微笑問題

「いかりや長介逝く」の巻
2004.3.25

A:
いかりや長介さんの訃報は衝撃的だったね。
B:
体調が悪いのは聞いていたけどね。
A:
『踊る大捜査線 THE MOVIE レインボーブリッジを封鎖せよ!』の舞台挨拶をしたから、元気になったと思ってたけど…。
B:
オレたちはまさにドリフ世代だよな。
A:
芸人の先輩ってこともあるけど、昭和40年前後生まれの子どもは、土曜8時は「全員集合」だったよね。
B:
見ないと学校で話題についていけなかったもんな。
A:
そうそう。
B:
「見てないのか」って、廊下に立たされて。
A:
なんでだよ!
B:
で、廊下から教室見てると、一時間目が国語で、その後は算数、理科、社会で、なぜか生徒に和田アキコがいて。
A:
それは定番コントの「国語・算数・理科・社会」だろ!
B:
しかし、いろんなギャグが流行ったよな。
A:
荒井注の「ジス・イズ・ア・ペン」なんて、よく真似したよね。でも、いちばん人気だったのはなんといっても加藤茶の「ちょっとだけヨ」だね。「タブー」がBGMで。
B:
あれで性に目覚めたもんな。
A:
いねえよそんなやつは!
B:
オレたちより若い世代は志村けんに夢中だったね。
A:
加藤茶と志村けんが二枚看板って感じになったよね。志村けんが正式メンバーになって初登場したコントも「国語・算数・理科・社会」で、転校生役だった。
B:
「全員集合」が始まったのって、いつだっけ。
A:
1969年。公開生放送だったけど、調べてみたら、最初の4回は収録だったらしい。
B:
ゲストも豪華だったよな。
A:
初回はなんと「九ちゃん」こと坂本九。
B:
なつかしいな。
A:
ほかは布施明に九重佑三子、倍賞美津子、山本陽子、渥美マリ、小川ローザ、前田武彦、山本直純。
B:
すごいメンバーだな。
A:
今じゃ考えられないよね。
B:
でも、PTAには評判悪かったよな。
A:
そう。1972年に「小学校教師の選ぶ子どもに見せたくない番組」のワーストワンに選ばれて、低俗番組のレッテルを貼られて。
B:
ベストワンは「11PM」。
A:
もっと悪いだろ!
B:
「独占!おとなの時間」だっけ?
A:
なんだよ、そのスケベおやじ路線は!
B:
「プレイガール」ではよく鼻血出したけどな。
A:
うるさいよ!とにかく視聴率が50%を越えるお化け番組だったね。でも、欽ちゃんとか「オレたちひょうきん族」とか、シロートっぽい笑いがウケるようになって、1985年、ついに16年の歴史に幕を閉じた。
B:
でも、ほかの番組もあったな。
A:
「ドリフ大爆笑」とか「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」とか「バカ殿様」とかね。長さんは映画やドラマに引っ張りだこになった。
B:
渋い俳優になったよな。
A:
黒澤明監督が『夢』で抜擢したんだよね。『踊る大捜査線』ではついに日本アカデミー賞を受賞。中高年の悲哀が見事だったね。
B:
役者になるのが夢だったらしいね。
A:
そうなの?
B:
「もしもタラコ唇のゴリラが黒澤映画にいたら」。
A:
言うと思ったよ!「ドリフ大爆笑」のもしもシリーズだろ。
B:
もうひとつの夢が、「もしも高木ブーが教育テレビに出たら」。
A:
もういいよ!実際出ただろ、ウクレレ番組の講師として。
B:
最初、「長さん死亡」って聞いたとき、長嶋さんかと思ったよな。
A:
長嶋さんも脳梗塞で入院してるからね。
B:
そしたら今日、「太陽にほえろ!」の長さんこと下川辰平さんが敗血症で亡くなった。
A:
偶然だろうけど。
B:
そろそろ危ないな、張作霖。
A:
チョーさんなんて呼ばれてねえよ!しかもとっくに死んでるだろ!
B:
きのうの告別式は雨だったな。
A:
涙雨だね。メンバーが全員集まるかどうか注目されたけど、みんな来て「全員集合」したね。弔辞を読んだのは加藤茶。
B:
ちょっとしんみりしたよな。
A:
さすがにね。
B:
まあ、「ちょっとだけ」だったけどね。
A:
ちょっとだけヨって、加トちゃんがこんな時にギャグやるわけねえだろ!
B:
まさに「タブー」。
A:
うるさいよ!
B:
加トちゃんも言ってたけど、天国でゆっくり休んでほしいね。
A:
ご冥福をお祈りします。