


春の日の夕暮

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穩かです
アンダースローされた灰がざめて
春の日の夕暮は靜かです

! 案山子はないか―――あるまい
くか―――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするまゝに
從順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍は紅く
荷馬車の車輪 油を失ひ
私が歴史的現在に物を云へば
る嘲る 空と山とが

が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言ながら 前進します
らの 靜脈管の中へです

中原中也「春の日の夕暮」
『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫

2004年4月1日


「全国の井上」

23日から30日までの検索キーワード一覧です。ドリフ祭りといっていい929種。

「全国の井上」
「けとばしや」
「情熱といえば」
「胃 しよくじ」
「しのむ」
「大佐 ラブレター 通」
「バスガイドさん」
「子供、事務所、どこが、いい、タレント」
「あなご たれ すずめ」
「ちやむ」

何がどうなっているのでしょう。

2004年3月31日


オトナへの道

「スペイン アダルト 画像」
「エロ写真」

こんなのを検索していらっしゃる方がときどきいらっしゃいます。

スペイン語がだめなら英語で検索しましょう。

"spain adult pics"
"spanish xxx pics"

数十万ページがヒットします。

片っ端からクリックです。

知らないうちに有料サイトにつながります。高額アクセス料金を請求されます。「やべーよ」です。

英語を慎重に読まざるを得なくなります。みるみるうちに英語のチカラがつきます。

人はこうしてオトナになるのです。

2004年3月30日


ブログ

ブログ blog の増殖ぶりをどう考えたらいいのか。

「ウェブ」 web の「記録」 log にリンクを貼りコメントをつけて紹介するという当初のやり方は絶滅寸前で、ほとんどが日記。デザインはどれもそっくり。

"The dullest blog in the world"

ブログ日記は去年ここで引導を渡されています。

2004年3月29日


「え?」

「だらし」
「で」
「暗闇に」
「むろ」
「既に完成したる」
「三枚」
「59」
「プラ豚」
「こめかみ」
「28」
「リロー」
「黒」
「dd」
「玉」
「154」
「え?」

サイト内検索を設置してもうすぐ二年。実際に検索された言葉です。

コメントのしようがないよ。

2004年3月28日


オー!マイキー

「パパ!」
「ん? なんだいマイキー」
「あのね、きのう占いしてもらったんだよ」
「占い?」
「うん。学校の近くに占いのおばあさんが来たんだ」
「そうか。で、マイキーは何を占ってもらったのかな」
「今日の運勢だよ」
「今日って、つまりきのうだね」
「ううん。ちがうよ。今日だよ」
「あ、そうかそうか。で、どうだった」
「それがー」
「どうしたマイキー。そこまで話しておきながら、肝腎の占いを教えてくれないなんて水臭いじゃないか」
「でもー」
「なにか恥ずかしいことなのかな」
「恥ずかしくはないけど。あのね、パパは今日死ぬんだって」
「なんだって!」
「おばあさんが水晶の玉を見て、おまえのパパはあした死ぬよって」
「マイキーは信じてるのか」
「ううん。だって、パパ、ぴんぴんしてるもん」
「そうだろう。ほら、イチ、ニ、イチ、ニ! こんなに元気だ」
「ホントだー」
「ま、しょせん占いなんてものは、客を怖がらせて金をふんだくる、あこぎな商売なんだ」
「そっかー」
「そうなんだ。それが占いというものなんだ」
「アハハハ!」
「ハーッハッハッハ!」
「あなた!」
「ママが大声で呼んでるね。どうしたんだい、ママ」
「見てちょうだい、玄関」
「ん? おや、牛乳配達のお兄さんが寝ているね」
「死んでるのよ!」
「死んでる?」
「ええー? じゃあ、ぼくのパパは牛乳屋さんだったの?」
「そ、そーゆーこと、になるかしら、ね。オホホ、オホホホホ……」
「ぼくの本当のパパ、はじめまして!」
「遅かったな」
「遅かったわね」
「アハハハ!」「ハーッハッハッハ!」「オホホ、オホホホホ……」

2004年3月27日


恋する人

頭は金、純金で/髪はふさふさと、烏の羽のように黒い。

目は水のほとりの鳩/乳で身を洗い、形よく座っている。

頬は香り草の花床、かぐわしく茂っている。唇はゆりの花、ミルラのしずくを滴らせる。

手はタルシシュの珠玉をはめた金の円筒/胸はサファイアをちりばめた象牙の板

脚は純金の台に据えられた大理石の柱。姿はレバノンの山、レバノン杉のような若者。

その口は甘美、なにもかもわたしを魅惑する。エルサレムのおとめたちよ/これがわたしの恋する人、これがわたしの慕う人。

日本聖書協会『聖書 新共同訳』雅歌1章10節-16節

2004年3月26日


「お尻ペンペン」

15日から23日までの検索キーワード一覧です。893種。

「うすらとんかち cg」
「労力分配の法則」
「おえりゃあせんのう+岡山弁」
「爬虫類の交尾」
「1001」
「二度目の離婚」
「しまいにゃ 谷岡」
「男鹿漁業組合」
「四十女」
「歌 けさら」
「お尻ペンペン」
「虎に大判」
「もう21世紀」
「共和国閣僚」

よくわかりません。

2004年3月25日


待ち合わせ

「早いな」
「遅かったじゃねえか」
「電車が遅れてな」
「電車なんか乗ってくるんじゃねーよ」
「なんで中で待ってねーんだよ」
「いいじゃねーか」
「中で待ってろって言っただろうが」
「満席だっつーんだよ」
「風邪でもひいたらどうするんだよ」
「余計な心配してんじゃねーよ」
「腹、減ってねーのかよ」
「腹ペコだっつーんだよ」
「焼肉でいいのかよ」
「焼肉じゃなきゃいやだっつーんだよ」
「四の五の言ってねえでさっさと行こうぜ」
「おう!」

(……)

「しあわせな顔してんじゃねーよ」
「だったらこんなウマい店連れてくるんじゃねーよ」
「なんでオレの肉まで焼くんだよ」
「おまえだって焼いてくれたじゃねーか」
「じゃあこれからは自分のは自分で焼こうぜ」
「おう!」
「(くそー。焼いてやりたいのに)」
「(ちくしょう。焼いてやりてえなあ)」

(……)

「チケット、持ってきただろうな」
「あたりまえだっつーんだよ」
「見せろよ」
「……」
「どうしたんだよ」
「いや、ちょっとな……」
「……まさか、失くしたんじゃねーだろうな」
「あるっつーんだよ」
「見せてみろよ」
「……あとで見せるっつーんだよ」
「いま見せてくれよ!」
「……ほら」
「……チラシじゃねーのか?」
「チラシに決まってるっつーんだよ!」
「逆ギレしてんじゃねーよ!」
「いいから、行ってこいよ」
「なに言ってんだよ。おまえも行くだろうが」
「ひとりで楽しんでこいっつーんだよ」
「おまえと一緒じゃなきゃイヤだっつーんだよ」
「たまにはひとりで行けよ」
「行かねーよ」
「行けよ」
「行かねーよ!」
「行けよ!」
「うるせえ! ……飛ぶぞ!」
「……飛んでみろよ」
「……飛ばなくてもいいよな?」
「おう!」

2004年3月24日


聲明文

「スペイン 列車 爆弾」「犯行声明」「声明文 和訳」「アルカイダ 声明文」など、サイト内検索でいくら探してもヒットせず、イライラしている人、少なからずいらっしゃるようです。

「抑鬱亭日乘」の3月12日「犯行聲明」を御覽ください。このやうに永井荷風にならつて舊漢字舊假名遣ひで書いてゐます。

2004年3月23日


全員集合

「オィーッス!」
「おぃーっす!」
「声が小さいッ! もういちどッ! ……オィーッス!」
「おぃーっす!」
「よーし! ……シーッ……静かにしろ……わたしは忍者だ。これからこの屋敷に忍び込む。仲間たちとここで待ち合わせをしているのだが、それにしても遅い……」

(仲本工事登場)

「……おまちどうさまー」
「こらッ! 静かにせんか! ……なんだ、その恰好は? 体操のコーナーはまだだぞ」

(高木ブー登場し、へたりこむ)

「……どうした?」
「……腹へった」
「バカッ! いいからこっち来い!」

(加藤茶登場)

「どーもどーも。いやあ……すんずれいすますた!」(帰ろうとする)
「おいッ! 帰るやつがあるかッ!」

(志村けん登場)

「ひが~しむらや~まァ~♪」
「歌うんじゃない! 少年少女合唱隊はまだ先だ」

(荒井注登場)

「……あ、荒井……お前、脱退しただろ」
「なんだバカヤロー」

(全員集合して)

「ババンババンバンバン!」
「宿題やったか?」
「ババンババンバンバン!」
「お風呂入れよ!」
「ババンババンバンバン!」
「歯、磨けよ!」
「ババンババンバンバン!」
「また来世!」
「ダメだこりゃ!」

2004年3月22日


愛知県立大学スペイン科卒業生のみなさん

卒業おめでとう。謝恩会をありがとう。

昨夜言い忘れたことがありました。

「年長者の言うことはすべて疑ってかかりましょう。わたしも含めて」

前途に幸多かれ!

