ガルシーア・ロルカ「観客」 El Público
「ロルカなら知ってます」
「そうか」
「『血の婚礼』の人ですね」
「うん」
「でも『観客』は初耳。やっぱり悲劇ですか」
「さあ」
「とぼけても無駄です。その手にはもう乗りません。じゃあ喜劇なんですね」
「どうかなあ」
「どっちなんです」
「馬がね、出てくるんだよ」
「馬ですか」
「出てきてしゃべる」
「馬がしゃべるんですか」
「馬がしゃべって、蜷川幸雄みたいな演出家が苦しむ」
「え?」
「演出家は古代ローマ人になって、ホモの恋人といちゃついて、『ロミオとジュリエット』を上演したらジュリエット役がいつのまにか男の子になってて、お客さんが怒って劇場を壊して、外では革命が勃発して、わけのわからない手品師がやってきて雪を降らせて、演出家が寒がる」
「それで?」
「おしまい」
「わけがわかんないんですけど」
「牛乳飲むとき腰に手をあてる、あれもわけがわからないな」