2004年3月21日


締切り

「原稿ですか」
「ああ」
「祝日ですよ」
「きょうが締切りなんだ」
「前から思ってたんですが」
「なんだ」
「なんで締切りって言うんでしょうね」
「知らないよ」
「何を締めて切るんでしょう」
「さあ」
「首、でしょうか」
「いいからちょっと黙っててくれないか」
「いやですねえ、首締めて切られるなんて」
「うるさい」
「わたし思うんですけど、首を絞めて切られるくらいなら、メロンパン食べる方がましです」
「……意味がよくわからないんだけど」
「とにかく頑張ってください」

2004年3月20日


あいちけん

「きょうは愛知県について勉強したね。なにか質問ある人!」
「ハーイ!」
「はい清水さん」
「愛知県が自慢できるものってなんですかッ!」
「そうだねー、2年前までセブンイレブンがなかったことかな」

(すごーい)(すげー)(マジ?)

「ほかには?」
「ハーイ!」
「はい元木くん」
「名古屋はどうして道路が広いんですか?」
「どうしてだと思う?」
「えっとー、クルマが走りやすいからだと思います」
「そうだね。クルマがイキイキしている町、それが愛知なんだね」
「でも地下街も広いです」
「そうだったね。さっき名古屋の地図で見たね。どうして広いと思う?」
「えっとー、クルマが多いから道はあぶないから地下だと安全だからだと思います」
「そうだね。クルマは太陽の下をのびのびと走る。人間は地下を歩く。それが名古屋なんだね。ほかに質問は?」
「ハーイ」
「はい伊藤さん」
「愛知県は借金だらけだって聞いたんですけど本当ですかッ!」
「よく知ってるね。2000億円も赤字なんだ。会社だったら倒産しておかしくないんだよ」
「でも……」
「ん? 田嶋くん、なに?」
「でも、万博で儲かると思いますッ!」

(バンパク?)(やるの愛知で?)(いつ?)(知らねーよ)(いてーよさわんじゃねーよ)

「はーいみんな静かに! やるんですねー万博。あたらしい空港も大急ぎで造ってるんだよ」
「どこに造ってるんですか?」
「海だよ。知多半島の沖を埋め立ててるんだ」
「関空みたいにですか?」
「そう。似てるね」
「関空は沈んでるってお父さんが言ってました」
「そうなんだよ。地盤沈下してるんだね」
「あたらしい空港は大丈夫なんですか」
「さあどうかな。大急ぎで造ってるからね、ちょっと心配だね」
「でも……」
「ん? 田嶋くん」
「でも、造ってみないとわからないと思いますッ!」
「そうかもしれないね」
「とにかく造った方がいいと思いますッ!」
「どうしてかな?」
「どうしてもですッ!」
「田嶋くんは将来政治家になれるね」

2004年3月19日


代償

「先週はひどい一週間だったけど最後はほっとするニュースで終わった。残念なのは国民党に対する罰と民主主義復活の代償があまりにも高すぎたこと」

「今は民主国家に戻りつつある。ここ数年とは違ってね」

「国民党の情報操作にはすっかり慣らされていたけど、あれは民主的ではない」

「事故当時聞けたラジオはSERだけ。状況の深刻さが聞ける唯一の放送局だった。国民党はクーデターの煽動だと難癖つけているけど」

「ジェノバでは世界中のテレビカメラに囲まれたよ。でもテレマドリードは来なかった」

「『今回のデモは違法だ』と言ったラホイ氏の言葉、そのツケはもう払わされている。これからも高くつくよ。国民の声に耳を傾けるのが為政者だ」

ペドロ・アルモドバル
(17日付『エル・パイス』文化面より)

2004年3月18日


微笑問題特別編

「列車爆破テロがあったスペインの総選挙の結果が出たけど、驚いたね」
「びっくりしたな」
「予想は与党国民党の圧勝だったけど、なんと野党が大逆転」
「テレビ見たけど、目を疑ったよ」
「世界中に激震が走ったね」
「信じられないよな。『え? 次期首相がテロリスト?』」
「なんでだよ!」
「これだからなに考えてるんだか分からないよ、スペイン人って」
「なんの話だよ?」
「党首はサーバーテロなんだろ?」
「サパテロって言いたいのかよ! なに考えてるのか分からないのはお前だよ!」
「ネットにウィルスばらまいてるのかなって思って」
「するわけねえだろ! 確かにサパテーロとかサバテロとか、マスコミによってまちまちで分かりづらいけど」
「でもあの日の抗議デモはすごかったぞ」
「あれは野党支持者だよ!」
「なんだ、サパテロリストか」
「お前殺されるぞ!」
「それにしても、総選挙の直前にテロがあるっていうのも、偶然にしちゃできすぎだよな」
「確かに絶好のタイミングだったと言えなくもないよね。テロの直後、アセベス自治大臣はETAの犯行に間違いないと発表した。ところが選挙直前になってアルカーイダの声明文が出てきた。だから、政府は情報操作をしてるんじゃないかって、国民のあいだで一気に不信感が高まったようだね」
「野党には都合が良かったってことだろ?」
「まあ、結果的にね」
「黒幕はサーバーテロ党首」
「いい加減にしろ!」

2004年3月17日


復旧しました

17時、サーバの復旧作業がようやく終わりました。「語尾取り」などのデータは、残念ながら14日分が消えてしまいました。

これに懲りず、ご愛顧をよろしくお願いいたします。

2004.3.16 Part 2


ラブレター

当サイトのすべてのページにアクセスできるようになりましたが、復旧作業完了の通知はまだ届いていません。

待ち遠しいよ。サポート担当者に手紙でも送るか。

「毎晩あなたのことを想っています」

2004.3.16 Part1


お知らせ

14日にサーバが故障し、現在復旧作業中です。といっても、わたしがやっているのではなく、レンタルサーバのサポート担当者ですが。

今日の夕方からなんとなく繋がっているようです。ただし「語尾取り」や「意味なし掲示板など、14日分のデータが消えているページがあります。

完全復旧までしばらくお待ち下さい。

2004.3.15 Part2


豆腐

「この世に豆腐のある限り 麻婆豆腐を食べましょう」

五反田駅前の中華料理屋の看板です。

食べ続けるしかないな。

2004.3.15 Part1


「955」

6日から12日の検索キーワード一覧。533種類。

「かっこいい用語」
「ルカによる福音書19章28ー40節」
「壇ふみ+ハイソックス」
「955」
「アメリカの習慣」
「ガルフ弟の戦争」
「ばいろく」
「ふたえ 裏技」
「将来性のある若者」
「草鞋屋」

「955」が謎です。

2004年3月14日


普遍的償いは可能か

「もう一つ、否定的な形で最初にとらえておかなければいけないことがあります。きょうのテーマである『償い』を〝贖い〟と言いかえると、非常にキリスト教的なコノテーションが出てくるということです。また、ユダヤ教のなかから出てきた思想にも、たとえばローゼンツヴァイクの『贖いの星』という書物がありますし、いずれにしても大変ユダヤ=キリスト教的なニュアンスが濃厚です。
 このユダヤ=キリスト教的な空間の中で成立した罪の思想や贖いの思想は、償いの原理として果たして普遍的に妥当するのか。仮に普遍的であるとしたら、いったいどういうことになるのか。普遍的だということは、ユダヤ=キリスト教文化の成員が他の文化の成員に対して犯した罪を贖うためには、彼は彼ら自身の伝統の中からその償いの行為をするしかないということです。逆にユダヤ=キリスト教の外側で起きた事柄について生じた紛争においても、贖いをする時には常にユダヤ=キリスト教的な範例に依拠することによってしか償いをすることはできないということです。
 この問題が解き難いまでに混乱してしまったのがパレスチナ問題です」

鵜飼哲『償いのアルケオロジー』河出書房新社、12-13頁

2004年3月13日


「死体が汗かいて、どうするんです。情けない」

日本一の斬られ役俳優、福本清三。

『どこかで誰かが見ていてくれる』(集英社文庫)、滅法面白いです。ページをめくるたびに泣き笑いです。

2004年3月12日


新国立劇場でコント

気の早い話ですが、来年の5月です。公演タイトルは『コミュニケーションズ』。

作家は鄭義信、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、いとうせいこう、筒井康隆など。円城寺あや、腹筋善之助、山崎清介など8人が演じます。演出は渡辺えり子。

監修は別役実と永井愛。

2004年3月11日


ごめんください

「ごめんください」
「はーい」
「コジンジョーホーです」
「はい?」
「ぼく、コジンジョーホーです」
「……え?」
「それ、あなたのパソコンですか」
「これ? そうですけど……」
「すてるんですか」
「あ、いえ、引き取ってもらうんだけど。買い換えるから」
「もれます」
「なにが」
「あなたのぼくです」
「……はァ?」
「データは消しましたか」
「データって、要らないソフトやファイルなら削除しましたよ。ところで、どちらさま?」
「だからコジンジョーホーです」
「……」
「ゴミ箱は空にしましたか」
「え? ああ、したよ」
「それだけですか」
「それだけ……だけど」
「ダメです!」
「ちょっとあんた、いきなり人んちに来て何の用?」
「ゴミ箱を空にしてもぼくは消えないんです。かんたんにもとにもどっちゃうんです」
「そうなの?」
「もとにもどらないようにしたほうがいいです」
「どうやって?」
「このソフトを使えばぼくは完全に消えます」
「なんだセールスか……。結構です。間に合ってます」
「間に合ってません! ぼくはあなたのぼくをまもりたいんです!」
「……なんだかわかんないけど。いくら?」
「9,800円です」
「高い」
「分割手数料はジャパネットたかたが負担します!」

2004年3月10日


松井須磨子

生きていれば今日で118歳。

「誰?」

この拙文を読んでいただければちょっとだけイメージがわくかも知れません。

2004年3月9日


すごい美女、走る男。

昨夜広尾ですごい美女を見ました。

見とれていたら、半袖に短パン姿の背の高い白人男性がすごい勢いで走ってきて、交差点でぴたりと止まり、すごい勢いで横断歩道をわたってぴたりと止まりました。美女はどこかに消えました。白人男性は交差点にさしかかるたびにぴたりと止まり、ものすごい勢いで走り出す。

なんだか分からないけど、すごいすごいと感心しました。

2004年3月8日


「接吻の仕方」

2月29日から3月6日までの検索キーワード一覧。

「豆腐の角に頭をぶつけて死ね」
「金粉塗女」
「かんこう 農法」
「四男 アデランス」
「妻を寝取られた」
「接吻の仕方」
「海が割れるのよ」

接吻の仕方か。接吻の仕方ねえ。

2004年3月7日


確定申告はお早めに

「ちょっと見せてくださいね。えーと……はい、これで結構です。作家さんですか……印税の源泉徴収票がありませんけど……よろしいですか」
「ええ、処女作執筆家なもので」
「はい?」
「ですから、処女作執筆家」
「なんですかそれ」
「まあ作家といえば作家なんですけどね。処女作専門でして」
「じゃあ印税もらってるでしょ」
「もらってません。出版してませんから」
「出版してないんですか」
「しませんよ。まだ廃業したくないです」

2004年3月6日


自分だけが本人だと思ったら大間違いだ

読みましたか、南伸坊『本人の人々』(マガジンハウス)。だめですよ、読まないと。

2004年3月5日


『カタリエヌモノ』

今週末、6日(土)と7日(日)の二日間、神奈川県民ホールでウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』をモチーフにしたパフォーマンスがあります。

題して『カタリエヌモノ』。演出は友人の大岡淳さん。

両日とも二回公演。入場無料。定員百名。

詳細は県民ホール「ちかげきじょう」公式ページでどうぞ。

2004年3月4日


暴力の連鎖

いわゆる〈イラク戦争〉に常に抗議してきたふたりの俳優兼監督が主演男優賞と助演男優賞を獲ったこと、ABCが中継を5秒間遅らせて放送したこと、現在最高のホスト、ビリー・クリスタルが返り咲いたことで、第76回アカデミー賞は記憶されるでしょう。

ティム・ロビンスは受賞スピーチをこう締めくくりました。

「もうひとこと言わせてください。この映画でわたしが演じたのは虐待と暴力の犠牲者だったわけですけど、もしみなさんが同じ境遇で、同じような目に遭ったことがあるなら、助けを求めればいい、カウンセリングを受ければいい。ちっとも恥かしいことじゃないし、弱音を吐くのでもない。暴力の連鎖を断ち切るのにこれ以上強いことはないんです。ありがとうございました」

2004年3月3日


お先にどうぞ

英語が話せないと「時代に取り残される」のだそうです。

「取り残される」と口にする人たちが、「時代」がどこに向かっているのか、進むべき方向に進んでいるのか、わかっているのなら構いませんが、わかってもいないのにそう口にしているとしたら、これほど怖ろしいことはありません。自分の意思ではなく、〈誰かにしゃべらされている〉ということにほかならないのですから。

そんなわけで、数年前から座右の銘は「お先にどうぞ」です。

2004年3月2日


「丸腰だから最強だ」

2月21日から29日までのキーワード一覧です。

「ケロヨンクラブ」が14.5%でぶっちぎりのトップ。麻原裁判前後に急増しました。

「ABC キス」
「永瀬正敏との」
「丸腰だから最強だ」
「泣いた歌手」
「ドイツ語 彦星」
「ホモの 褌」

泣いた歌手ってことはないじゃないか。

2004年3月1日


「ごあいさつ」

いまご覧になっているこの小文。

ほぼ毎日、わけのわからないことを書いていますが、いったいこれは何なのでしょう。「何なのでしょう」って、書いてる本人が読者に疑問を投げかけてどうする。

「毎日書く」というだけで、内容はめちゃくちゃです。めちゃくちゃなので、毎回タイトルをつけています。

月があらたまるたびにまっさらにして、また書き始めます。それまでのものはひとつのファイルにまとめています。

そのファイル、言葉のごった煮を、どう名づけたらよいのか。

始めたのは去年の元日で、最初のタイトルはたしか「ごあいさつ」でした。で、書いている本人は勝手に「ごあいさつ」と呼んでいるのですが、人によっては、

 「入口」
 「正面玄関」
 「巻頭言」

など、さまざまです。どれも、ああ、ここのことだな、とわかります。

で、結論。

お好きなように呼んでください。

2004年2月29日


鳥インフルエンザ

「こんにちは。徹子の部屋です。今日のゲスト、まー最近この方の話題がない日はないくらい、それはもう大活躍中なんですが、鳥インフルエンザさんです。鳥インフルエンザさん、ようこそ」
「どうも」
「まーそれにしてもすごい人気ですけど、どんな気分ですか」
「人気っていうんですかね、これ」
「あたくしがうかがった話では、インフルエンザっていうのは、あれなんですって? 50年とか60年周期で、うわーって大流行するんですってねえ」
「らしいですね。自分ではよくわからないんですけど」
「まあ、わからないの? だってあなたインフルエンザでしょ?」
「ええ、子どもの頃にね、お前のおじいちゃんはスペイン風邪だぞって言ってたおじさんがいたんですけど、なんか、だらしないおじさんで」
「だらしないの? だらしないって、どんなふうに」
「靴下がね、ずれてるんですよ、いっつも」
「靴下?」
「ええ。かたっぽだけ」
「じゃあ、なに? いつも靴下、かたっぽだけずれてるおじさん?」
「ええ」
「まあだらしない」
「でしょ? だらしないんです」
「だらしないわねえ。まーそんなことはいいんですけど、あれなんですって? 何かおっしゃいたいことがあるんですって、マスコミに?」
「ええ」
「何?」
「いや、あの、大したことじゃないんですけど、あの……あ、」
「緊張なさってる?」
「ええ、はい」
「あら、汗びっしょりよ」
「はい。やっぱり緊張しますね。いいですか、ジュース」
「どうぞ。まーそれにしても、ねえ? 毎日毎日、あなたの話題が出ない日はないんですけど……どう? 落ち着きました?」
「あ、はい」
「それで何をお聞きしたかったかといいますと、あれなんですよね、その、マスコミにね、言いたいことが」
「はい」
「あるんですよね」
「はい」
「何?」
「いや、なんか、今すごいでしょ、目の敵にして」
「そりゃだってそうよ、こわいもの」
「そうなんですけどね、でも、インフルエンザにも生きる権利はあるってことをね」
「そーかそーか。インフルエンザっていうと、なんていうの? ばっちいっていうか……あらごめんなさいね、ばっちいなんてまーいやだ。アハハハ」
「いえいえ」
「でもね、ありますからねそういうイメージが。で、権利? 生きる権利?」
「ええ。やっぱり、生き物ですから」
「そうよね。インフルエンザだって、生き物ですよね」
「実際、必死なんですよ、わたしたちも」
「そりゃそうよねえ。誰も好きで嫌われ者になりたがる人なんていませんもんねえ。でもあれなんですって? お孫さんが生まれたんですって?」
「はい?」
「だって書いてますよここに。孫が生まれたって」
「あ、それわたしじゃないです。兄です」
「お兄さん? お兄さんがいらっしゃる?」
「兄っていっても、顔も見たことないし、たぶん顔さえないと思うんですけど(笑)」
「あらやだ(笑)。顔がないなんて……気持ち悪い」
「ですよね」
「でも、あなたもよくみると、お顔ないわね。どうなさったの?」
「別にどうもなさってないんですけど(笑)」
「顔がないのにしゃべってますけど、どうなってるの? 手品? 魔法? まー考えれば考えるほど不思議なことばっかりなんですけど、顔がないのにどうしてしゃべってるのか、ちょっとその前にコマーシャルを」

2004年2月28日


金メダル

「世界新での金メダル、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「どんなお気持ちですか」
「そうですね、なんかこう、金だなって、そんな感じです。はい」
「四年間の努力、むくわれましたね」
「(感極まって)……はい……」
「……日本に帰って、まず何がしたいですか」
「……そうですね……眉を……」
「……マユ?」
「……眉を……ひそめたいです」
「……」
「……」
「……もしあれでしたら、どうですか、ここで」
「いえ、帰ってからにします」
「そうですか」
「帰ってから、ゆっくり、ひそめようと思います」
「金メダルのシノヅカ選手でした!」

2004年2月27日


「わたなべじゅんや」

2月10日から16日までの検索キーワードで、気に入ったのをご紹介します。

「わたなべじゅんや」。570種中35位でした。

「えびふりゃーどえりゃー」
「手術 うまい 直腸癌」
「紅白歌合戦 紅白とは」
「あかふく」
「ワキガ汁」
「有名人の 中島みゆき」
「反対語 月末」
「ちゅうがく」
「ゴールの場所 都内」
「ひまわりの絵」
「とさつ」
「男根 女」

例によって、なんのお役にも立てない theatrum mundi でございます。

2004年2月26日


お詫びとお礼

先週サイトを閉鎖しましたが、ご覧のように、再開することにいたしました。

閉鎖は単なる思いつきではなく、魔がさしたわけでもなく、前から考えていたことでした。でも、もう一度出直すことにいたしました。多くの方にご心配をかけてしまいました。心よりお詫び申し上げます。

多くの方からメールを頂戴しました。ありがとうございます。これからゆっくりお返事を書きます。

完全復活まで少々時間がかかると思いますが、いちばん人気の「語尾取り」と「とりかえっ語」は復活させました。ほかのコーナーも少しづつ戻してゆきます。

theatrum mundi は変わります。
そして、theatrum mundi は変わりません。

これからもどうかよろしくお願いいたします。

2004年2月25日


粗忽主義貧民共和国センター試験(英語)

〔問〕以下の熟語を英語にせよ。

1. 留学
2. 帰国子女

2004年2月20日


亡命

どこでもいい。
したいな。
しようかな。

「そんな勇気ないくせに」

わかってるよ。
だから国をつくったんだ。

粗忽主義貧民共和国。

亡命絶賛受付中。

2004年2月19日


もやしおとこ

もやしおとこがおりました。

たいそうやせていましたから、
まちのひとは、
「そのうちしぬよ」と
からかいました。

もやしおとこは、たびにでました。
てくてくあるいてゆきました。
すぺいんというくににつきました。

ついたはいいが、まっくらやみ。
まよなかだったのです。

「こんやはどこでねむろう」

てくてくあるいてゆきますと、
あかりがぽつんとありました。

やどです!

もやしおとこはかいだんをのぼりました。
ながいながいかいだんです。
よいしょ、よいしょ。

いったいなんだんのぼったでしょう。

とびらのよこにべるがあります。
もやしおとこはべるをおしました。

「だれだい。こんなじかんに」

なかからおんなのひとのこえがしました。
とてもふきげんそうなこえです。
それもそのはず、とっくにねむっていたのですから。

「たびをしています。あいているおへやはありませんか」

もやしおとこはたずねました。

「ないよ」
「にほんからきました。こんばんだけでいいのです」

すると、

がちゃり。

どあがあいて、おんなのひとがかおをだしました。
ああめんどうだ、ああめんどうだ、
そんなかおをしています。

もやしおとこはもういちど、
おへやはありませんかとたずねました。

おんなのひとはもやしおとこをみました。
そして、いいました。

「あなたがわるいひとでないことは、
めをみただけでわかったよ。
さあ、おはいり」

もやしおとこはちいさなへやにあんないされました。
すっかりつかれていましたから、べっどにちょっこう!
かたい、かたい、べっどです。

「ああ、よかった」

もやしおとこはもうふをかぶりました。

「せかいには、もやしおとこがおおぜいいる。
もしもどこかのもやしおとこがにほんにきたら、
やどのひとは、とめてくれるかな。

あなたがわるいひとでないことは、
めをみただけでわかったよ。

さあ、おはいり。

やどのひとは、いうかしら」

まどからつきがみえました。
ぎんいろの、おおきな、つきでした。

2004年2月18日


まだ何者かになれるのなら

人間になりたいのです

ガクシャでもないケンキューシャでもない
ホンヤクカでもないブンピツカでもない

ただの人間になりたいのです

2004年2月17日


ダメなのかな

ワープロが、パソコンが、ケータイが文学をダメにしたって言う人。言わないけれど心の中ではそう思っている人。かなりいるみたいです。

ペンがタイプライターになって、文学はダメになったのかな。

視力を失って、しかたなく口述筆記させていたボルヘスさんは、ダメなのかな。

「文字」というものがなかった時代に人々の魂をゆさぶることばをうたって、ずっと後になって「文字」を手に入れた人たちが、頼まれもしないのに書き残した、おかげで21世紀の日本の少年少女もその名前くらいは知っているホメロスさんは、ダメなのかな。

2004年2月16日


会議

「静かにしてください! 時間がきたので、首脳会議をはじめたいとおもいます! きょうの議題は北朝鮮の核開発問題です!」
「プチ整形してんじゃねーよ」
「うるせーよ」
「ゲルハルトくん! シルヴィオくん! 私語はやめてください」
「……はい」
「だれか意見ある人いませんか」
「はい!」
「ではジョージくんおねがいします」
「ぼくはブラジルに黒人がいることを知っていたからカナダとメキシコの国境を甘くみてはいけないと思います」
「ほかに意見ある人いませんか」

(シーン)

「では名前をよびます。よばれた人は意見を言ってください。……ウラジーミルくん」
「……はい」
「意見ありませんか」
「考え中です」

2004年2月15日


ニュージーランド

「すごいなヒツジ! 何頭いるのかな」
「4923頭」
「どうしてわかる」
「足を数えて四で割った」

2004年2月14日


反対

「お前はいつも俺に反対するな」
「反対しないとふたりとも間違っちゃうだろ」

2004年2月13日


郵便局

「お客さま」
「はい」
「この封筒、ちょっとオーバーしてますから、切手もう一枚貼っておきますね」
「貼ると軽くなるんですか」

2004年2月12日


「走る若い女」

2月4日から10日の検索キーワード一覧です。709種。

「ただ一撃にかける」。突出した人気です。芸術祭賞受賞のNHKドキュメンタリー。再々々放送が望まれます。そのうちあるでしょう。

それにしても「キムタク」の「車」がやたらに多い。「ボールペン」ではだめだ。「車」だ。やはり「車」なんだな。

「はだかヌード」
「はりねずみ ボタン」
「道徳的な話」
「高橋尚子 出たいの」
「走る若い女」

なんだというのか。

「フランス語 みかん」

辞書を引いたらどうだ。

2004年2月11日


おえかき

「ゆかちゃんは何を描いてるのかなー」
「ねこがね、ごはんたべてるとこ」
「そっかー。ごはんはどれかなー」
「たべちゃったの」
「そっかー。ねこはどこかなー」
「たべたからどっかいっちゃったの」
「そっかー」

2004年2月10日


銀行

「お待たせしました」
「……騒ぐな」
「………」
「黙って金を出せ」
「あの」
「いいから黙って出せ」
「……王子さま?」
「………」
「王子さまですね! あなたが、あなたがわたしの王子さまなんですね!」
「………」
「占いです。銀行強盗の恰好して現れるって。それがわたしの王子さまだって」
「ふざけんじゃねーぞ」
「やっぱり! ふざけんじゃねーぞって言うんです! それが王子さまなんです! 支店長!」
「んー」
「お先に失礼しまーす」
「お先にって、まだ営業時間だぞ」
「王子さまなんです」
「王子さま?」
「迎えに来てくれたんです。ご紹介します!」
「ん? ……銀行強盗、じゃないのか?」
「そうなんです! いえ、そうなんですけど、ちがうんです! 王子さまなんです!」
「ああ、そうか、王子さまか。王子さまじゃ、しょうがないな」
「おめでとう、ユリ!」
「ユリ、やったね!」
「もーユリだけずるーい!」
「ありがとう!」
「ふざけんじゃねーぞてめーら」
「王子さま!」

2004年2月9日


Boys II Men

- Why did Michael Jackson telephone to Boys II Men?
- Because he thought it was a delivery service.

昨夜の radio-i より

2004年2月8日


「金粉番組」

1月31日から2月4日の検索キーワード一覧です。

「いつどこ」
「ちんぷ」
「さかりのついた猫」
「おしっこ漏れ」
「三重県のごみ」
「接吻」
「金粉番組」

いったい何を知りたいのでしょう。

2004年2月7日


若い女性

「では現場の様子をネモト記者に伝えてもらいます。ネモトさん?」
「……はい、こちら現場です」
「火災発生からまもなく四時間になりますが、火の勢いはおさまってきているのでしょうか」
「そうですね。若い女性に人気です」
「………」
「………」
「ネモトさん?」
「若い女性に大人気です」
「……えー音声の調子がおかしいようです。ネモトさん?」
「はいネモトです」
「火災の様子ですが」
「若い女性です」
「……被害に遭われた方がいる、ということでしょうか」
「若い女性に増えています」
「ネモトさん?」
「とにかく若い女性ということになっているようです。以上現場からネモトがお伝えしました」

2004年2月6日


「首ったけだよ」

1月24日から31日の検索キーワード一覧です。

「ドイツ語 赤ちゃんが乗っています」
「首ったけだよ」
「あくがれる」
「えろご」
「オーレー」
「どんわん」

どんわんは、ご常連のどんさんのことでしょうか。

2004年2月5日


A Song For You

You've been so many places in your life and time
You've sung a lot of songs you made in some bad rhyme
You've acted out your love in stages
With ten thousand people watching
But we're alone and now I'm singing this song for you

I know my image of you is what you hope to be
I've treated you unkindly but Karen can't you see
There's no one more important to me
Karen can't you please see through me
We're alone and now I'm singing this song for you

You taught me precious secrets of the truth withholding nothing
You came out in front and I was hiding
But now I'm so much better and if my words don't come together
Listen to the melody 'cause my love is in there hiding

I love you in a place where there's no space or time
I love you for in my life you are a friend of mine
And when my life is over remember when we were together
We were alone and I was singing this song for you

----- To Karen, wherever you are.

2004年2月4日


(僕の夢は破れて、其處に血を流した)

僕の夢は破れて、其處に血を流した。
あとにはキラキラ、星が光つてゐた。

雲は流れ
月は隱され、
聲はほのぼのとの穗にまつはりついた。

((泣かないな、
俺は泣いてゐないな))
僕はさういつてみるのであつた。

涙も出なかつた。
鼻血も出た。

中原中也の未完詩
『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫

2004年2月3日


スタイル

「文体とは、思考がそれを掘りわけ、穿ちぬいてすすむ坑道だから、スタイルは文章を書くごとにわずかに変化し、変容のなかですこしずつかたちをさだめてゆく。私じしんはおそらくそのつどの文体の振幅が大きいほうであるかもしれない。たぶん、世界と自身との隔たりをなお測りあぐねているからなのだろう。文体をさぐりあてたいというのぞみと、思考のスタイルを固定したくはないというおもいとのあいだで、いまでも揺れうごいている」

熊野純彦『差異と隔たり』(岩波書店、2003年)「あとがき」より

2004年2月2日


保健室

「……いいですか」
「あら」
「……おなか痛いんです」
「また?」
「いいですか」
「しょうがないわねえ。こっちで寝てなさい」
「……」
「どうしたの?」
「………」
「泣いてるの?」
「……ちがいます」
「泣いてるじゃないの」
「……みんな……みんな悪口ばっかり言うから……」
「みんなって、いつもの?」
「……うん」
「だから気にしちゃだめよ」
「だって……」
「あなたがうらやましいのよ」
「そんなことないです」
「ねたんでるのよ。だから、つい悪口言っちゃうのよ」
「そんなことないです! きらわれてるんです!」
「あんまり自分を責めちゃだめよ。校長先生がそんなことでどうするの」
「でも……」
「もう忘れましょ。始まりますよ、職員会議」
「……はい。あの……」
「なあに」
「保健の先生は……」
「そろそろ戻ると思いますけど」
「そうですか……それじゃ」
「ケイコちゃんお待たせ~!」
「もーセンセー! おそーい!」
「ごめんごめん。コピーとりにいったんだどォー、そしたらさー、ナンパされちゃった! 誰だと思う? ねぇ誰だと思う? 安田! あのハゲ! バッカじゃねーの。百万年はやいっつーの! ガハハハハ! ケイコちゃんこれから部活?」
「遅刻しちゃう!」
「誰か来た?」
「校長先生」
「またァ~? あーよかった出かけてて。また頼むねー」

2004年2月1日


なかよしさんに捧げます

リンクページでご紹介している「はみてーじ」の庵主なかよしさんのご主人が今月11日に永眠しました。享年66。あまりにも突然のことだったそうで、胸がつぶれる思いです。今月はどうしてこんなに多くの命がこの世を去っていくのでしょう。

衷心からお悔やみ申し上げます。

アメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの "You've Got A Friend" という歌の歌詞を、なかよしさんに捧げます。

"You've Got A Friend"

When you're down and troubled
and you need some loving care
and nothing, nothing is going right
Close your eyes and think of me
and soon I will be there
to brighten up even your darkest night

You just call out my name
and you know wherever I am
I'll come running to see you again
Winter, spring, summer, or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend

If the sky above you
Grows dark and full of clouds
and that old north wind begins to blow
Keep your head together
And call my name out loud
Soon you'll hear me knocking at your door
You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there

Ain't it good to know that you've got a friend?
When people can be so cold
They'll hurt you and desert you
And take your soul if you let them.
Oh but don't you let them

You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again.
Winter spring summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend

ともだちだよ

つらくて やりきれなくて
なぐさめてほしい
なんにもうまくいかない そんなとき
目をとじて わたしを想って
すぐいくよ
どんなに暗い夜も明るくしてあげる

わたしを呼んで
どこにいても
飛んでいくよ
冬 春 夏 秋
呼べばいいの
すぐいくよ

おもくるしい空
雲ばかり
ふきつける北風
頭をあげて
わたしを呼んで 大きな声で
すぐドアをノックするよ
呼べばいいの
どこにいても
飛んでいくよ
冬 春 夏 秋
呼べばいいの
すぐいくよ

ともだちっていいでしょ
心の冷たい人ばかり
傷つけて 見捨てて
魂を奪う
そんなこと させちゃだめだよ

わたしを呼んで
どこにいても
飛んでいくよ
冬 春 夏 秋
呼べばいいの
すぐいくよ
友だちだよ

Carole King, You've Got A Friend (1971)

2004年1月31日


またひとりぼっち

In a little while from now
If I'm not feeling any less sour
I promise myself to treat myself
And visit a nearby tower
And climbing to the top will throw myself off
In an effort to make it clear to whoever
What it's like when you're shattered
Left standing in the lurch at a church
Where people saying: "My God, that's tough"
"She stood him up"
"No point in us remaining"
"We may as well go home"
As I did on my own
Alone again, naturally

To think that only yesterday
I was cheerful, bright and gay
Looking forward to who wouldn't do
The role I was about to play
But as if to knock me down
Reality came around
And without so much as a mere touch
Cut me into little pieces
Leaving me to doubt
Talk about God and His mercy
Who if He really does exist
Why did He desert me?
In my hour of need
I truly am indeed
Alone again, naturally

It seems to me that there are more hearts
Broken in the world that can't be mended
Left unattended
What do we do? What do we do?

Alone again, naturally

Looking back over the years
And whatever else that appears
I remember I cried when my father died
Never wishing to hide the tears
And at sixty-five years old
My mother, God rest her soul
Couldn't understand why the only man
She had ever loved had been taken
Leaving her to start with a heart so badly broken
Despite the encouragement from me
No words were ever spoken
When she passed away
I cried and cried all day
Alone again, naturally
Alone again, naturally

もう少ししたら
酸っぱい味が消えなかったら
近くの塔に行こう
自分へのご褒美
てっぺんに着いたら飛び降りよう
みんなにはっきりわからせるんだ
教会で置き去りにされるのが
どんな気分か
みんな言ってる
「たまらないな」
「フラれたのね」
「待っててもしかたない」
「かえろうか」
ぼくも帰ったよ
またひとりぼっち

ほんのきのうまで
ぼくは明るく元気だった
これからの役目に胸が躍った
誰だってそうだろう?
でも現実が襲いかかってきた
ノックダウンさ
ちょっと触れただけで
ばらばらになった
わからなくなったよ
神とその慈悲
ほんとうに神がいるのなら
どうして見捨てるんだ
いちばん大事なときに
ほんとうに
またひとりぼっち

絶望した人 世界にはもっといるんだろう
もとにもどせない
ほったらかしにされた心
ぼくたちはどうすればいいんだ
どうすれば

またひとりぼっち

ふりかえってみると
それがどんなことかはわからないけど
親父が死んで 泣いた
涙は隠したくなかった
今はもういない
65歳のお袋は
わけがわからなかった
生涯愛した たったひとりの男
どうして奪われたのか
心はずたずた
どんなにぼくが慰めても
二度と口を開かなかった
お袋が死んだとき
一日中泣いた 泣きどおしだった
またひとりぼっち
またひとりぼっち

Gilbert O'Sullivan, Alone Again (Naturally) (1972)

2004年1月30日


レモンのページ

今月は大勢の方がBBSに弔辞を寄せて下さいました。日記にレモンのことを書いて下さった方もいらっしゃいます。

感謝の気持ちをこめて、こちらのページにまとめて、永久に保存することにしました。

虎さん。はりねずみさん。じゅんやさん。テイボーさん。日記を引用いたしました。不都合でしたらご一報下さい。

2004年1月29日


「茶柱 島津製作所」

19日から24日までの検索キーワード一覧です。

こんなのが気に入りました。

「奈良の大仏 造り方」
「717」
「初夜の寝床」
「ねずみ ビニールハウス」
「線路法則」
「安藤主任」
「茶柱 島津製作所」

大仏の造り方。あいにく存じません。まだ造ったことがないんです。

2004年1月27日


死別の翌日

生きのこるものはづうづうしく、
死にゆくものはその淸純さを漂はせ
物云ひたげな瞳をにさまよはすだけで、
親を離れ、兄弟を離れ、
最初から獨りであつたもののやうに死んでゆく。

さて、今日はよいお天氣です。
街の片側はり、片側は陽射をうけて、あつたかい
けざやかにもわびしい秋の午前です。
空は昨日までの雨に拭はれて、すがすがしく、
それは海の方まで續いてゐることが分ります。
その空をみながら、また街の中をみながら、
歩いてゆく私はもはや此の世のことを考へず、
さりとて死んでいつたもののことも考へてはゐないのです。
みたばかりの死に茫然として、
卑怯にも似た感情を抱いて私は歩いてゐたと告白せねばなりません。

中原中也「死別の翌日」
『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫

2004年1月26日


単純なことば、永遠の歌。

Unforgettable, that's what you are
Unforgettable though near or far
Like a song of love that clings to me
How the thought of you does things to me
Never before has someone been more

( * ) Unforgettable in every way
And forever more, that's how you'll stay
That's why, darling, it's incredible
That someone so unforgettable
Thinks that I am unforgettable too

( * ) repeat

Nat "King" Cole & Natalie Cole, Unforgettable (1991)
Music and Lyrics by Irving Gordon (1915-1996)

2004年1月25日


What a Wonderful World

I see trees of green, red roses too
I see them bloom for me and you
And I think to myself, what a wonderful world

I see skies of blue and clouds of white
The bright blessed day, the dark sacred night
And I think to myself, what a wonderful world

The colours of the rainbow, so pretty in the sky
Are also on the faces of people going by
I see friends shakin' hands, sayin' "How do you do?"
They're really saying "I love you"

I hear babies cryin', I watch them grow
They'll learn much more than I'll ever know
And I think to myself, what a wonderful world
Yes, I think to myself, what a wonderful world

Louis Armstrong (1967)
Music and lyrics by Robert Thiele, George David Weiss

2004年1月24日


何を今さら

「女性の賢明さ、理解力、さらには忠節、正義心などというものについて、何を今さら喋々する必要があろうか。男に劣らぬ勇気、そして度量の大きさ、それはもう何人もの女性によって示されているではないか」

プルタルコス『愛をめぐる対話』岩波文庫

2004年1月23日


白い馬 「ぼくの尻に乗ってごらん」
ジュリエット 「どうして?」
白い馬 「連れて行ってあげるよ」
ジュリエット 「どこに?」
白い馬 「闇だ。闇の奥にはやさしい木の枝がある。羽の墓場には千もの濃い表面がある」

ガルシーア・ロルカ『観客』(1930)

2004年1月22日


「あれだから」

14日から19日までの検索キーワード一覧です。

今回のお気に入り。

「人間のくず」
「あんこうのようなもの」
「冬のどなた」
「あれだから」
「パーティー行かなあかんねん」
「麻酔が気持ちいい」
「腹を殴る」
「グリグリしちゃって」

2004年1月21日


リクエスト

「あの」
「なんだ」
「ここの、ごあいさつのことなんですけど」
「どうした」
「きましたよ」
「なにが」
「リクエスト」
「リクエスト?」
「ええ。『作家になりたいんです』って、ありましたよね」
「ん? 覚えてないな」
「8日です」
「書いたかな」
「書きました」
「で」
「あれのね、翻訳家バージョンをって、リクエストが」
「きたのか」
「はい」
「きたか、リクエスト」
「きました」
「いつ」
「きのう」
「そうか。きたか。きたのか」
「きたんですよ。初めて。お願いしますね」
「なにを」
「だから、リクエスト」
「断る」
「え?」
「リクエストには応えない」
「そんな……」
「リクエストにだけは応えるなって、父の遺言だ」
「遺言って、お父さま、いつお亡くなりに……」
「ピンピンしてる」
「……ですよねえ」
「ピンピンしてるだけじゃないよ。キョロキョロだってするんだ」
「もう遺言書いてらっしゃるんですか」
「ピンピンだよピンピン。そのうえキョキョロしてる人が、書くか、遺言?」
「お話がよくみえないんですけど」
「だろう」
「だろうって……」
「そういうときは、じっとしていなさい」
「え?」
「わからないときは、じっとしているに限る」
「リクエストは……」
「安心しなさい。わたしもじっとしているから」
「いえ、そうじゃなくてリクエスト」
「君がじっとしているのにわたしがじっとしていなかったら、おかしいじゃないか」
「別におかしくないと思いますけど」
「だめだねえ君は。人情の機微ってものを知らないな」
「なんでそんなこと言われなくちゃいけないんです?」
「リクエストされたからに決まってるじゃないか」

2004年1月20日


冬の夜

みなさん今夜は靜かです
藥鑵の音がしてゐます
僕は女を想つてる
僕には女がないのです

それで苦勞もないのです
えもいはれない彈力の
空氣のやうな空想に
女を描いてみてゐるのです

えもいはれない彈力の
澄みつたる沈黙
藥鑵の音を聞きながら
女を夢みてゐるのです

かくて夜は更け夜は深まつて
犬のみ覺めたる冬の夜は
影と煙草と僕と犬
えもいはれないカクテールです

2

空氣よりよいものはないのです
それも寒い夜の室内の空氣よりよいものはないのです
煙よりよいものはないのです
煙より 愉快なものもないのです
やがてはそれがお分りなのです
同感なさる時が 來るのです

空氣よりよいものはないのです
寒い夜の痩せた年增女の手のやうな
その手の彈力のやうな やはらかい またかたい
かたいやうな その手の彈力のやうな
煙のやうな その女の情熱のやうな
えるやうな 消えるやうな

冬の夜の室内の 空氣よりよいものはないのです

中原中也「冬の夜」(1933)
『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫

2004年1月19日


「運 富 巨万」

8日から14日までの検索キーワード一覧です。

今回のお気に入り。

「パイ投げの的」
「履歴書を買う」
「嫉妬するな」
「成人の日 なんですか」
「金粉まみれ」
「運 富 巨万」

2004年1月18日


春日狂想

1

愛するものが死んだ時には、
自殺しなけあなりません。

愛するものが死んだ時には、
それより他に、方法がない。

けれどもそれでも、(?)が深くて、
なほもながらふことともなつたら、

奉仕の氣持に、なることなんです。
奉仕の氣持に、なることなんです。

愛するものは、死んだのですから、
たしかにそれは、死んだのですから、

もはやどうにも、ならぬのですから、
そのもののために、そのもののために、

奉仕の氣持に、ならなけあならない。
奉仕の氣持に、ならなけあならない。

2

奉仕の氣持になりはなつたが、
さて格別の、ことも出來ない。

そこで以前より、本なら熟讀。
そこで以前より、人には丁寧。

テムポ正しき散歩をなして
麥稈眞田を敬虔に編み―――

まるでこれでは、玩具の兵隊、
まるでこれでは、毎日、日曜。

神社の日向を、ゆるゆる歩み、
知人にへば、につこり致し、

飴賣爺々と、仲よしになり、
鳩に豆なぞ、パラパラ撒いて、

まぶしくなつたら、日蔭に這入り、
そこで地面や草木を見直す。

苔はまことに、ひんやりいたし、
いはうやうなき、今日の麗日。

參詣人等もぞろぞろ歩き、
わたしは、なんにも腹が立たない。

((まことに人生、一瞬の夢
ゴム風船の、美しさかな。))

空に昇つて、光つて、消えて―
やあ、今日は、御機嫌いかが。

久しぶりだね、その後どうです。
そこらの何處かで、お茶でも飮みましよ。

勇んで茶店に這入りはすれど、
ところで話は、とかくないもの。

煙草なんぞを、くさくさ吹かし、
名状しがたい覺悟をなして、―――

戸外はまことに賑やかなこと!
―――ではまたそのうち、奥さんによろしく。

外國に行つたら、たよりを下さい。
あんまりお酒は、飲まんがいいよ。

馬車も通れば、電車も通る。
まことに人生、花嫁御寮。

まぶしく、しく、はたいて、
話をさせたら、でもうんざりか?

それでも心をポーツとさせる、
まことに人生、花嫁御寮。

3

ではみなさん、
喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
テムポ正しく、握手をしませう。

つまり、我等に缺けてるものは、
實直なんぞと、心得まして。

ハイ、ではみなさん、ハイ、ご一緒に―――
テムポ正しく、握手をしませう。

中原中也「春日狂想」(1937)
『中原中也全詩歌集(下)』講談社文芸文庫

2004年1月17日


みなさんいままでありがとう

レモンみなさんいままで ありがとう
またどこかで あいましょう
ごきげんよう さようなら

2004.1.16  レモン


永訣の朝

午前5時半、レモンが永眠しました。

昨夜8時ごろ様子がおかしくなりました。身ごもっていた卵が卵管につまったらしく、ぐったりとして、ときおり羽をばたばたさせるのが精一杯でした。ふとんの中に抱いて一緒に夜を過ごしました。手のひらで息を引き取りました。いつも散歩している森林公園に埋葬しました。3歳でした。

このサイトでもずいぶんかわいがって下さいました。ありがとうございました。

2004.1.15.


浦安市成人式 at ディズニーランド

女 「大人としてぇ~……・(笑)ちゃんとした……ハイ、なんか……(笑)子どもに恥じないようにがんばっていきたいと思います!」
男 「えーもうハタチなんでぇ~、もう、マジメにしあわになりたいですッ!」

(昨夕のTBSラジオ「荒川強啓デイキャッチ」インタビューより)

2004年1月14日


ペパーミントギャルズ

「妻を愛していないわけじゃない、でもマユミとは別れられない。困った。どうしよう」
「お待たせ!」
「……なんですかあなたは」
「ペパーミントギャルズよ!」
「はぁ? ペパーミントギャルズ?」
「そうよ!」
「ペパーミントギャルズ? ひとりなのになぜ複数形」
「わたしが来たからもうだいじょうぶ。わたしにおまかせ!」
「あの……」
「なあに?」
「男……ですよね?」
「どうして?」
「だってそのすね毛は」
「フン! そんなことだからいつまでたっても浮気癖が直らないのよ」
「なぜ知ってるんだろう……」
「なんでもお見通しよ!」
「なんだかわからないがこの際しかたがない。ペパーミントギャルズさん。助けてください!」
「イヤよ!」
「え? じゃ、なにしに来たの? 助けてくれるんじゃないんですか?」
「わたしがどこでなにをしようと勝手でしょ! これから帰ってグラタン作るのよ! 邪魔しないで! せいぜい苦しむのね! ではごきげんよう!」

2004年1月13日


炸裂するコモンセンス

サイトを運営している人のことを「管理人」と呼ぶそうで、管理しているのだからたしかにそのとおりですが、当サイトに関する限り、私は管理人失格です。したくてもできない。する必要がない。

BBSへのいやがらせや悪ふざけの書き込み、いわゆる「荒らし」、そういうものが一切ありません。これもひとえに、お越しくださるみなさんの

    溢れる常識!
    ほとばしる共通感覚!
    炸裂するコモンセンス!

のおかげです。

2004年1月12日


舞台通信

舞台通信のデザインを変えました。

以前のページはそのままサーバに残してあるので、ここ↓の「検索」で調べられます。

2004年1月11日


喫茶店

「お決まりですか」
「シナモンティーある?」
「はい」
「じゃカフェオレ」
「……カフェオレをおひとつ、ですね」
「みっつ。くりかえしはいいから」
「え?」
「ただじゃおかないから」
「……ご注文をくりかえさ」
「くそー! はい千五百円。二度と来るかこんな店」

2004年1月10日


岸部一徳

誕生日です。三年後は還暦。

2004年1月9日


作家になりたいんです

「あの」
「なんだ」
「作家になりたいんですけど」
「なったらいいじゃないか」
「どうしたらなれますか」
「知らないよ。作家じゃないもん」
「冷たいですね」
「知らないものを知らないと言うのが、冷たいことかね」
「もういいです。わたし、死にます!」
「ちょっと待て! なんでそういう話になるかなあ。しかも、なんでたこ焼き5個もいっぺんに口に入れてしゃべるの」
「ほっおいえうああい」
「え?」
「ほっどいえぐわあいッ!」
「放っといてください、か。やっとわかった。いやいや大変だ」
「本当に死にます!」
「あわてなくたっていつか死ぬよ。どうせなら作家になってから死んだらどうだ」
「教えてくれるんですね!」
「なんで目キラキラさせるかなあ。まいいや。作家になる方法は知らないけど、作家になる方法を知ってる作家の話なら知ってる」
「難かしいのはいやです」
「君はラッキーだよ。とっても簡単な方法なんだ」
「どんな」
「有名な劇作家なんだけどね、その人が言うには、他人の目に触れさせる文章というのが四百字詰めの原稿用紙で一万枚をこえるとプロになるんだって」
「てことは、四百万字」
「だね」
「だねって簡単におっしゃいますけど、四百万字っていったら、原稿用紙に換算して……一万枚ですよ!」
「だから一万枚だって言ってるじゃないか!」
「怒鳴らなくたっていいでしょ!」
「こんなことは言いたくないけど」
「じゃ言わないで」
「言います。大きな声を出すときは、たこ焼きを飲みこんでからにしましょう。それが大人」
「一万枚ね。ワープロでコピペ。ラクショー」
「こんなことは言いたくないけど」
「言わないでください」
「言います。その劇作家はこうも言ってる。自分の文体をつくるためにはいろんな本を読んで、これが好きだというふうになった部分をそっくり書き取ってみる、全文書き取る必要はない、全文書き取る必要はなくて、『わたしの好きなとこはここ』と、その好きな部分を何回か書き取る、単に読むだけでは駄目、単に読むだけでは自分の体に入って来ないって」
「好きな作家がいます」
「だれ」
「筒井康隆」
「……今どき珍しいね。なにが好き?」
「乱調文学大辞典」
「小説じゃないよ」
「小説家になりたいなんてひとことも言ってません! 作家になりたいんです」
「そうだったね。ごめん。で、どこが好きなの」
「巻末付録の『原稿の書き方』です。とくにここがすごく好きです」

 やたらと会話を多くして行数をかせげばいいわけである。たとえばある人などは、兵隊を登場させればいいといっている。兵隊を整列させ、号令をかけさせればいいわけだ。
「番号」
「一」
「二」
「三」
「四」
「五」
「六」
「七」
「八」
「九」
「十」
 これでたちまち十行かせげる。兵隊を二十人出せば〔二百字詰め原稿用紙で〕一枚かせげるし、もっとかせぎたければ番号をいい間違わせて「もとへ」と号令をかけ、もう一度「一」からやればいい。

「……たぶん君は、立派な作家になって、長生きするよ」
「馬鹿にしてるんですね? 死にます! わたし、死にます!」
「死ぬのはいいけど、しゃべるときは」
「ほっおいえうああいッ!」

2004年1月8日


『懐かしい日本の言葉』

「あいかわらず日本語がブームだとよ」
「けッ、ちゃんちゃらおかしくてへそが茶を沸かすってもんだ」
「こんどは『懐かしい日本の言葉』ときた」
「懐かしがってりゃ世話ァねえや」
「藤岡和賀夫。知ってるか」
「聞かねえな。どうせ唐変木のへちゃむくれだろ」
「そんなこと徒や疎かに言うもんじゃねえ。罰が当たるぞ」
「上等じゃねえか。じゃあな」
「じゃあなって、どこ行くんだ」
「時代はグローバリゼーションだよ? 駅前留学はNOVAと相場が決まってるんだ。あばよ」
「どこへでも行っちまえ、このすっとこどっこい」
「でーぶでーぶ百貫でーぶお前の母ちゃん出べそ! ……あ、スミス先生。グッモーニン!」
「ミスター・イノウエ。今日ハオ足許ノ悪イトコロヨクイラッシャイマシタ。ササ、オ平ラニ」
「弱ったねどうも。本当にアメリカ人なのかな」
空茶デゴメンナサイ」
「きまりが悪くてどうもいけねえ。お茶いただけるだけで御の字です」
「デハれっすんヲハジメマショウ。今日ハエイゴノコトワザデス。『鶏口トナルモ牛後トナルナカレ』。エイゴデナントイイマスカ」
「先生みたいな小股の切れ上がったいい女が、どうしてNOVAなんかで働いてるんです」
人品骨柄卑シカラヌ人トモ思エナイ言葉デスネ」
「かたいこと抜きでいきましょうよ。ね、先生」
「第二問。『秋茄子ハ嫁ニ食ワスナ』」
「こっちは磯の鮑の片思いなんだけどなあ」
「第三問。『驚キ桃ノ木山椒ノ木』」
「それことわざじゃありませんよ先生」
「ツベコベイウナ。人サライニサラワレルゾ」
「くわばらくわばら」
「ミスター・イノウエ。アナタニハ惻隠ノ情ヲ禁ジエマセン」
「チンプンカンプンだ」
「アナタニハ浩然ノ気ヲ養ッテモライタイノデス」
「どうせなら恋患いを養いたいねえ」
「オタンコナス」
「口の悪いところがまた婀娜っぽい」
「ワタシハナンテ罪深イノデショウ。オ天道様ニ申シ訳ナイデス」
「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花だ」
「人ヲオモチャニスルモンジャアリマセン」
「カマトトぶってないで、その辺で一杯やりましょう。小体な作りのちょっとした店があるんですよ」
「コノ表六玉」
「言うねえ先生も」
「『正鵠ヲ射ル』トイウノデス」
「こいつは恐れ入谷の鬼子母神」
「ミスター・イノウエ。アナタニハ愛想モ根モ尽キマシタ。泣イテ馬謖ヲ斬ラネバナリマセン」
「そりゃないぜセニョール」
「ワタシハせにょりーたデス! ソロソロ時分時ナノデ失礼シマス」
「あーあ、行っちゃった。汽車は出て行く煙は残る、ハラハラと落つる涙を小脇に抱え、勝手知ったる他人の家へ」

2004年1月7日


マルレネ・ディートリッヒ

なあに、小兒病者の言ふことですよ、
そんなに美しいあなたさへ
あんな言葉を氣にするなんて、
なんとも困つたものですね。

合言葉、二週間も口端にのぼれば、
やがて消えゆく合言葉、
精神の貧困の隱されてゐる
馬鹿者のグループでの合言葉。

それがあなたの美しさにまで何なのでせう!
その脚は、形よいうちにもけものをおもはせ、
あなたの祖先はセミチック、
亜米利加古曲に聽入る風姿

ああ、そのやうに美しいあなたさへ
あんな言葉に氣をとられるなんて、
浮世の苦勞をなされるなんて、
私にはつまんない、なにもかもつまんない。

中原中也「マルレネ・ディートリッヒ」
吉田熈生編『中原中也全詩歌集(上)』講談社文芸文庫

2004年1月6日


抱負

「あの」
「なんだ」
「今年の抱負はいいんですか」
「ん?」
「いえ、去年はここで一年の抱負みたいなことをおっしゃっていましたからね」
「ああ、抱負ね」
「いいんですか」
「まあ、考えてはいたんだけどね」
「ええ」
「ただ、しめ飾りがどうもね」
「え?」
「だから、しめ飾りだよ。クルマの」
「クルマ?」
「うん。あるじゃないか、クルマのしめ飾り」
「あ。あの昔バンパーによくつけてた」
「うん。つけてただろ、バンパーに」
「つけてましたね」
「最近見かけないんだよ」
「そういえば見かけませんね」
「だろ? どこに行ったんだろう、あのしめ飾り」
「別にどこにも行きやしないでしょう」
「そんなばかな話があるか。だいたいバンパーにしめ飾りつけてどうするんだ」
「どうするんだっていわれても」
「おかしいだろう」
「まあ、おかしいといえば、おかしいですよね」
「バンパーに飾られてしまうようなしめ飾りだ、きっと今ごろはとんでもないところに飾られているはずなんだ」
「抱負はどうなったんです」
「ヘリコプターかなあ」
「見えないでしょ、飾っても」
「じゃケータイだ」
「どこの世界にケータイにしめ飾りつける人がいるんですか」
「でも見えるよ」
「見えますよ。見えるけど、ケータイそのものが見えなくなるでしょう」
「これだから油断できないんだよ、しめ飾りは」

2004年1月5日


そぐわしくない

年末のニッポン放送「ラジオビバリー昼ズ」にゲスト出演した古舘伊知郎が、立て板に水のごとく喋々と弁じ立てるなか口にした言葉。あまりにも自然だったので聞き流すところでした。

2004年1月4日


年賀状

「わーい! エミリーちゃんから年賀状だ。わーいわーい!」
「マイキー、何をはしゃいでいるの」
「ママ! エミリーちゃんが年賀状をくれたんだよ」
「あら。マイキーも隅におけないわね。で、何て書いてあるの?」
「えーと、『あけましておめでとう ことしもなかよくあそぼうね』」
「ンまあ、なんてことでしょう!」
「ママの大声を聞いて二階から降りてきたんだが、一体全体ママは何に驚いているんだい」
「あなた! ちょっとみて」
「ん? 年賀状だね。マイキーのか」
「そうだよ。エミリーちゃんがくれたんだよ」
「なになに、『あけましておめでとう ことしもなかよくあそぼうね』」
「えへへへ。モテる男はつらいなー」
「マイキー! そこに座りなさい」
「え?」
「いいから座るんだマイキー」
「なんだかわからないけど、ぼく座るよ。座ったよ」
「よく聞くんだマイキー。このままではおまえの将来が台無しになる」
「なんで?」
「言ってることと思っていることがバラバラ、それが女の子なんだ」
「えー?」
「『あけましておめでとう』っていうのは、おまえに災いあれという、呪いの言葉だ」
「そんなバカなー」
「その証拠に『ことしもなかよくあそぼうね』とあるじゃないか」
「それのどこがいけないの?」
「これは、おまえを骨の髄までしゃぶってしゃぶってしゃぶりつくしてやるから覚悟しなさいってことなんだ」
「メチャクチャだあ」
「そうなんだ、メチャクチャなんだ。それがおませな女の子というものなんだ」
「でもエミリーちゃんはとってもいい子だよ」
「悪魔は天使の顔をしているものなんだ。それが悪魔というものだ」
「じゃあパパはママから年賀状もらったことないんだね」
「毎年もらったよ。だからマイキーには同じ思いをさせたくないんだ」
「え? じゃあママはパパを……」
「そーゆーこと」
「アハハハハ!」「ハーッハッハッハ!」「オホホホホ!」

2004年1月3日


ユーモア

「極限状態に陥ったときにね、日本人には、sense of humour がない」

犬養道子
NHK総合「年越しトーク・心に灯をともす 犬養道子・養老孟司」(12月31日24時25分)より

2004年1月2日


お楽しみはこれからだ!

"You ain't heard nothin' yet!"

アル・ジョンソン

2004年1月1日